内越雅之と彼の作品
はい、tantotの時々読書日記第29回です。
今日はですね、内越雅之さんの『ヤンキーと地元』
こちらの本を取り上げたいと思います。
こちらはですね、副題が解体や風土経営者、闇業者になった沖縄の若者たちという副題で、
この内越さんというフィールドワーク、社会学者なんですかね。
フィールドワークを専門にする社会学者の方が、沖縄の若者たちを対象として、
フィールドワーク、エスノグラフィーを10年以上に渡って続けていて、
その結果をまとめた本というような感じになります。
内越さんって、1979年生まれなのでほぼ同世代ぐらいなんですけど、
実は12月の末に内越さんの不法がありまして、
それまで実は知らなかったんですけど、その不法を目にして、
ものすごいエスノグラファー、画期的というか、
他に類を見ないエスノグラファーがなくなってしまったみたいな形で話題になっていたというか、
すごく痛む声が多く見られて、それで知ったという感じで、
本屋でもやはりなくなったというところもあって、
ちょっと平積みになったりとかして、そんなので目にして読んでみましたという感じです。
エスノグラフィーの手法
すごい本です。
内容としては沖縄の若者の一体がどんな世界で生きているのかとか、
どういう共同体、どういう社会の中で彼らが生きているのかみたいなのを、
ものすごい深いエスノグラフィーの調査の元に書いている。
しかもそれがすごく共感とともに書かれている。
沖縄の建設現場で働いていたりとか、風俗とか闇業者みたいなところでやっているような、
ある意味社会の底辺というとあれですけど、
いるようなものたちの、かなりやっぱり方から見ても苦しい、
苦さとか辛さみたいに溢れた生活、しかも暴力とかにも溢れていて、
建設現場だと先輩後輩みたいな関係があって、
先輩に後輩はよう殴られるみたいな、殴られてなんぼだし、
どなられたりとか、スナックに行ったら先輩をきちんと立てないと後でまた殴られるとか、
そんなような世界で、苦しい中でそれでも生きているというような、
世界をものすごくリアルに秘密に描き出しているというような感じです。
このすごいのが内越さんが、フィールドワークをこんだけするにはやっぱり、
かなり彼らの中に入り込まなきゃいけないわけですよね。
一方でこの人は社会学者であって、大学に属する研究者だったりするので、
全然彼らから見ると、全く違う世界の人間だし、学者さんがみたいな、
とにかく決めたがられる存在なので、
普通に考えたら彼らの信頼を得て、奥深くまでヒアリングをするにしても、
観察するにしてもできないと思うんですけど、内越さんのすごいのは、
おい内越、みたいな感じで、彼の本にもあるんですけど、パシリとして、
めちゃくちゃコミュニティの中に受け入れられているんですよね。
このパシリとして、いわゆるパシリとして入り込むというのが、
内越流の他の人には真似できないレスノグラフィーのやり方だと。
左右観察のやり方だと。
これ最後の法論の中で、ちょっと方法論的な感じでまとめているのが面白いんですけど、
マトリックスで整理していて、横軸が無外者と内部関係者。
縦軸が使えるやつと使えないやつ。
というふうに分けたときに、
普通は、使える無外者になることが、左右観察において目指す立場というか、
いわゆるUFOの立場。
無外者なんだけど、使えるからこそ、自分たちにとっても、
使えるやつだから、ちょっと協力してやるかみたいな感じで、
調査に協力してもらえるという感じですけど、
このパシリというのは何かというと、使えない内部関係者。
内部関係者なんだけど使えないやつとして、ある意味、
可愛がられる存在みたいなふうになることで、
よりコミュニティの中に入り込む。
これが使える無外者だと、どうしても調査が貸し借りというか、
ギブアンドテイクみたいな感じで、どうしてもなりがちになってしまう。
こいつは使えるから協力する。協力するとして、
無外者だけど役に立ってくれるから協力してやるみたいな。
使えない内部関係者はそうじゃないんですよね。
