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スピーカー 1
あのー、いきなりなんですが、ちょっと想像してみてほしいんです。 はい、なんでしょう。
スピーカー 2
もし、あなたの地元にある、それこそ創業100年を超えるような老舗の企業がですよ。 ええ。ゲームの中のアイテム調合のおかげで突然として大復活を遂げたとしたら、
スピーカー 1
これどう思いますか。 いやー普通に考えたら、いやいや現実とゲームが混ざりすぎでしょってちょっと笑っちゃいますよね。
そうなんですよ。笑っちゃうような話なんですけど、あのこれ実際に起きていることなんです。 へえ、すごく興味深いですね。
ですよね。学ぶことが好きなあなた、今回のザ・ディープダイブへようこそ。 よろしくお願いします。
今回の探究のテーマは、ズバリ地域コミュニティはゲームをどう見ているのかです。 かつては部屋の中で一人で遊ぶとか、オンラインの向こう側の人と遊ぶだけの個人的な娯楽って
スピーカー 2
思われてましたよね。 ええ、でも今その前提が根底から覆ろうとしているんです。
なるほど。 今日手元にある資料はですね、世界のゲーム市場の最新動向をまとめたInvestGameによる
2026年 pc とコンソールゲーム市場レポート。 あ、これニューズのデータが使われています。
スピーカー 2
はいはい。 それからもう一つが北海道から宮城県まで日本各地の自治体とか企業の事例をまとめた
スピーカー 1
複数の調査研究レポートですね。 その資料を掛け合わせると、過疎化とか高齢化とか、あるいは地域経済の衰退みたいな現実社会のかなり
ハードな課題に対してですね、 ゲームがどれほど強力なインフラになりつつあるのかっていう驚くべき実態が見えてきます。
スピーカー 2
いや本当に驚きました。では早速このテーマを深掘りしていきたいんですけど、 なぜ今地方自治体とかリアルな地域社会がデジタルなゲームにそこまで
スピーカー 1
厚い視線を送っているんでしょうか? それを理解するには、まず世界のゲーム市場が今どういう状況にあるかを知る必要があるんです。
市場の状況ですか? ニューズの2026年レポートによると、PCとコンソールのゲーム市場は明確な転換点を迎えているんですね。
転換点? はい。端的に言うと2020年以降続いていたあの爆発的な成長エンジンというのはすでに落ち着いていて、
プレイヤー全体の総プレイ時間は横ばいになっているんです。 つまりみんなが新しくゲームを始めるようなフェーズは終わって、
スピーカー 1
その限られた時間をどう使うかっていうフェーズに入ったと。 その通りです。データが示す現実はさらにシビアでして、
なんと世界全体のプレイ時間の50%以上をですね、 トップ20の超人気タイトルだけで占めているんです。
えーっと半分以上ですか? そうなんです。プレイヤーは自分の貴重な時間をどのゲームに投資するかっていうことについて、
かつてないほど厳格になっているんですね。 あーなるほど。その結果、ビジネスモデル自体も単にゲームソフトを所有してもらう形からシフトしていて、
サブスクリプションとか継続的なアップデートを通じてプレイヤーとの間に継続的なエンゲージメントを築く形に完全に価値の比重が移りました。
スピーカー 2
いやここすごく面白いですね。あのちょっと独自の例えで言わせてもらうなら。 えーどうぞ。巨大なショッピングモールがあるとして、
昔はいろんなお店にお客さんが散らばってたのに、今はみんなが特定の同じ20の超大型店にだけ入りついているみたいな。
あーわかりやすいです。 いや入りつかるどころかそのお店がもはやホテルみたいになってて、お客さんがそこに住みついちゃってる状態ですよね。
まさに。 だから新しいお店がこっちも見てよって振り向いてもらうのがものすごく難しくなってる。
スピーカー 1
一瞬の買い物を競うんじゃなくて、その滞在時間を、つまり永住権を競っているような。 時間の永住権。それはすごく適応あた表現ですね。
本当ですか。 世界中のゲーム企業がプレイヤーの箇所分時間とエンゲージメントを奪い合っている激戦区なんです。
なるほど。 でここからが今回の全体像とつながるポイントなんですが。
