当日収録音声をそのまま解析したもの
サマリー
NPO法人SETの三井俊介氏は、東日本大震災を契機に地域支援の活動を始め、地域の魅力を再発見するための老若交流の重要性を強調します。地域の課題解決を目指さず、人々のつながりを育むことで新しい価値観の創造を目指すアプローチについて語ります。NPO法人SETの三井俊介氏とのインタビューでは、活動の持続可能性やIT技術の活用が議論され、特に生成AIによる業務効率化が焦点となります。また、震災から15年を迎える節目に、これまでの活動を記録し社会に発信する計画についても触れられます。
NPO法人SETの設立と活動
こんにちは。 今回はですね、あなたから共有いただいたインタビュー記録を一緒に紐解いていきたいと思います。
東日本大震災をきっかけに岩手県の陸前高田市で活動されているNPO法人SET、こちらの三井俊介さんのお話ですね。
記録配読しました。 三井 ええ、こんにちは。私も読ませていただきました。非常に詩作に伴う内容でしたね。
三井 そうですよね。都市部の若者と地域の方々を結びつけることで、一体何が生まれるのか。
それから人口が減っていくこれからの社会で、豊かさっていうのをどう見出していくか。なんかそのヒントが詰まっているように感じました。
三井 ええ、そうですね。 三井 早速ですが、この記録から見えてきたことを一緒に探っていきましょうか。
三井 はい、お願いします。これは単なる活動報告っていうだけじゃなくてですね、日本の多くの地域が抱えている課題にどう向き合うかとか、
あとは人と人との繋がりが持つ力、これ結構見過ごされがちですけど、その辺りを深く考えさせられますね。
きっとあなた自身の日常とか、周りのコミュニティを考える上でも何か響く部分があるんじゃないでしょうか。
三井 まず、あの活動の原点、ここが何というか非常にドラマチックですよね。
三井 さんは大学3年生だった2011年、東日本大震災のわずか2日後には、もう仲間と団体を立ち上げて支援に動き出した。
三井 その行動力すごいですよね。しかも記録を読むと最初は本当に手探りだったみたいで、まずは物資支援から始めて、
三井 で、知人のツテを頼って4月の初旬にはもう現地に入られていたということですね。
三井 そうなんですよね。大学に通いながら月1回ぐらいのペースで現地でのボランティアを続けていく中で、
ある運命的な言葉に出会うわけですね。地元の方からの、震災があってもなくてもこの町は50年後なくなるかもしれない。
でも、震災をチャンスに変えて、町を残す必要があるんだっていうこの言葉、っていう現実が迫っていた。
宮田 普通ならもう、なんていうか、絶望してもおかしくない状況だと思うんですけど、そこで外から来た若い人の存在をチャンスと捉えて、未来に向けた行動を促したと、
この言葉が三井さんをグッと突き動かしたんですね。
三井 まさにそうだと思います。この言葉が決定だとなって、大学卒業と同時に陸前高田へ移住する。
そしてNPO法人、つまり非営利で社会的な活動を行う組織としてセットの活動を本格化させていくと。
単なる一時的な支援じゃなくて、もう人生をかけて地域に入っていくっていう決断、これはすごいことですよね。
地域の交流と課題解決
宮田 へえ、本当に。その活動内容がまた興味深いんですよ。記録を読んでいると、セットのミッションの中心というのは、何か特定の課題解決、例えば空き家問題を解決するぞ、とか、この産業を立て直す、みたいな、そういう具体的なゴール設定とはちょっと違うんですよね。
そうなんです。活動の中心はあくまで地域の方々、特に年配の方と都会から来る若者との交流の場を作ること。地元の方はその若者をもてなしたりする中で、地域の魅力とか自分たちの暮らしの価値を再発見する。
