2020-07-26 16:49

第97回 【対談】社内の業務マニュアルは従業員と顧客どちらの為にあるべきか

前回の続きで、正しい業務マニュアルの作り方と現場改善の方法、従業員への巻き込み方、伝え方に関して社労士×社労士で熱く語りました。


ポストイットすら拒否される現場―ベテラン社員の“縄張り意識”が生む停滞


対話は、若手やアルバイトの提案がなぜ現場で拒絶されがちなのか、という話から始まる。ある現場では、作業効率を上げるために箱にポストイットで分類名を貼っただけで「余計なことをするな」とベテランから叱責を受けたというエピソードが紹介される。長年同じやり方を守ってきた社員が、新たな改善提案を“自分の立場が脅かされるもの”として捉える傾向が強く、結果として現場は変化を拒み、非効率なまま維持されてしまう現実が語られた。


「頑張っても報われない」上司の態度が改善文化を潰す


なぜ現場の改善提案が組織に届かないのか。要因の一つは「提案しても評価されない」という空気だという。現場を仕切る上司が「どうせ待遇に影響ない」と冷めた態度でいると、部下も業務改善への意欲を失う。さらには「失敗したらお前の責任」と責任を押しつける上司がいることで、誰も手を挙げなくなる。改善を促すには、上司がまず部下の提案に耳を傾け、共に考える姿勢を持つこと。そして、小さな改善にもきちんと評価を返す「ボトムアップの文化」が不可欠だと提言された。


「つゆだく2倍じゃ足りない」現場の違和感が示すマニュアルの限界


具体的な例として牛丼チェーンの“つゆだく”が挙げられた。ある店ではつゆを追加したいという要望に柔軟に対応していたが、別の店では「マニュアルでは2倍まで」と拒否。客は不満を持ち、「この前の店ではやってくれたのに」とクレームになる。これは全国チェーンならではの難しさであり、サービスのばらつきがブランドへの信頼を損なう恐れもある。それでも、現場の声を吸い上げる柔軟性があれば、改善は可能だという視点が提示された。


業務マニュアルは“最初に与えられるもの”でいいのか?


田村は「入社時点で業務マニュアルが完成していること自体が不自然では?」と問題提起する。従業員一人ひとりが、日々の気づきをもとに業務改善案を提出し、店長がその都度確認し、必要に応じてマニュアルを差し替える仕組みにすれば良いのではないかという。実際の現場に合ったルールは、現場からしか生まれない。全国展開の企業であっても、地域や業態ごとに微調整された“現場発信型マニュアル”があって良いのではと提案された。


「マニュアル通り」に潜む非効率と責任の転嫁―役所でも民間でも見える構造


最後に、ある行政官庁への書類提出時のエピソードが語られた。担当者が一度確認した書類を「5分で戻るから預かって」と言っても「マニュアル上できません」と拒否され、再提出の際には同じチェックを繰り返されたという。これは役所に限らず、民間企業でも見られる“責任回避型マニュアル運用”の一例だ。本来、マニュアルは「目的を達成するための手段」であるはずが、「ルールを守ること自体が目的」になってしまっている。この構造的問題に対し、「誰のためのマニュアルか」という原点回帰が求められていると締めくくられた。


本エピソードは、「マニュアル」という日常に埋もれがちな仕組みを通して、職場の停滞と改善の難しさを鋭く掘り下げる内容となった。改善提案が活かされる職場、現場の声が生きる制度設計、それらを支える「信頼される上司」がいて初めて、働きやすさと生産性は両立する。マニュアルとは「考えないための道具」ではなく、「考えた結果を形に残す仕組み」であるべきなのだ。


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サニーデーフライデーは、社会保険労務士として活動する田村が普段のサムライ業という固いイメージから外れ、様々な分野で活躍する方やその道の専門家・スペシャリストと語るトーク番組です。


