偽札のアートの紹介
いちです。おはようございます。今回のエピソードでは、偽札のアートについてお届けをします。
このポッドキャストは、僕が毎週メールでお送りしているニュースデータ、スティームニュースの音声版です。
スティームニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
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というわけで、このエピソードは、2025年12月18日に収録しています。
冒頭聞いていただいたセリフは、映画ルパン三世カリオストロの城から、エンディング間近のところのゼニガタ警部のセリフでした。
中には、ちょっと臭いなとおっしゃる方もいらっしゃるんですが、僕はちょっと大好きで痺れたセリフでもあります。
この映画ルパン三世カリオストロの城の冒頭で、泥棒一味のルパンと、そしてジゲエン、そしてちょっとしか映ってないんですが、ゴエモンが
このカジノで大金をせしめて逃げた後、お札をすべて窓から捨ててしまうんですね。
その理由なのですが、そのお札が物語の中のカリオストロ公国という国で作られ、世界中に流通している成功な偽札であることに気づいたからなんです。
ルパンたちは一見大儲けしたと思ったものの、偽札であると判明すると、惜しげもなくすべて捨ててしまいました。
このシーン、印象的なシーンなのですが、偽札が物語の大きなテーマであることを冒頭で観客に示す役割も果たしています。
というわけで、このエピソードでは偽札、あるいは眼札についてお話をしていこうかなと思っています。
ルパン三世カリオストロの城、宮崎駿監督の初期の作品になるのですが、
ぜひ、まだ見ていない方、あるいは見たけれども忘れちゃったよという方は、見ていただければなと思います。
すごく心温まるというか、やるパンかっこいいなぁと思うとか、いろんな思いを持つ作品なんじゃないかなと思います。
この作品で性癖をこじらせたという、僕みたいなおっさん世代もいるんじゃないかなと思うんですが、それはさておいて、このエピソードでは偽札の話題をお届けしていこうと思います。
お札のデザインに隠された意味
皆さん、お札を思い浮かべていただけますか。もし今手元にお札あるよという方は、チラッと見てもらえたらなと思います。
それから、もし今ネットにつながっていて、画像検索できるよという人は、お札の画像をできれば日本円だけではなくて、外国通貨についても、画像検索をしてもらえると嬉しいなと思うんですが、共通の特徴があるんです。
世界各国のほとんどのお札には、お顔が印刷されています。
日本のお札、日本銀行券だと、これ現行のお札ですね、最新のお札であれば、1万円札には渋沢栄一、5000円札には津田梅子、1000円札には北里柴桜がそれぞれ描かれています。
アメリカドル、ベイドル紙幣には、ベンジャミン・フランクリン、ユリシーズ・グラントラー、歴内の政治家が名を連ねています。
名を連ねるというか、顔を揃えるという感じですかね。
お顔を載せないことにしたユーロ紙幣なんですが、2013年の第2シリーズからは、やっぱりお顔を載せることにしました。
なぜお顔を載せないことにしたかというと、やはりユーロ紙幣諸国が自分の国の人が載っていて、他の国の人が載っていないとなると、ちょっと圧力を生むということを考えたということもあるとは思うんですね。
ただ、第1シリーズは建築とかお顔と関係ないものばっかり載せていたんですが、2013年の第2シリーズからは女神エウロペ、これはヨーロッパの語源になった女神エウロペのお顔を載せています。
もちろんこれは実在の人物ではないので、想像図ではあるのですが、想像図といえどもお顔を載せていて、そして2026年、来年予定されている第3シリーズ、発行が来年になるかどうかはまだわからないんですが、少なくともデザイン確定が2026年と言われている第3シリーズでは、
著名人のお顔を載せる可能性が発表されています。これはまだ取り下げられる可能性があるので、次のユーロ紙幣にお顔が載せられるかどうかはまだ未定ではあるのですが、かなり有力な案としてユーロ紙幣にもお顔が戻ってくることになりそうです。
ユーロ紙幣になる前のフランスフランであるとかドイツマルクであるとか、あるいはユーロ紙幣には加盟していない、元EU権でユーロ紙幣には加盟しなかったイギリスポンドなんかだと必ずどの紙幣にもお顔が載っていました。
なぜお札にお顔を印刷するのかということなのですが、これはですね、いい本がありまして、上村隆先生による偽札の世界史という本によると、お顔こそが偽造防止に役立っているということなのですね。
