作品の紹介と背景
はい、tantotの時々読書日記第40回です。 めちゃくちゃ間が空いてしまいました。
今日はですね、 『風と共に去りぬ』
というランナーを取り上げたいと思います。 これは、いろいろと知れた名作なんで、皆さんも知っていると思うんですけど、
今さら読んだのがですね、ちょっとこの前、 だいたい何ヶ月前ぐらいですかね、ちょっと読んで、
今、新潮文庫で5巻セットなんですけど、面白すぎて一気に読んでしまったというような感じです。
最初のきっかけは、 言論展、あずまひろきさんが主催している雑誌の18号、最新号で、
この特集もすごい良かったんですけど、 一族の創造力という特集があって、それが個々の様々な小説、文学作品を取り上げて、
一族とか家族、一族みたいなところをキーワードにして、 様々な結構古典的な名作から、あまり知られていない作品まで含めて、
文学作品を語っているところなので、20作品ぐらいあるのかな。 この特集もすごく良かったですね。
この特集の中で、風と友にサリヌが冒頭で取り上げられていて、
実はこれ2015年に、コーノスユキコさんという翻訳者の方の新訳が出ていたというのを、 読んで知って、
風と友にサリヌって、僕最初読んだのは中学、高校生ぐらいの時ですかね。
すごいその時も友人から勧められて読んで、ハマって、 ちょうど映画のリバイバル上映みたいなのをやっているので、
その映画も見に行って、映画も長いんですよね。 4時間ぐらいあって、途中休憩が入るみたいな。
そんな感じなんですけど、見に行ってというくらい、 結構どっぷりハマってしまったものなんですが、
改めて、その特集を見た時に、ちょっと新訳が出てるんだったら読みたいなと思って、
1巻を買って、とりあえず読んでみたら、これがめっこう面白くて、 もうあっという間に2巻、3巻、4巻、5巻と続けざまに買って、
1ヶ月ちょっとですかね、で読み切っちゃったみたいな感じでした。
改めて、なんで今読みたいなと思ったかというと、 当然きっかけとしてはこの特集なんですけど、
なんか多分、アメリカのことが気になってたんだろうなというのは、 個人的には思います。
アメリカっていう国って、最近の大統領さんの話もあって、 すごい不思議な国だよなと改めて思う中で、
アメリカの歴史の一つの重要なターニングポイントというか、 ポイントである南北戦争という時代、
その時代についての描かれた小説を読んでみると、 アメリカっていう国の理解を改めて理解できるんじゃないかしらというような、
そういうきっかけもあったんじゃないかなというふうに思いました。
スカーレットの葛藤
実際、これね、なんですかね、3巻くらいまでで、
風と共にサリヌって、主人公スカーレットっていう南部の女性で、
その主人公スカーレットの人生を語って、反省を描いてるって感じなんですけど、
やっぱ南北戦争の前の平和な、 昔の南部のいわゆるオールド、クラシックな暮らしの時代から、
南北戦争が起きて、戦後のいろんなことが起きてっていう、
その激動の中でスカーレットがどう生き抜いてきたか、 そしてスカーレットと大きく2人の男性と1人の女性、
2人の男性はアシュリーとレッドバトラー、 あとはメラニーという女性、大きくはこの4人を軸にして展開するんですけど、
その2人の男性、1人の女性との関係性みたいな、 その辺りが大きく描かれているっていう感じで、
やっぱり南北戦争の始まる前から始まって終結するまでと、
南北戦争後の新しい南部の改革の時代、激動の時代みたいな、 大きくその前後で分かれるのかなというふうに思って、
全体としては南部構成だ。
南部構成かと言うと…あれ? 第4…5部構成か。全体としては5部構成なんですけど、
やっぱり大きくは物語の描かれ方としても、 南北戦争によっていかに物語が変わってしまったのかっていう、
そういうのを描く前半と、その南北戦争が終わって、 一気に戦前の情勢が変わってしまった、