こいつ使えないやつなんで、全然ギブアンドテイクにならない。
パシリさせるんだけど、コミュニティのおさほはちゃんと知らないから、
役に立たない。
ただ、内部関係者なんで、可愛がってやるかみたいな。
いろいろ教えてやるかみたいな。
そんな感じで、ギブアンドテイクではなく、
本当にもっと仲間というか、ある意味、
やっぱり可愛がられるって感じですね。
みたいな存在になるっていうのが、
より他の人にはできないレベルで、
コミュニティの中とか、その中にいる人たちの
本当に考えていること、思いとか、
実態を理解するための入り口になる。
若者たちのリアルな生活
そんなような。
これ誘惑屋敷なんですけど、
結局何してるかっていうと、
実際建設現場で、建設会社、その現場の。
現場でめちゃめちゃ働いて、
働いて、本当に何ヶ月か一緒に雇われて働くみたいな。
建設現場に行って、実際に現場作業する。
大学の研究者なんで、そんなやれるはずないじゃないですか。
使えないやつとして、一番しょうもない。
使えないやつのやるような仕事をさせられる。
それでもずっと一緒にやられる。
それだけの労力というか、
それだけ全身全霊を込めて、
このコミュニティの中に入り込む。
この、何だろうな。
これはもはや調査手法ではないですよね。
生き方だし、思想だし、
やっぱり何かこう、ライフワーク。
ある意味ワーク、ライフみたいなもので。
この何か生半可な興味もありますとか、
ちょっと大学で研究してやろうみたいなことじゃできない。
やっぱり何かこの沖縄の若者たちの実態を
しっかり明らかにして、それを記述するということに対して、
何らか使命感を持っていると、やっぱりここまでできないんじゃないかな。
というふうに思いましたし、
そうですね。なので、
エスノグラフィーって、やっぱり改めてこういうのを読むと、
何か職業というよりは生き方だなぁ、みたいなことを改めて。
だし、スキルとかノウハウというよりは、
もはやアートの世界、個人、一人一人の技の世界だなというふうに感じました。
ちょっとこの
いちこしさんの産後感覚の手法の話ばかり、
ちょっとお話がいたしまったんですけど、
描かれている内容自体も非常に興味深いというか、
すごく、ある意味東京で暮らしていて、
何ですかね、
普通に大企業にいてとか、
大学を出て大企業で働いてみたいな、
そういう生活を送ってしまっている自分からすると、
全く知らない世界。
ただ、
こうリアルを知るというのは、
めちゃめちゃ興味深いというと、
なんか変な言い方かもしれないけど、
世界を広げさせられるような、
そんな話だったなというふうに思っています。
あとなんか、
そうですね、
まあ、
この本は、
いちこしさんは本当に、
これまで読めなかった、初めて読んだんだけど、
本当に唯一無二の、
この人にしかできない仕事をやった人だなというふうに、
改めて読んで感じました。
このところで、
結構、
文章自体はすごく読みやすくて、
いろんな、
結構愛すべき若者たちが出てくるし、
言葉はもうなんか、
悪かったりとか、
愛すべき若者たちの、
すごくリアルな日常生活の様子とか、
考えていることとかが描かれていて、
非常に読みやすいというか、
そっと読める本なので、
ぜひ、興味ある方は読んでもらえると。
特に文化人類学とかエスノグラフィー、
興味あるような人たちは、
絶対読んだほうがいいと思います。
割と文化人類学は、
内越以前、内越以後だ、
みたいなことを、
内越さんが世に出るきっかけを作ってくれた、
岸正彦先生とかが、
内越以前と内越以後だ、
みたいなことを言うくらいの、
本当に画期的な人物だったというところがあるので、
この分野に興味があるなら、
雑誌の遅ればせながら読めてよかったなというふうに。
この本は、ちくま文庫から出ているので、
結構手軽に手に入りますし、
手軽に読むことができるので、
ぜひ読んでみてもらえるといいかなと思います。
それでは、今日はこのへんかな。
今日は内越正彦さんの
手紙でやりました。
ありがとうございました。