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日替わりコメンテーターによる解説で、日々のニュースを掘り下げるブラッシュアップ。 月曜日は法学者の谷口真由美さんです。谷口さん、おはようございます。 おはようございます。
出自を知る権利とは
さて、今日はどんなニュースでしょうか。 はい、今日は出自を知る権利というテーマでお話をさせてください。
ちょっと難しそうに聞こえるかもしれませんけれども、要するに誰かによって提供された生死とか乱死で生まれた子どもが、自分がどうやって生まれてきたのか、それから必要に応じてその提供者について知ることができるのかという問題です。
実は今、国会でこの権利をどう保証するかが改めて議論されているという状況だそうで、 去年、実は法律婚ではないカップル、事実婚であったりとか、同性カップルであったりとか、そういう人たちをどう扱うかが争点になって、法案がまとまらなかったんですけれども、
今回はちょっとそこは外してということらしいんですが、まず生まれた子どもの知る権利をどうするかに絞って議論しましょうということになっているという状況が報じられています。
出自を知る権利って何だということをまずご説明したいんですけれども、単に遺伝上、血のつながりのあるという言い方でもいいと思いますけれども、その遺伝上の親の名前を知りたいという話だけではないんですね。
自分が第三者の生死とか乱死の提供によって生まれたことを知るということがまず第一点です。
また、提供者の年齢とか血液型、それから病歴、個人は特定できないけれど、自分にとって大事な情報を知ることですね。
例えば保険の契約なんかの時でも、がんになったご家族はいますか?とか告知のところで聞かれたりしますけれども、誰か知らなかったら答えられないですよね。そういうことだけでも知りたいという方もいらっしゃいます。
さらに国によっては、一定の年齢になったら誰かという指名、提供者の指名などの情報にアクセスできたりする制度もあります。
つまりこれは、生殖補助医療の話というふうにされているので、医療の話。だからちょっと自分には遠いと思われるかもしれませんけれども、
自分は何者なのか、どこから来たのか、誰から来たのか、みたいなアイデンティティの話でもあるんですね。
日本でもこの問題が急に出てきたわけではなくて、2003年に厚生労働省の議論でも、こうした医療で生まれた子どもが提供者に関する情報を知ることは、アイデンティティの確立のために重要だということがかなりはっきり書かれています。
しかも、子どもによって知ることができる子と、知ることができない子が分かれるのは良くない。そういう考え方まで示されていたんですけれども、日本でも議論はあったけれども、制度化がずっと遅れてきたということです。
ちょうど私は2003年の議論の頃が大学院生で、こういうテーマも扱っていたので、いろいろ関係省庁からヒアリングをされたりとかしていて関わっていたので、どうなっているのかなというのは気にはなっていたんですね。
2020年になって、正職補助医療に関する法律を一応できました。ただ、この法律は親子関係などの基本ルールを定めたもので、肝心の出児を知る権利をどう保障するのか、提供者の情報をどう保存して開示するかという制度は先送りされてきたんですね。
入り口の法律はできたけれども、大事なところの宿題がまだ残っていますという状況です。
日本における法整備の遅れと課題
それが去年国会に出された法案はその宿題に応えようとすることだったんですけれども、対象が法律婚の夫婦に限られていることとか、提供者の名前とかの特定情報が子供の権利としてしっかり開示される仕組みになっていないことが問題になって、
結局、弁護士会も子供の権利というよりも、提供者がその時に応じるかどうかに左右される仕組みになっているということを批判していました。
だから、権利というのは本来的には相手の気持ち次第であったりなかったりするものであってはならないわけですね。
みなさんまんべんなく、当然平等に権利というのは享受できなきゃいけないということで。
海外の先進的な取り組み
海外の動きをお知らせしますと、例えばイギリスでは2005年以降の提供については、16歳になると非特定情報、18歳になると氏名など特定情報にアクセスできる仕組みがあります。
スウェーデンではもっと早くて、1980年代から匿名の政治提供をやめています。
オーストラリアのビクトリア州というところではもっと踏み込んでいて、昔の匿名提供についても後から知る権利というのを広げているんですね。
フランスなんかは、今は将来本人が出自にアクセスできることを前提に制度を組み直しているところです。
なので世界全体としては、匿名のままでいいということではなくて、本人が知るべきことができる方向、知ることができる情報の方向に進んでいます。
出自を知る権利を巡るリスクと重要性
なんで海外がそんなことまで起きているのかというので、ちょっとハッとする事例があるのでお伝えしたいなと思うんですけど、
アメリカでは実はDNA検査をきっかけに、自分の元交際相手が実は兄弟、血が繋がってたってことがわかったというケースが報じられたことがあるんですね。
だから要は生死提供者が誰かわからないままなんで、自分たちが生死提供の親から生まれたってこともよくわかっていないまま付き合ったら、DNA検査をきっかけにそれがわかったというのがあったんですが、
これ実はすごくたくさんあるケースでも日本で報告されているケースでもないんですが、不妊治療の現場で医師が無断で自分の生死を使ってたという不妊治療詐欺の文脈で起きたかなり深刻な事例で、知らないまま交際していたということが現実に起きています。
もちろんこれ一般的な提供制度の全ての形だとは言わないので、レアなケースではあったけれども、実際それが結婚したみたいな感じとか子供が生まれたみたいなことになると、禁心婚になるわけなので、それはそれで問題ですよね。
同じ都内由来の子供が多く生まれているということは事実で、生死提供者はすごく多くの都内になっていることがあるので、情報が閉ざされたままだとこういうリスクがゼロではないということでは、海外では強く意識された議論がされてきたということです。
だから最近イギリスなんかだと、同南由来で生まれた人同士が交際相手と遺伝的につながっていないか確認できる仕組みもあって、制度としてはそこまで考えていかなきゃいけないということがあります。
リスクっていうよりも、もう一つ大事なのは、そもそも本人が、あなたはこうして生まれてきたんだよということを知ることってすごい重要なんですよね。
なので、研究がたくさん積み重ねられてきていて、こういったことを幼い頃から自然に伝えられていた方が、思春期とか大人になって急に知らされるより子供も受け止めやすいということが言われています。
なので、真実そのものよりも隠されてたことの方が傷つきやすいという指摘もあって、結局その法律を作って、本ならどうぞ運用してくださいということではなくて、親への支援とか子供への伝え方を一緒に考える必要があるということもあります。
なので、こういうコーディネーターのお仕事とかも、海外では結構メジャーになってきているというのがありますね。
出自を知る権利の根源的な重要性と今後の展望
なので、この問題って何となく家族のプライベートな話だし、私は関係ないわみたいな人がいらっしゃるかもしれませんけれども、結局自分がどう生まれてきたかを知ることは、その人が自分自身をどう理解するかに関わるとても根っこの問題なんですね。
なので、日本はようやく制度づくりの入り口に立っているところなんですけれども、問われていることは何かというと、子供の知りたいということを本当に権利として保障していくかどうかなんですね。
そこを曖昧にしたままではまた先送りになっているという局面に来ている、そんな国会議論であるという状態だというお話です。
一度去年は廃案になったという背景があるわけですよね。
そうなんです。
何とか今回まとまるといいですけれどもね。
そうですね。
谷口さんに解説していただきました。ありがとうございました。
ありがとうございました。
月曜日のブラッシュアップ、本学者の谷口真由美さんでした。
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