で、ものすごくいろんなことが起こる中で、 スカルトがどう生き抜いていくかっていうその後半とで、
物語の核心
結構物語の性質も変わってくるので、 大きく分かれるのかなと思っていて、
個人的には前半がグッと胸に迫るというか、感じで、
3巻読んだあたりでも、結構気持ちはクライマックスだったんですけど、
なんか、なんですかね…
南北戦争の最初の1巻のあたりって、 基本的にはすごく南部のプランテーションの経営者の娘なんですけど、
プランテーションのいわゆる白人の経営者たちの 優雅な貴族たちのコミュニティの暮らし、
そこに対して黒人奴隷も、ある意味、 結構牧歌的な形で描かれてるんですよね。
どれだけその時代が良い時代だったのか。
当然その良い時代って、スカーレットの目から見た良い時代でしかなく、
当然その南北戦争が起きた背景には、 黒人奴隷の過酷な生活とか、そういう人種差別とかもちろんあったけど、
少なくともスカーレットの目から見て、 スカーレットの見える世界で言うと、すごく平和な良い時代。
みんなが楽しく暮らしているし、 白人は白人、黒人奴隷は黒人奴隷で、
それぞれの部を分け合いながら、 みんな良い関係を築いて暮らしている。
もう完全にピースのはまった平和な世界。
それがすごく丁寧に描かれている。
その中での、惚れた晴れたとか、 スカーレットってすごくモテる感じで、
男たちをいかに手玉にとっているかとか、 そういう良い時代が描かれて、
それが急に戦争が起きて、 結果的に全くなくなってしまう。
やっぱり戦争の前後で、大切にしていたあの時代が 全く完全になくなってしまったという、
そのショック、ちょうどそれが2巻から3巻にかけて 描かれるんですけど、
やっぱりその失われてしまったものに対する、 恐怖症でもないんですよね。
あの平和な時代、幸せな時代、幸福な時代は もう完全に失われてしまって、
もう二度と戻ってこないんだっていうことを、 っていう現実を目の当たりにした時の
スカーレットのショックと、 でもスカーレットの強いのは、
そこに対して、その中でももう一度前を向こう、 何とかして生き延びてやろうっていう風な強い意志を持って立ち直って、
ある意味立ち直ってというか、 その描き方がすごく上手いのは立ち直ってっていう、
もうしっかり向き合って立ち直ってるっていうよりは、 見たくないものから目を背ける、
なんか諸星術と言うと変ですけど、っていうことも含めた、 そういう器の小ささも含めてスカーレットってすごく強い。
その強さみたいなものの描かれ方がすごく上手いなと思って、 その失われてしまったものに対するやっぱ悲しみの描写だとか、
でもそれでも生きていかなければいけないとか、
ここで立ち直って、もううち次世代で溜まるかみたいな、 その思いともう一度立ち上がる、
その力、なんかその辺のストーリーが めちゃくちゃ心にぐっとくるんですよね。
なので、もし未読の方いたら、とりあえず1巻から3巻ぐらいまでだけでも読んでいただきたいなと思って、 そこがグッと心にくるという感じです。
あと何を喋ろうかなというところなんですけど、 喋りたいこといっぱいあるんですけど、
あとはやっぱりすごいな、すごいって長い小説なんですけど、 もう本当にどんどん読み進められる。
それは、一絵に登場人物の描かれ方の魅力、 すごく魅力的な登場人物で、
特に主人公のスカーレットって、 これ読んでみると分かるんですけど、
他に言うと嫌なやつだし、 肝ってなんだろうな、結構小物だし、
スカーレットの成長と魅力
偉そうで傲慢ちきで、思い込みも激しいし、 人のことをすぐバカにしてるし、
考えなしだし、短気で、本当に嫌なやつなんですよね。
たぶん近くにいたら、あんま友達になれなさそう。
でもすごい美人らしいんで、みんなもうメロメロになっちゃうみたいな感じなんですけど、
正直、すごく良い人ではないし、しかも最後まで、 どんどんいろいろ生き抜いていって成長はするんですけど、
