うん。
どうなんやろ、遥か的には。
その上で、前提としてね、この人が反省するまでの流れについて話をしたいんやけど。
あー、すごいとこからやね。
そう、実は人が反省するには順番があるんや。
えー。
そう、これが面白くてね。
どんな順番かっていうと、人が本当の意味で反省するのは、全部自分の気持ちを吐き出した後に自然に起きるって言われてるんや。
うーん。
これ面白くない?
どういうこと?
だから言ったら、全部自分の気持ちを出した後じゃないと本当の反省っていうのは起きませんよっていうこと。
へー。
自分の気持ちにちゃんと向き合った後じゃないといけないってこと。
あー、向き合うってことね。
そうそうそうそう。向き合うっていうのの分かりやすい例が、人に伝えるとか書き出すとかっていう風に出すっていうこと。
うんうん、なるほど。それは何かの論理に基づいてんの?
これはね、衝撃的なタイトルの本なんだけど、反省させると犯罪者になりますという本。
えー。反省させると犯罪者になります。
そう、衝撃的やろ、この本。
反省させないといけんのじゃないの?
だけど反省させたら犯罪者になるって言ってるのよ、この本は。
えー。なんか確かにタイトル見たことあるかも。
うん、これかなり有名な本で、相当いい本。
で、この反省させるっていうところがポイントなんだけど、今言ったように反省するまでの自然な流れのステップを踏まないと、
無理やり反省させても子供は本当の意味で反省しなくて、むしろその抑え込まれた感情っていうのはもっと大きな悪い行動になって、
ゆくゆくは犯罪者になっていきますよっていうのがざっくり言うと内容。
そっか、反省すると犯罪者にはならんのか。
そう、反省するのは大事。だけど反省させると犯罪者になりますよっていうのがこの方の主張。
へー、なるほど。
バックグラウンド話すと、この岡本茂樹さんっていう臨床教育学者の方なんだけど、
この人ね、刑務所でずっと受刑者、だから言ったら犯罪者の公正支援に関わってきたんよ。
その中でどんな人が結局犯罪にまで至って、逆にこの人たちはどんな気持ちだったのかな、
どうしたら犯罪にまで至らなかったのかなっていうところをずっと実際に目で見て観察して、
そっから機能的に理論を導き出した人なんだよね。
説得力ありそうやね。
そうそうそう、説得力がすごくて。
代表的なエピソードがあるんやけど、ちょっと話すね。
一人40代の男性の受刑者の方がいるんだけど、この人はね、覚醒剤乗用者で殺人を犯しちゃったんだよね。
この殺人を犯した理由を問うと、なんて言ったかっていうと、覚醒剤を使ったことです。
だから覚醒剤を使ったことを反省していますって答えたらしいんよ。
これがダメなの?
受刑者あるあるで、もうね、反省をするのが上手になってるんだって。
見かけ状ってこと?
そう、そういうこと。なぜかというと何回も反省文を書く機会があったりとか問い詰められたりとかして、
反省を促されたよ。何回も何回も。
飛行少年とかもよくあることなんだって。
反省しなさい反省しなさいって言われるから、見かけ状反省するのが上手になっていくんだって、どんどんどんどん。
でね、このままで終わったら犯罪はなくなりませんって言うと。
さらに事件を起こした原因を聞くと、そのね、覚醒剤を吸うようになったきっかけはタバコを吸うようになったからって言ったらしいよね。
それは今あれだよね、自分で考えて考えを1個深めたってこと?
