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はい、tantotの時々読書日記、第3回です。
今日は、文明交錯、ローラン・ビネというフランスの作家の小説ですね。
こちらのお話できればと思っています。
こちらは、原書が2019年で、日本語訳が2023年の3月に出ているという形になります。
これですね、めちゃくちゃ面白いんですよ。
どんな話かというと、歴史のイフみたいな話で、歴史上ではスペインがアメリカ大陸を発見して、インカ帝国を滅ぼしたと。
そういう話ですけれども、そうではなくて、インカ帝国が逆にヨーロッパに来てスペインを征服したとしたらというような、そんな歴史のイフを語るという話になっています。
でもこれ面白いのが、最初に何でそんなことが起きるのかというと、ちゃんと最初に納得感のある戦死時代の話があって、
ちょっとすごくざっくり言うと、戦死時代にヨーロッパの方からバイキングがアメリカ大陸に来ていて、どんどん南下していって、その過程でアメリカ大陸には馬も導入されたし、
さらにインカ帝国が滅ぼされた最大の原因の一つである病原菌、ヨーロッパに持ち込んだ病原菌に対する体制も、すでに戦死時代に入ってきたことによって体制を身につけていたから、結果的に征服されなかったんだと。
逆に征服されるどころか、馬もあるし鉄もあるしみたいな感じで、ヨーロッパの方に逆に攻めていって征服したみたいな。
そしたら何が起きたかというと、その征服したのがアタワルパという人だというふうに。これ実際にいた人、インカ帝国側にいた人らしいんですけど、そのアタワルパがヨーロッパに来てどんどん征服していったみたいな年代記みたいな形で書いてる話です。
なので歴史の逸物ではあるんですけど、一つ一つが本当に実際にあった史実をちょっと裏返してお話にしているみたいな感じで、結構徹底的に調べられているし、調べられてその逸もすごく納得度が高いみたいな感じで、とにかく面白い。
面白いだけじゃなくて、これが結構通列な文明批判というか、ヨーロッパ人はインカ帝国、アメリカ大陸に行って徹底的にそこの文明を滅ぼしたわけですけど、逆にアメリカ大陸からヨーロッパに行って、アタワルパは別にヨーロッパ大陸を徹底的に滅ぼすみたいなことはしてないんですよ。
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ただ、やっぱりキリスト教の、当時のキリスト教の偏教な教えというか、やっぱり偏った教えに対してもっとある意味前世を敷くというか、そんなような感じで、やっぱり昔のキリスト教的世界観とかヨーロッパ的世界観に対する通列な批判みたいな、そんな感じの話をこういうフィクションを通じてやっていると。
そんな話になります。
とにかくめちゃくちゃ面白いので、結構分厚い400ページくらいある本なんですけども、あっという間に読み終わってしまったという感じになります。
ローラン・ビネって、この本自体は友人に勧められて、こんな本あるよって言って教えてもらって読んだんですけど、全くそれまで知らなかったんですけど、この本を読んですごい面白かったので、
ちょっと前作である、2本だと、これを含める3冊かな?出てるんですけど、HHHHっていう本と、言語の7番目の機能っていう本、この2冊もこれを続けて読んでしまったという感じになってます。
やっぱり、どっか一節を読みますかね。
最初のが、戦死時代の話っぽくなっているので、戦死時代の神話感のある話の部分、そこをちょっと読んでみましょうか。
ヘリブディーズ諸島に渡り、ついでスコットランドに渡った。その地で今度はその息子が王になったが、その後スコットランド人の裏切りに遭い、戦いで命を落とした。この息子はアッケガイのソルスティンと呼ばれていた。
息子の死を知ると、アウザは自由な身分に生まれたもんだって20人と同じ船に乗り、アイスランドに行き、そこでデイギルズ川とスクレイムフレイプ川の間の土地を占領した。
こんな感じで、この結果、この子子孫がアメリカ大陸に渡るみたいな話なんですけど、この辺あれですよね、すごい神話らしい、謎の人名とか謎の地名が説明もなくバラバラバラバラ出てくる、この神話感っていうのが結構面白いなというふうに思います。
こんな感じで終わり。
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第3部が本編のアタヴァルパ年代記なんですけど、この最中だけ読んでみましょうか。
1.コンドルの落下。歴史が判断を下してから、時が経った出来事をこうして後から振り返ってみると、当時のことには全て意味があり、鳥の飛翔さえ確かな予言になったと思えてくる。
しかしながら、刻々と過ぎゆく現在の真実というのは、もちろん後から想像するよりずっと熱く、騒々しく、生々しいものではあるけれど、多くの場合、過去の真実よりも、時には未来の真実よりも不確かな予想を呈するものだ。
その日はインティライミーが盛大に取り行われてきた。
という感じですね。
文章もすごく読みやすいというか、年代記風に書かれているのですごく読みやすいし、日本語訳もとてもいいので、ぜひお勧めかなと思っています。
今日はローラン・ビネ、橘明美さん役、文明工作、東京草原社から出ております、について話しました。
それではありがとうございました。