2020-09-08 15:44

第134回 【対談】新卒一括採用、ジョブ型雇用、労働者派遣の行方について語る

前回の話の続きで、政府が進める働き方改革の内容として挙げられる新卒採用の廃止、職務給評価、派遣社員との同一労働同一賃金について社労士×社労士で語りました。


単線型キャリアからの脱却へ:変わる働き方の価値観


これまでの日本では、「一社に新卒で入り、定年まで勤め上げる」という“単線型”のキャリアが一般的でした。しかし現在、その価値観は大きく揺らぎつつあります。会社にしがみつくのではなく、個人が自らのキャリアとスキルを武器に選択肢を広げる──そんな「会社にキャリアがある」のではなく「人にキャリアがある」社会への転換期を迎えています。


対談では、個人が自ら選び取り、自ら育てるキャリア観の重要性が語られました。今後は企業が社員を守るのではなく、社員が自分を守る時代。スキルや能力の更新を怠れば、組織にいても安泰ではいられません。まさに「自分自身が商品」になる時代です。


“ジョブ型雇用”の実態と、若者が直面する新たな壁


こうした流れの中で注目されているのが、「ジョブ型雇用」です。日本でも導入が進みつつあるこの制度は、フランスなどヨーロッパ諸国で主流となっており、職務内容に応じて給与が決定される仕組みです。役職や年齢ではなく「できる仕事」で評価される一方で、経験の浅い新卒や若年層には厳しい現実もあります。


フランスの若年層失業率(16~24歳)は実に23.2%と、日本の3倍以上。大学を出ただけでは仕事はなく、在学中から職業訓練やインターンでスキルを積まなければスタートラインにすら立てないのが現実です。


こうした背景から、日本でも学校教育の中にキャリア教育を組み込む必要性が指摘されました。中学・高校・大学を通じて「自分は何をしたいのか」「そのために何を学ぶべきか」を早くから考えることが求められています。


“新卒一括採用”と終身雇用モデルの限界


ジョブ型雇用が浸透することで、最も大きな影響を受けるのは、日本特有の「新卒一括採用」と「終身雇用」のモデルです。企業が一括採用で学生を囲い込み、長期的に育てていくスタイルは、コスト面でもリスク面でも成り立ちにくくなっています。


企業が求めるのは「今できる人」。中途採用で即戦力を獲得する方が合理的であり、育成にかける時間やコストが敬遠されがちです。この変化は、新卒者や若手にとってチャンスをつかむハードルを上げる一方で、学び続ける意識があれば、年齢や学歴を問わずチャンスが開かれる可能性も秘めています。


派遣・契約社員を“戦力”として捉える発想転換を


さらに話題は、派遣社員や契約社員に対する企業側の意識に及びました。これまで非正規雇用が選ばれてきた背景には、「人件費の削減」というコスト意識が強くありました。しかし、実際には派遣社員が正社員と同じ仕事をしているケースも多く、その待遇差が問題視されています。


同一労働同一賃金の法改正が進む中、これからの企業には「コストカットのための非正規」ではなく、「戦力としての非正規」をいかに活かすかが問われています。むしろ、すでに業務に慣れた派遣スタッフを積極的に自社雇用していく方が、採用コストや教育コストの観点からも効率的だという認識が重要です。


“キャリアは企業に属さない”時代の備えとは


対談の締めくくりでは、派遣や非正規といった雇用形態の多様化が進む中で、働く一人ひとりが“自らのキャリアをどう築くか”を主語にした考え方が欠かせないという話が出ました。


会社に評価される人材になる以前に、自分で自分を評価し、自分の価値を社会に提示できるような準備をしておく──。つまり、これからは「自分のキャリアに責任を持つ時代」なのです。


学校教育・企業・政策、そして私たち一人ひとりが、それぞれの立場で働き方の未来を考える必要があります。働き方改革はもう始まっている。レールの上を歩くだけではなく、自ら道を切り拓いていく覚悟が求められているのかもしれません。


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サニーデーフライデーは、社会保険労務士として活動する田村が普段のサムライ業という固いイメージから外れ、様々な分野で活躍する方やその道の専門家・スペシャリストと語るトーク番組です。


人生に前向きでポジティブな方をゲストとしてお呼びし、経営者や従業員として働くリスナーの皆様が明日から明るく過ごせて、心や気持ちがパッと晴れるそんな『働き方を考える』ラジオをお送りします。


