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ノオト・ブク子
- 校舎のような重いテーマも、等身大で語るとか、日常サイズから始めるっていう姿勢を大事にされていると。
ノオト・ブク太郎
- そうですね。特に戦争を知らない世代がどう向き合うかっていう難しい課題に対して、無理に大きなことを語るんじゃなくて、自分の言葉で自分の感覚から話せればを提供しようっていう。
ノオト・ブク子
- なるほど。
ノオト・ブク太郎
- だからこそ、モヤモヤが吸収されるみたいな、そういうリスナーの感想にもつながってるのかなと。
ノオト・ブク子
- その対話の場作り自体がすごく重要なんですね。その対話メソッドの源流にあるのが、ほんのれんっていうサービスだと。これは具体的にはどういうものなんでしょう?
ノオト・ブク太郎
- はい。これはですね、丸善上松堂さんと編集工学研究所さんが共同で開発されたサービスで、もともとは企業とか自治体、学校みたいに何かしら組織課外を抱えているところを対象にしているんですね。
その目的はシンプルで、場に対話を生んで、新しい価値づくりにつなげることなんです。
ノオト・ブク子
- 手法としては、契約者に毎月問いに関連する本が届いて、さらに一乗サイズもテーブル型本棚、これも提供されるんですか?
ノオト・ブク太郎
- そうなんです。その物理的な場としての本棚と、問い、そして本、この3つが揃うことで自然と人が集まって、読書対話が促される、そういう設計なんですね。
ノオト・ブク子
- へえ、面白いですね。本棚がきっかけになるっていうのは。
ノオト・ブク太郎
- ええ。そしてここが結構ポイントなんですけど、この対話は本の内容を深く議論するっていうよりは、むしろ本の力を借りて、普段の自分だけでは出てこない言葉とか思考を引き出すことに重きを置いてるんです。
ノオト・ブク子
- ああ、なるほど。
ノオト・ブク太郎
- 他の人の考えに触発されて、自分の内側から新しい発見が生まれる、そのプロセス自体が価値なんだと。
ノオト・ブク子
- 組織向けのサービスが原点だったのに、なぜ一般のリスナーが多いポッドキャストを始められたんでしょうね。サービス紹介ならもっと直接的な方法もありそうなのに。
ノオト・ブク太郎
- ああ、そこがすごく面白いところで、やっぱり本を読みながら対話するっていう価値が、言葉だけだと非常に伝わりにくいっていうのが大きな理由みたいです。
ノオト・ブク子
- 抽象的な概念を説明するよりも、実際の対話の、なんていうか、空気感とかプロセスそのものをポッドキャストで届けることで、ああ、こういうことかってリスナーに体感してもらう。
ノオト・ブク太郎
- なるほど。いばば、サービスのデモンストレーションであり、コンセプトのショーケースみたいな役割?
ノオト・ブク子
- まさにそういうことですね。
- 百聞は一見にしかず、ですね。実際の対話の面白さとか深さが伝われば、コンセプトも自然と理解されるだろうと。
- ええ。では、ほんのれんサービス、具体的にはどんな場面で力を発揮しているんでしょうか?
