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今どきのゲーマーから見たCERO:サイバーパンク2077日本語版の表現規制発表
2026-10-09 18:48

今どきのゲーマーから見たCERO:サイバーパンク2077日本語版の表現規制発表

CD PROJEKT REDは、PS4およびXbox One版「サイバーパンク2077」の日本語版において、CEROの規制基準に合わせた表現の変更を実施することを発表した。この調整により、作中の男性や女性キャラクターの裸体、およびプレイヤーのキャラクタークリエイト時の見た目が下着を着用した状態に変更される。さらに、退廃的な雰囲気を伝えるための街中の性的描写や落書きについても、単なる隠し方ではなくゲームの世界観に合わせて一部が破損したような表現へと修正される。また、人間の体の一部が離断するような過激な暴力描写についても、海外版とは異なり切断面を黒く塗りつぶすなどの調整が加えられる予定である。

CEROレーティング制度および国内ゲーム表現規制に関する分析ブリーフィング

エグゼクティブ・サマリー

本文書は、日本国内における家庭用ゲームソフトの年齢別レーティング機関である「CERO(特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構)」の仕組み、設立背景、審査基準、ならびに「CERO Z(18才以上のみ対象)」区分における表現規制や具体的な作品事例について総合的に取りまとめたブリーフィング文書である。

  • CEROの目的と背景: 2002年に設立されたCEROは、表現の自由を尊重しつつ、社会の倫理水準に適合したゲームソフトの供給と青少年の健全育成を目的に設立された。自治体等による法的・一律的な規制や有害図書指定を回避し、ゲーム業界が自主的な倫理管理能力を社会に示す役割を果たしている。
  • 区分体系の改定: 2006年3月1日の改定以降、年齢区分マークは「A(全年齢対象)」「B(12才以上対象)」「C(15才以上対象)」「D(17才以上対象)」「Z(18才以上のみ対象)」の5種類で構成されている(改定前は「全年齢」「12」「15」「18」の数字表記)。
  • 「CERO Z」における禁止表現: 「CERO Z」は18才未満への販売・頒布を行わないことを前提としているが、表現が無制限になるわけではない。家庭用ゲームの視聴環境の不確定性、犯罪教唆・思想扇動リスクの防止、さらには人種・性別・障害等に対する「不当な差別的表現(倫理規定第7条)」を厳格に排除するための禁止事項が設定されている。
  • 表現規制の具体例: 『サイバーパンク 2077』日本語版(PS4/Xbox One)では、CERO基準に基づき、主人公およびNPCの裸体に対する下着着用処理、性的オブジェクトの破損風描写への変更、分離欠損部位の切断面黒塗りといった修正が施された。
  • 社会的影響と流通・店舗の動向: CERO自体は直接の販売禁止権限を持たないが、CESA(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)や自治体条例(静岡県での有害図書類認定、神奈川県での販売規制努力義務など)と連動している。また、家電量販店のノジマのように、店頭での「CERO Z」ソフト取り扱いを全面中止する動きも現れている。

1. CEROレーティング制度の概要と設立背景

1.1 CEROの定義と目的

CERO(Computer Entertainment Rating Organization)は、特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構の略称であり、2002年10月1日より家庭用ゲームソフトの表現内容審査および年齢別レーティングの表示を開始した。

CERO倫理規定第1条に定められた設立目的は以下の通りである。

第1条(目的) 特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構は、コンピュータエンターテインメント文化の健全な発展のため、表現の自由を最大限に尊重し、且つ、社会の要求する倫理水準に適合する家庭用ゲームソフトの開発、公表、販売が確保されることを目途とし、家庭用ゲームソフトに関し、社会の要求する倫理水準に照らして適正か否かを審査し、適正と判断されたものについて該当区分に分類し、「年齢別レーティング区分」を行うこととし、当該審査に当たっての基準、その他関連事項を規定するものとして、本CERO倫理規定を定める。

CEROは主に以下の事業を行っている。

  • ゲームソフト審査事業および審査員の募集・研修・育成
  • ゲームソフト環境の調査・研究、審査システムの改善・拡充
  • 年齢別レーティング制度の普及啓発
  • 国内外の関連団体との交流協力

1.2 制度発足の歴史的必要性

家庭用ゲーム機のハードウェア性能向上に伴い、リアルな表現が可能となったことで、青少年の育成や社会風俗に与える悪影響への懸念が強まった。地方自治体からの指摘や有害図書指定の議論が急速に拡大した際、業界側が自律的な対応を行わなければ、行政による法規制や人気タイトルの販売禁止処分が下され、日本のゲーム産業の競争力が著しく阻害される恐れがあった。