というのは、お札に見知ったお顔があると、僕たちはわずかな違いに気づけるからなのだそうです。
例えば、お札には日本銀行というふうに文字が書かれていたりとか、あるいは建物、あるいは景観が書かれていたりとかするのですが、
そういったものの中でも一番ですね、お顔の歪みに、今僕たちは敏感であると、だからこの印刷のわずかな歪みとかズレとかが、お顔であれば気づくということなのだそうです。
偽札を作るには本物の正確なコピーを作らないといけないのですが、わずかな歪みでも人目につくようにお顔が採用されているんだそうです。
というわけでですね、メールでお送りしているニュースレター、スティームニュースの方では、意図的にお札の印刷歪みを再現してみました。
アメリカの一世代前の100ドル札、ベジャミンフランクリンがね、中央に印刷されている少し緑がかった100ドル札を、わざとですね、印刷がズレたというか歪んだと仮定して、画像を作ってみました。
プロパガンダ紙幣の影響とメッセージ
ぜひね、ニュースレターの方で画像をご確認いただきたいのですが、本当にね、わかるんですよ。本当にね、ちょっとした歪みでも人間の目には、これ印刷がズレたなとか、歪んだなというのがね、わかるんです。
他の部分もわざと歪みをつけてみたので、よかったらね、というか、ぜひニュースレターの方で2つの画像、100ドル札のオリジナルと歪んだ画像を見てみてください。
ルパン三世カリオストロの城では、架空の国カリオストロ公国が国家レベルで偽札を作っていることになっていました。実際、国家レベルで偽札作りを行ったという例は過去にいくつもあります。
今回のエピソードでは、そういった国家レベルでの偽札については一旦置いておいて、偽札とよく似たプロパガンダ紙幣についてね、お話をしておこうと思います。
プロパガンダ紙幣。例えば太平洋戦争中、アメリカ軍は日本へ上空から大量のプロパガンダ紙幣をばら撒いています。
このプロパガンダ紙幣は表と裏とあるじゃないですか、お札って。その表面は日本円とそっくりにデザインされていました。
写真もいっぱい残っていますし、オークションとかで出てくるような大量に空中から散布されたものなので残ってはいるんですね。
このプロパガンダ紙幣、こちらもスティーブニュースに映像を掲載していますし、グーグル検索でアメリカ軍プロパガンダ紙幣という風に検索してもらうと画像で見ることができるのですが、表面は当時流通していたお札とそっくりに作られています。
もちろん戦時中ですから今のお札とは違いますが、当時の紙幣とそっくりになっています。
裏面に、ここがユニークなところなのですが、裏面に当時の日本国民に対するメッセージが書かれているんです。
表がお札、裏がお手紙ということになるんですね。
当時の10円札を模したプロパガンダ紙幣、ナンバー2034。
これはアメリカ軍の中では一番効果があった、つまりは最高傑作と言われたプロパガンダ紙幣なのですが、その10円プロパガンダ紙幣、表面は10円札とそっくりです。
その裏面にはこんなメッセージが書かれていました。
軍末が支那と戦争を未だに始めていなかった昭和5年には10円で次のものが買えた。
上等なお米2等5商。あるいは夏着物8着分の短物。あるいは木炭4票。
支那事変勃発後の昭和12年には10円で次のものが買えた。
上等なお米2等5商。あるいは夏着物5着分の短物。あるいは木炭2票半。
世界の大強国を相手に3年間絶望的戦争を続けた今日。
10円で次のものが買える。
闇取引にて上等なお米1商2号。木炭奨額。ただし買い売れば。
もめんぼのなし。
以上が諸君の指納者の言う共栄圏の成り行きである。
実際ですね。このプロパガンダ紙幣は効果がかなりあったとアメリカ軍自身は評価をしています。
この内容だったらばパンフレットを空中散布してもよかったのかなとは思うのですが。
紙幣そっくりにすることね。日本人が必ず拾うことを狙ったものでした。
一面を引くグラフィックで宣伝効果を上げるという手法は実名を出して申し訳ないのですが。
例えばシーナリンゴさんのグッズでヘルプマークにそっくりなものとかもありましたから。
現代でも行われているっちゃ行われていることではあるんですが。
特に戦時中みんなが欲しがる、戦時中じゃなくても欲しいですよね。
お札のグラフィックを採用するというのはなかなかずる賢い方法にはなるのかなと思います。
偽札作りの歴史
もちろん現代では日本でもアメリカでもこの方法は自国に対して使うことは禁止されています。
戦争中のことではあるので、敵国の偽札を作る作戦というのはよく行われてはいたんですね。
例えば第二次大戦中のドイツはイギリスのポンド札の偽札を作っていますし、
アメリカドル札なんかは戦争中じゃなくてもよく偽札を作られているのですが、
