たべものラジオ.
たべものの世界を探求するたべものラジオの 掛茶料理むとう、むとうたくろうです。
むとうたろうです。
このラジオは、少し変わった経歴の料理人兄弟が、
食べ物の知られざる世界をちょっと変わった視点から 学んでいくラジオ番組です。
はい、では前回からの続きです。今回は、はい。
ジャングルの舞台裏? 時代背景かな?
ジャングルの舞台裏?
前回、ジャングルという書籍の出版によって、
全米に激震が走りましたという話をしましたね。
その結果、ハンバーガーはイメージが悪くなり、 ランチワゴンがだんだん衰退していき、
同時期に自動車社会が発展したおかげで、
ランチワゴンからダイナーといわゆる、
外店から内店、固定式へと変化をしていきましたという話をしました。
これざっくりですね。
この時代背景をちょっと説明しておこうかなと思います。
時代背景?
ジャングルという小説のあらすじとかその辺も ご紹介するんですけれども、
その前段階のところ、ちょっと台本に書いてないんですけどね、
ちょっとご紹介しようかなと思います。
19世紀末、1800年代終わり頃ですね。
この頃の食品事情は非常に悪かったという話は、 もう既に何度もしております。
それをみんなが認知していなかったわけではないんですね。
分かっていたんだけれども、州政府では抑えきれない。
合衆国政府でないと抑えられないみたいな状態があったわけです。
にもかかわらず、州の独立性は非常におもんずる国民性、
国家であるがゆえに、なかなか国としては動きづらかった。
反対勢力もあったということなんです。
それでもひどいので、一応調査はしているわけですね。
ここに私の手元に、農務省科学局主任ワイリーの報告というのを
抜粋でメモしてきてるんですね。
農務省、食品とか農業とか、日本で言ったら農水省みたいなところでしょうかね。
そこの主任調査官の方の報告です。
ざっくり言いますね。
食品の外観や匂い、味を変えるために、多くの食品に化学物質、着色剤、防腐剤が使われている。
野菜を新鮮に見せかけるために、硫酸銅が使われている。
腐りかけのトマトには、腐食が進まないように、
アンソコー酸ナトリウムが使われている。
これが何だかわからないんですけど。
悪臭を放つハムには放射。
これは前回言った放酸のことですね。
蜂蜜にはグルコースと茶色の着色剤、蜜蜂の死骸か蜂の巣も混ざっていることがある。
メイプルシロップにはグルコース、やはり茶色の着色剤と香料が入っている。
などなどですね。
読み上げると大変なぐらい大変なことになってるんですよ。
パンにも硫酸銅が混ざってますね。
あと小麦粉にチョークと粘土と漆喰が混ざってますよ。
何の造形物やねん。
あとイチゴジャムもありますね。
グルコース、少量の干草と着色のためのリンゴの皮が発見されたと。
干草?
うん。
なぜ?
わからん。混ざっちゃったのかな?入れたのかな?
混ざっちゃったか。
よくわかんないですけどね。
チョコレートにはすり砕いた石鹸、豆、ベンガラ。
ベンガラってのは着色剤ですよね。
ベンガラ色って今でも言いますけど茶色と赤の中間みたいな赤茶色ですね。
ちなみにこれ有毒ですね。
有毒なんだ。
こういったものが混ざっているということが確認されましたよという事実だけを書いた報告書ですこれが。
これが出ているのでやべえなと思ってるんです。
国会議員の方も議員さんの方々もこれやばいなということで
いろんな調査をもとに食品とか薬品の規制法案は提出されてるんですよ。
やめとけっていうのは大体期間にして1879年から1906年の間
30年弱ですね。
この間に規制法案の提出は190件行われています。
190件意外と少ない。
でも頑張って調査したんですよ。
今コンピューターもない電話もっていうそんなような時代ですから馬車ですから。
その時代に頑張って調査したんです皆さん。
それをちゃんと弁護士さんとかも入れて文面化して議員さんたちの集まりの委員会でちゃんと文面固めて
それで提出をしたのが190件ですよ。
そして成立したのがなんと3件というね。
少ない。
いろんな利害関係というのがありましてですね。
当時の食品加工業というのはかなりのビッグビジネス。
もうフードテックですから伸び盛りなんですよね。
まあそうか当時の店はフードテックだね。
しかも今の現代の日本やアメリカのフードテックとは環境が違いますから。
今のフードテックっていうのは今たくさんある文化もある技術もたくさんある。
いろんなものが広がってるところをさらにチャレンジしてイノベーションにしていこうっていう話じゃないですか。