ゲーム業界は自治体と協議を重ねつつ、自ら倫理基準を設けて審査するCEROを設立した。これにより、「ゲーム業界は倫理的問題に対して自ら対処できる」旨を社会に証明し、一律的な公的規制の回避に成功した。

2. 年齢別レーティング区分と表示システム

2.1 年齢区分マークの種類と基準

2006年3月1日の基準改定以降、表示されるレーティングマークは以下の5種類に分類される。パッケージの表面左下および背表紙(帯色付き)に表記される。

レーティングマークアルファベット帯色判定基準
全年齢対象A黒年齢区別対象となる表現内容が含まれていないため全年齢対象
12才以上対象B緑12歳以上を対象とする表現内容が含まれている
15才以上対象C青15歳以上を対象とする表現内容が含まれている
17才以上対象D橙17歳以上を対象とする表現内容が含まれている
18才以上のみ対象Z赤18歳以上のみを対象とする表現内容が含まれている(18才未満者へ販売・頒布しない前提)

※2006年3月1日の改定前は、アルファベットではなく「全年齢」「12」「15」「18」という数字・文字表記が用いられていた。

2.2 その他の識別マーク

年齢別区分のほか、用途に応じて以下のマークが使用される。

マーク種類概要・表示条件
教育・データベース教育用ソフトやデータベースソフト(お絵描きソフト等)に表示される
規定適合製品化前の体験版等において、禁止表現がないことが確認された場合に表示される(正式審査後にA〜Zへ移行)
審査予定制作中のソフトをメーカーがプロモーションする際、販促物等に表示される(審査未実施の状態)

2.3 コンテンツアイコン(表示根拠)

レーティング判定の根拠となった表現項目を示すため、パッケージ裏面に「コンテンツアイコン」が表示される。種類は以下の9項目である。

  • 恋愛
  • セクシャル
  • 暴力
  • 恐怖
  • 飲酒・喫煙
  • ギャンブル
  • 犯罪
  • 麻薬等薬物
  • 言葉・その他

2.4 審査手順と審査員の構成

  1. 依頼: ソフトウェアメーカーがCEROへ倫理審査を依頼する。
  2. 審査: 複数名の審査員がゲーム内の表現内容をチェックする。審査員は一般から募集された20歳〜60歳の男女であり、ゲーム業界と利害関係のない第三者が選出され、事前トレーニングを受けている。
  3. 判定: 審査結果に基づき年齢区分が判定され、メーカーに通知される。
  4. 表示: メーカーは判定されたマークをパッケージに印字して販売する。

対象プラットフォームは、PlayStation各世代(PS1〜PS5、PSP、Vita)、任天堂各世代(Switch、Wii U、3DSなど)、Xbox各世代、PC(Windows/Mac)、スマートフォンOS(iOS/Android)、クラウドゲームサービス、過去ハード(ドリームキャスト、ワンダースワン等)まで網羅している。

3. CERO Zにおける禁止表現の存在理由と審査基準

3.1 「18才以上のみ対象(CERO Z)」に禁止事項が存在する理由

「対象を18才以上に限定しているにもかかわらず、なぜゲーム内容に規制・禁止事項が存在するのか」という疑問に対し、CEROの理念および専門家(石田賀津男氏等)は以下の理由を挙げている。

  1. 家庭用ゲームの閲覧性・影響力: 18才以上向けとして販売されても、購入後の家庭内で誰が閲覧・プレイするかを完全にコントロールすることはできない。制約を撤廃して無制限とした場合、自治体や社会からの過度な反発を招き、ゲーム産業全体が悪者とみなされるリスクがある。
  2. 全メディア共通の倫理観: テレビ、映画、書籍等のあらゆる商用メディアにおいても、年齢制限と並行してモザイク処理や放送倫理等の倫理規定が存在する。
  3. 技術進化に伴うフィクションの危険性: グラフィックの高度化やAI技術の発達により、実写と見誤る描写が可能となっている。映像の悪用や切り抜きにより、犯罪教唆、政治的扇動、思想的植え付けの道具としてゲームが利用されるリスクを防止する必要がある。

3.2 不当な差別表現の禁止(倫理規定第7条)

CERO審査において特に厳格に適用されるのが、差別や中傷に関する禁止規定である。

第7条(禁止表現)