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パーソナリティー:田村陽太

産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナー等のPRブランディング事業も手掛ける。



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3つ目が、単線型の日本のキャリアパスをやめていこうと。
単線型ってね、線が1本しかないよって意味の単線型。
就職をして、管理職になって、定年退職していくという、一つの会社で一生骨を埋めるみたいなね、そういう働き方が今までは結構主流だったけれども、
途中で退職してしまった人はどうなるの?っていう問題があって、途中で退職してしまった人もその人がキャリアを生かして、別の会社でも生きていくことができるような社会を作っていけるといいかなと思いますね。
そうですね。仕事が会社につくんじゃなくて、その個人個人についていくってイメージですよね。
そうですね。
個人が選び取っていくというか、そこの会社でその個人の能力をどう生かしていくかっていう、その個人の方の能力っていうのをどうするかっていうのがやっぱり重要になってくるというか。
そうですね。逆に言うと個人がね、会社にいれば別に、会社に行って仕事だけしてれば安泰っていう時代から、個人個人が自分のキャリアやスキルを磨いていかないといけない時代に変わっていくのかなと思いますね。
そうですね。
結構ヨーロッパなんかだとこういう働き方っていうのは既に始まっていて、フランスなんかはね、特に日本がお手本にしているらしいですけれども、いわゆるジョブ型雇用というやつですね。
役職とかにつくんじゃなくて、この職務についてちゃんとこなせるかこなせないのかとか。
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そうそう。仕事内容によって給料が決まるっていうのがフランスのやり方で。
これ何が起きるかっていうと、仕事ができる人は当然、いろんな仕事ができる人っていうのは当然給料が高くなるわけなんだけど、すごく不利になる人が出てくるのよ。
誰かって言うとね、新卒なの。
あー、はいはいはい。
それはそうだよね。ジョブ型雇用に。新卒ってそれは仕事したことがないんだから仕事できるわけないじゃん。だから新卒の出業率が結構高いのよ、フランスとか。
あー、そうなんだ。すぐ大学卒業して仕事もらえるわけじゃないんだ。
大学卒業して仕事もらえない人も結構いて、逆に言うと大学にいる間に本気で職業訓練をしていかないと就職できないっていう世界。
よく企業さんとか海外の日本の大使館とかで勤める若い方とかってトレーニーみたいな感じで最初ね、インターン生みたいなの入って、そこでなんとなく仕事が慣れてきたら次じゃあ正国正規雇用しますよみたいな。
ジョブ型雇用が当たり前みたいなところがやっぱりあったりします。
そうですね。
フランスでは業種別職務登給表っていうのが法律で決まってたりとか、産業別に労働協約で給与水準が決まってたりとかね。
熟練度別最低保証賃金みたいなものがあったりとかね。日本とはちょっとまた違った法制度があるみたいです。
まさにあれじゃないですか。日本で今やってる派遣業の同一労働同一賃金のあれじゃないですか。
労使協定の時の賃金評価制度のあれじゃないですか。
労働政策審議会に出た先生のセミナーに行ってきたときの資料を今見てるんですけれども、やっぱりこういうドイツとかフランスの賃金制度っていうのはお手本にしていると言われています。
これは仕事の内容によってお給料が決まってくるので、若者が不利になってくるという職業もあって、日本の16歳から24歳の失業率って2013年のデータだと失業率6.3%あって、それに対してフランスはなんと23%もある。
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結構高いね。3倍以上じゃん。
失業率が若い人はなんと3倍ぐらいあります。
フランスの失業率16歳から24歳が23.2%。
23歳から54歳がガクッと下がって8.7%。
55歳から64歳が7.3%ということで、若者が一番失業してるっていうね。
ジョブ型雇用になるっていうのは、仕事ができない人には仕事が回ってこないわけだから、こういうことになる可能性はあるよね。
海外で言ったら、日本で言うと、新卒で入ってどんどん中堅になっていく、管理職になっていく、役員になっていくみたいな、どんどん成長していく中での評価をしていくみたいなのがあるけども、
海外ではもう完全に大人になったら、社会人になったら、もう実力主義ですよと。
自分で教育訓練に行ったりとか、自分で能力を上げていかないと、いずれそのようなポストにポストというか、仕事も取れないし、それはもう平等な社会なんですよっていう。
平等の価値観というか、視点がちょっと違うんだろうね。海外と日本だと。
そうだね。だからこれ、働いてる人間だけじゃなくて、学校教育のあり方も変わってくるんだよね。
学校教育でいわゆるキャリア教育っていうのが絶対に必要になってきちゃうよね。
そうだね。早いうちからそういうキャリア教育を進めていかないと、例えばジョブ型とかそういう、同一労働、同一賃金の話もそうだけども、
