1. シリアの希望- 2024年12月8日からの記録
  2. Week4 まとめとふりかえり(20..
2025-01-07 21:49

Week4 まとめとふりかえり(2024/12/29-2025/1/4)

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人道支援情報

UN OCHA: Syrian Arab Republic: Flash Update No. 9 on the Recent Developments in Syria (as of 31 December 2024) [EN/AR]

https://reliefweb.int/report/syrian-arab-republic/syrian-arab-republic-flash-update-no-9-recent-developments-syria-31-december-2024-enar

 

シリア地図: UNHCR Syria governorates of return overview as of 31 December 2024より 

https://reliefweb.int/report/syrian-arab-republic/syria-governorates-return-overview-31-december-2024

シリアの14県(governorate):ダマスカス、ルーラルダマスカス、スウェイダ、ダラア、クネイトラ、ホムス、ハマ、タルトゥ―ス、ラタキア、イドリブ、アレッポ、ラッカ、デリゾール、ハッサケ

報道メディア情報

Al Arabiya News: No date yet for landmark Syrian national dialogue, sources say (2025/1/3)

https://english.alarabiya.net/News/middle-east/2025/01/03/no-date-yet-for-landmark-syrian-national-dialogue-sources-say

 

The Syrian Observer (About Us )

https://syrianobserver.com/about-us

「紛争の各アクターがどのような言説を発表するかに光をあてることで、デモクラシーの価値観を推進することを目的とします。」

(Our objectives are) to shed light on how the different parties in the coflict shape their discourse, and to contribute to the advancement of democratic value.

 

サマリー

2024年12月以降、シリアでは戦闘が続き、66万人以上の新たな避難民が発生しています。今後の国民対話会議の開催に関して、アサド政権崩壊後の新政権の透明性への懸念が高まっています。シリアの政治動向や人道支援について議論が進められ、特にシリア・オブザーバーの役割が紹介されています。ここでは、シリアの市民社会や民主化運動に関する情報を英語で発信する重要性が強調されています。