  1. 別表3に定める禁止表現は、これを家庭用ゲームソフトに用いてはならない。
  2. 不当な差別表現は、これを家庭用ゲームソフトに用いてはならない。不当な差別表現は、これに限られるものではないが、以下を含むものとする。 (i) 人種・信条・性別・職業・宗教・境遇・心身的条件・生活状態などによる不当な差別的表現 (ii) 老人・幼児・身体障害者・精神障害者等の社会的に弱者に当たる人への不当な差別的表現 (iii) 個人・法人及び団体をみだりに誹謗・中傷し、その名誉、尊厳を害する表現

3.3 審査対象となる主な過激表現項目

表現項目具体的対象内容
性表現キス、抱擁、下着露出、性行為、裸体、性想起表現、不倫、排泄、性風俗業、水着・コスチューム
暴力表現出血描写、身体の分離・欠損描写、死体描写、殺傷、恐怖、対戦格闘・ケンカ描写
反社会的行為表現犯罪描写、麻薬等薬物、虐待、非合法な飲酒・喫煙、非合法ギャンブル、近親姦・性犯罪、売春・買春、自殺・自傷、人身売買
言語・思想関連表現言語関連の不適切な描写、思想関連の不適切な描写

※社会情勢の変化(外務省の渡航中止勧告や国際情勢等)に応じて、新たに禁止事項が追加決定される場合がある。

4. 国内向けローカライズにおける修正実例と課題

海外で開発された過激な表現を含むタイトルを日本国内で発売する際、CEROの審査基準を満たすための表現変更(ローカライズ修正)が行われる。

4.1 『サイバーパンク 2077』日本語版の規制内容

CD PROJEKT REDが発表したPS4/Xbox One日本語版『サイバーパンク 2077』では、北米版と比較してCERO禁止表現基準に基づく以下の修正が実施された。

  • 裸体表現の制限: 登場する裸体の男性・女性キャラクターに対し、下着を着用した状態へ変更。主人公のキャラクター作成画面においても同様に下着が着用される。
  • 性的表現の変更: 作中の性描写を変更。また、退廃的な世界観を表現する街中の看板の落書きやオブジェクトに含まれる性的表現も修正された。単なる黒塗りではなく、ゲームの雰囲気を損なわないよう「表現の一部が破損して見えない」ような加工が施された。
  • 分離欠損・内臓露出表現の修正: 人体分離欠損描写そのものは海外版と同様に維持されるが、露出する内臓表現や分離欠損した切断面を「黒く塗る」などの変更が加えられた。

4.2 トラブル事例:未審査版の流通問題

2020年11月10日にユービーアイソフトから発売された『アサシン クリード ヴァルハラ』では、Z区分として販売されたものの、CEROへの審査提出時に含まれていなかった禁止表現が製品版に混入していることが発覚した。このように審査プロセスと実際の製品データに乖離が生じた場合、ユーザーが意図せず禁止表現に触れてしまうリスクや、メーカー側が対応に追われるトラブルに発展することがある。

4.3 海外ゲームの日本国内発売への影響

日本国内で販売されるすべてのゲームソフト(海外製含む)はCERO審査を受けなければならない。CEROの審査基準を通過できない場合、全プラットフォームにおいて国内発売が中止となり、予約者への返金対応が実施されるケースも存在する。

5. 流通・自治体・小売店舗における対応と課題

5.1 CEROと自主規制・行政規制の関係

CEROは表現内容の「審査・分類機関」であり、法的・直接的に製品の販売規制を行う権限は持たない。実際の流通規制や法的手続きは以下の組織・規定によって行われる。

  • CESA(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会): CEROの審査結果に基づき、流通業界と連携して販売自主規制を実施する。
  • 自治体による条例・有害指定:
    • 神奈川県: 県の条例により、CERO Z該当ソフトを青少年に販売しないよう努める義務を定めている。
    • 静岡県: CERO Z該当ソフトを有害図書類に認定し、青少年への販売・貸付等を禁じている。

5.2 小売事業者による自主的な販売中止(ノジマの事例)

家電量販店大手の株式会社ノジマは、店舗を訪れる全利用客が安心・安全に買い物できる環境を確保するため、2023年4月1日より実店舗における「CERO Z」対象ゲームソフトの販売を全面中止した(ノジマオンラインにおいても準備が整い次第中止)。

CERO Z作品には身体の分離欠損などのショッキングな描写が含まれているため、店頭での購入や大画面テレビでのプレイ時に間接的に子どもの視界に入る危険性などが考慮された結果である。