本国に持ち込まれない限りはそこまで大きなダメージにならないそうなのですね。
アメリカドル札を噂されているレベルだと北朝鮮国家ぐるみで作っていたりとかとは言われているのですが、
その外国製の偽ドル札がアメリカ国内に入らない限りはどちらかというとアメリカも勝手にどうぞという感じなんだそうです。
ただこれが自国内に入ってくると通貨の信用問題になりますからこれは非常に大きな問題になります。
ちなみに偽札を取り締まる組織として作られたのがシークレットサービスです。
アメリカというのは州の独立性が強いのですが通貨はアメリカ国内の州を超えて州をまたいで使われているので、
連邦政府にそれを取り締まる機関が必要ということで作られたのが、これは林間大統領の時代だったと思うんですが、
作られたのがシークレットサービス。その後シークレットサービスは職務を増やしていきます。
大統領敬語もそうですし元大統領の敬語なんかもシークレットサービスの仕事になっていきます。
日本だと首相敬語というと警視庁になるんですかね。
日本だとアメリカの州に相当する単位がないので、州政府というのがないので警察庁が管轄している。
東京の場合は警視庁ですね。それから都道府県のうちの都以外に関しては県警、府警、道警ということになりますから、
アメリカのような連邦警察に相当するFBIとかシークレットサービスというのはないんですが、
アメリカの場合はベイドルがアメリカ中で流通しているからという理由で連邦政府がそういった警察組織を立ち上げたということになるのかなと思います。
最後にお札作りとアートについてお話をしておこうと思います。
アートと偽札の関係
アメリカで最初にお札を吸ったのは、正規のお札を吸ったのは万能の人とも呼ばれるベンジャミンフランクリンでした。
ベンジャミンフランクリン、科学者としても有名ですよね。
彼は作家でもあり自身で印刷書も持っていたんですね。
そのためにまだ独立前のアメリカで、つまりイギリス植民地時代のアメリカで大陸紙幣コンティネンタルカレンシーの印刷を受け負いました。
彼は偽造防止のために本物の木の葉っぱを銅板に刻みつけることで、非常に細かい模様を銅板に刻みつけることで、当時の技術ではコピー不可能な紙幣を作ったんです。
とてもアーティスティックでかつ現実的な方法ではあったと思うんですが、
残念ながらすぐに偽札が作られてしまいます。
大陸紙幣コンティネンタルカレンシーの偽造者たちはそれっぽい木の葉を使って偽札を作っていたんですね。
誰も木の葉の違いに気を使わなかったため、観察と気づかれなかったそうなんです。
やっぱり紙幣にはお顔が必要ということで、現代の100ドル札にはフランクリン自身のお顔が印刷されています。
彼が睨んでいるとも考えることができますね。
その後アメリカはイギリスから独立して紙幣も刷新します。
1861年にカラー写真フィルムが発明されるんですが、同じ年にこの0ドル紙幣も刷新をされています。
この時は当時のカラーフィルムに映りにくい薄緑色が採用されました。
今でもアメリカドル札というと薄緑色のイメージがあるかと思うんですが、
これはこの時1861年のカラーで写真で再現しにくい色というのが選ばれたわけなんですね。
この当時の名残ということになるかと思います。
お札作りはこのようにして最先端の技術を追いかけ合うものなんですが、
お札作りそのものをテーマにしたアーティストもいらっしゃいます。
例えばアメリカ人アーティストのJ.S.G.Moxはお札そっくりの絵を手描きしています。
彼はこの絵を貨幣として使うことでアートとして完成すると考えていました。
アート、絵画がそうですよね。
手で描いたものにいきなりお金の価値がつくわけですから、
お札を描くことと一緒でしょうということなのかもしれませんね。
イギリスを拠点とする正体不明のアーティスト、バンクシーもバンク・オブ・イングランド銀行をもじって
バンクシー・オブ・イングランドを銘打った十本土札を作成しています。
このバンクシーの十本土札なんですが、
なんと100万ポンドの価値が認められています。
このバンクシーの十本土札の作品なんですが、
お顔の部分に亡くなったダイヤナヒーを描いていて、
見た瞬間偽物とはわかるのですが、非常によくできています。
僕自身、しょうなりといえど、エンジニアとして、アーティストとして、
お札作り、偽札作りに憧れを持っています。
もし一つ法を破るとしたら、僕は偽札作りに手を染めたいなと思っているのですが、
書籍、偽札の世界史だと、それはありに遭わないよ、みたいなことも書かれていました。
どうなんでしょうかね。また、皆様ともご相談をして決めてみたいと思います。
SteamFM1でした。