この時代はフロンティアですから。
まあゼロだもんね。
開拓なんですげえ儲かるんですよ。
かなりのビッグビジネスなのでいろんな利害関係がございますからね。
なかなか通るものも通らないと。
州の経済にも直結しますので。
ああそっか。
全州にも直結するので叩きたいんだけどもそうはいかないという州側の思惑もあり
連邦による規制がまたれるところなんですけども連邦による規制
まあ合衆国政府による規制に対して州政府がむちゃくちゃ反発をすると。
そういった時代背景でした。
この中でジャングルが出たことがすごいことなんですよ。
要は議員さんだったりとか政府関係者とかそれなりの有力者たちがロビー活動してもちょっとも動かなかった。
だけど肉の出荷量が半減するほどの反響が市民の間にあったってことなんですね。
市民の声がいかに強いかこれが民主主義なんですよね。
それを暴動してフランス革命のように俺は倒すではなくて
市民の声によって社会が動いたというのがこのアプトン・シンクレアの書いたジャングルという本のことなんですね。
ざっと簡単にあらすじを紹介しましょう。僕も全文読んでないです。
読んでる暇ありません。
さっくり読みます。さっくりですよ。
主人公はユルギス・ルドクリスというリトアニア系の移民です。
これは時代背景でいくとちょうど新移民が大量にやってくる時代。
ドイツはもちろんですけどもポーランド、リトアニアとかいわゆるバルト三国ですね。
それからロシア系だったりとかイタリア南部だったりとかそういったところから新移民というのを呼ばれる移民がまた大量にやってくる時代のことです。
当時アメリカにやってくる移民というのは本国であまりいい目にあってない人が多いですからね。
ポクロムみたいにちょっと迫害を受けてるとか言ったこともありますから。
自国を脱出して夢と希望と自由を求めてアメリカに渡ってきました。
大抵こういう人たちっていうのは一人で来ませんからね。
家族みんなで来ます。
このルドクリスさんも奥さんとお父さんと息子たちとあと親戚とかも一緒に渡ってきてるわけですね。
アメリカにやってきてシカゴ夢ですね。
シカゴの食肉加工場で働くことになりました。
働き始めてすぐにその自由と夢と希望は見事に打ち砕かれるわけですね。
あまりに厳しい労働環境。
劣悪な労働環境ですね。
にさらされつつ機械事故のリスク、病気、解雇のリスクに怯えながら作業をする日々ということになるわけです。
どういう状態かっていうとですね。
まず例えば冷蔵室があるわけですね。
肉を置いておくための冷蔵室。
じゃないと腐っちゃうんでその冷蔵室の中で解体作業をするわけですよ。
今もそうだね。
何時間やりますかっていう話なんですよね。
何時間。
もう十何時間立ちっぱなしみたいな。
間聞けちょこちょこ入るでしょうけど。
十何時間。
結果手の感覚はなくなる。
足先の感覚はなくなる。
そのまま立ちっぱなしでひたすら肉を解体するっていう状態になりますよね。
指の感覚なくなりますから。
人力で部位を分けていくわけですからね。
肉自体はぶら下がっていてコンピューターが横に動いてるわけですよ。
ですけど肉っていうのは車や機械と違ってですね。
一体一体個体差がありますから。
機械でバサッといくわけにはいかないですね。
単純作業なんですけども。
肩肉だけを取る人。
肩の肉だけを取る人はずっと肩肉を取るという作業だけをする。
皮を剥く人は皮を剥くだけの作業をする。
延々それを冷蔵室でやってるわけですね。
気が狂いますねこれね。
大変なことになるんですよね。
こんなに氷点下の寒いとこで解体作業をしてるかと思えば
隣のボイラー室があるわけですね。
このボイラー室は40度超えなわけですよ。
これは何をやってるかというと
暖房器具を焚いてるわけじゃないんです別に。
油を溶かしたい。
ラードを通りたいんです。
そのためだけの人が巨大釜の前に立って
かき混ぜたりなんかしてるわけですね。
そこは人力なんだ。
人力です。しっかり人力でございます。
肉を煮るとかやってるんですけども
油使ってますからね。
これは冷蔵室も一緒なんですけども。
肉でございますんで。
血は滴り落ちますよね。
当たり前ですが。
油も落ちますよね。
床どんな状態ですか。
ドロドロだろうね。
ドロドロでしょうね。
滑るんですよ。
それ滑るだろうね。
油ですから。
ボイラー室で巨大釜です。
目の前は油を溶かすために
グラグラグラグラに立っています。
床は油断するとつるっと滑ります。
転落したら大変なことですよ。
転落するの?