結論および展望

CEROレーティング制度は、単なる「エログロ規制」の枠組みにとどまらず、差別・人権侵害表現の防止、過度な反社会行為の制限、さらには法的規制からゲーム業界全体の表現の自由を守るための「防波堤」として機能している。

ゲームの表現技術やAIが高度化し、実写との境界が曖昧になる現代において、社会の倫理水準と表現の自由のバランスをどのように保つかが引き続き重要な課題となる。ユーザーや保護者はパッケージに示されたレーティングマークおよびコンテンツアイコンを正しく認識・活用することが求められている。

感想

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サマリー

家庭用ゲームの年齢区分、とくにCERO Zでも表現が制限される理由を、『サイバーパンク2077』日本版の変更を例に考える。日本版では裸体が下着着用になり、性的なオブジェクトや人体の切断面も修正された。CEROは自治体による規制を避けるため業界が設けた仕組みで、一般市民の審査員や地域条例とも関わっている。家庭のリビングで不特定の人が画面を見る可能性、映像の高精細化による悪用、差別表現の禁止などが、Z指定でも規制が残る理由として説明される。さらに『アサシン・クリード・ヴァルハラ』の事例や、将来のフルダイブVRで心理的影響を審査する可能性にも話が及ぶ。

CEROと『サイバーパンク2077』日本版の規制
スピーカー 2
あのー、映画館でR18指定のチケットを買うときって、ある種の優越感みたいなものありませんか?
スピーカー 1
あーわかります。自分は大人だから見られるんだみたいな。
スピーカー 2
そうそう。自分はお金を払える大人だから、クリエイターがリミッターを外した過激な表現をそのままの形で見ることができるっていうちょっとした特別感ですね。
スピーカー 1
非常にシンプルですよね。自己責任に基づく大人のためのシステムというか。
スピーカー 2
ええ。でも聞いているあなたも経験あるかもしれませんが、家に帰って大人の特権として買ってきた18歳以上のみ対象の家庭用ゲーム機にディスクを入れた途端、この前提が急に崩れるんですよ。
はい。あれってなりますよね。
あれ?期待していた過激なシーンが、なんか不自然にマイルドになってないかって。
これ、大人向けのシックなバーに入って強いお酒を頼んだのに、お客様の胃に負担がかかるかもしれないのでお水で半分薄めておきましたって出されるような理不尽さなんですよ。
スピーカー 1
なかなか面白い例えですね。でも確かに家庭用ゲームの年齢制限には映画とは根本的に違う非常に複雑なグレーゾーンが存在しているんです。
スピーカー 2
ええ。今回はそこがメインテーマになります。
今回の徹底解剖では、あなたがゲームソフトのパッケージの裏で必ず目にする年齢区分マーク、セロの裏側に潜む謎に迫りたいと思います。
スピーカー 1
はい。よろしくお願いします。
そもそもなぜ大人が大人向けのゲームを買っているのに表現が規制されるのか。
スピーカー 2
この素朴な疑問を解き明かすために、今回は3つの非常に興味深い資料を読み解いていきます。
スピーカー 1
今回のソースですね。
スピーカー 2
はい。ゲーム情報サイトゲームウォッチが報じたサイバーパンク2077の具体的な規制内容。
そして、窓の森に掲載されたセロZ指定の存在意義に迫るコラム。
スピーカー 2
さらに、家電量販店のじまがまとめたセロ制度の包括的な解説記事の3つです。
スピーカー 1
この3つのソースを掛け合わせることで、単なるゲームのルールの話にとどまらない、
日本のクリエイターたちが直面してきた表現の自由と社会倫理のギリギリの攻防線が見えてきますね。
スピーカー 2
そうなんですよ。この深掘りを聞き終えた後、あなたが次にゲームを買う時の視点は確実に変わるはずです。
スピーカー 1
楽しみですね。
スピーカー 2
まずは、世界中のゲーマーが熱狂したサイバーパンク2077を例に、一体何が起きているのかを見ていきましょう。
この作品、ディストピアな未来都市を舞台にした超大作なんですが、
すごい話題になりましたよね。
スピーカー 2
ゲームウォッチの報道によると、PS4やXBOX ONEの日本版ソフトでは、
北米版からかなり具体的な表現の変更、いわゆる規制がかけられていたんです。
スピーカー 1
日本のプレイヤーが北米版のプレイ動画なんかを見た時に、その違いに驚くケースも多かったみたいですね。
スピーカー 2
かなり露骨な違いですからね。
