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2024-01-05 17:58

予言【第162号音声版】 #科学系ポッドキャストの日

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科学者・作家のアイザック・アシモフは「心理歴史学」という想像上の「科学」を作り出しました.心理歴史学を描いた小説は偶然にも日本の未来を予言するものでした.なお,アシモフは晩年,高度な自虐ギャグで伏線を回収しています.

科学系ポッドキャストの日(2024年1月)

ご案内:ウクライナの子供たちが描くウクライナの美しい記憶 2022年2月24日以前に描かれた平和な世界

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サマリー

アイザック・アシモフの小説『ファウンデーション』をモデルにした心理歴史学を紹介しています。心理歴史学は人類の未来を予測する学問であり、現実の世界にも影響を与えています。また、アシモフの予言的な小説は戦後日本のライジングを見通していました。

00:06
いちです。おはようございます。
今回のエピソードでは、予言をテーマにお届けします。
このエピソードは、2024年1月の科学系ポッドキャストの日イベントに合わせてお送りをします。
今月のイベントホストは、かなでる細胞のたつさんです。
改めまして、いちです。このエピソードは、2023年の12月28日に収録しています。
このポッドキャストは、僕が毎週お送りしているニュースレター、STEAMニュースの音声版です。
STEAMニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
STEAMニュースは、STEAMボート乗組員のご協力でお送りしています。
さて、このエピソードでは、STEAMニュース第162号から予言についてお届けします。
冒頭でご紹介した通り、このエピソードは、2024年1月の科学系ポッドキャストの日イベントに合わせてお送りをしています。
今月のイベントホストは、かなでる細胞のたつさんです。
本日は、本当にありがとうございます。
今週もどうぞ、18分間お付き合いください。
アイザック・アシモフと心理歴史学
旧ソ連生まれの科学者、作家のアイザック・アシモフは、心理歴史学という創造上の学問の創始者でもあります。
この架空の学問は、彼のSF小説、ファウンデーション、あるいは、
これは別の翻訳では、銀河帝国の攻防というタイトルになっているのですが、この小説の中に登場します。
繰り返しますが、心理歴史学は架空の学問です。
世の中に心理歴史学の専門家はいませんし、大学に心理歴史学科はありませんし、
図書館に心理歴史学の棚はありません。
それでも、アーシモフの心理歴史学は、大きな示唆を我々に与えてくれます。
ちょうど彼が同じように創造したロボット工学三原則が、家電製品の設計原理を指導したようになんですね。
ちょっと脇道に沿って、
ちょっと脇道に沿って、
ロボット工学三原則というのは、
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。
また、その危険を緩和することによって人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。
ただし、
与えられた命令が第1条に反する場合はこの限りではない
第3条ロボットは前傾第1条及び第2条に反する恐れのない限り
事故を守らなければならない
といったものですね
こちらAがIロボットでも有名になりました
このロボット工学三原則を単純に要約するとですね
1番危険ではないこと
2番扱いやすいこと
3番壊れにくいことということで
これは家電設計の三原則と同じじゃないかという話になるわけですね
そういった意味で
アイザック・アシモフの小説は
いろんな意味で工学エンジニアリングに影響を与えていた
ということが言われているわけなのですが
ここで話を心理歴史学に戻します
心理歴史学は未来の人類の行動を予測する架空の学問です
アシモフは
心理歴史学が成り立つ正当な理由を考えていました
彼は物理学の一分野である
気体分子運動論をモデルに
このインチキ学問を考え出したんです
気体分子運動論では
空気中の分子一個一個がどのように振る舞うかは
予測できないものですが
この分子運動論は
どのように振る舞うかというものと諦めます
しかし分子全体がどのように振る舞うかについては
統計的な予測をします
例えば大気の蘇生は
窒素8割、酸素2割なのですが
窒素分子にせよ、酸素分子にせよ
それぞれの分子の動きというのは
予測不可能です
しかし大気全体の働きは
驚くほど正確に予測できるんです
実際天気予報は
大気全体の動きの予測に基づいています
アシモフの心理歴史学は
いわば人間社会の天気予報です
人間一人一人の行動を
予測できないけれども
社会全体の動きは予測できるだろうというアイディアなんですね
アシモフはこの心理歴史学という発想を
元に小説を書きました
それがファウンデーションだったんです
心理歴史学は人類の未来を予測できるものでしょうか
そのような学問をしているときに
そのような学問を構築する試みが
歴史上なかったわけではありませんが
その後どうなったかもまた歴史に刻まれています