そうそうそう。さらに何でタバコを吸うようになったのって聞くと、タバコを吸うきっかけは悪い仲間に入ったからであって、
さらにね、何で悪い仲間に入ったのかって言うと、そのきっかけはいじめを受けたからって答えたらしいよ。
ここでの重要なポイントは、もしね、覚醒剤を使ってしまったからっていうところで内省、自分に向き合うことをやめていた場合は、
この受刑者の根本的な問題に向き合うまでには至らないんだよね。
何が大事かって言うと、この著者はね、本当の意味で反省するためには、さらにさらに遡って自分の痛み、ここに向き合っていく必要がありますよって主張した。
痛み? 痛み。
自分の痛みって何だろう? そう、それをちょっと話すね。自分の痛み、ここに向き合うことで反省を始めますよっていう件。
ちょっとこのエピソードの続きを話していい? このいじめを受けていたって受刑者は、いじめを受けた時にね、どんないじめだったかって言うと、
とにかく金を持ってこいと。で、金を持ってこいって責められたから、この人はね、お父さんの財布からお金を盗んだんだって。どうしようもなかったから。
で、お金を盗んだことがね、お父さんにバレた時、お父さん何て言ったかって言うと、いじめとかそんなことに無関心で、とにかく盗んだ金を返せって言って暴力振るったらしい。
で、もうそれからさらに日常時に暴力を受けたんだって。でね、この時に受刑者が話してくれた後にカウンセラーさんが、もしね、今その時に戻って父親に何か伝えられるとしたら、何て言いたいってカウンセラーさんが聞いたんよね。
そしたら、もう父親に対する激しい口調で文句をブワーって言い始めたらしいよね。お前のせいだとか、何で暴力振るったんだとか。もうそれはそれは激しかったらしくて。で、ブワーってひとしきり言い終わった後で、もう一回カウンセラーさんが今どんな気持ちですかって尋ねたらしいよね。
そしたら、僕は本当は父親が好きだったと。父親に甘えたかったと。でもそれなのに自分が悪いことをして刑務所に入っている自分が情けない。父ちゃんごめんって言って、ブワーって泣き出したんだって。でね、泣き出した数日後にもう一回気持ちを聞いたら、なぜか清々しい気持ちです。さらにはあれからなぜか被害者のことを考えるようになりましたって語ったらしい。
何の話だったっけ?
だから、もともとは覚醒剤で殺人を犯した。で、なんで殺人を犯したまでに生き立ったかって、元をたどるといじめを受けてました。でもいじめを受けたけど父親には理解してもらえずに、いっぱい暴力を振るわれた。で、そこまで痛みをカウンセラーさんが引き出したんよね。その痛みを。
で、ブワーってひとしきり文句を言った後に、それが言い終わった後に自然とこの人は父ちゃんごめんって言い出して。
反省したのか。
そう、被害者に対しても反省を始めたっていうこと。
へぇー。
そう。
これはだから、自分で自分の気持ちに向き合って吐き出したことが良かった。
そういうこと。だからさっき言ったように、自分の心の痛みっていうものに向き合って理解したことによって、初めて相手の心に目が向いて自然と反省の感情が湧き上がってくるっていう。これが反省の流れですよっていう風に言ってるんよ。
へぇー、ちょっと待って。自分の心を理解すると、他の心も理解するようになる。
そう。というかまず自分の心の痛みっていうのを理解して、初めて相手に向き出すっていう。だからそれを吐き出す前は、なんで自分もこんなに否定的な感情になってるのかが分かってなくて。
はぁー、なるほど。
だけどそれを理解して初めて相手の方に向きますよっていうこと。
なるほど。
うん。これはかなりね、俺もこの考えに出会って助けられてて、最初はずっと子供が悪いことをしたときにどう反省させようかって一生懸命説明しよったんよ。
それこそ論理的に。なぜ叩いちゃいけないのか、なぜ悪口を言っちゃいけないのかっていう、もう論理をきちんと正して説明をずっとしよったわけよ。
どう考えてもこれで納得せんわけないよねって思っても子供は納得せんことが多々あったわけよね。
もうずっと口ではごめんなさいって言うけど、どう考えても反省してないなっていうときとか。もうあるときは俺の顔を睨みつけるようなときもあったし、子供が。
へぇー。
そうそう。その後にこの本を読んで、そういうことかと。この子は自分の気持ちをまず吐き出してない状態だったんだなってことに気づいて、そこからもうひたすら話を聞くことに徹したんよね、その子の。
これが面白いことにさ、ひたすら話を聞くやん。そしたらブワーって子供を言うんよ、文句を。でもう全く串挟まざりね。
心の中ではさ、打拳って叩いたらいかんやろとかさ、思うわけよ。言いたいわけよ。教育者として言わないかんと思うわけよ、そんなこと。
だけどグッと抑えて、もうずっと聞くに徹したんよね。あ、こんなことが嫌やったんだねって聞くに徹して、その子の気持ちをずっと代弁したわけよ。
あーなるほど、それは嫌な気持ちになるねとか、それはモヤモヤするねとか。そしたらさ、ほんとこれやってみてほしいんだけど、マジで勝手に子供が、だけどやっぱり叩いたらいかんかったなって言い出したんよ。
はー、なるほど。びっくりして、これが反省までの流れねってことに理解してね。
はー、なるほどね。確かに。そうそうそうそうそう。あ、それあるわ。ある?どんな時にある?
