2020-09-20 16:15

第145回 【対談】ベーシックインカムがもたらす日本の未来~社会主義への移行・貨幣経済の崩壊(前編②)

前回の話の続きで、ベーシックインカムが日本で導入された場合に起こり得る産業の変化の可能性について若手実務家社労士と語りました。


「働かなくてもお金がもらえる」時代に、人は働くのか?


今回のエピソードでは、田村(社会保険労務士)がホストを務め、同じく社労士のオオタワ氏とともに「ベーシックインカム(BI)」の可能性と課題について語りました。きっかけは、リスナーからの「世界で実証実験が進むBIについてどう思うか?」というお便り。そこから話題は「働く動機が失われるのではないか?」「経済はどう変わるのか?」という根源的な問いへと展開していきます。


田村は、世界各国で進むBIの試み、とくにフィンランドの実験結果に注目。毎月7~8万円を一律支給された対象者たちの就業率は大きく低下せず、逆に「働き方の多様化」が生まれたことに注目します。週3勤務+副業や創業への挑戦など、最低限の安心感が新しい行動を後押ししたのではと考察します。


“固定収入”が与える心理的ゆとりと、自立への一歩


ベーシックインカムがもたらすのは、単なる金銭的補助だけではありません。とくに注目されたのが「居住環境の安定」です。ネットカフェや日雇い労働に頼っていた人々が、安定的な住所を得ることで、仕事探しやコミュニティ参加など、生活の再構築が可能になるという見方です。


これは“モチベーションの喪失”ではなく、“自律の入り口”としてBIを捉える視点であり、田村・オオタワ両氏は、「働く意欲」を損なわない限度での補助制度の設計が鍵になると語ります。


企業は雇わず、国が支給する?社会構造の再設計の可能性


BIの導入は、企業の在り方すら変えてしまう可能性があります。田村は「企業が人を雇う時代から、国が生活を支え、企業はアイディアを出すだけの存在になる社会が見える」と指摘。つまり、雇用の役割が「企業から国へ」、創造性の担い手が「人から会社へ」シフトしていくイメージです。


この構造は、資本主義的な労働経済から、ある意味で“社会主義的な富の再分配”に近づいていくもの。しかしオオタワ氏はその一方で、「社会主義的になると、イノベーションが停滞する懸念もある」と懐疑的な視点も提示します。つまり“最低限の生活保障”と“創造的な競争”のバランスが、未来社会の大きなテーマになりそうです。


ベーシックインカムは「貨幣経済」の終焉を加速させる?


対談後半ではさらに議論が深まり、田村は「貨幣経済の終わり」という視座を提示します。お金ではなく、“自分の成果が直接的な対価として還元される世界”——つまりブツブツ交換のような相互扶助的な社会に近づいていくのではと語ります。


この見方は、BIとフリーランス的働き方の相性にも関係します。会社に属さず、対価をダイレクトに得る個人が増えていく中で、「働き方の流動化」や「雇用の解体」が進む可能性があるという指摘です。BIがその環境を後押しする制度として機能するのか、それとも歯止めになるのか——その行方はまだ未知数です。


未来は“安定”か“停滞”か──次回へ続く、終わらない問い


「働かなくても生きていける社会」は、理想郷か、それとも創造の終焉か。


ベーシックインカムがもたらす未来について、今回の対談では“心理的安心”や“社会構造の変化”、“フリーランス社会の台頭”、“貨幣経済の行方”といった多面的な視点で語られましたが、結論には至っていません。


次回の後編では、ベーシックインカムと雇用制度・国家の機能・教育・フリーランス的働き方との関係をさらに掘り下げていく予定とのこと。


「自分が働かないなら、誰が社会を支えるのか?」「“最低限の生活”と“人間の尊厳”のバランスとは?」


そんな問いを胸に、次回の展開をぜひお楽しみに。


~お知らせ~

サニーデーフライデーは、社会保険労務士として活動する田村が普段のサムライ業という固いイメージから外れ、様々な分野で活躍する方やその道の専門家・スペシャリストと語るトーク番組です。