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パーソナリティー:田村陽太

産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナー等のPRブランディング事業も手掛ける。


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思いついたんだけどさ、その話から関連して話したいことがあってさ、
はい。
なんかそういう、なんていうんだろう、なんかそういう、正社員とかさ、長年いるようなベテランのさ、10年、20年、戦士の人がさ、
はい。
いるじゃないですか、どこの会社にも。
はい。
で、なんか今のさ、大沢の話もそうだけどさ、ポストイットとかさ、付けたりとかさ、箱になんかペンでなんかこれあんなに用造とか書いてたらさ、
別にその、正規の最終位置とか就任でも働ける人も働けんじゃん。焼けるじゃん、焼き歯で。
うん。
なんかそうやって長年いるようなベテランがさ、なんかそうやってここの左箱にある、左の位置にあるからこれは取れるからそんないらねえんだよとかさ、
うん。
自分の仕事が、自分の仕事の範囲とか、自分の仕事を侵されるのが嫌だから、そういうふうにこう、記者内で否定して、
でその、経営層とかその、幹事職の人ってやっぱそう長年いる人たちの意見を聞くから、会社が変わっていかないのかなって僕は思ったの。
うん。
そういうのってあるじゃん、どこもなんか。
これはね、ある、あるよね。そういう人の中に。
仕事教えてくんないタイプじゃね、それ。
あ、そうそうそうそうそう、そういうの。
これ、これ教えてくださいって言っても、これはやんなくていいからとか。
そうそうそうそうそう。
そう、いや、教えたらもうお前シフトこなくていいんだから休めんじゃんみたいな。
うん。
他のなんかもっとレベル高い仕事したらって、そういうのがいいんじゃないって思うけどなんか、その仕事にしがみつくみたいな。
まあね、たぶん、ステップアップしたくないっていう事情もね、あるんだろうね、そういう人は。
なるほどね。
いや、そうだと思うけどね、絶対。
そうだよなあ。
逆にそれあれなのかな、会社側がそういう風にさせてるのかな。
異世紀の人とかそういう、何だろう。
より高いレベルの仕事をしたらその分、たぶん会社はもっといい売上とか上がると思うんだけど。
逆にそれで賃金を上げないようにするためになんかそういう風な、社内体制を逆に効率化しないようにさせてるのかな。
03:06
まあやっぱさ、その先輩の上にもやっぱ上司がいるわけで、その上司の上にも上司がいないようにするわけじゃん。
で、その先輩の上にいる上司の人が、やっぱり今まで何やっても、
例えばそういうね、ちょっと小さい業務改善とかをしても、会社が評価してくれなかった。
そんなちょっとは外のことをやったぐらいで、自分の待遇がかかるわけがないって思ってるから、
めんどくせえことやんなよ、みたいな空気を部下に出し、
その先輩もそれをわかってるから、
めんどくせえ業務改善とかさ、こんなことしたって誰も報われないんだからさ、
こんなことすんなよ、っていう気持ちで、新入りの人に当たっちゃうと、
組織全体がそうなっちゃうよね。
あーそうだね。確かにそうだよな。
ってことは経営層がちゃんとそういうちょっとした気づきに対しても、それいいじゃんって言って、
ちゃんと上げていけば、ボトムアップっていうかな、ボトムアップしていけばちゃんとそういう風土が生まれて、
もっともっといい感じになるのかな。
そうだね。それでちゃんと小さい業務改善についてきちんと向き合って、
きちんと責任を取ってくれないとね、やだよね。
絶対だって、自分、業務改善の提案した人が最終責任を負うっていう状態だったらさ、
それは提案したくないよってなっちゃうじゃん。
そうだね。
自分がその業務改善の提案をして、それに対して真摯に向き合ってくれて、
こういう場合はどうなの?こういう場合はどうなの?っていろいろ一緒に考えてくれる上司だったらさ、
それは業務改善の提案したくなるけどさ、
え?そんなことすんの?それやって他のミスが起きたらお前のせいだよってなるような上司だったら、
そりゃあね、やりたくないよね。
いやでもそんなん毎日してるじゃないですか、日本なんてもう、はっきり言って。
あとは上司の仕事感が狭いというか、