ノオト・ブク太郎
- 資料を見ると、まず企業での活用事例が挙げられてますね。社内コミュニケーションの活性化、特にコロナ禍を経てオフィスの意味が問い直される中で、そのリアルな場での対話を生む仕掛けとして導入されているケースが多いようです。
ノオト・ブク子
- ああ、それは分かりますね。リモートが増えたからこそ、集まる場の価値を高めたいっていうニーズは確かに高まってますよね。
ノオト・ブク太郎
- ええ。社員同士の関係性を深める触媒になっていると。
ノオト・ブク子
- 一方で自治体での活用も広がっているみたいですね。
ノオト・ブク太郎
- はい。既存施設の活性化に加えて、新しい公共施設を作る際に、ここで何をしたいかとか、どんな場所にしたいかを市民と一緒に考えるまちづくりワークショップ。ここでこの読書対話が活用されているっていう例はちょっと面白いなと思いました。
ノオト・ブク子
- へえ。立場とか背景が違う市民同士がいきなりまちづくりを語るのは、まあ難しいですけど、
- 本っていう共通の話題、それもこう押し付けがましくない形で提供されることで、対話のハードルがぐっと下がるっていうことなんでしょうかね。
ノオト・ブク太郎
- そう考えられますね。そういう場では設定される問いも工夫されているようです。
- 例えば、「好きって何?」みたいなすごくパーソナルな問いから対話を始めて、そこから見えてきた価値観をその施設のコンセプトにつなげていくみたいな使い方だそうです。
ノオト・ブク子
- なるほど。面白いアプローチですね。他にも対象に合わせて、「本当の自分って何だろう?高校生向け。」とか、「働くって何だ?大学生社会人向け。」とかテーマは本当にいろいろあるみたいです。
ノオト・ブク太郎
- 大人って何?とかお金って何だろう?とか結構根源的な問いもありますね。
ノオト・ブク子
- 資料の中で特に人気が高いとされているのが、AI時代の子供力って何だろう?っていう問いですね。
ノオト・ブク太郎
- ああ、はいはい。
ノオト・ブク子
- これは単に子育て世代だけじゃなくて、変化の激しい時代を生きる多くの大人にとっても、自分自身の在り方を見つめ直すきっかけになっているみたいです。
ノオト・ブク太郎
- そうでしょうね。AIにはない人間ならではの驚く力とか、惹かれる力みたいなものを大人も再発見する必要があるんじゃないかっていうそういう文脈でしょうね。
ノオト・ブク子
- その通りだと思います。単なる子育て論にとどまらず、これからの社会で人間がどう価値を発揮していくかっていう、もっと普遍的な問いにつながっているからこそ、多くの人の関心を引くんでしょうね。
ノオト・ブク太郎
- ええ。
ノオト・ブク子
- では、ポッドキャストのリスナーからは具体的にどんな声が届いてるんでしょうか?
ノオト・ブク太郎
- 一番多いのは、「久しぶりに本を読みたくなりました。」っていう声だそうです。
ノオト・ブク子
- ああ、それは作り手としては嬉しい反応ですよね。
ノオト・ブク太郎
- 本当にそうですね。通勤時間とかに気軽に聞けるポッドキャストが、普段なかなか読書から遠ざかっている人の、読みたいっていう気持ちを刺激してるんでしょうね。
誰かが楽しそうに本について話しているのを聞いていると、自分も読んでみようかなって思うっていう。
ノオト・ブク子
- ポッドキャストを聞くこと自体が、ある種の疑似的な読書体験とか対話体験の入り口になってるんですね。
ノオト・ブク太郎
- そう言えると思います。そしてもう一つ興味深いのが、自分一人では手に取らないような本にグループ対話を通して簡単に出会えるっていうメリットを感じている人がいる点です。
ノオト・ブク子
- ああ、なるほど。
ノオト・ブク太郎
- これは、多様な視点に触れることで自分の思考が豊かになるっていう、まさに読書対話ならではの価値を示してますよね。
ノオト・ブク子
- ここでその読書対話の方法論について、もう少し掘り下げてみたいです。
- 資料には、本を制読するんじゃなくて、道具として使うんだっていう点が強調されてますけど、これはかなりユニークですよね。
ノオト・ブク太郎
- まさにここがほんのれんの独自性であり、まあ革新的な部分かもしれませんね。
ワークショップでは、本を読む時間がすごく短い、例えば10分程度なんてこともあるらしいです。
ノオト・ブク子
- 10分ですか?