シリアの現状
2024年12月8日からの記録。こんばんは、AKIKOです。今回は、2025年1月6日に収録しています。
この番組では、2018年よりイラクのドホークにて、NGOによるシリア難民支援やクロスボーダーでの北東シリア支援に携わっている私の立場から、2024年12月8日以降にシリアで起こっていることに関する情報収集をまとめ、所感を語ります。
現在は、ヨーロッパに本部を置くNGOに所属し、シリア人の同僚たちは、北東シリア在住のクルド系のスタッフが多いという立場で情報を収集するため、中立性を心がけますが、どうしても自分自身の焦点またはリーチできる情報範囲が偏る可能性が高いと自覚しています。
この番組を聞いていただく場合、その点ご了承、ご注意をいただければと思います。
シリアアラブリパブリック シリア全土で戦闘行為と治安の悪化が続いている。
先週は、アレッポ、デリゾール、ハマ、ホムス、ラタキア、クネートラ、ルーラル・ダマスカス、タルトゥースの各県で事案が発生し、民間人に死傷者が出た。
この1ヶ月で全国で66万4千人以上が新たに避難民となった。避難民数は12月12日の110万人をピークに、12月27日現在うち48万6千人近くは既に帰還している。
シリア北東部では約2万5千人の国内避難民が180箇所以上の避難所に留まっているが、そのほとんどは水、衛生設備、プライバシー確保が不十分である。
ディシュリンダムは戦闘行為によって損壊し、20日以上稼働しておらず、メンビジとコバニに住む少なくとも41万3千人の水と電気の供給に影響を及ぼしている。
WHOはEU Humanitarian Air Bridge、EUの緊急物資用のフライトにより、シリア北西部の医療施設に手術キットや必須医薬品を含む50トンの救命医療物資を届けた。
シリアが直面する3つの危機
シリアは進行中の治安不安に加え、深刻な経済・人道危機にも直面している。
資金の流動性に関する懸念の高まり、水や電気を含む公共サービスの低下、石油製品や輸送価格の高騰が人道支援実施者から報告されている。
業者や人道支援機関は現金引き出しの量の制限により、オペレーションに悪影響を及ぼしているとし、一部の業者は特定の品目の需要急増や外出禁止令、暴力・強盗事件などの治安関連の問題により、在庫が減少しているとしている。
ハッサケ県では公的・民間とも金融機関が閉鎖されたままである。
輸送コストの上昇にもかかわらず、食料品の価格は顕著に低下している。
しかし、アレッポ市とアレッポ西部では、パンのアベイラビリティが依然として低く、テリゾール県では一部のベーカリーがまだ営業していない。
これらの地域のベーカリーでは、生産量を拡大するには、緊急の修理やメンテナンスに加え、小麦粉などの材料も必要である。
国全体では、道路・電気網・公共サービス施設などのインフラの復旧が急務である。
イドリブ南部、浜北部、アレッポ西部の村は、かつての前線に近接しているため、甚大な被害を受けている。
アレッポでは、ティシュリーンダムが12月10日に戦闘で損壊して以来、20日間稼働しておらず、
メンビジとコバニで41万3千人以上が水・電力へのアクセスを奪われている。
国民対話会議の開催
以上、翻訳でした。
以下、私の所感・解説です。
まず、この記事にも地名がたくさん出てくるので、県名入りのシリアの地図を貼りたいと思って探しました。
最新情報の含まれているシリアの地図として、今回は、UNHCRが2024年12月31日に発行した
シリア・ガバネレイト・オブ・リターン・オーバービュー・アズ・オブ・サーティ・ファースト・ディセンバー・2024
シリア・機関対象圏の概要、2024年12月31日時点を画像として概要欄にアップします。
ここで、県名について少し解説します。
英語でgovernorateは、日本語でここでは県と訳すことにします。
シリアには14県があります。これは、2011年の内戦開始前から同様に認識されてきています。
中央の首都から南東の方向に時計回りに
ダマスカス、ルーラルダマスカス、スウェイダ、ダラア、クネイトラ
中央から北西の方向に
ホムス、ハマ、タルトゥース、ラタキア、イドリブ
そして、北部から北東部にかけて
アレッポ、ラッカ、デリゾール、ハッサケ
もう一度、14県続けて読みます。
ダマスカス、ルーラルダマスカス、スウェイダ、ダラア、クネイトラ
ホムス、ハマ、タルトゥース、ラタキア、イドリブ、アレッポ、ラッカ、デリゾール、ハッサケ
以上の14県です。
カタカナ表記や発音は揺れる場合がありますが、この番組ではこの読み方でいこうと思います。
さて、概要欄に貼ったUNHCRの地図では、国外から2024年にシリアに帰還した人数を表しています。
比較的人数が多い、大きい青い丸二つ、北部に並んでいるのがアレッポ県とラッカ県です。
アレッポ県は首都ダマスカス県以上に人口のいる、シリア最大の人口の県です。
Wikipediaによれば、2021年の推計人口が約411万人、県の人口です。
このアレッポ県の一部、そして隣のラッカ県の大部分を以前ISISがシリアにおける拠点としたために激戦地となりました。
そのために、もともと避難民の数が多かったということが、そのままこの帰還民の数の多さに反映されています。
また、両県とも部族や宗教の多様性を背景に、そしてトルコ国境に面した地勢的、戦略的に重要であるという理由から、現段階でも戦闘行為や治安の不安定な状態が継続しています。
記事に出てくるティシュリーンダムは、アレッポ圏内のユーフラテス川のダムです。
また、メンビジ、コバニといった地名、それぞれアレッポ県内のトルコ国境に近い地域です。
それぞれISISとの戦いにおいても激戦地となった地域ですが、現在も再び戦地となっています。
二つ目の記事、アルアラビーヤニュースから2025年1月3日の記事です。
シリアの歴史的な国民対話の日程は未定、以下、翻訳の上、要約します。
5人の情報筋によれば、シリアの新政権は、アサド政権崩壊後の国家の新たな道筋を描くために
シリア社会から広く参加者を集めた画期的な国民対話会議の開催時期を未だ決定していない。
この会議の開催は、ハヤトタハリール・アルシャム、HTS率いる反対政派の重要な公約であった。
13年にわたるシリア内戦の間、アサド政権に対抗してきた野党グループからは、
この対話会議がどのように準備されているのか、透明性が欠如しているとして不満の声が上がっている。
