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昨日、『東京新聞』に注目すべき記事が載っていました。
それは、今週の土曜日、7月6日の土曜日に、東京で『リッチランド』というタイトルの映画が公開されるということで、それに関連する特集記事でした。
このリッチランドというのは地名なんですけれども、アメリカの西部、ワシントン州にある都市で、そこは第二次世界大戦中にプルトニウムを生産する工場が作られたところ(の近くの町)で、
そこで生産されたプルトニウムはロスアラモスで原爆を作るのに使われまして、その原爆は長崎に落とされたということになります。
リッチランドは、プルトニウムを作る工場がハンフォードというところにあって、その近くの町で、その工場の労働者などが住んでいた町ということです。
その町をテーマに取材をしてまとめたドキュメンタリー映画ということです。監督はアイリーン・ルスティックさんという方で、女性のドキュメンタリー映画を録っている監督です。
このリッチランドには戦後もずっと核施設で働く人が多く住んで、原子力産業で栄えた町なので、
核兵器などに対しても肯定的な考えが一般的で、例えばリッチランド高校という高校の建物の壁面にはキノコ雲が大きく描かれ、
リッチランドのRの文字が組み合わされたある種のモニュメントのようなデザインが施されていて、日本人の多くはそれに違和感を感じると思います。
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原爆が誇りなんですね、その土地の人たちにとっては。
数年前に日本からリッチランド高校に留学した高校生が、そういうマークなどを見たり、いろんなところで原爆を肯定的に扱っているところを経験して、違和感を感じ、
自分の気持ちを動画にして発表したというニュースもありました。
これも確か『東京新聞』で見たものですけれども。
リッチランド高校というのはその時ちょっと知ったんですけれども。
そういうことで、このリッチランドというところは全面的に原子力産業とか核兵器とかそういうものを肯定的に考えている人ばかりが住んでいるところなのかというと、実はそうでもないということ。
そこには非常に複雑な事情があるんだということをこのドキュメンタリー映画では描いているようです。
その複雑な事情というのは要するに核物質を扱う工場ですから、当然放射性元素によって被曝をするということがあり得るわけですね。
実際そういうことで病気になったり命を落としたりした人たちもいるようです。
また環境は放射能で汚染されていまして、近くの川で獲った魚は食べないことにしているというそういう人もいたりするわけです。
ですので決していいことばかりではなくて、いろんな困ったこともあるようなんですけれども、でもそういったことはなかなか表に出てきにくくて、表に出てくるのは自分たちの町の誇りである核兵器ですかね。
そういったものになっていると。
その辺のところですね、この監督は何らかの立場に加担することなくですね、いろんな声を丁寧に拾い上げて映画に収めているという、そういうことのようです。
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ですので、私は授業でアメリカ人の原爆感について語ることもあるんですけれども、決して一枚岩はではないということを授業では言っていますが、この映画もですね、そういう多面的な見方をする上でとても役に立つ教材になりそうだなというふうに思いまして、
これも、ぜひ見に行きたいなというふうに思っている作品です。
この映画は、ノーラン監督の『オッペンハイマー』のように大々的に日本全国で公開するという、そういう作品では全然なくて、もっともっと小規模な形で公開されるようですので、なかなか見る機会を作るのは難しいかもしれませんが、
もし、お住まいの地域で上映がありましたら、見る価値のある映画ではないかなというふうに思いまして、ここでご紹介することにしました。
私は、学生にもこれを紹介し、また自分ももし見に行けたら、その感想などを学生に話したいなというふうに思っています。
ということで、この映画のご紹介を終わりにしたいと思います。