例えば、主人公のキャラクター作成画面やゲーム内でどれだけ設定をいじっても、
日本版では必ず下着を着用した状態になるんです。
スピーカー 1
絶対に脱げない仕様になっていると。
スピーカー 2
そうなんです。
さらに、堆廃的な世界観を演出するための看板の落書きとかに含まれる静的表現も、
単なる黒塗りで隠すんじゃないんですよ。
スピーカー 1
と言いますと。
スピーカー 2
世界観に合わせた破損として、最初から壊れているオブジェクトのように処理されているんです。
スピーカー 1
開発側も、ただ見えなくするだけじゃなくて、ゲームの没入感を極力削がないように苦心してローカライズしているのが伺いますね。
そこはすごい努力を感じるんですが、ただ、暴力表現の変更はかなり踏み込んでいるんですよ。
スピーカー 1
暴力表現ですね。
スピーカー 2
分離欠損した人間の切断面の描写とか、露出する内臓の表現に変更が加えられていて、
人体が欠損する表現そのものは残っているんですけど、その生々しい切断面が黒く塗りつぶされているんです。
ここで私は、一人のゲーマーとして強烈な違和感を覚えるわけですよ。
スピーカー 1
その違和感というのは具体的には。
スピーカー 2
ちょっと待ってくださいよって話で。
だってパッケージには、赤色で堂々とZとして18歳以上のみ対象って書かれているんですよ。
スピーカー 1
はい、書かれていますね。
スピーカー 2
CローがAの前年齢からZまで区分を分けていて、Zは明確に大人向けだと。
さらにパッケージの裏には、恋愛とか暴力といった対象年齢の根拠になるアイコンまで表示されているわけです。
コンテンツアイコンですね。
スピーカー 2
そうです。
それなのに、いざ蓋を開けたら下着は脱げないし断面は黒塗り。
これなら初めから大人向けなんて言わずに、17歳以下の基準に合わせて作りましたって言われた方がよっぽど納得できますよ。
スピーカー 1
まあ確かに。
スピーカー 2
お金を払っている大人のユーザーをちょっと子供扱いしすぎじゃないですかね。
スピーカー 1
あなたのそのフラストレーションは非常に真っ当だと思います。
18歳未満に占いという強力なゲートがあるのに、なぜその内側の表現まで縛る必要があるのか。
スピーカー 2
そうなんですよ。
CERO設立の背景と審査の仕組み
スピーカー 1
その矛盾を解き明かすには、野島の解説記事や窓の森のコラムに書かれているセロ設立の歴史的背景にさかのぼる必要があるんです。
スピーカー 2
歴史的背景ですか?
スピーカー 1
ええ。実はこれ、大人のユーザーを子供扱いしたくてやっているわけではないんですよ。
スピーカー 2
クリエイター側だって、本来なら自分が作った表現をそのまま届けたいはずですよね。国や政府から何か強烈な圧力でもあったんですか?
スピーカー 1
それが国家レベルの法律ではなく、発端は地方自治体だったんです。
地方自治体?
スピーカー 1
はい。かつてゲームの過激な表現が青少年に悪影響を及ぼすのではないかという懸念が、社会的に一気に高まった時期があったんですね。
スピーカー 2
はい、ありましたね。
スピーカー 1
その時、いくつかの地方自治体が独自にゲームを有害図書などとして問題視し始めました。
この動きは瞬く間に全国へ広がり、社会的な炎上状態に陥ったわけです。
スピーカー 2
ああ、なるほど。法律で全国一律に禁止される前に、各地域からボトムアップでゲームが締め出されそうになっていたんですね。
スピーカー 1
そうなんです。もしあの時、ゲーム業界が、いやこれは表現の自由だと突っ跳ねて放置していたらどうなっていたか?
スピーカー 2
どうなっていたんでしょう?
スピーカー 1
自治体の条例によって販売が次々と規制されて、最終的にはより強力な法規制によって人気ゲーム自体が社会役として市場から完全に排除されていたかもしれないんです。
スピーカー 2
うわあ、それは恐ろしいですね。
スピーカー 1
世界トップレベルだった日本のゲーム産業にとって、文字通り存亡の危機だったんですよ。
スピーカー 2
つまり、外圧によって完全に息の根を止められる前に、自分たちでルールを作る必要があったと。
スピーカー 1
その通りです。
スピーカー 2
でも、業界が自分たちで作った組織なら、結局は身打ち利益というか、甘い審査になるんじゃないですか?
スピーカー 1
そこがシェロの興味深いシステムなんですよ。
野島の記事によれば、ゲームを実際にプレイして審査しているのは、業界とは全く無関係の一般市民なんです。