例えば店舗のマネージャーとか店長とかってさ、
売上の責任を負ってて、
ちっちゃい餃子の配列のさ、業務改善のことはさ、
店長って多分本社から評価されないんだよ。
06:00
だからそんなことやってね、
そういうのを考えるのがもうめんどくさいというか。
そういうのをなんかやらなくても別にもういいじゃんみたいな。
評価するのは別の特殊軸なんだからみたいな。
よくさ、飲食店とかサービス業とかはさ、
店長からステップアップして本部に行って、そっから出世するみたいなのがあるじゃないですか。
あれはまさしくね、僕はそういう風な仕方がいいと思うんですけども、
店長が本部に行ったときに、ちゃんとその従業員さんももっともっと実務でさ、
仕事してるのはアルバイトとか非正規の方じゃないですか。
多分いろんな気づきがあると思うんですよ。
なんでこれやってんの?みたいな。
だから俺も牛丼屋でさ、某牛丼屋で大学で働いてたけどさ、
会社のお客さんとかで牛丼のつゆだくみたいなって言われるんですよ。
で、つゆだくっていうのは普通にお玉で漬く量の2倍のレードルでタレを入れて、
それがつゆだくなんですけど、
お客さんに会ってはつゆだく、こんなんじゃつゆだくじゃねーよみたいなお客さんもいて、
だったらもっと2倍でも3倍でも別のお皿にさ、
つゆ入れてさ、どうぞ好きな通りかけてくださいみたいな。
でもそれが一番お客さんのためになるじゃんみたいな。
そしたらいいんじゃないかと思うけど、
これはうちの2倍でどうのこうのみたいな2倍で決まってるんですよ。
何の2倍だよみたいな。
お客さんの最初の1倍の量で満足してなかったらどうすんだよみたいな。
そういうところもイラッとすることもありますし、
普段そういう従業員さんの気づきとかっていうのを会社に明らかにフィードバックするみたいな仕組みってすごい大事だなと思って、
入社した時から業務マニュアルがあるっていう状況がおかしいと思ってて、
もう一人一人業務マニュアル思いついたこと作っちゃえばいいじゃんみたいな。
それで一人一人業務マニュアル作って店長に見せますと。
私はこのやり方の方が多分お客さんにとっていいと思いますんでって言って、
その店長に言ってそれいいじゃんって言って、
つどつど差し替えするみたいな業務マニュアルの店舗で。
なんかつど1年に1回か半年に1回か本部にさ、
うちの業務マニュアルはこれが正しいと思いましたみたいな感じで。
やって、それ全国展開しよう。
この九州の店舗だったらこれ役に立つみたいな。
そういう仕組みとかをしたらもっといいのかなって僕は思うんですけど、
なんか入社した時からその業務マニュアルがあるっていう、
なんかそういうのだったらもうそれに従うしかないねみたいな。
ならざるを得ないんだろうなって俺は思って。
そうだね。
でもさ、例えばさ、
通濁の話で言うとさ、
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A店舗では通濁お玉2杯でご満足いただけなかったお客さんには、
プラスアルファ通入れてますと。
お客さんは牛丼好きだからさ、
どこ行っても基本その牛丼を食うわけですよ。
B店舗に行きましたと。
B店舗ではみんなマニュアル守ってて、
通濁って言ってもお玉2杯分しか通入ってませんと。
B店舗の店員さんがさ、
お客さんからA店舗ではこういうサービスをしてくれましたが、
B店舗では違うんですか。
同じ会社なのに何でですかって言われたら困らない。
まあね、確かに。
言ってること違うじゃないかよって言われた時に、
そんなのうちでは何も対応できてないんだけどみたいな、
その時間でどうしようどうしようみたいな、
どうやって対応しようみたいな困ることあると思う。
で、だいたいそういうの責任取らされるのは店長とかだからね。
店長は一番末端のバイトが取り合ったこととかまで把握してなかったりしたらね、
困っちゃうからね。
だから企業の大きさにもよるよね。
牛丼のチェーン店みたいに全国どこにでもあるようなところって多分。
まあ、なかなか大変なんだろうなと思いますけどね。
そうだね。
最終的にはお客さんが店舗の中に入ってもらって、
自分で作っていいですよみたいな。
責任取らせるみたいな。
自分で牛丼作る。
お前も好きなように持っていいからさ。
だからそういう問題が起きないんだろうけど。
もはやそれは飲食店なのか。
マニュアル人間、どこの会社でもあると思うんですよ。
全部はぐちぐちになっちゃうんですけど。
