缶酎ハイとの出会い
前略 無意識さま。聞こえますか?SUBEHITOです。 心のずっと奥の方、もう一人の自分に送るボイスレター。
えっと今日は 僕が
初めて 無意識さまの存在をね
こう 感じた
そんな夜のことをね、ちょっと話そうかなと思うんですけど
えっともう 20年くらい前なのかな
その頃はね、僕証券会社で働いてたんだけど なんかね、いつもストレスを
抱えてたんですよね。なんかね 会社行くのが本当苦手でね
でね、その頃の僕には ちょっと悪い癖がありましてですね
仕事帰りに
コンビニでね 缶酎ハイあるでしょ
缶酎ハイ あれを買って
でね、それを飲みながら一人で夜道をブラブラ歩くっていう
ある… 変質者なんですよね
なんかね 公園とか
河川敷とかね なんかそういう
あんまり人がいない場所がまあ妙に落ち着くんですよね
まあそんな中ハイ飲みながらね 人がいるとこ歩いちゃダメですよね
そもそもね 今はもうそのことしてないんですよ、もちろんね
でもね、なんか当時はそれが唯一の
ストレス発散? 発散じゃないね
なんか鎮静剤みたいな
そういうのだったのかなって思うんですよね
でね、またこの缶酎ハイってのがね ヤバいんですよね
なんかね 脳みそが痺れるよね
なんか理性が溶けていくっていうか もうこれ本当危険な
やつですよこれ本当ね
それでね その日もね、ある日ね
会社帰りにまたそれを、その悪い癖っていうのをやってましてね
確かね、何時頃だろうな 夜の11時過ぎぐらいかな
それでも当時にしてはね早く帰れた方だったんですよ
でね、気づいたらねまた いつもの河川敷をこう
テクテク歩いてたんですよね 酎ハイ飲みながら
そう 川がね
黒く見えるんだけど、ゆっくりこう 流れてるのかなぁ
まあ流れてるんだろうね、そう
で電車がね、鉄橋を渡る音がね、ゴーってね
遠くで聞こえてるみたいな そんな感じの場所を歩いてたんだけど
なんか途中でなんか ベンチかなんかね座るとこを見つけて
怒りの吐露
へぇーなって座り込んで 何本目かの酎ハイをグビッと
それでねまたいつものように ぶつぶつね、毒を吐くんですよ
なんだよあいつとかね、ほんと腹立つなぁとか そんなことをねぶつぶつ一人で言ってて
そう まあ今思うとほんと見ともない恥ずかしいんですけど
でねその時 カバンの中になんだ
ICレコーダーが入ってるのを思い出しまして
当時ね、会議用に議事録とか書かなきゃいけなかったんで いつも持ち歩いてたんですよ
でまぁそれを取り出してまあおもむろに電源コイレまして で録音ボタンポチって押したんですよね
何を思ったか。で日頃の不満 そうなんか行き場のない怒りみたいな
言葉にならない嘆きみたいなのを延々と そのICレコーダーにぶつけ始めたんですよね
俺こんなに頑張ってるのに全然評価してくれないとかね なんかもうこの会社もう辞めてやるとかね
っていうか何のために生きてるんだろうとかね ほんとそんなことを
ブツブツブツブツね そう
でねアルコールも入ってるからだと思うんだけど だんだんこう感情が高ぶってきちゃって
気づいたら立ち上がってね なんかブツブツ言いながら歩き回ってたんですけど
たまにね自転車乗ったおっさんとか犬の散歩してる人とかがこう通るんですけど その時は静かにしてやり過ごすんですよね
で通り過ぎたらねまたブツクサ 再会するんですけど
ほんと今思うとねよく職務質問されなかったなって思いますねほんとにね
そんな風にしてなんか一時きりこう なんすかねうちなるドロドロをね
吐き出して 多分
あこれちゅちゅ言ってるのうちのけいちゃんですよ 息子です
多分小1時間ぐらい経った方かなぁ
そのぐらい経ったのかなぁ なんかね一時きりブツブツ言ってたら
あんだけ頭を占領してた怒りの声っていうかな 怒りの感情がね
スーッと遠のいていって