可能性ありますよね。
そんなレベルでデカいの?
そういうこと?
ゴエモンブロサイズです少なくとも。
ドボンっていったらえらいことになりますよね。
そういう事故も本には書かれてないですけど
記録上あり得たというような状態になるわけですね。
地獄の釜だね。
地獄の釜でございます。
冷蔵室解体場の方でも
いつ指を切るか手を切るかというようなこともありますし
映画で見たことあるかもしれませんけども
肉をカットするでっかい車輪状の刃物
見たことありますか?
車輪状の刃物?
今で僕ら日本人が想像できるとしたら
大工さんが使うような
木材を縦にカットするこのウィーンっていうのがありますよね。
草刈り機のモーターの回転刃ですね。
丸ノコとかスライサーとかね。
あれが肉を切るために待ってるわけですよ。
なんかほらサスペンスとかスパイモノとかで
助けてーって危ないみたいな危機一発助けるみたいなシーンとか出てきますけどね。
あれがリアルに残るわけですよ。
危ないってしょうがないわけですね。
危ないね。
うっかり機械に巻き込まれると腕が一本なくなるといったことは別に珍しくもなかったそうです。
珍しくないの?
大釜転落の事故もあれば機械の巻き込まれ事故もあり
関節炎になったり肺病になったり血格になるということは別に珍しくもなかった
という環境ですね。
はい。
そして先ほどのカイコが怖いという話をしましたけれども
この当時老妻というものがございませんので
ないんだね。
保険も効かないんですね。
働けなくなったら即カイコでございます。
なんですよ。
怪我して腕なくなったらカイコされるわっていうことになるんですね。
ですけども
そんなことしたら工場経営どうするのよってことなんですが
新移民がどんどんどんどん次からやってくるわけですね。
だからどんどん来るからあなたいらないですあいかん首痛い次って。
これ単純労働ですから熟練校じゃなくてできるんですよ。
ちょっともう1週間もトレーニングしたらすぐできるようになっちゃうんですね。
なんで低賃金なんですよ。
まあそうなんですね。
替えはいくらでも効きますよ。やってる作業は誰でもできますよ。
イコール低賃金という環境になるので
これストーリーで第3段階に移っていくんですね。
こんな過酷な状況で
ルドクリスさんとお父さんと
もう多分同じ名字なんでしょうけどね。
お父さんも一緒に働いていましたと。
まずお父さんは工場労働の結果病死をしてしまいます。
お子さんは食中毒で死亡します。
妻は上司に合間されます。
親族は買収に追い込まれます。
そしてルドクリスは勝ち切れて
会社を退職して社会革命のほうに行って
社会主義運動に身を投じていきますと。
そういうストーリーですね。
重たい。
全部重たい。
ジャングルのアプトン・シンクレアさんが書いた
ジャングルにおける主張としては
主に行き過ぎた資本主義
経済合理主義というかね
儲け主義といったほうが正しいでしょうね。
マルクスのいう作種というのに
まさに該当するこの構造こそが
アメリカが嫌っている社会主義、共産主義を
生み出す元凶になっているんだぞ
ということを訴えている本なんですよ。
ここにみんなは反応してほしかったんですよね。
後にアプトン・シンクレアさんはね
こんなことをインタビューでお残ししますね。
私は人々の心を狙ったが
胃に命中したと
人々の心を狙って
こういう労働環境が良くないよということを
言おうとしたら
読者の皆さんに響いたのは
食品工場の汚い実態だったということなんですね。
じゃあその食肉工場はどのように
描写されていたのかという話です。
ここからは明るく参りましょう。
皆さまお待たせいたしました。