例えば労働局とか行ってもさ、書類持って行ってさ、
初回面なんかわかんないけど許可申請の書類持っててさ、
とりあえずこの感じでいいと思いますみたいな。
あとはこの追加の資料を持ってきてください。
追加の資料つけてもらったらもうこれ受理されますと言われて、
わかりました、その追加の資料取ってくるので、
もう出来上がった書類置いとっていいですかみたいな。
窓口置いといていいですかみたいな。
言ったら、いやちょっと私たちは預かることができませんので無理です。
5分10分でその書類取ってくるから、
12:00
もう窓口に置いておいてもらって、
追加の書類持ってきたら別にいいじゃないですかと。
言ってもマニュアルがどうのこうのでとか言って、
最初初回面談でめっちゃ書類もう不備がないか確認してるのに、
また僕がその書類をまた自分で手持ちで持って行って、
5分10分外出して書類をまた取ってきたと。
またその窓口出したら初回面談のチェックしたところを
またもう一回チェックしてさ、何のチェックだよみたいな。
無駄じゃんそのマニュアルのチェックが、何なのこれみたいな。
そういうイラッとするのもありますし。
そういう、何なんだろう、
マニュアル通りにやるっていうのは僕はちょっと、
その住居民さんも責任取れないからわかるんですけど、
結果一緒じゃんって僕は思うんですよね。
結果一緒だったらもうね、判断できるじゃんって僕は思うんだけど、
何だろうなっていう。
まあ、いろんなことが考えられるからね。
難しいよね。
そうだよな。
特にね、フリーランスでタムラやってるから、
僕は雇われの身だからさ、労働局でどうすると言われたけど、
面倒くせえ、まあいいや、雇われてるだけだしっていう感覚でやってたけど、
時間に関するさ、時間の大切さが全然違うよね。
雇われの身と、そうやってフリーランスで働いてる時だと。
そうだね。
それもあるだろうな。
一筆欠かせたらいいじゃんって思うんですよ、お客さんに。
私はもうさっきの許可申請の話でもそうだけどさ。
名前聞けばいい話じゃない?
さっき何とかあった人に一回チェックしてもらいましたって言えば、
ああ、そうなんだって言って。
それでももう一回チェックするんだったらチェックさせればいいし、
その人に聞きに行って、何か気になるとこあったってその人がその人に聞きに行けば、
それでもいいのかなと思うけどね。
俺毎回謎咲きしてるんだけど、この何とかさんにやってもらったから、
もう一回何とかさん呼んで、さっきの追加の書類持ってきましたって言って。
もう間違いないですよねって言ったら、
書類を僕が持ち出していることでもしかしたら不足があるとか増えてるみたいな。
もう判断ができないからもう一回追加で頂戴みたいな。
あと書類を預かっておくっていうのは紛失があるから、
それはできないからっていう意味合いだと思うんだけど、
それはお前らの都合だろと。
誰のためのあれなんですかと。
だから一筆欠かせたらいいじゃないかと思うんですよね。
あるよね、そういうの。
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業務マニュアルが自分たちの社内の業務の都合じゃなくて、
目的が取り違えてるんじゃないかなって思うんですよね。
そういうところまで考えてやんないとさ。
役所の人はね、役所は民間じゃないからね。
お客様のためにやってるっていうさ、そもそもそういう思想がないじゃん。
民間の仕事だったらさ、そもそもお客さんあっての仕事だからさ、
お客さんが自分たちの仕事に対して疑問を持ってたらさ、
それに対して何かしら考えるっていうのはあるかなと思うけど、
役所の人はそういう思想がそもそもないからね。
円滑にそういう労働行政をちゃんと遂行するのが私たちの役目ですからね。
彼らの役目はそこだからね、それはしょうがないよ。
だったらなおさら電子申請とかさ、お客さんのシャドウィンの提出とかなくしてほしいよね。
まあね。
まあいいんだけどさ。
いかがでしたでしょうか。
次回もこのお話の続編をお送りいたします。
魅力的なお話たっぷりです。お楽しみに。
シャローシラジオサニーレイフライデー、DJの田村洋太でした。
それでは次回もリスナーの皆様のお耳にかかれることを楽しみにしております。
いってらっしゃい。
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