なんかいつの間にか無心に近い状態になってて
さっきまで気づかなかったこう
なんだろう 草の
風の音とか
あと笠村でね鳴く 虫の声とか
やけにクリアにこう 耳にこう染み込んでくるのに
体もねそう なんだろう割とリラックスし力が抜けている感じでね
そういつの間にか座っててさ
ふぅーなんつってね息をついて
レコーダーICレコーダーをカバンにしまって
でなんかそのまま 川の向こう側のね向こう岸の
建物たちの明かりを
なんかただぼーっとね眺めてたんですよね
なんかただただ静かな感じ すっきりして
そろそろ帰るかと思って
結構歩いてようやく家に着いて シャワーを浴びてね
で体もすっきりして
でまぁ ベッドにふぅーなんつってパサーッと倒れ込んで
そしたらふとねさっきの録音のことを思い出して そうそういえば録音したなぁと思ってね
でカバンから手探りで ICレコーダーを取り出して
イヤホンをね 耳にこう込んで
転がったまま再生ボタンをポチッと押してみたんですよ
そしたらね
まあ聞こえてきたのはなんか うざけんなよとかねなんかいい加減にしろって言って怒ってる僕の声だったんだけど
うわぁこれ俺だみたいな 僕怒ってるみたいなねそう
聞きながら思い出してなんか笑っちゃったんですけど 怒ってる自分の声を聞いてね
でもなんかその 自分のそのなんかその声を
録音 ICレコーダーから聞こえてくるなんか 言葉を聞いてるうちになんだかねぇ
なんだろうね込み上げてきちゃって
そう なんかね目頭が急にこう
チュワーっと熱くなったと思ったらね 脳みどが止まらなくなっちゃったんですよね
そうイヤホンから聞こえてくる自分の声に
なんか合図中って言ってね そうそうだよなぁとかね
つらかった うん本当そうだよとかね
よく頑張ったよとかってなんかなっちゃって 変な感覚ですよね
自分のね録音した声に自分が共感して自分で泣いてるっていうね
無意識との対話
でも涙止まらなくって うわぁーみたいになっちゃって
煽熱 なんですよ本当
ずっとこう しばらくこう
自分の中で押し込めてた悔しさとかね 苦しさとか不安とかもあったのかな
それが溶け出してって感じなのかな 世紀を切ったみたいにね溢れ出して
ベッドで一人ね 煽熱だよね
感じになったんですけど その時にねなんか自分の中から
自分のような自分じゃないような でも確かに俺僕自身であるなんかが
そぼわーって湧き出してきてね 包んでくれたように感じた
抱きしめられたみたいな感じがして
で その瞬間 大丈夫だって 僕大丈夫だ やっていけるって思ったんですよね
なんかすごい安心感 ぐちゃぐちゃだった気持ちっていうか気分が
内側からこうなんだろうね スワーッと整えられたっていうか
洗い清められたっていうかな 整理されたみたいな
何かによって そんな不思議な感覚がありまして
ああそうかいたんだっていうのかな 何だろうね 僕はずっと一人ではなかったんだなと
そう 極端的にそう思いました 別に誰かの例とかね
なんかそういう声を聞いたわけとかじゃないんですよ
でも確かに何かこう意味っていうか メッセージみたいなものも受け取ったような気はする
スピリチュアルというよりは もっとサイコロジカルな感じ
心理作用っていうの 僕が僕自身の中にある何かの力で自分自身を癒したみたいな
そうそうそう そんな
夜の体験でした あれだけ
心にかぶさってたね 何かそういう重たい霧っていうかモヤみたいなのが
その日を境に割と嘘みたいに晴れて
その夜はね アルコール入ってたけど 本当久しぶりにぐっすりね
深く眠れたんでしょ これがね
まあ 僕と無意識様の最初の出会い
なんじゃないかなって 今にして思えばだけどね
思います はい
無意識様聞こえてますか 今日はそんなとこですかね
スベヒトでした ではまたバイバイ