自分はこのような仕事に就きたい。だからこの中学校、高校ではこういうことを勉強するんだ。大学ではこんなことを専門的に勉強するんだって前々から決めておかないと、
そういう準備もできずに行き当たりばったりで仕事を探してたら、そんなふうにはうまくキャリアアップはできないですよね。
そうですね。
そして、当然崩れ去っていくのが新卒一括採用。
これ新卒でね、一括で人をバーって入れて育てていくっていうのは、
このフランスみたいなジョブ型雇用の世界だとメリットがあんまりないよね。
全部中途でいいはずだよね。スキルがある人を取っていけばいいわけだから。
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企業としても研修の費用とかのコストにもなったりとかね。
あとね、卒業する前からそういう方を雇うっていうところは、その先どうなるかがわからないところを見越して会社が事前にペイして雇わなきゃいけないというのがリスクでもあるしね。
そうだね。
確かに確かに。そういうのはなくなっていくべきなんだろうね。なくなっていく必要ないもんね。ジョブ型雇用にしていくっていうふうになる。
そうですね。
なるほどな。
もうすでに待ったなしで、同一労働同一賃金の法改正っていうのは始まっていますからね。
もちろん総理大臣だけじゃなくて、その政策を進めていく各都道府県の労働局の人と。
我々はそれを経営者の方に伝えていって、もちろん一番頑張らないといけないのは経営者の方と、そしてそこで働くみんなと。
みんなで国民一体で働き方改革を進めていくというか、もうそのレールの上にみんな乗っているわけなので。
あんまりまとまっていませんが、今までにない働き方。働き方っていうとすごく変わってきた8年間だったなと思います。
ありがとうございます。僕が今太田さんが挙げてくださったトピックの中で、いろいろ考えていたんですけれども。
最初の同一労働同一賃金のとこ、派遣労働者とか契約社員の方とか、正社員とは違う待遇で働いてきた方っていうのがいる中で、
多分今まで日本企業がそういう社員さんを雇うっていうところの一番の動機はどこだったかっていうと、やっぱりコストだと思うんですよ。
もともとこの派遣業って、歴史をたどっていくと、もともとは26職種でしたっけ、専門的な仕事もしくはめちゃめちゃ簡単な仕事で派遣業は可能ですと感じだったけれども、
そこでまた全業種で派遣業が可能になりました。っていう風になった時に、派遣のお仕事っていうのが、もともとは本当に難しい仕事だったりとか簡単な仕事っていう風な例だったのに、
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全職種になったっていうことになると、普通の正社員と同じような仕事をしてるけれども、外部からそういう派遣社員を雇用して、ちょっとでも賃金を下げれればいいのかなみたいな。
で、その実態の派遣社員がやってる仕事っていうのが、自社の正社員に比べて本当はほぼほぼ同じ仕事をしてるのにコストが低いっていうのは、それはどうなのよっていうところが多分あって、それじゃあやっぱり今後社員さんとかを自社で雇用、採用するとか雇用するってのが難しい中で、
派遣社員の方がせっかく来てもらってるんだから、雇用できるようにモチベーション上げていこうよじゃないと戦力になっていかないよねっていうところの、コストというよりかは自社の戦力でやっぱ取り入れていかないとダメだよねっていうところのメッセージなのかなっていうのは僕は思ってて。
なんかそういうところの企業さんとかの意識の変わっていくところってまだまだちょっと古い考えというか、派遣さんはあれですよ、結局派遣料金上がっちゃったら派遣さんを頼む動機ないんですから、そんな意味ないじゃないですかっていう企業さんあるけれども、そこが違うでしょ。
せっかく会社の方に派遣さんが来てくれててそういうコネクションがあるんだったら、その優秀な人材自社で雇用していきましょうよって。
そうした方が採用するより全然コストも低くなるし、モチベーションも高い方が来るじゃないですかっていうところの受付が本当は必要なのかなって思ったりするんですよね。
うーんそうだねー。
まあ難しいよね。派遣会社にさ、勤めててさ、派遣会社に勤めてる人でずっと派遣会社でいいですっていうか、派遣会社の中でキャリア形成をしていくぞっていうふうに思ってる人がどれだけいるんだろうっていうのもあるけどね。
中にはね、ずっと同じ会社で働くのはちょっと嫌だっていう人もいたりとか、人間関係の面で嫌だとか、あとは責任を押し付けられたくないから、派遣でやりたいっていう方も多分中にいるだろうからね。
いかがでしたでしょうか。次回もこのお話の続編をお送りいたします。
魅力的なお話たっぷりです。お楽しみに。
シャローシラディオサニーレイフライデー、DJの田村洋太でした。
ご視聴ありがとうございました。
チャンネル登録よろしくお願いします。
またお会いしましょう。
15:33
それでは次回もリスナーの皆様のお耳にかかれることを楽しみにしております。
いってらっしゃい。
15:44

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