スピーカー 2
えっ、一般市民なんですか?
はい。20代から60代まで幅広い年代の人が募集されて、専用のトレーニングを受けた上で、複数の目で審査を行っているんです。
スピーカー 2
マジですか。てっきりスーツを着た業界の住人たちが会議室で眉間にシワを寄せて決めているんだと思っていました。
本当に普通の一般の人たちが審査しているんですね。
スピーカー 1
ええ。客観的な社会の目をシステムに組み込んでいるわけです。
さらに、オレンジのD指定、つまり17歳以上対象と、赤のZ指定、18歳以上対象の間にある1歳という年齢差。
スピーカー 2
とっと1歳ですよね。
スピーカー 1
ええ。でもこれは私たちが想像する以上に、社会的には巨大な壁なんですよ。
スピーカー 2
そうなんですか。
例えば、神奈川県では、Z指定のゲームを青少年に販売しない努力義務が条例で定められています。
スピーカー 2
努力義務。はい。
さらに、静岡県に至っては、Z指定が有害図書類に認定されていて、青少年に向けた販売や貸し出しが明確に禁止されているんです。
スピーカー 2
ええ。17歳と18歳の間にそんな厳格な線引きがあったとは知りませんでした。
スピーカー 1
そうなんですよ。社会的重みが全く違うんです。
スピーカー 2
ちょっと待ってください。これまでの話を聞いていて、ようやくZの本当の立ち位置が見えてきました。
スピーカー 1
お、どういうことでしょう。
スピーカー 2
私は今まで、Zのことをゲーム業界の表現を厳しく取り締まる警察みたいな存在だと思っていたんです。
スピーカー 1
警察、なるほど。
でも違いますね。彼らはむしろ、法律や社会の不寛容という巨大なハンマーから、業界を守るための強固なシールド、盾なんじゃないですか。
スピーカー 1
非常に鋭い洞察ですね。まさに防衛戦なんです。
スピーカー 2
社会に対して、私たちは市民の目を入れて、Z指定のような厳格な線引きをし、ちゃんと自分たちで管理できていますよとアピールするための。
スピーカー 1
ええ。そうやって社会にアピールすることで、ゲームという文化全体が潰されるのを防いでいるんです。
家庭空間とリアルな映像が生む規制理由
スピーカー 2
なるほど。シールドの役割はよくわかりました。でも、だとしたらなおさら疑問が残りますよ。
スピーカー 1
疑問ですか?
スピーカー 2
販売店で身分証まで確認して、子供に絶対売らない完璧なゲートを作ったのなら、そのゲートの向こう側、つまりZ指定のゲームの中身は完全に自由でいいじゃないですか。
スピーカー 1
はいはい。
スピーカー 2
シールドだとしても、なぜZ指定の中身まで縛るんですか。なぜ断面を黒く塗ったりする必要があるんでしょうか。
それに対する答えは、ゲームというメディアの特殊な視聴環境にあるんです。
スピーカー 2
特殊な視聴環境?
スピーカー 1
野島の記事が指摘しているんですが、映画館というチケットを持った大人しか入れない閉鎖空間と違い、家庭用ゲームは基本的に家のリビングにある大型テレビでプレイされることが多いですよね。
スピーカー 2
確かにリビングでやりますね。でも、今のゲーム機ってすごく優秀ですよ。PS5にしろNintendo Switchにしろ、ペアレンタルコントロール機能があって。
スピーカー 1
はい、ありますね。
スピーカー 2
親がパスコードをかけないと年齢制限のあるゲームは起動できないようになっていますよね。
システムで子供をブロックできるなら、やっぱり表現を規制する必要はない気がするんですが。
スピーカー 1
おっしゃる通り、システムでのロックは有効です。しかし問題は大人がプレイしているその瞬間なんですよ。
スピーカー 2
その瞬間ですか?
スピーカー 1
大人がパスコードを解除して、リビングの65インチのテレビで過激な表現のゲームを楽しんでいる。
そこへたまたま10歳の子供がジュースを取りに部屋に入ってきたらどうなるでしょう。
スピーカー 2
ああ、なるほど。
スピーカー 1
販売時にどれだけ年齢確認を徹底しても、物理的に開かれた家庭空間でプレイされる以上、
想定外の観客の視界に暴力や性的な表現が飛び込んでしまうリスクを完全に排除することはできないんです。
スピーカー 2
うん、確かに。
映画館の扉には鍵がかかっているけど、リビングルームの扉には鍵がかかっていない。
メディアが消費される場所の性質が根本的に違うわけですね。
スピーカー 1
さらに、窓の森のコラムは現代ならではのもう一つの強烈な理由を提示しているんです。