はいはい待ってました。 地方自治体はこのゲームが持つ人を強烈に引きつけて継続的なエンゲージメントを生み出す力、
スピーカー 1
ここに目をつけたんです。 これをデジタルの世界から物理的な地域社会に持ち込もうとしているんですよ。
デジタルの世界で人を住みつかせるほどの引力をリアルな街に移植するってことですか。 そういうことです。
スピーカー 2
いやすごい発想ですね。 ただここでどうしても疑問が湧くんですけど。
何でしょう。 世界の市場がエンゲージメントを渇望しているのはわかったんですが、それがどうやって現実の小さな街の戦略につながるのかなって。
なるほど。 例えば e スポーツって聞くとどうしてもエナジードリンクを片手にした10代の若者たちが巨大なアリーナでキーボードを高速で叩いて激しく競い合っているみたいなイメージがありますよね。
ええよくあるイメージですよね。 それがどうやって地域の課題解決、特に高齢化とか福祉につながるんでしょうか。
スピーカー 1
そう思うのは当然なんですが、実は地域社会は e スポーツをプロの競技としてではなくてですね。
はい。 年齢とか性別、障害の有無によらず誰もが同じ土俵で楽しめるインクルーシブな、つまり包摂的なツールとして再定義しているんです。
競技ではなくツールですか。 例えば北海道の優別町の事例を見てみましょうか。
優別町、はい。 ここでは高齢者のフレイル予防、つまり巨弱状態に陥るのを防ぐことや認知機能の向上を目的として
スピーカー 1
介護予防ゲーミングデクリエーションという形で e スポーツを導入しているんです。
スピーカー 2
ちょっと待ってください。 それって80歳くらいのおじいちゃんやおばあちゃんがコントローラーを握って複雑なコンボ技を繰り出しているってことですか。
いやそういうわけではないです。 ですよね。正直それがどう医学的に有効なのか安全面も含めてちょっとピンとこないんですが。
もちろんプロのような複雑な操作を求めているわけじゃないんですよ。 重要なのは認知的な負荷とコミュニケーションの組み合わせなんです。
スピーカー 1
なるほど、組み合わせ。 コントローラーを使った指先の動きとか画面を見て瞬時に状況を判断する力。
そして何よりチームメイトとゲームの状況についてリアルタイムで会話をする。 会話が派生するんですね。そうなんです。
これらが複合的に作用して脳血流量を大幅に増加させることが分かっているんです。
スピーカー 2
単なる暇つぶしではなくて医学的な予防アプローチとして機能しているわけですね。 なるほど指先の運動と視覚情報への反応
スピーカー 1
そしておしゃべりがセットになっているから脳への刺激が強いんだ。 さらに興味深いのが同じく北海道の九州路市の事例ですね。
九州路市では何をしているんですか。 ここでは3世代が一緒に参加できる e スポーツ大会を開催しているんです。
スピーカー 1
3世代? この大会ではおじいちゃんとお孫さんが同じチームでプレーするんですよ。
それでお孫さんがおじいちゃんにここはこうやって動かすんだよって教えるってことですか。 まさにそこが重要なんです。
やっぱり。 これまで行政が企画する多世代交流イベントっていうと大人が子供に伝統文化などを教えるという一方通行なものがほとんどでしたよね。
確かにそういうのが多いですよね。 しかし e スポーツの世界ではデジタルネイティブである子供たちの方が圧倒的にスキルが高いわけです。
ああそうか逆転するんだ。 そうなんです。結果として高齢者が孫世代からコントローラーの操作を真剣に教わって協力して勝利を目指すっていう逆転現象が起きます。
デジタルネイティブ側に権威があるわけですね。 ええ。プレイを通じてこれまでの行政イベントでは見られなかったような
スピーカー 2
世代間の信頼関係がごく自然に生まれているんです。 いやーなるほどな。あの資料を見ると福井県とか新潟県の三条市でも
高齢者や障害のある方が一緒に楽しめる体験会を開いて 共生社会づくりの基盤にしているというデータもありますね。
スピーカー 2
そうですね各地で広がっています。 これらを読み解くとなんかゲームって今かつての地域の縁側とか
近所の公園みたいな役割を果たしてるんですね。 おっしゃる通りです。誰もがフラッと集まって年齢も立場も関係なく
スピーカー 1