ノオト・ブク太郎
- ええ、さらに瞬間ノートっていうオリジナルの冊子があって、これには厳選された本の紹介文とか印象的な一節なんかがまとめられてるんですね。
- へえ。
- なので、極端な話、参加者は本そのものを読んでなくても、この冊子の言葉を手がかりにして対話を始めることができるんです。
- ということは、本のその内容を正確に理解したり、批評したりすることが目的ではないと。
- そうなんです。本から受けた刺激を元にして、自分が何を考え、何を感じたかを話すことが中心になる。
参加者自身が主役で、本はあくまでその触媒に過ぎないっていう考え方ですね。
ノオト・ブク子
- なるほど。
ファシナイティングなことは、このアプローチがあるからこそ、読書はちょっと苦手だなとか、ちゃんと読まなきゃってプレッシャーを感じるっていう人でも、気軽に対話の輪に入れるわけですね。
ノオト・ブク太郎
- ええ、その通りです。物語の革新、いわゆるネタボレに触れなくても、テーマとか自分の反応について話せるので、参加のハードルが劇的に下がるんですよ。
- ふーん。
- これは、本についての対話っていう概念を、かなり大きく広げる試みと言えるんじゃないでしょうか。
ノオト・ブク子
- 本を読むことから、本を使うことへのシフト。これが、より多くの人に対話の扉を開いていると、非常に面白いです。
- ええ。
- では、これからの課題とか、展望についてはどうでしょうか。
ノオト・ブク太郎
- やはり一番大きな課題として挙げられているのは、認知度だそうです。
ノオト・ブク子
- ああ、やっぱりそこですか。
ノオト・ブク太郎
- ええ、そうした変化もより多くのつながりを生み出そうという意図の現れでしょうね。
ノオト・ブク子
- では最後に、この探究を通じて、ほんのれんラジオやほんのれんに興味を持ったあなたが次に何をすればいいか、ちょっと情報整理しておきましょうか。
ノオト・ブク太郎
- はい。まずはやはりほんのれんラジオを聞いてみるのが一番いいでしょうね。
Apple Podcasts、Spotify、Amazon Music、YouTubeなど主要なプラットフォームで配信されています。
ノオト・ブク子
- 週2回、水曜と土曜に更新で、すでに170以上のエピソードがあるそうですから、たくさんありますね。
ノオト・ブク太郎
- ええ、なので気になるテーマとかタイトルから気軽に試してみるのが良さそうです。
ノオト・ブク子
- 各エピソードのカバーアートも、イラストレーターの須山夏希さん、デザイナーのみどりさんが手掛けていて、テーマを反映したビジュアルも魅力の一つだと聞きました。
ノオト・ブク太郎
- そうですね。さらに詳しい情報、特にイベント告知なんかは、NoteとかX、旧Twitterで発信されています。
ノオト・ブク子
- Xではリスナーに問いを投げかけて、集まった声を本編で紹介する、みたいな双方向の試みもされているとか。
ノオト・ブク太郎
- ええ、ですからフォローしてみるのも面白いかもしれませんね。
ノオト・ブク子
- イベント出展時には瞬間ノートの実物展示とか販売もあるそうなので、リアルな接点を探してみるのも良いですね。
- そうですね。
- そして、もし企業や自治体などで、ほんのれんサービスそのものに関心を持たれた場合は、ウェブサイトなどから直接問い合わせてみるのが確実でしょう。
サービス内容も柔軟になっているとのことですから。
さて、今回の探求を通して、読書対話が単なる読書促進とかコミュニケーションスキル向上っていうのを超えて、本という外部の刺激を触媒にして、
自分や他者との間に予期せぬ発見とか深い繋がりを持っているということが見えてきましたね。
ノオト・ブク太郎
- 本当にそう思います。一冊の本、あるいはその本の一欠片がこれほど豊かな対話の扉を開くっていうのは驚きですし、大きな可能性を感じさせますよね。
ノオト・ブク子
- 本当ですね。普段私たちが読むっていう行為に抱いている、ちょっと固定観念みたいなものが少し揺さぶられるような感覚です。
ノオト・ブク太郎
- 本が持つこの触媒としての力っていうのは、もしかしたら他のいろいろな場面にも応用できるかもしれないですよね。
ノオト・ブク子
- ああ、確かに。何かをきっかけにして、普段は表に出てこないような思考とか感情、あるいは人との新しい関係性が引き出されるっていう。
ノオト・ブク太郎
- そう考えると、私たちの日常にもまだ気づいていない対話のきっかけ、対話の種みたいなものが眠っているのかもしれないですね。
- そこで、最後にあなた自身に考えてみてほしい問いがあります。
ノオト・ブク子
- はい。
ノオト・ブク太郎
- もし、本のひとかけらがこれほど豊かな対話の種になり得るのだとしたら、あなたの身の回りにある、まだ光を当てられていない対話の種は何でしょうか。
日常のどんな物事やふとした言葉が、あなたや誰かにとって思いがけない発見や深い思考への入り口になる可能性がありますか。
ノオト・ブク子
- ぜひ、この問いを心の片隅に置いてみてください。今回の探究はここまでです。