スピーカー 2
もう一つ?何でしょう?
スピーカー 1
それはハードウェアとAI技術の進化がもたらした表現の圧倒的なリアルさです。
スピーカー 2
リアルさ?確かに最近のゲームはすごいですよね。
スピーカー 1
ええ、今のゲームは実写映画と見分けがつかないレベルに到達しています。
実際、ゲーム内の映像がオスプレイの墜落映像としてSNSで拡散されて、
スピーカー 2
ありましたね、それ。
スピーカー 1
はい。多くの人が本物のニュース映像だと勘違いしてしまったという実例まで起きているんですよ。
スピーカー 2
ああ、あのフェイクニュース騒動ですね。でも、それってゲーム側の責任なんでしょうか?
スピーカー 1
と言いますと?
スピーカー 2
いくらリアルだからって、ゲームの起動画面にこれはフィクションですって大きくテロップを出せば済む話じゃないですか。
スピーカー 1
テロップ一つで、ということですね。
スピーカー 2
ええ。大人向けとパッケージに書いてあるのに、誰かが勝手にSNSで悪意のある切り取り動画を作って拡散するかもしれないから、
ゲーム自体の根底の表現を変えさせるなんて。
スピーカー 1
はい。
少し過保護すぎませんか?クリエイターが萎縮してしまわないですかね?
スピーカー 1
クリエイターを守るためのシールドが逆に足枷になっているのではないかという懸念ですね。
そうですそうです。しかし、現実と区別がつかないほどの映像がインタラクティブに動かせる現代において、
その悪意のある切り取りが及ぼす影響は、もはや過保護という言葉では片付けられないレベルに達しているんです。
スピーカー 2
そうなんですか?
スピーカー 1
もし、極めてリアルな暴力表現や反社会的な行動がゲーム内の文脈から切り離され、
特定の政治的扇動のプロパガンダに使われたらどうでしょう?
スピーカー 1
あるいは、現実の犯罪のシミュレーションや教査として機能してしまったら?
スピーカー 2
わぁ、なるほど。単なるフィクションのエンターテイメントの枠を超えて、
現実社会の治安や人々の認識を直接的に脅かす武器になり得るということですか?
スピーカー 1
そうなんです。だからこそ、セロはどこまでならゲームとしてのエンターテイメントの枠に収まり、
どこからが現実社会に対する脅威になるのかという境界線を、Z指定の中であっても慎重に探らざるを得ないんですよ。
スピーカー 2
いやぁ、エログロの表現を抑える理由がリアルすぎるからというのは、技術の進化が生んだ皮肉なジレンマですね。
スピーカー 1
本当にそうですね。
スピーカー 2
リアルを追求すればするほど自分たちで表現の首を締めざるを得なくなるなんて。
差別表現と社会情勢に連動する基準
スピーカー 1
実はセロが引いているレッドラインは、目に見えやすい暴力や性的な表現だけではないんです。
他にもあるんですか?
スピーカー 1
はい。あなたが過保護では?と感じた疑問へのもう一つの答えがここにあります。
スピーカー 2
何でしょう?
窓の森のコラムで詳しく解説されているのですが、セロの倫理規定の第7条には、差別表現の厳しい禁止が明記されています。
スピーカー 2
差別表現?
スピーカー 1
ええ。
スピーカー 2
CROって血が出るか出ないか、みたいなレーティングだけをしているんだと思っていました。
スピーカー 1
人種、心情、性別、身体障害者などの社会的弱者への差別的表現や、特定の個人、団体、法人を乱に誹謗中傷するような表現は、たとえZ指定であっても厳しく禁止されているんです。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
つまり、社会の根本的なモラルや人権に関わる部分も審査の対象になっているんですよ。
スピーカー 2
テーマ性やメッセージそのものが社会的に許容されるかどうかも見ているわけですね。
スピーカー 1
ええ。そして、この社会的に許容されるかという倫理観は普遍ではありません。
スピーカー 2
変わっていくと?
スピーカー 1
時代や国際情勢によってリアルタイムに変化します。コラムの筆者はここで非常に興味深い推測を立てているんです。
スピーカー 2
どんな推測ですか?
スピーカー 1
現在、外務省はロシア全域に渡航中止勧告を出していますよね。
もし今のこの情勢下で、ロシアへの勧告を無邪気に推奨するようなゲームが審査に持ち込まれたとしたら、CEOはおそらく何らかのストップをかけるだろうと。
スピーカー 2