人生に前向きでポジティブな方をゲストとしてお呼びし、経営者や従業員として働くリスナーの皆様が明日から明るく過ごせて、心や気持ちがパッと晴れるそんな『働き方を考える』ラジオをお送りします。


話すテーマは社労士業、働き方改革、キャリア、海外駐在、外国人雇用、海外放浪等です。


パーソナリティー:田村陽太

産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナー等のPRブランディング事業も手掛ける。


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【社労士ラジオ  サニーデーフライデー】
先の話をしていきたいんですけども、 このベーシックインカムっていうのを導入したことによって、
いろんな問題が多分出てくると思うんですよ。
全世界的にいろんな問題っていうのを僕がさらっていた中で、
一番大きいのは、働くモチベーションが上がっていくのかっていうところですよね。
そうだよね。お金が働かなくても入ってくるんだったらね。
それはもう必要最低限の保証が入ってくるんだったら、
私、仕事行かなくてもいいじゃないですかっていう方がどれだけいるのかっていうところが、
たぶん議論に上がると思うんですよ。
これはちょっとまだ日本ではやったことがあまりないのであれですけれども、
世界に目を向けたところですね。
フィンランドでこのベーシックインカムを調査したらしいんですよ。
実際に手当の7万か8万ぐらい支給した結果、
自由にベーシックインカムを支給したからって働いちゃダメっていうわけじゃなくて、
別に働いてもいいんだけど、
その人たちの給料がどんだけ減ったのかっていうところをやった結果、
そこまでベーシックインカムを支給しなかったときに比べると、
給料は少ししか減らなかったそうなんですよ。
なぜなのかなっていうところを考えると、
そういう仕事をやるっていうことは、
収入が上がったからって言って減額されるわけじゃなくて、
一律に支給されるので、
働けば働くほど収入が増えるので、
そこはあまり影響しなかったんじゃないかなっていうことは言われてるそうなんですよ。
その辺どう思いますか?
自分がもしベーシックインカムでお金が来たってなったときに、
それがどうなのかなっていうところとかは、
ご自由にお話聞かせていただきたいんですけど。
もし自分が今ベーシックインカムもらえるってなったら、
僕はいつか独立してみたいっていう気持ちがあるから、
仕事の方を週3くらいに減らして、
残りの2日で独立したりとかしてみたいなって思いますね。
確かにそういう考え方も出てくるよね。
今までの働き方じゃなくて、
ある程度この給料がもらうんだったら、
他のちょっと道もあるんじゃないかとか、
セカンドライフ的な感じで見る余裕が出てくるのかなっていう、
03:00
そういう視点もありますよね。
そうだね。
あとは今まで定食につけていなかった人たちが、
7、8万の収入をもらうことによって、
例えばちゃんとしたアパートに住むことができるようになって、
今まではネットカフェとかで寝泊まりをしながら、
日雇いの仕事をしてたような人たちが、
きちんと住所を持つことができるようになって、
お仕事ができるようになって、
軌道に乗る、7、8万のベーシックインカムによって、
自分の生活が軌道に乗るっていうのもあるんじゃないかなと思うんだよね。
そういうのはあると思います。
そうだね。
確実に毎月定額のお給料が入ってくるということによって、
やっぱりそこのベースを置けると、
例えば先ほどの家賃もそうだし住処もそうですけれども、
そういうところを見つけることによって、
ちょっとした心の安心感が生まれて、
そこから仕事探してみようかなとか、
他の人たちと連絡取ってみて、
コミュニティ活動してみようかなとか、
そういうところにもつながることによって、
もっと自律的に働くような人が増えてくるんじゃないかな、
っていうのはやっぱりありますよね。
そうだね。
確かに確かに。
少なくともベーシックインカムを支給したことによって、
働く人のモチベーションが下がらないっていう調査も出てきてるっていうのがね、
ありますけど、
日本でやってみた場合、それはどうなるのかなとね。