ロイターの取材に応じた情報筋には、シリアの情報省職員2名、
シリアの新政権メンバー1名、会議計画の進行状況について説明を受けた外交官2名が含まれている。
当局から非公式な連絡を受けた人々もいるが、会議の公式招待はまだ送られていないと彼らは述べた。
シリアの一部の報道機関は、以前、会議は1月4日から5日にかけて開催され、
シリアの宗教・民族・地理的・政治的なスペクトルを超えて約1200人の代表者の参加を目指すと報じていた。
HTSは政権を掌握して以来その地位を固め、3月1日まで基本的な行政サービスを管理することを任務とした暫定政府を設置した。
しかし、野党グループから支配者に転身した彼らは、国家を確立し基本的な行政サービスを運営しながら、
外国からの使節団を次々と受け入れ、政治的移行を行っているため手薄になっている。
政府関係者によれば、国民対話会議は3月1日以前に招集され、国会と憲法が一時停止していることを含む問題に対処し、
新憲法起草プロセスを開始することを目的としている。
HTSの代表であり、シリアの新指導者であるアフメド・アルシャラーは、憲法草案のための包括的な政治プロセスが必要だと述べている。
今後の展望
シリアの小規模野党グループ、シリア自由党の党首は、
新政権は未だ権力を獲得した軍事グループであり、権力を共有する必要性をまだ感じていないのでは、今後変わるかもしれないが、とロイターに語った。
以上、要約、翻訳でした。
次は、私の所感・解説です。
と言いつつ、これは今後のことに関する極めて政治的な動き・内容なので、個人としては強い関心を持ってはいますが、
期待にせよ、不安にせよ、偏った見解をここで出すことを避けたいという気持ちが強くあります。
私は人道支援ワーカーであり、評論家や研究者ではないので、十分な背景・知識を持っているわけではありませんし、
また、予測を楽観的に語るか、悲観的に語るかというのは、あくまで私の時々の気分によるものが大きくなってしまうと予想されますので、
私の気分で、楽観的だとしても悲観的だとしても、予測を出すことがこの番組にとっては良いことだと思えませんので、
現時点でこのことに関する見解を述べるのは難しいという気持ちがあります。
ただ1点、1つ目の記事で扱った北部で戦闘が継続しているということ、そして2つ目の記事で述べられている新政権が手薄になっているという話、
実際に憲法や国会など、新しい民主的な国づくりを進めるという重要な業務と、国内で複数の武装勢力が戦闘を継続しているということ、
さらに、一武装集団として国際的に認識されていたという状態から、暫定政権として国際的に認められるようになれるように外交を進めるということ、
それらを並行して進めるというのは非常に大きなチャレンジであるということがよく分かりますし、手薄になっているということもそうなのではないかなと想像できます。
シリアが民主的な平和な国として再び立ち上がって発展していけるかどうか、
これはシリア人だけではなくて、国際社会においても誰もがそのことを望んでいると思うのです。
その中、周辺国は必要な人道的なまたは外交的な支援は届けつつも、決して混乱に生じて自国の利益のために行動したり、シリアの領土を占領したり、
公共サービスに必要なインフラを破壊するようなことだけはしないでほしいというふうに強く願っています。
この番組ではいつもこのような結論に着地しますが、現時点でシリアの領土が占領されたり、もしくは公共サービスのためのインフラが破壊されているということが現在進行形で起こっているので、それが止まってほしいと強く願っています。
シリア・オブザーバーの役割
最後に全体のまとめの変わりとして、大手の国際メディアなどでシリアに関する記事が明らかに減ってきた中、
The Syrian Observerというシリアに関するアラビア語での国外国内の報道を英語に翻訳して紹介してくれているウェブサイトを見つけました。
こちらも概要欄にリンクを貼ります。
About Us、この私たちのウェブサイトについてとして書いてあることを翻訳・要約します。
シリア・オブザーバーは、シリアの政治及び市民社会に関するニュースを提供するオンラインニュースサービスです。
主にシリアの公式報道機関、反体制派、活動家、市民社会が発信するニュースを収集し、英語に翻訳して掲載しています。
このサイトの目的は、シリアに関する理解を深め、市民社会、民主化運動や内戦について国際社会に紹介することです。
また、紛争の各アクターがどのような言説を発表するかに光を当てることで、デモクラシーの価値観を推進することを目的とします。
主な読者ターゲットは、ジャーナリスト、学者、外交官、シンクタンク、そしてシリアに関心を持つ個人や団体です。
掲載する記事は選別されていますが、可能な限り多様な視点を提供するよう努めています。
このサイトは寄付金によって運営されています。
2019年時点の主な支援者は、コンラート・アデナウア財団(訳註ベルリンに本部を置く財団)と、スイス連邦外務省です。
過去には、デンマークのメディア支援組織であるインターナショナルメディアサポートからの支援も受けていました。
このサイトは、編集方針や政治的立場において独立しており、編集長はワイル・サワーハ、発行ディレクターはジハード・ヤジキです。
以上、翻訳でした。
以下、私の感想です。
この紛争の各アクターがどのような言説を発表するかに光を当てることで、デモクラシーの価値観を推進することを目的としているという部分。
オリジナルの英語では、
この部分、特に
デモクラシー、民主主義的な価値を推進することに貢献したいと、この部分に強い共感を覚えました。
私が今こうやって音声配信でシリアの情報をシェアしているということの目的も、究極的にはそこにあるように感じています。
民主主義ということに貢献したいというよりは、私自身の気持ちとしては、参加したいというような気持ちがあります。
このように強い共感を覚えましたので、このサイトの情報をしばらく追ってみて、次回はぜひこのサイトから記事を紹介できればというふうに考えています。
よろしければ楽しみにしていてください。
では、今回は以上です。
聞いていただいてどうもありがとうございました。
21:49

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