ワイワイおしゃべりしながら時間を共有する新しい公共空間になっているというか。 その縁側という表現は非常に的確ですね。
物理的な距離とか身体的なハンディケープを超えて人が自然に集まる場所になっている わけですから。
スピーカー 2
なるほど。ゲームが現代の縁側として福祉とかコミュニティのつながりを再構築しているのはすごくよくわかりました。
スピーカー 2
はい。 でもちょっと意地悪な見方をさせてもらうと。 えーどうぞ。
おじいちゃんと孫が仲良くなるのは本当に素晴らしいことだけど、それだけでは悲鳴する地方経済を直接的に救うことはできませんよね。
まあそうですね。 単なる心温まる町おこしイベントを超えて具体的にお金を落としてもらうとか
スピーカー 1
経済効果を生み出す力はゲームにあるんでしょうか。 ありますよ。ここで注目すべきは既存のゲーム ip
つまり人気ゲームのキャラクターや世界観を使って 地域の伝統産業を現代風に再編集するアプローチです。
再編集ですか。 えー。資料にある愛知県豊橋市の地らへ
スピーカー 2
JR東海とカプコンが仕掛けたカプコムトリップ東海を見てみましょう。 あ、出ましたね。モンスターハンターと地元伝統産業の融合。
スピーカー 1
そうです。このプロジェクトで特筆すべきは創業197年の老婆山沢ちくわの取り組みです。
ちくわ屋さんですか。 えー。彼らは単にゲーム内の人気キャラクターであるアイルーの絵をパッケージに印刷したわけではないんです。
ちくわを焼くという彼らの伝統的な技術をモンスターハンターの核となるゲーム体験である 肉焼きに見立てて展開したんですよ。
スピーカー 2
モンハンをやったことがある人なら誰もが知っている 上手に焼けましたっていうおなじみのアクションですね。
スピーカー 1
そうです。あれです。これによって普段は若年層になかなかアプローチしにくい伝統的な食品がゲームファンの心を掴んで爆発的なヒット商品へと変貌を遂げました。
すごいですね。
スピーカー 1
さらに1950年創業の豆菓子店、千花商店はゲーム内に登場するモンスターの属性カラーや手に入る素材名を豆菓子のパッケージに採用しました。
ちょっと待ってください。さっきの肉焼きは体験として面白いですけど、豆菓子の方はなんか批判を恐れずに言えばただ商品のパッケージや名前を変えただけじゃないですか。
スピーカー 1
ええ。
スピーカー 2
なぜそこまで劇的に売れるんでしょうか。ただ可愛いキャラクターが載ってるからですか。
スピーカー 1
ここがこの探求で最も深く理解していただきたいポイントなんです。
なぜ売れるのか。それは単なるパッケージ変更ではなくて、ゲーマー特有の心理構造を実生活の購買行動にピタリと重ね合わせているからです。
スピーカー 2
ゲーマー特有の心理ですか。どういうことでしょう。
スピーカー 1
例えば収集の快感です。ゲームの中でレアな素材を苦労して集めるあの楽しさですね。
スピーカー 2
ありますね。ついつい集めちゃいます。
スピーカー 1
そしてもう一つがサンクコスト効果です。
スピーカー 2
サンクコスト。
スピーカー 1
これだけ素材を集めたからには全種類コンプリートしないと気が済まないっていう心理です。
スピーカー 2
はいはいはい。
スピーカー 1
豊橋市の事例はこうしたコアなファンの心理を極めて高い解像度で理解してそこにターゲットを絞り込んでるんですよ。
スピーカー 2
なるほど。皆さん誰でもお越しくださいっていう漠然とした観光PRじゃなくて、
モンハンで素材集めに熱狂しているあなた、現実の豊橋市でもコンプリートしてみませんかとピンポイントで心を打ち抜いてるわけですね。
スピーカー 1
その通りです。この編集力こそが重要なんです。
スピーカー 2
編集力ですか。
スピーカー 1
地域の歴史やインフラが持つ文脈とゲーム内のナラティブ、つまり物語性を高い次元で融合させる。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
このターゲットを絞った明確な戦略が結果的に無駄な公共予算のくらぶりを防いで確実な経済効果をもたらしているという分析が報告書でもなされています。
スピーカー 2
既存のゲームの世界観を借りて自分たちの街の魅力をゲーマー向けに見事に翻訳しているわけだ。
スピーカー 1
そうですね。