どうなんだろうね。
あと言われてるのが、
ベーシックインカムが国から支給されるんだったら、
そしたら私たち会社の方は、
今まで払った給料を払うの馬鹿馬鹿しいじゃないですかと。
今まで給料を払った総支給を、
ベーシックインカムで出てた給料で引いて、
引いた分だけ支給すればいいじゃないかとか、
そういう議論も多分出てくると思うので、
そこはどうするのかなっていうのはね、
もともと日本の中でも詰めていく必要はあるのかなっていうのはありますよね。
そういうこともあると思うんですけども、
僕がですね、このベーシックインカムについて、
いろいろお便りいただいて考えたんですよ。
ベーシックインカムって言ったら、
毎月のお給料が固定で入ってきて、
その分の財源が税金で払われるってことじゃないですか。
今まで会社からお給料をもらった分を、
こちらのベーシックインカムで支給すれば、
そういう今までの経済活動の変化であったりとか、
06:03
もしかしたら今まで人をすごい雇ってた会社さんも、
このコロナとかで自動化でもともと人を削減すると思うので、
埋もれる、解雇されたり埋もれる方も増えてくると思うので、
そういう民間からお給料をもらうって形じゃなくて、
国から皆さんお給料をもらうっていう形。
資本主義というよりかは、
社会主義的な感じにもなっていくのかなっていうところを考えてたんですよ。
考えたら今後は、
お給料とかの補填に関しては国がするんですけど、
イノベーションとかアイディアとかに関しては、
会社が生み出していくみたいな、
そういう区分けが今後生まれてくるのかなっていうことは、
ちょっと考えたんですよね。
会社はもう本当に人を雇用するというよりかは、
必要最低限でマンパワーで運営をすることは認められていきますよと。
その分、ちゃんと国の方が給料は従業員さんに対してとか、
そこに雇われてなくても、
そこに住んでる人に国が支給しますから、
企業は何とか結果を出してくださいみたいな、
世の中が生まれてくるのかなっていうのを漠然と考えたんですよね。
会社に人がつくんじゃなくて、
会社は社会貢献とか社会についていくみたいな、
人は別にそこの会社に所属するんじゃなくて、
いろんなコミュニティ、社会について、
会社にチャチャ入れていくみたいな、
私はこういうアイディアがいいと思いますよっていう提言していくような、
社会が僕はちょっと見えたんですけど、
どうですかその辺太田さん。
太田 社会主義的になっていくっていうのはあるのかもしれないよね、確かに。
社会主義的になっていくっていうのは結局、
国に純度に資金がないといけないわけじゃん。
で、そうなるにはさ、
例えば一番最初に言ったように、
農業を全部ロボットがやってくれるようになりましたと。
農業ロボットを作った人とか、農業ロボットの仕組みを作った人が、
すべての会社が富を手に入れるのではなくて、
それが一旦国に行って、それがみんなに回るっていうことになる。
ならないと、そもそもベーシックインカムにならないかなと思ってて、
それってもう国営事業みたいなわけじゃん。
09:02
国営事業として農業のロボットをやりますと、
得られた収益は皆さんにベーシックインカムとして渡せますと、
みたいな未来がやってくるのかなっていう気はしますね。
財源というところで見たときに、やっぱり国にお金が入ってこないといけないということで、
国がプロジェクト単位で動いていかないと原資が入ってこないということだから、
今大田が言った感じで、国営事業的な動きが増えてくるんじゃないかなっていうのはあります。
そうですね。
確かに確かに。それはあるよな。
でも一方で社会主義的になっていくと、
イノベーションが生まれにくくなっていくっていうのはあると思うね。
なんだろうな、そういう未来って来るのかなって思うんだけど、
ある程度、人類のイノベーションが頭打ちしてきたら、
それでもいいのかなって思うよね。
今の社会の仕組みでオッケーですと。
今の仕組みで得られる富をみんなで分けましょうと。
みんなで楽しく生活しましょう。
これ成長はあんまりしませんみたいな。
そういうことになってくるのかなと思うのよね。
そうなると、
今まで会社さんとしてもイノベーションして、
その分社会に貢献したことに対してお金が入ってくる。
