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2021-02-12 13:15

短歌のセカイの歩き方 90【柳澤桂子】けものなら死ぬであろうに人ゆえに医学によりて生きて苦しむ

*今週の雑談テーマ*
闘病のストレス・思うように動けないことが、人の心にどのような影響を及ぼすのか?


【柳澤桂子】けものなら死ぬであろうに人ゆえに医学によりて生きて苦しむ

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こんばんは、北詰至です。
このポッドキャストは、毎週一つの短歌を取り上げて、 短歌の世界の楽しみ方をお話ししています。
毎週金曜、夜8時に配信しています。 1週間の終わりの息抜きに聴いてください。
今回は、病気の療養の中で生まれた短歌をご紹介いたします。
雑談のテーマは、糖尿のストレス、 思うように動けないことが、人の心にどのような影響を及ぼすのか、
短歌の作者の気持ちや、私の実体験からお話ししたいと思います。
獣なら死ぬであろうに人ゆえに 医学によりて生きて苦しむ
獣なら死ぬであろうに人ゆえに 医学によりて生きて苦しむ
はい、今回は柳沢恵子さんの 獣なら死ぬであろうに人ゆえに
医学によりて生きて苦しむ という短歌をご紹介します。
今回はちょっとですね、病にちなんだ短歌を ご紹介したいなと思いました。
この短歌は柳沢恵子さんの 萩という歌集に収録されている短歌になります。
面白いのがですね、柳沢恵子さんの 経歴なんですけれども、
今83歳でいらっしゃって 科人でもあり、また生命学者でもあるんですね。
科学者、生命科学者ですね、科学者でもいらっしゃいます。
若い頃にですね、科学者として研究を盛んにされている 若い頃に原因不明の難病を発症して、
一時は仕事もですね、退職せざるを得ないような状況になって、
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その頃からですね、短歌を始め、 科人としても活動されているそうです。
今はですね、ご病気の原因もわかって、 また科学者としてもですね、研究をされていらっしゃるそうです。
そんな柳沢恵子さんの 今回ご紹介する短歌ですね、
「獣なら死ぬであろうに人ゆえに医学によりて生きて苦しむ。」
という短歌なんですけれども、 これってやっぱり大病をされた方だからこそ心から
いじみ出てきた短歌なんだろうなというふうに感じました。 確かにそうなんですよね。
人間だから、そして医学が発達しているからこそ、 私たちは今、大きな病気を患っても何とか生きていけるようになったんですけれども、
もし本当に野山に暮らす獣だったら、 まあとっくに死んでますよね、もしそんな大病を患ったら。
けがとかもそうですよね。 例えばすごく複雑骨折をしても、
人間だったら手術したり、安静にしたりして、 また元の生活に戻ることができるけれども、
もし山で暮らす鹿とかだったら、 そんな複雑骨折みたいな大きな怪我をした場合は、
獲物は取れなくなる。 熊とかのそういう大きな動物が襲ってきた時に逃げることもできない。
あとはもう、 山の中で死んでいくのを待つのみっていうような状況ですよね。
なんかそれが、
なんかそのことがちょっとこう羨ましいようにも書かれてますよね。 この短歌の中では。
獣なら死ぬであろうに人ゆえに医学によりて生きて苦しむ。
本当は、あの医学によって生きることができるっていうのは、 人間のいい面ではあるけど、
それが、病気をして、 糖尿しているとの本人にとっては時として、
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獣のように死ぬことよりも苦しいと感じる時がある。
っていう、
まさに経験した本人だからこそ、 読める短歌だなというふうに感じました。
今回、病についての短歌をご紹介しようと思ったのは、
ちょっと最近自分の体調がイマイチっていうことがきっかけなんですけど、
それと同時にですね、私も子供の頃から体が弱くて、
入胎院を何度も繰り返してきたので、
なんかこう、そういうところで共感できる部分がとても多かったということもあります。
私の場合は、そんなの柳沢恵子さんのようにですね、 原因不明の病というわけではなくて、
単純に生まれつき体が弱かったっていうだけのことで、
そんな難病とかそういうわけでもなくですね、
入胎院も繰り返しながら、手術できるものは手術して、
治療できるものはちょっとこう、体力回復するまで入院して、
みたいなそんなことを繰り返していたので、
そこまでね、本当に重い方もたくさんいるので、
そういう中では恵まれた方だと思うんですけれども、
やっぱりこう、体が思い通りに動かないっていうのは、
本人にとってはなかなか辛い部分があってですね、
例えばこう、子供なんか外でワーワー走り回りたいんですけれども、
みんなと同じように走り回っていると、
途中で具合が悪くなる、頭が痛くなったり、
疲労が溜まって動けなくなって、熱を出したりとかですね、
そういうことも繰り返していました。
思春期になると、友達とちょっと何駅か先の少し都会の町に行って、
買い物したりですね、マックでお茶したりとか、プリクラを取ったりとか、
そういうこともしたいんですけれども、
そういうのもやっぱりできる時もあれば、
なかなか体力がついていかなくて、
具合が悪くなっちゃうとか、まあ熱が出るとかですね、
そういうのも繰り返していました。
やっぱりみんなと同じように動けないっていうのは、すごくフラストレーションがたまることで、
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死ぬわけではないので、大したことないといえば大したことないんですが、
なんかそこに対するもどかしさってのはずっとありました。
大人になっても体はずっと弱かったんですけれども、
どれぐらいかな、30代初めぐらいからかな、
なんかちょっとこう、漢方とかハリ治療とか、
そういう根本の療法に取り組むようになって、
少し体力がついてきた頃にですね、自分でも運動を始めたりとか、
あとはピラティスもですね、ここ3年ぐらいやっていまして、
そういうふうにバランスを整えることで、ちょっとずつ元気になってきました。
今は、まあもともと生まれつき体が弱いっていうのもあるので、
やっぱり体力はどちらかといえばない方なんですけど、
だいぶ日々の積み重ねでですね、運動とかハリとかそういうののおかげで、
だいぶ丈夫になったかなと思っています。
だけどやっぱり、今まさにぐったりしてつらい思いをしている方にとっては、
なんか、そうだな、元気な人からしたら、
また元気になるよとか、今休んでねとか、
頑張って元気になろうとか、たくさん食べようとか、
そういう言葉をかけたくなっちゃうんですけど、
で、そういうのが励ましになる時もあるんですけど、
やっぱりどうしてもね、こうもどかしさが募っていくと、
そういう言葉ですら虚しく響く時があるんですよね。
で、そういう時にね、この今日ご紹介する単歌は、
後ろ向きな単歌ではあるんですけど、
なんかこの共感がちょっとこう、今まさに苦しんでる人の癒しになるんじゃないかなと感じています。
獣なら死ぬであろうに人ゆえに医学によりて生きて苦しむ。
そういう苦しさもあるんだよっていう、
今その自分が感じている苦しみを、まずは一回ちゃんと認識してみる。
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その気持ちを認めるっていうところから始めると、
いい方にまた向かっていくこともできるんじゃないかなと感じております。
はい、いかがでしたでしょうか。
今回は柳澤恵子さんの、
獣なら死ぬであろうに人ゆえに医学によりて生きて苦しむ、をご紹介しました。
単歌の世界の歩き方は、毎週金曜夜8時に配信しています。
また来週金曜夜にお会いしましょう。
それではおやすみなさい。
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