一方で、若者は普段なかなか触れることのない田舎の暮らしとか人の暖かさ、そういうものに触れて自分自身の価値観とか豊かさについて考え直すきっかけを得ると。
宮田 ここが一つ非常に重要なポイントかなと思いますね。三井さんが記録の中でも強調していたのは、課題解決に直接取り組むというよりも、地域の課題に取り組みたいと思う人を増やすこと。ここに焦点を当てている点ですね。これ一見するとちょっと遠回りに見えるかもしれないですけど、実はすごく本質的なアプローチなんじゃないかなと。
課題解決に取り組む人を増やす。なるほど、それは面白い視点ですね。つまり、解決策そのものを外部からポンと提供するんじゃなくて、地域の内側にも外側にも課題を自分ごととして捉えて行動を起こしてくれる人を育てていく、そういうことですか。
まさにその通りだと思います。交流を通じて地域住民の方も外からの若者もお互いに刺激を受けて、当事者意識みたいなものが芽生えてくる。それが結果的に最近よく言われる関係人口、つまり定住はしないけれども地域と継続的に関わってくれる人たちですね。
そういう人たちの増加とか、あるいは若者の移住、さらには住民自身による新しい事業の創出、そういうところにつながっている。記録にも実際に交流の中から新しいプロジェクトが生まれたとか、これまで地域活動にはちょっと消極的だった住民の方が主体的に動き出した、みたいな例がいくつか挙げられていましたよね。
うーん、これ例えばあなたの周りでも何か新しいことを始めたいなぁと思っても人が足りないなぁとか、あるいは関心を持ってくれる人が少ないなぁみたいな状況ってあったりしませんか。このまず人からっていうアプローチはそういう状況をもしかしたら打開するヒントになるかもしれないですね。
そうですね。そしてもう一つ記録の中で非常にこう示唆に富む指摘があったんです。それが東日本の沿岸部っていうのは日本の課題の先進地なんだっていう言葉です。
課題の先進地、あーつまり日本全体がこれから直面するであろう人口減少とか超高齢化みたいな問題がこの地域ではいわば50年早くよりギュッと凝縮された形で現れている、そういうことですね。
ええ、その通りです。だからこそここでの試行錯誤、取り組みというのは単なる被災地の復興っていう話に留まらない。日本の未来、あるいはもしかしたら他の先進国がこれから経験するかもしれない社会の変化に対するある種の横円周というか。
なるほど。
そこで得られる知見というのは他の地域の未来の処方箋になり得るんじゃないか。この視点はすごく重要だと思います。
記録の中では横浜のような大都市部でも例えば交通の便が悪くて高齢化が進んでいる郊外なんかは、実は地方の小さな村と似たようなコミュニティの課題を抱え始めてるんだっていう具体的な指摘もありましたね。都市部に住んでいても案外その多様な人との出会いとかつながりみたいなものが希薄になっている場所もあるんだなと。
まさにそうなんですよ。だから地方での取り組みが巡り巡って都市部の未来を考えるヒントにもなり得る。そしてこの文脈で考えると、瀬戸が掲げている人口が減るからこそ豊かになる人づくり、街づくり、社会づくりっていう目標、これが一層深く響いてくるんですよね。
いやーこれは本当に画期的な考え方ですよね。一昔前だったらもう人口減少イコール悪だ。とにかく増やさないと、みたいなそういう考え方が主流だったと思うんですけど、そうじゃなくて人口が急激に減っていくっていうその現実はもう受け入れた上で、じゃあその変化に対応できる社会の仕組みとか人々の意識価値観をどう作っていくかっていうそっちの方向に恥を切っている?
