ストレスチェック義務化の概要
この時間は、日替わりコメンテーターによる解説で、日々のニュースを掘り下げるBrush Up。 月曜日は、法学者の谷口真由美さんです。谷口さん、おはようございます。 おはようございます。さてさて、今日はどんな話題でしょうか。
谷口 今日はですね、2028年の4月から、ストレスチェックが全事業所で義務化されるというニュースについて考えたいと思います。
これまではね、ストレスチェック、いわゆる常時50人以上の労働者を使う事業場ではですね、義務です。今でも義務です。 50人未満の事業所では努力義務ということになっています。
ところが、今後は小さな職場も含めて、全ての事業所で実施が求められる方向になるというニュースなので、うち小さな会社やから今まで関係ないわと思ってた方も、今後は関係してきますよということで、ちょっと聞いていただきたいなと思います。
ここで確認しておきたいのは、これは単に事務手続が増えるという話ではありませんということです。これはですね、働く人の心の健康を会社の規模に関わらず守るべきものだということを法制度がはっきり打ち出した、そういう変化であるということですね。
私ごとなのですが、この3月に産業カウンセラーという資格を取ったので、働く人の心の健康というのに関わるお仕事も今ちょっと始めているんですけれども、なのでこの義務化の本構成そのものには賛成しています。私自身はですね。
なぜかというと、心の健康とか安全に関しては、大きい会社とか小さい会社とか関係ないですよね。働く人にとっては。むしろ小さな職場ほど誰か一人が無理をしてしまったりとか、給食とか離職に追い込まれたりした時の影響が大きいと言えます。
そもそも相談できる相手が少ないこととか、小さかったら人間関係が濃密ですよね。そんな中でしんどさを言い出しにくいことというのがあります。だからそう考えると、50未満だから努力義務でいいという扱いを見直すことには十分な理由があるというふうには考えます。
義務化への賛成理由
ただね、私その義務化されたらそれでいいということにはならないんじゃないかなというのも思っています。制度っていうのは作ったらええというもんでも、今回の話で作ったら人を守れると、そういうもんでもないですよね。
やっぱりやり方を間違えると、守るはずの制度が人を傷つけるということにもなりかねないということがあります。これがストレスチェックもそうなんですね。
本来これは、弱い人を見つけて選別する制度ではなくて、しんどさを抱えている人が今の自分の状態に気づいて、必要なら面接指導であったりとか、カウンセリングであったりとか、職場全体として働かせ方とか人間関係、それから業務の偏りとかを見直していくということにつなげないといけないんですが、
だからそういう一時要望と言われるものですね。悪くなる前に防ぐための制度というのがストレスチェックです。なので賛成する面としては、メンタルヘルスを個人の自己責任にしないという点なんです。
よく根性論というか、今でも頑張ったらなんとかなるみたいな職場があって、しんどいのは本人が弱いからだと。そんな木の持ち親みたいな感じで済ませてしまう職場もまだあるんですよね。
それってそういう話ではなくて、職場の問題としてきちんと向き合おうという方向に進んでほしいということなんですね。これは法として政策として重要な前進だというふうに思いますので、働く人の心と体の安全、心身の安全は労働安全衛生の問題であって、単なる気持ちとか気分とかそういう問題ではないですね。
なのでまずそれは社会全体として確認するという意味が非常に大きいと思います。賛成ポイントもう一つは、職場環境の改善につながる可能性があるなということですね。
ストレスチェックっていうとですね、個人のストレス体制の強さだけを見るように思われがちなんですけれども、制度の本来の趣旨というのはそうではなくて、職場全体構造的にどんな負荷があるか、何が人を追い詰めるのかというのを見て、
例えば長時間労働であったりとか、ハラスメントであったりとか、それから孤立で業務の配分の偏りで相談しにくい雰囲気がないか、そういうものを見直していく契機にするというので、さっきも言いましたけど、人が弱いとかその人の気持ちの持ちようだとかで終わらせずに、この職場全体に構造的にどんな問題があるかということを統制度であるべきですね。
懸念点:プライバシー保護
だけども、ということで懸念する点で言うと、一番大きなのはやっぱりプライバシーですね。
そうなんです。ストレスチェックの結果っていうのは、本人に直接通知されるのが原則で、本人の同意なくその事業者が結果を知ってはいけないというのが大前提であるということが、全員働いてる人、全ての人が共有しておかなきゃいけない話ですね。
でも、例えば小規模の事業所では、現実には誰が受けたかとか、誰が高ストレスなのかというのを推測されやすいということがあります。
だから人数が少ない職場ほど、ちょっとした動きが個人、誰かっていうことが見えてしまう。
特定されやすいですよね。
そうなんです。そうなんですよ。
なるほど。
そうなんです。そうすると、制度が支援ではなくて、監視であったりとか詮索の入り口になってしまう危険性があります。
なので、ここは本当に慎重に扱わないといけないということが言えます。
だからこそ、厚生労働省の小規模事業所向けのマニュアルでも、50人未満の事業所では、プライバシー保護の観点から原則として外部機関への委託が推奨されています。
社内で全部やるよりは、外部の健康診断の機関などに任せた方が、結果の管理とか秘密保持の面で現実的だという考え方で、私もこれは妥当だと思います。
ただ一方で、外部委託にもお金がかかるので、またそれから地域によっては委託先が十分にあるわけではないので、ちゃんとした支援に結びつけられるかどうかという問題もありますね。
なので、制度だけ義務化して、要は行政からの支援が薄いままでは、小さな事業所に結局負担だけ押し付けることになりかねないので、このあたりは金銭面も含めて、きちんと制度化していく必要があるかなと思います。
懸念点:不利益取扱いと集団分析
もう一つの懸念点というのは、不利益取扱いですね。
結局、高ストレスだと分かった人とか、面接指導を申し出た人が評価とか配置、それから契約更新の場面で不利に扱われないかということです。
法律とか指針では不利益取扱いが許されないということがあるんですけれども、実際の職場では露骨にあいつ外そうではなくても、あの人はしんどそうだから重要な仕事は任せられへんなとか、職場に波風を立てる人や、みたいな感じで見えにくい不利益が起こることがあるんですね。
なので、やっぱりどうやって運用して、どうやってチェックして、どう相談していくかということも問われています。
最終的にやっぱりね、小規模事業所では集団分析にも注意が必要なんですね。
本来ストレスチェックは職場全体の改善に生かされるべきですけれども、人数が少なすぎると集団分析の結果から個人が特定される恐れがあります。
だからやっぱり厚生労働省のマニュアルでも、10人未満の単位では原則として、集団分析の結果を事業者に提供してはならないというふうにも言われているので、こうした点にも配慮が必要だということで
入れたらいい、作ったらいい、制度があったらいいという問題ではなくて、小さな範囲、事業所ほど配慮が必要なことがいっぱいあるので、そこはやっぱり行政もサポートをちゃんと制度を作る以上はしていかないといけないですねというお話でした。
まとめと今後の課題
せっかく導入したものなのに、それがいい方向に働かなかったら、そのストレスチェック自体がストレスになってしまうという、もともともないことになってしまうんですね。
おっしゃる通りですね。
ということで、2028年からストレスチェック全事業所で義務変えというニュースについて解説していただきました。谷口さんありがとうございました。
ありがとうございました。
この時間は谷口真由美のブラッシュアップでした。