やっぱさ、仕事でミスした時とかってさ、どこの会社でも相当ないけど、上司からそれに対してさ、ダメだよねみたいなことが言われるわけやん。
昔あったけど、確かにそう言われるだけだと、反省はほんとの意味ではしないな。
心の中どんな感じ?上司にバーって怒られた時。
いやもう分かっとうわ。ミスったもんだって。って感じ。
でもさ、それバーってひとしきり自分の中で、心の中で分かっとうわとか、あいつのせいやとか、タイミング悪かったとかって思った後、どうなる?
で、あ、まぁ結局、俺がこうしたらよかったなってなる。
これが自然な流れなんや。
あ、言語化大事。
言語化大事。だからさ、やっぱ上司に怒られた時とか親に怒られた時ってさ、とにかく言い訳とか、なんで分かってくれんの?っていう気持ちがブワーって出てくるやん。
最初から、あ、ごめんなさいってならんくない?
ならんね。
そう、これが自然な流れなんや。
確かに。
だけど、それをうまく自分の中で言語化できた後に、あ、でも確かに悪かったなって思うやん。
で、子供はこれをできてない状態。だから納得しないわけ。
だからさっき言ったように、ブワーって自分の中で言語化できずに、なんか怒られてしまって、否定的な感情だけ残って、でも何が否定的な感情なのか分からないままモヤモヤしてるから、反省にまで至ってない。
なるほど。
だから結論として、とにかく子供が自分の気持ちを吐き出すってことにお手伝いしてあげるわけよ。
その後に反省っていうのが起きるってことが伝わればいいかなっていう、今日は。
そのさ、具体的にどういう風に向き合うかみたいなのはさ、なんかおすすめの方法とかはある?
これ方法っていうとあれだけど、結局さっき俺言ったように、大人って正しいこと分かってるから、途中でどうしても正しいことを言いたくなっちゃうわけよ。
何があってもダメだろうがとかって言うと思うんだけど、まず本当に聞くに徹する。相手の目を見てじっくり。
で、なぜかっていうと、もう正論で跳ね返されるって分かってたら、子供はもう言わんくなるから。
まあね、それはもう上司と部下もそうやね。
そうそうそうそう。だから、まずは内面に向き合う時間っていうのを取るときは、本当に聞くに徹するってことをするっていうのが大事かなっていう風に思う。
なるほどね、確かに。まあそれが一旦伝わればいいかもしれないね。
そうそうそう。だから本当にこの順番を意識するだけで、まずは聞こうって思えるよ、こっちは。
まあ確かにね、そうだよね。
そう、まずは聞こうっていう風に思えるから、子供の話をしっかり聞けるんよ。
ってすると、全部聞いた後でびっくりするくらい子供って、でも悪かったなって言い出すけん。
でもこれに慣れてない子はそこまで言えんと思うよね。
全部聞いた後で相手の気持ちはどうだったかなっていう風に問いかけてあげる。
何々君の気持ちはめちゃくちゃ分かったと。
だけどそれって相手の何々君にとってはこれどうだったのかなって問うと、確かに悪かったなっていう風に言うことがすごく多い。
ちょっと気になったのは、それは対人関係の反省のとき。
うんうんうん。今の話はそうだね。
なんか論理的結末とかもさ、まず何でこれしちゃダメなのか背景を伝えようとかさ、それとの澄み分けが難しいんじゃないかなと思って。
いやー、まさに今言ってくれたね。
そう、まさに言ってくれた通り、このアドラー心理学の目的論と真逆のポジション取ってるよね、これって。
あ、そうなんやね。
だってさ、アドラーは何て言ったかっていうと、大事なのは原因じゃなくて子供の目的だって言ってるじゃん。
だけどこれは徹底的に原因、子供の痛みに向き合ってあげようねっていうスタンスなんや。
確かに。これだと不登校の子にこれを応用するとしても同じよね。まずはその子の気持ちに寄り添うってなるわけよね。
そういうこと。だからアドラーの目的論だけを知ってると、ここの痛みのところに向き合うことができない。
だけどこれだけを知っておくと、痛みに向き合ってその後どうしたらいいのかわからないっていうのが起きてくるわけ。
だから俺はこのどっちも知っておくのが大事だなと思って、徹底的に子供の悩みに向き合う時間もすごく今言ったみたいに大事だし、