そうですね。記録によれば三井さんがこの考え方を提唱し始めたのが2014年とか15年頃。その頃はまだ社会全体としては人口減少イコールネガティブなものっていう見方がやっぱり強かったそうです。
うーん。
でもこの10年ぐらいでようやく社会の認識も少しずつ変わってきたかなと。そういう実感があるみたいですね。
人口が減ること自体を問題視するんじゃなくて、その変化のスピードに社会のシステムとか人々の価値観が追いついていないことそっちが問題なんだっていう捉え方。これはあなたにとってもこれからの社会の変化を読み解く上で一つ重要な視点を提供してくれるんじゃないでしょうか。
特に記録の中で三井さんが触れていた人口2000人とか3000人といった規模のいわゆる中間・新間地域みたいな小規模な集落でどうやって持続可能なコミュニティを維持していくのか。これは本当に難しい問題でまだ明確な答えは出ていないとも語っていました。
セットの取り組みもその壮大な問いに対する一つの挑戦と言えるのかもしれませんね。
では具体的にセットはその活動の成果、彼らの言葉でいうところのグッドなチェンジをどのように捉えて図っているんでしょうか。これも興味深い点でした。
活動の継続と課題
はい。一つはやはり定量的なアプローチですね。大学と連携して地域住民のソーシャルキャピタル、つまり人々のつながりとか信頼関係の度合い、これを調査して数値化しているそうです。
あーソーシャルキャピタル。
はい。あとプログラムに参加した若者の自己肯定感がどう変化したかとかそういう心理的な効果も測定していると。記録には実際にソーシャルキャピタルが向上したり若者の自己肯定感が高まったりするデータが出ているというふうに書かれてましたね。
目に見えにくいその交流の価値を客観的なデータで示そうとされているわけですね。
でもそれだけじゃないんですよね。
ええ、もちろんです。数値化できるものだけじゃなくてもっと具体的な質的な変化というのも重視しています。
例えばさっきもちょっと触れましたけど地域住民の方が自ら新しいプロジェクトを立ち上げたりとか、あるいはこれまで地域の集まりとかにあまり出てこなかったような人が顔を出すようになったり、
それからプログラムに参加した若者が実際に陸前高田に移住して新しい活動を始めたりとか、こういう一つ一つの具体的な出来事こそが活動の意義を示すグッドなチェンジなんだとそういうふうに捉えているようです。
三井さん自身の移住当初の体験談もその変化を象徴していて面白かったですよね。都会では当たり前のように使っていたWordとかExcel、それが陸前高田に来た当初は君パソコンできるんだって、それだけで専門スキルみたいにすごく頼りにされたって。
ありましたね。記録だとプログラミングができるとか、そういう高度なレベルじゃなくて、本当に基本的なタイピングとかソフトの操作ができる、それだけですごいって認識されたことに衝撃を受けたと語っていましたね。
これなんかは自分の持っているスキルとか価値っていうのは絶対的なものじゃなくて、置かれた環境とか周りにいる人たちの関係性の中で相対的に決まるんだなっていうことを示すいい例ですよね。
まさに発見ですよね。都会での当たり前が場所を変えれば特別な強にになることもあると。逆もまた去りなんでしょうけど。
そうなんです。セットの活動の革新っていうのはまさにこの出会いにあると言えるんじゃないでしょうか。普段の生活では決して交わることのないであろう人々。記録でも指摘されてましたけど、例えば田舎の高齢者の方々とその多くが大都市圏で育って、田舎の実体験が少ない都会の若者たち。
そういう人たちが出会う。そのことでお互いの持っていた固定観念みたいなものが揺さぶられて、刺激を受けて新しい気づきとか視点、そして行動が生まれる。セットはその科学反論を意図的に起こす触媒みたいな役割を果たしていると言えるんじゃないでしょうか。
ただ、その素晴らしい活動の一方で、やはり継続していく上での課題もあるというふうに記録にはありました。特に資金面での課題、これは大きいみたいですね。
具体的に挙げられていたのが、若者が地域で活動しやすくするために用意しているシェアカーとかシェアハウス、こういうインフラの維持し、これがNPUの経営をかなり圧迫しているとそういう話でした。
ああ、なるほど。若者がたくさん来る時期もあれば、少ない時期もある。でも、車とか家は常に維持管理しないといけない。特に車なんかは消耗品ですし、車検とか保険、故障したら修理もいるし、維持費がかさみますよね。
NPO法人SETの持続可能性
でも、それがないと若者の活動範囲がすごく制限されちゃう。このジレンマは活動の規模が大きくなればなるほど深刻になりそうですよね。
まさに、このインフラの維持費が本来であれば、事業そのものの改善とか、あるいは活動を支えているスタッフの待遇改善とかに使うべき収益をちょっと食ってしまっている状況だと。これは地域で活動する多くのNPOとか、あるいは小規模な事業にとっても共通する結構根深い課題だと思いますね。