だからこうやって競争原理が働いて、
いろんな会社が私はこのアイディアを見つけました、
こんなこと、新しいこと、
こういうものを作りたいなって思うんだよね。
そうなると、
その世界って楽しいのかなっていう気もするけどね。
今まで会社さんとしても、
新しいことを発見しましたとかやってましたけども、
そういうふうな国主導であった場合には、
そういう動きがまず会社のモチベーションとして上がるのかどうかっていうのはありますよね。
そうだね。
確かにそれは企業活動として楽しいのかなっていうところにはなりますよね。
楽しくないっていう意見もあると思う。
そうだね、確かにね。
一方でね、先ほど言った給料、
例えば20万、30万とか40万とか、
家族の大きさによっては必要なお給料はバラバラですけども、
政府が補填するんじゃなくて、あくまで本当にちょい足しぐらい、
ちょっとした補填ぐらいのイメージでやった場合っていうのは、
今まで生活してた暮らしよりも足りない、
もっともっと裕福な暮らしをしたいっていう方もあるだろうから、
だったら私はこういうふうに、もっともっと社会に貢献したことによって、
12:04
お金をもらっていただきたいんだっていう会社とか、
個人フリーランスとかが増えてくるから、
それぐらいの定式インカムの額がどれぐらいなのかっていう、
調整はやっぱり必要なのかなって思いますよね。
そうだね。
確かにな。
あとね、僕これちょっと、この質問でまだもう一つ考えたのが、
今って資本主義じゃないですか。
僕らが頑張った結果っていうのはお金で返ってくるじゃないですか。
貨幣経済ですよ。
何か貨幣経済っていうのが、
もう終わりに近くなってくるんじゃないかなっていうのも考えたんですよね。
僕らが生きてなかった昔の時代は、
皆さん農業をやってたりとか畜産業をやってる方たちは、
私たちは作った大根をどっかわかんないですけど、
市場のとこに置いといて、
次の日その市場のとこに行ってみたら、大根がお肉に変わってたみたいな、
そういう貨幣経済がブツブツ効果の世界が昔あったじゃないですか。
ああいう社会に戻っていかないといけないんじゃないかなっていうのを考えてて、
これをわかりやすい例で言うと、
僕らが頑張った結果っていうのが、
搾取搾取されてお給料として返ってくるじゃないですか。
それは会社の、例えばいろいろ、
施設の運営費とか環境がどうのこうので、
そういうコストがあって引かれて給料が出てくるわけで、
僕らが頑張った対価がそのまま給料として全部返ってくるわけじゃないですか。
なので、お肉と大根の話でそうですけれども、
個人が頑張った結果っていうのが、
ちゃんと適正に返ってくるような、
そういうフリーランス的な仕事、
フリーランス的な働き方っていうのが、
今後やっぱり出てくるんじゃないかなっていうのを考えたんですよね。
はい。
これは僕のあくまで自論なんですけれども。
そういうことになる可能性もゼロではないよね。
先ほど申し上げた会社に就く従業員が減っていくってことは、
なったら僕が頑張った結果っていうのは、
対価を持たないとダメじゃないですかって方が増えてくるから、
その場合、そういうちゃんと仕事を振る方に対しては、
これをしてくれたら業務委託のお金払いますよみたいな、
フリーランス的な働き方じゃないと、
このベーシックインカウントディスレーダー、
僕は維持できないんじゃないかなって思ったりするんですよ。
話を次回に持ち越すという形でもよろしいでしょうか。
15:11
分かりました。全然大丈夫ですよ。
すみません。
了解です。
先に言ってくれなかったね。
全然大丈夫ですよ。
前編でお話しさせていただきましたので、
後編ということでやらせていただきたいと思います。
次回にまた持ち越しましょう。
では一回切らせていただきます。
はい。
いかがでしたでしょうか。
次回もこのお話の続編をお送りいたします。
魅力的なお話たっぷりです。お楽しみに。
シャローシラジオサニーデイ・フライデイ、DJの田村洋太でした。
それでは次回もリスナーの皆様のお耳にかかれることを楽しみにしております。
今日も気をつけて。いってらっしゃい。
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