ある意味人間としては全然成長してないみたいな、 そういうところもあったりするんですが、
でもそのスカーレットがめちゃくちゃ魅力的にやっぱり描かれていて、
どうしても好きになってしまうというか、読んでいて、
スカーレットのことが気になって気になってしょうがない。
このスカーレット次どうするんだろうとか、 こんな風に怒ってるけどどうするの?これどうやって着地させるの?みたいな、
そういうところもどんどん読み進めてしまう。
この筆の上手さっていうのはすごいなと思います。
全然経路は違うんですけど、最近同じく南北戦争の時期の アメリカの古典的名作ということで、
アプサルマ・アズプサルマ。フォークな書籍を読むんですけど、 そっちはそっちは名作なんですけど、めちゃくちゃ読みにくいんですよね。
上下巻なんですけど、上巻の途中何度読むのを 打説しようとしたかっていう感じなんですが、
カズツモイの作品に関してはそんなことは全くなく、 だからこそすごくベストセラーになって、映画にもなってっていう大衆に、
小説的な側面もあると思うんですけど、 とにかく
読み始めたら止まらないというタイプの小説だなというふうに思います。
そんな感じですかね。
失われた過去の風景
そんな感じなんですけど、やっぱり好きな場面とか話しますか。
好きなシーン。
一番グッとくるのはやっぱり何だろうな。 スカーレットが
アトランタに、タラっていうスカーレットの所属してたプランテーションですね。
そこから戦争が激化して、
アトランタに避難というか行って、 その後、戦争がほぼ南部の負けが
負けた後かに、
タラに戻るんですけど、その時の
変わり果てた風景、
タラも含めた自分たちの周りの変わり果てた風景、
失われた時代が失われてしまったということを、ある意味そこで
初めて目の当たりにする。ずっとアトランタに行った時は、 アトランタの風景、タラのことは見えてなかったので、
目の当たりにして、もうあれは本当にもう二度と来ないんだと。 あの幸せだったりだよっていうことを
思い知らされると同時に、タラにマミーっていう黒人の
結構おばちゃん、スカーレットの小原家に使える黒人奴隷の
使用人がいるんですけど、 マミーってすごいずっしりした感じのめちゃくちゃ安心感がある。
スカーレットのことをずっと育ててきたみたいな感じで、
マミーが出てきた時の、 スカーレットのマミーの再会のシーン、
そこがグッと来ますよね。 詳しくは
読んでもらうといいんじゃないかなというふうに思います。 そんな感じで、
それだけじゃなくて、本当に心に残るシーンはいっぱいありますし、 映画は有名なので、映画を見てるっていう人もいっぱいいると思うんですけど、
映画とはやっぱり違う魅力があると思うので、
ちょっと今の時代に、
なんとなく最近AIも出てきて、効率化、どんどん生産性を上げていこうみたいな、 そういう風潮が広がる世の中で、
最近ですね、だからこそこういう大画小説を読みたい。 効率の悪い本が読みたくて読みたくて、みたいなのが最近個人的な
ブームというか気持ちなので、それも一環でもあるんですけど、 結局こういう小説を読んで味わって、
5巻の小説、これだけの長いものを読んだからこそ、読んでしか感じられない感情とか、
感じられない、たどり着けない境地みたいなものってやっぱあるなというふうに思うので、
長い小説ほど読みたいなっていうのが最近の
個人的な感じです。 なので、今はアブサルム、アブサルムを読んだりもしてるんですけど、
また長い小説、大画小説でお勧めのものがあったら、ぜひ教えてもらえると嬉しいなというふうにも思いながら、
今日はこんな感じでおしまいにできればなと思います。
今日は、カデス・トモリン・サリヌ、マーガレット・ミッチェル、翻訳学校の鈴木子さん、
身長文庫で鈴木子さん、5巻セットで出ていますという、こちらについてお話ししました。
では、できるだけ今後、もう少し頻度高く更新していけるといいなと思います。
それではありがとうございました。