セットとしては、このインフラ部分にかかるコストはできるだけ寄付。具体的には個人の方からのマンスリーサポーター制度とか、企業からの寄付で賄って、交流事業とかで得た収益はちゃんと事業の質を高めるためとか、スタッフの方が安心して働き続けられるような環境整備に再投資できるような形を目指したい、というふうに語っていましたね。記録によれば、月々500円から支援できるサポーター制度があるそうです。
持続可能な運営体制をどうやって作っていくか。これは活動の価値を広めていく上では避けて通れない道ですね。
あともう一つ、現代的な課題として、IT、特に生成AIの活用についてはどう考えてらっしゃるんでしょうか。
これについてはですね、まだ本格的な導入というよりは、まずは内部の業務効率化から、という段階のようでしたね。
NPOの活動って、どうしても人と向き合うアナログな部分が重要になる一方で、報告書を作ったりとか、事務作業とか、結構非効率になりがちな業務も多いじゃないですか。
ええ、ありますね。
そういう部分を、例えばチャットGPTみたいな生成AIで効率化できれば、より多くの時間を、本来力を入れるべき対人コミュニケーションとか、新しい企画を考えるみたいなところに使えるんじゃないかと、そういうふうに考えているようです。
活動に集中できるようにするっていう方向性なんですね。
ええ、そうですね。そして今後の展望として、来年、2026年ですね。これが震災、そしてセットの活動開始から15年という一つの節目にあたるそうです。
これまでの活動の軌跡、成功体験だけじゃなくて、失敗とか試行錯誤も含めて、それをきちんと記録して、言語化して、社会に広く発信していくことを計画していると。
ああ、それは重要ですね。災害支援から始まった団体が、どのようにして地域づくりへと軸足を移していって、どんな壁にぶつかって、それをどう乗り越えようとしてきたのか。
記録の中でも、災害支援から地域づくりに移行して、今も活動を続けている団体っていうのは、実はそんなに多くない。だからこそ、その経験をきちんと形に残すのは、活動してきた者の責任でもあるという言葉があって、非常に重みを感じました。
生成AIの活用と活動の記録
うーん、そうですね。その記録は、他の地域で同じような活動を目指している人たちにとっても、非常に貴重な学びになるでしょうね。
さて、ここまでNPO法人セットの三井さんへのインタビュー記録を一緒に読み解いてきましたが、いかがでしたか。都市と地方、若者と高齢者という、異なる世界をつなぐ交流を職場としながら、人口減少という大きな社会の変化の中で、新しい豊かさの形を模索する、本当に力強い実践の記録だったなと思います。
ええ、本当にそうですね。課題の先進地からの学び、それから変化を定量的な面と定性的な面、両方から捉える視点、そして活動を続ける上での非常にリアルな課題と未来への意思、多くの示唆に富んでいました。
特に、課題解決に取り組む人を増やすというアプローチは、いろいろな場面で応用できる考え方かもしれないですね。
そうですね。もしセットの活動にさらに興味を持たれたなら、ホームページとか、Facebook、インスタグラムなんかで情報発信をされているそうです。
先ほど話に出た、月々500円からのマンスリーサポーター制度もありますし、あと何よりも三井さんは記録の中で、ぜひ一度現地に来てみてほしいと繰り返し語っていましたね。
復興のそのハード面、建物とかは進んだけど、人手不足とかソフト面の課題はまだまだ続いていると。
だからこそ、今の陸前高田を訪れて、そこにいる人たちの話を聞くことに意味があるんだというふうにおっしゃってました。
そうですね。そして最後に、この記録全開を通して、あなた自身にこう投げかけられている問いがあるように感じました。
三井さんも語っていましたけど、都会が良いとか悪いとか、田舎が良いとか悪いとか、そういう二元論ではないんですよね。
それぞれに違う価値があって、違う環境があって、合う合わないはもう人それぞれなんだと。
でも、じゃあ自分にとって何が合うのか、何を豊かだと感じるのか。
それを知るためには、もしかしたら今いる場所とか慣れた環境からちょっとだけ踏み出して、違う景色を見てみること、違う価値観に触れてみること、それが必要なのかもしれないですね。
記録の最後の方で三井さんが語っていた言葉が印象的でしたね。
社会課題の解決がどうこうというよりも、まずは一人一人が自分にとって豊かな生き方ができる社会になればいい。
そのために今自分たちは活動しているんだと。
あなたにとっての豊かな生き方とはどんなものでしょうか。
そしてそのヒントは案外今の日常から一歩踏み出した先にあるのかもしれないですね。
そんなことを考える一つのきっかけになる記録だったように思います。
18:11
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