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ノオト・ブク太郎
さて今回は、高見知英さんという方の、数日間の声日記と活動記録、これをちょっと深く見ていきたいと思います。
地域活動とITの話とか、世代間の交流、あと個人の記録、さらにはフィクションまで、なんか一見するとバラバラに見えるんですけど、その活動全体からこう、異なる世界をつなぐっていうこと。
特にそこにある伝達と理解の難しさ、みたいなものが見えてくる気がするんですよね。
あなた自身の経験なんかとも重ねながら、一緒に探っていけたらなと思います。
ノオト・ブク子
まず地域コミュニティとITをつなごうっていう、そういう試みがありますよね。
ご自身のプロジェクト、SIDE BEACH CITY.として、Android Bazaar and Conference、ABCに参加されて。
ノオト・ブク太郎
ABCですね。
ノオト・ブク子
そこでNPO法人シャーロックホームズの地域でのIT活用事例の発表をサポートされた。
ノオト・ブク太郎
そこで高見さん自身がちょっと驚いたっていうのが、地域活動とテクノロジーに関心を持つ人が思ったより多かったって点らしいんですよ。
なんか本当に正直、地域のことってテクノロジーと反すること多いから、興味持つ人少ないかなと思ったけど、そんなことなかったって。
ノオト・ブク子
なるほどね。潜在的なニーズというか、関心はあったわけですね。
ノオト・ブク太郎
そうみたいですね。
ノオト・ブク子
ただ、課題もやっぱり見えてきてるようで。
ノオト・ブク太郎
課題ですか?
ノオト・ブク子
はい。企業向けのIT製品が、地域団体側のIT知識があまり高くないだろうっていう前提で作られすぎてるというか。
ノオト・ブク太郎
ああ、なるほど。
ノオト・ブク子
なので、現場の具体的なカスタマイズ要求に応えにくいっていうギャップがあるみたいなんですね。
ノオト・ブク太郎
提供する側と使う側の理解のズレみたいな。
ノオト・ブク子
まさにそういうことだと思いますね。
ノオト・ブク太郎
そのギャップを埋めようと、ご自身のポッドキャスト、SBSタストでしたっけ?
ノオト・ブク子
ええ、そうです。
ノオト・ブク太郎
それで、ITコミュニティの特集を企画したけど、今度はゲスト探しが大変だと。
ノオト・ブク子
そうなんですよ。ITコミュニティって結構組織化されてないことが多くて。
ノオト・ブク太郎
うーん。
ノオト・ブク子
どこに連絡すればいいかわからないっていうケースが、まあ少なくないと。
ノオト・ブク太郎
ああ、繋ごうとしても、まず相手の姿を捉えるのが難しいってことですか?
ノオト・ブク子
そうなんです。これも一種のコミュニテーションの壁と言えるかもしれませんね。
ノオト・ブク太郎
地域とITの間にも壁があると。じゃあ、世代間のギャップっていうのはどうでしょう?
工芸者向けのプログラミング講座もやってらっしゃる?
ノオト・ブク子
ええ、やってますね。App Inventorを使ってスマホアプリを作る講座で。
ノオト・ブク太郎
80代でアプリ開発者になった若宮正子さんみたいな、ああいう方も意識されてるんですかね?
ノオト・ブク子
ええ、そういう存在も大きいでしょうね。
ここで非常に興味深い発見があったみたいで。
高見さんによると、高齢の方ってどこが分からないかをすごく明確に言葉にできるって言うんですよ。
ノオト・ブク太郎
へえ、言語化能力が高い?