ご興味のある方は
ぜひネットで
唯物史観というキーワードを検索してみてください
結局のところ
心理歴史学は
小説の構想としては
興味深かったものの
学術的な価値はなかったと言わざるを得ません
ただし
学術的な価値と学術的な影響はまた別です
心理歴史学は
心理歴史学の影響とクルーグマン
若きポール・クルーグマンを
心理歴史学に最も近い学術分野
つまり経済学へと導きました
クルーグマンは2008年に
ノーベル経済学賞を受賞しています
ニューヨーク・タイムズは
クルーグマンについて
こんな風に書いています
クルーグマンは自分が経済学者になったのは
SFがきっかけだと説明した
少年時代
アイザック・アシモフのファウンデーション三部作を読み
中心人物ハリ・セルダンに夢中になった
セルダンは心理歴史学者であり
社会の仕組みを正確に理解する科学者で
数千年先の出来事を予測し
人類を数世紀にわたる野蛮から救うことができた
彼は個人の行動を予測することはできなかった
それは難しすぎたが
歴史は個人によってではなく
法則と隠された力によって決まるのだから
それは問題ではなかった
他のジャンルの小説を読めば
人々のあり方や社会のあり方について
学ぶことができたでしょう
とクルーグマンは言う
しかし
なぜ現状がこうなっているのか
あるいは何が違いを引き起こしているのかを考えることは
他のジャンルの小説ではできません
大事なのは歴史のイフなのですから
ということなんですね
クルーグマンは
アシモフの描いた世界にすっかり握られてしまったようです
彼はなんと
公正経管貿易の理論というパロディ論文も書いています
心理歴史学のアイディアは
間接的に人類の英知に貢献したと言えるでしょう
『ファウンデーション』の予言的な要素とアシモフの影響
アシモフの小説ファウンデーションは
辺境に存在する資源のない小国
惑星ターミナスが舞台になっています
この翻訳版の役者跡書きはこんな風に書かれています
この物語を読んでいると
現在の日本とそれを取り巻く世界の状況が
奇妙に異獣移しに見えてくる
銀河系の世界は
日本とそれを取り巻く世界の状況が
奇妙に異獣移しに見えてくる
銀河系の世界は
銀河系の世界は
銀河系の世界は
銀河系の世界は
銀河系の世界は
最果てにある天然資源を全く持たない
孤立した小さな惑星ターミナス
そこには軍備はほとんどなく
科学技術だけを頼りに
便利な日用品を生産して
近隣の諸国に売り込み
それで支配権の拡張を図っている
それに対して
強大な軍事力を背景にし
巨大な気持ちを持つ
人でしか物を考えることができず
巨大なものしか作ることのできない
銀河帝国及びその残党は
どうしても勝つことができないのである
これもちろん
惑星ターミナスは
いい時代の日本で
銀河帝国はその時代のアメリカ
あるいは英米連合ということになるんじゃないでしょうか
そして驚くべきことに
小説ファウンデーションの執筆が始められたのは
1942年
書き終えられたのも1949年なんです
1942年といえば
太平洋戦争中です
1949年には
戦争は終わっていたものの
日本が便利な日用品を
アメリカへ輸出する
これはソニーがトランジスタラジオで
アメリカを接見する
8年も前なんです
つまり当時のアシモフは
戦後日本のライジングを
見通していたとも言えるんです
いやさすがに
口実家でしょうと思った方は
ぜひアシモフのファウンデーションを
読んでみてください
メールでお送りしているニュースレター
スティームニュースでは
若干ネタバレにはなってしまうのですが
いかにアシモフが未来予測
つまり予言を成功させていたのか
ということについて
より詳しく書いています
そしてですね
なんとこのアシモフのファウンデーションは
アシモフじいさんなのですが
後に
クロンゴケグモの貝という
ミステリー小説を書くんですね
でその小説の中に
アシモフ自身が
登場しています
こんな感じなんですよ
アシモフ
ルービンはたちまち盛んだった
まばらな髭を震わせた
確かにあいつは
自らSFとやらを銘打って
未来社会を描きはするがね
あの中にかろうじて
まとおいていることがあるとすれば
そんなものはあいつに言われるまでもない
誰が考えたってそうなると
わかりきっていることでしかないんだ
いやなかなか高度な
自虐ギャングですよね
なかなか高度な
より詳しくは
スティングニュースの方に書かせていただいていますので
こちらも無料でお楽しみいただけるので
ぜひね
読んでみていただければなと思います
番組最後にお知らせをさせてください
1月2日から展示会が始まっております
2024年1月2日から1月28日まで
ウクレレの展示会が始まっております
ウクライナの子供たちが描く
ウクライナの美しい記憶
2022年2月24日以前に描かれた
平和な世界と題してですね
これは北海道ご出身の現代美術家
浅野治さんが集められた
ウクライナの子供たちの絵を
展示しているんですが
入場無料でございます
長崎にお運びの際は
ぜひピースミュージアムで検索してみてください
わかりやすい場所にあります
今週も最後まで聞いてくださって
ありがとうございました
2024年も科学系ポッドキャストを
よろしくお願いします
お相手はスティムFMのいちでした
ご視聴ありがとうございました
ご視聴ありがとうございました
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