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2024-07-09 13:46

109 日記 | 映画『リッチランド』を観てきました

Summary

東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開されている映画『リッチランド』は、プルトニウムの生産工場であったハンフォードの労働者とその家族が住む町をテーマにしたドキュメンタリー映画で、多面的な視点で描かれています。

映画『リッチランド』の概要
7月9日火曜日の声日記です。
今日の午後、私は東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムという映画館で、『リッチランド』という映画を見てきました。
この映画は7月6日土曜日からこの映画館で公開され始めたもので、このTanaRadioでも公開前に紹介の配信をしています。
この映画は、長崎に落とされた原爆の材料であるプルトニウムを生産したハンフォードという工場の労働者その家族が住んでいた町リッチランドをテーマにしています。
そこの人々が核というものに対してどう考えているのかということを様々な人にインタビューをし、
またそこで行われている行事その他の映像を交えながら、また歴史的な映像も含めて、多面的に描いている、そういうドキュメンタリー映画になっています。
観る前に新聞あるいは映画のウェブサイトで集めた情報をもとにして思い描いていた映画とほぼ同じ感じでして、
予想通り、この町の、あるいはそこの町に住む人々の考えが多面的に描かれていて、それを見ることができましてとても良かったなというふうに思います。
決して一枚岩ではないアメリカ人の原爆観というものが現れていたと思います。
このルスティックという女性の監督が原爆について何らかのメッセージを伝えようと思って作った、あるいは何かを批判しようと思って作った、そのような映画ではないんですね。
ドキュメンタリーというと割とそういうものが多いんですけれども、この映画はそうなっていません。
原爆を肯定する側、否定する側、両方をですね、あるいはその両方にも入らないような、そういう人々も含めながら、多面的に描くということを目的としていると思います。
そしてこれを見る人にいろいろと考えてほしいという、そういう意図なのかなというふうに思います。
映画『リッチランド』と他の作品との類似点
そういう点で、ノーラン監督の『オッペンハイマー』という映画と似たところがありますね。
オッペンハイマーを何らかの形で裁く、評価する、そういう意図ではなく作られた映画だというふうに監督は言っていましたけれども、
この『リッチランド』もそういう意味で、核に対してアメリカ人が考える上で、とてもいい材料を提供しているように思います。
私が見た印象としては、これも前にTanaRadioで紹介したんですけれども、日本人の劇作家が脚本を書きました『イノセント・ピープル』という演劇があるんですけれども、これと似た感じがしました。
この『イノセント・ピープル』というのは、描いている時代が第二次大戦中から戦後、そして今日に至るまでという長い期間を描いていまして、核開発に携わった当時は若者、その人々が老人になるまでを描いています。
核を最後まで肯定している人もいましたけれども、しかし核に対する考え方、それが変わったと言いましょうか、否定的になった人もいますし、またその子供たちの世代、あるいは孫の世代になりますとまた違った考えを持つ人が出てくるという、
この演劇の中でもアメリカ人がたくさん出てくるんですが、いろんな考えの人が出てきて、いろいろと考えさせられる内容になっています。
それと似た感じがしました。ただ、『イノセント・ピープル』は完全にこれはフィクションとして作られたものですが、『リッチランド』はノンフィクションですね。その違いはありますけれども、でもいろんな立場を表現しているということでは共通点があるかと思います。
ということで、この映画、アメリカ人が原爆について考えるというふうに言いましたけれども、もちろんこれは日本人が原爆とか核の問題を考える上でもとても考えさせられるものになっていますので、決してどこか遠くの国の話というわけではなくて、
自分の身近な問題としても考えられる、そういう題材かと思います。というのも、このハンフォードという、今はもう核の工場としては使われていない、歴史的な施設ということで保存がなされているようですけれども、
そういうところになっていますけれども、でも長年の原爆、核兵器の燃料(原料)の生産のためにですね、その周辺地域はかなり放射能によって汚染されているようです。
それを浄化するというんでしょうか、除染する作業も一定程度なされているようですけれども、しかしそれをすべてきれいにすることは当然できないわけですよね。
その土地をどうするかということが大きな問題になっていますけれども、これは日本で言いますと、福島の原発事故の影響を受けた地域、そこをどうするかということと似たところがありまして、
日本政府もですね、その福島の復興の一つのモデルというんでしょうか、参考にしようということで、ハンフォードのことを考えているようです。
確か研究機関が協力関係を持つような、そういうことも始めたのではないでしょうか。
一旦核によって汚染されてしまったところをどうするかというこの問題は、核を利用している国ではどこでも生じ得る問題でして、日本もですね、その一つに入るわけですよね。
ですので、そういう問題としてもこの映画を観て参考にすることができるかなというふうに思います。
それからもう一つ言っておきたいのは、パンフレットをですね、劇場で売っているんですけれども、800円でしたけれども、このパンフレットがですね、とてもよくできていましたね。
映画の日本語に訳された字幕がほぼ全て収録されているんじゃないでしょうか。
それからその中に出てきた歌や詩などもですね、紹介されていたり、あるいは監督やその他の専門家のインタビューとか論評とかそういうものも載っていますし、
とても参考になるパンフレットになっていると思います。
これは後でゆっくりと読みたいと思うんですけれども、ということで、非常にいい映画だったというふうに思います。
ただこれもですね、一般受けする映画かというと、そういう感じではないですね。
何か映画に面白みを、面白みというんでしょうか、楽しみを見出そうとして行く人にとっては、そんなに面白いというふうに思うような内容ではないかもしれません。
また映画から何か、メッセージというか意味というか、そういうものを期待するような、そういう見方をする人も多分この映画、何が言いたいんだろうというふうに思って悩んでしまう、そのような映画になっているかなというふうに思います。
特にドキュメンタリーといってもですね、この映画の中ではたくさんの詩とか音楽、そういったものが出てきまして、ちょっと普通のドキュメンタリーとは違う感じがしますね。
そういうある種の詩的なものを、うまく取り入れることで、どうしても意見の対立というものが出やすい、ある意味でトゲトゲしやすいテーマをですね、柔らかく表現できているなということで、
これもこの映画の良さかなというふうに思います。
残念なのは、やっぱり地味な映画なので、あまりあちこちで上映しているわけではないということで、
全国で上映されるようですけれども、時期も結構まちまちですし、気をつけてないと見損なってしまうので、もし関心のある方はこの映画のウェブサイトに上映館が出てますので、チェックしていただけるといいかと思います。
ということで、今日の声日記、これで終わりにします。
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