ノオト・ブク子
そう、言語化能力ってさすがだと。曖昧なまま進むってことが少ないらしいんですね。
ノオト・ブク太郎
なるほどね。若い世代だとつい分かったつもりで先に進んじゃうことありますもんね。
ノオト・ブク子
ええ、そこが違うと。
ノオト・ブク太郎
結果的にそれが教える側のスキルアップにもつながってるっていうのは面白いですね。単なる知識伝達じゃない。
ノオト・ブク子
そうなんですよ。相互作用があるわけですね。これが伝わるっていうことの一つ良い形かもしれないですね。
ノオト・ブク太郎
もちろん高齢者の方も、週末はお孫さんの世話とかで忙しくて時間の調整が難しいなんていう現実的な面もあるみたいですけど。
ノオト・ブク子
ええ、それはそうでしょうね。
ノオト・ブク太郎
そして高見さん自身の声日記、通称チエラジチャット。これも面白い。
はい。
もともとは話し方の練習だったのが、平日毎日やる習慣になって。
ノオト・ブク子
毎日ですか?
ノオト・ブク太郎
ええ。で、喋りたいことが山ほどありすぎちゃって。って、週に6時間近く費やしてる。
ノオト・ブク子
週6時間。それはすごいですね。
ノオト・ブク太郎
ちょっと記録しすぎじゃないの?ってご自身でも思ってるみたいですけどね。
ノオト・ブク子
まあでもそれだけ発信したいことがあるっていうその欲求と時間のジレンマみたいな。
ノオト・ブク太郎
そうそう。しかも一人で喋ってるだけだとゲストを呼んで対話するときに必要なアドリブ欲?
ああ、はいはい。
それが鍛えられないっていう課題も感じてる。
これもやっぱり他者とのコミュニケーションの難しさですよね。
ノオト・ブク子
うーん、そう繋がってきますね。
ノオト・ブク太郎
そういう中でフィクションの価値にも触れてるんですよ。アニメとかゲームとか小説とか。
ええ。
そういうのに触れることが多様な他者、まあ言ってみれば異文化への理解を助けるんじゃないか。
ノオト・ブク子
なるほど。物語を通じてですか?
ノオト・ブク太郎
ええ。実体験は難しくても物語を通して、ああこういう人がいるかもしれないなとか、そういう想像力を養えると。
ノオト・ブク子
うんうん。体験のしやすさがフィクションの強みだと。
ノオト・ブク太郎
特に子ども向けのアニメなんかはメッセージがうまく柔らかく吸収しやすく梱包されているって評価してるんです。プリキュアとか戦隊ものとか。
ノオト・ブク子
へー、なるほど。確かにストレートだけど分かりやすい形で伝えてくれますもんね。
ノオト・ブク太郎
そうなんですよ。だからエンタメからの学び、例えばゲームさんぽみたいな、専門家がゲーム世界を解説するような視点?
ノオト・ブク子
ああ、ありましたね。
ノオト・ブク太郎
ああいうのがもっと注目されてもいいんじゃないかとも言ってますね。物語も理解を助けるコミュニケーションの一つの形と。
ノオト・ブク子
うーん、深いですね。
ノオト・ブク太郎
ね。というわけで今回はタタニさんの記録から、ITと地域、世代と個人と社会、現実と物語、なんかいろいろな領域をつなごうとする取り組みと、そこに横たわる伝達と理解っていう課題、これを見てきました。
ノオト・ブク子
ええ、いろいろなつながりと壁が見えましたね。
ノオト・ブク太郎
最後にですね、あなたにもちょっと考えてみてほしい問いがあるんです。
はい。
タカミさんは高齢者の方が分からないことを明確に言語化できる点に価値を見出したわけじゃないですか。
ええ、そうでしたね。
一方でITコミュニティはその姿さえ捉えにくくてつながることが難しいと。
うーん。
この明確に伝えること伝わることの難易度の差って、私たちが異なるコミュニティとか世代とか、あるいはもっと身近な他の人を理解しようとする上で、一体どういう意味を持つんでしょうかね。
ノオト・ブク子
うーん、なるほど。
物語が他者理解のヒントになるみたいに、現実の目の前にいる相手を理解するために、私たちってどんな工夫ができるのか、ちょっと考えてみるきっかけになったら嬉しいです。