それは衝撃ですね。つまり、5年前に審査を通ったはずの平和なゲーム内容でも、現実世界の情勢がガラリと変わってしまえば、突然社会的に不適切というレッテルを貼られる可能性があるということですか?
スピーカー 1
あくまで筆者の推測という形ですが、基準は常に社会と連動しているんです。
世界中で販売されているグローバルなタイトルのゲームであっても、日本市場で販売する以上は、その時々の日本社会の倫理観と照らし合わせて、CEOの審査を通す必要があります。
スピーカー 2
なるほど。厳しい世界ですね。
スピーカー 1
ただ、巨大化して複雑化する現代のゲーム開発において、全ての表現を完璧にコントロールするのは至難の技なんです。
野島の記事では、2020年に起きたある事故が紹介されています。
スピーカー 2
事故?審査期間で事故ってどういうことですか?
スピーカー 1
大手メーカーのアサシン・クリード・バルハラという作品のZ指定ソフトがダウンロード販売された際、セロへ事前に提出された資料には存在しなかったはずの禁止表現が、なぜか製品版にそのまま含まれてしまっていたんです。
スピーカー 2
え?意図せず審査の網の目をすり抜けて、禁止されていたはずの過激な表現がユーザーの手元に届いてしまったと?
スピーカー 1
ええ。何百人ものクリエイターが関わる巨大プロジェクトにおいて、開発側と審査側が完璧に糸をすり合わせることが、いかに綱渡りの作業であるかを物語るエピソードですよね。
CEROの未来とVR時代の倫理
スピーカー 2
なるほど。私、完全にセロのことを見余っていましたよ。
スピーカー 1
と言いますと?
スピーカー 2
彼らのマークって、レジで年齢確認をするためのただの年齢制限のスタンプだと思っていましたが、全然違いますね。
はい。
スピーカー 2
セロは、日本社会の今の倫理観をリアルタイムに映し出す鏡なんだ。ゲームが現実世界と密接にリンクし、圧倒的なリアルさを持ってしまったからこそ、その鏡の曇りを常に拭き取って、社会の許容範囲から逸脱していないかを確認し続けなければならないわけですね。
スピーカー 1
その通りです。その鏡を通して、クリエイターが描きたい表現の自由と、日本社会が求めるモラルの境界線を絶えず綱引きしながら探っている状態なんですね。
スピーカー 2
これを聞いているあなたが、次にゲームソフトのパッケージを手にして、裏面にある暴力や犯罪といった小さなアイコンを見たとき、きっとその見え方は今までと全く違うものになっているはずです。
スピーカー 1
そうはってほしいですね。
それは単なる子供への警告マークではありません。クリエイターと社会との間でギリギリの折衝の末に結ばれた平和跳躍の証なんです。
スピーカー 1
表現の進化とそれに伴うリンリンのアップデートというイタチごっこはこれからも続くでしょうね。ここで少し未来のゲーム体験について考えてみましょう。
未来のゲームですか?
スピーカー 1
現在でも現実と見曲がるほどの映像ですが、もし今後フルダイブ型のVR技術が普及して、視覚や聴覚だけでなく、触覚、痛み、そして心底からの恐怖を文字通り体感できるようになったらどうなるでしょうか?
痛みや恐怖を直接神経で感じるゲーム。想像しただけで背筋が寒くなりますが、技術的には決して遠い未来の話じゃないですよね。
スピーカー 1
その時、セロのような機関は映像のグロテスクさという視覚的な基準だけでなく、人間の精神や脳に与える心理的ダメージという全く未知の領域をレーティングしなければならなくなるかもしれません。
スピーカー 2
うわぁ、心理的ダメージのレーティング。
スピーカー 1
物理的な傷はつかなくても、脳が現実のトラウマとして認識してしまうかもしれない。
あなたが次にプレイするゲームは、あなたの脳にとって果たして何歳以上対象であるべきでしょうか?
スピーカー 2
物理的な表現の規制から、人間の精神や脳へのダイレクトな影響を図るレーティングへ。
X線のようには、はっきりと見えない心へのダメージをどうやって審査するのか。
これはまさに、私たちがこれから直面する新しい倫理の境界線ですね。
スピーカー 1
はい、非常に興味深いテーマです。
スピーカー 2
次に、あなたがコントローラーを握るとき、あるいはVRゴーグルを被るとき、この見えない境界線とその裏にある社会の鏡について少し思いを巡らせてみてください。
それでは、また次回の徹底解剖で。
18:48

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