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1️⃣1911年の「第7芸術宣言」は生まれたばかりの映画を「新たな芸術」と捉える運動でした 2️⃣いま「第4科学」と呼ばれる「データ科学」が誕生しています 3️⃣僕たちは「次の芸術」「次の科学」を見られるかもしれません

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ニュースレター「STEAM NEWS」

金谷一朗(いち)

TEDxDejima Studioファウンダー・パイナップルコンピューター代表・長崎大学情報データ科学部教授

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サマリー

このエピソードでは、STEAMニュース第137号から第7の芸術、第4の科学について紹介します。第9芸術はバンドデシネ、第10芸術はビデオゲーム、そして第11芸術はメディア芸術です。また、埼玉県で開催中の大観型古代エジプト展と、長崎で開催されるTEDxデジマEDについても紹介します。

目次

第7の芸術
いちです。おはようございます。このポッドキャストは、僕が毎週お送りしているニュースレター、STEAMニュースの音声版です。
STEAMニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
STEAMニュースは、スティームボート乗り組みのご協力でお送りしています。
このエピソードでは、STEAMニュース第137号から第7の芸術、第4の科学についてお届けします。
改めまして、いちです。このエピソードは、2023年7月5日に収録しています。
このエピソードでは、第7の芸術、そして第4の科学についてお届けします。
芸術や科学に番号が付いているのって、なんか変だと思いますよね。
でも、芸術家や科学者の間では、なんとなく合意が取れているナンバリングなんです。
世界初の映画理論家と呼ばれるイタリア人、リチョット・カニュードは、1911年に
第6芸術宣言と題した文章を発表します。 この宣言の中で、彼は当時登場したばかりのメディアだった、
映画を新しい芸術と定義しました。 映画の発明を一人の功績に期することは難しいのですが、
それでもアメリカの発明家トーマス・エディソンによるキネトスコープが、映画の時代を作ったとすることに、異論を挟む余地はないと思います。
キネトスコープの公開が1893年ですから、その18年後にはもう、映画を芸術と呼ぼうという運動があったわけですね。
家庭用ゲーム機に例えるなら、ゲーム機登場を1972年とすると、
1990年、18年後の1990年に、ゲームは芸術だと宣言したぐらいの時間・間隔ということになるんじゃないでしょうか。
1990年といえばドラゴンクエスト4の発売年ですから、
まあハズレではないかなと、僕は個人的には思います。 技術はいつも18年で芸術へと昇華するというところなのかもしれません。
リチョット・カニュードは後に映画を第7芸術と呼び直すために、現在では1911年の宣言も第7芸術宣言と呼ぶことが多いです。
となると、気になりますよね。第一芸術から第6芸術は一体何だったのかということです。
文献によって、またカニュード自身の定義にも揺れがあるのですが、 大体こんな感じです。
第一芸術は建築。 第二芸術は彫刻。
第三芸術は絵画。 第四芸術は音楽。
第五芸術は文学。 第六芸術は舞踏、つまりダンス。
繰り返すと、第一芸術が建築、第二が彫刻、第三が絵画、 第四が音楽、第五が文学、第六が舞踏ということになりますね。
少し注釈が必要なのは、例えば写真、 こちらは第三芸術、絵画に含まれるであるとか、
演劇、これは第四芸術、音楽に含まれるとかいうふうに解釈をしていくわけですね。 第一から第三が空間芸術。
第一の建築、第二の彫刻、第三の絵画、写真が空間芸術。 そして第四から第六が時間芸術。
第四の音楽、そして演劇。 第五の文学、これは詩も含みます。
そして第六芸術の舞踏、ダンス。 こちらが時間芸術となっています。
空間芸術が3種類、時間芸術が3種類。 そしてこの第七の芸術たる映画は、
時間芸術と空間芸術を融合させた、 時空間芸術だというのがカニュードの主張だったんですね。
芸術の分類
映画は本当に時空間芸術なのかという問いについて、 僕は先日亡くなった中島貞男監督に詳しく伺ったことがあります。
僕の講義では詳しくお話をしているのですが、 これは少しマニアックな話になってしまうので、
メールでお送りしているニュースレター、スティームニュースの別冊、 こちらはですね有料高読者様限定になってしまうのですが、
メールの別冊でお送りしたいと思います。 さてこのようにある分野に番号を振って区分する考え方は、
科学にもあります。 そして僕たちは今、第4の科学が生まれるフェーズに生きているんです。
第4の科学、どんな科学なんでしょうか。 コンピューター科学者のトニー・ヘイ、スチュアート・タンスリー、
クリスティン・トール、ジム・グレイは 第4のパラダイム
データ集約型科学的発見法という書籍で、 第4科学という考え方を紹介しました。
いきなり第4科学と言われても、だと思いますので、 トニーらの言う第1科学から第3科学までをまずご紹介したいと思います。
第1科学は経験科学。これは目の前の自然現象を説明するための科学で、 例えば
黒い雲が出たらもうすぐ雨が降るというような単純な経験則からスタートしています。 こんなことを今でこそ当たり前に感じられるかもしれないのですが、
文明の初期にはこれだけでも大変なことだったんですね。 雨を降らすのは神様の気まぐれでも、雨男のせいでもなく、
物理法則に従った自然の現象だと人類が気づくのに何千年もかかったんです。
いや、よく考えてみると、ここ日本では未だに、 これだけ努力したんだからそろそろ成果が出るはずだという非科学的なことを言う上司いませんか。
成果と努力量が比例するという法則なんて、まあどこにもないわけですよね。
ぶつくさって思っちゃいます。 さて第二科学です。第二科学は理論科学。
こちらはですねsteam.fmのエピソード130でお届けした アイザック・ニュートンが実践したように
数学的な施策によって理論を打ち立てる科学のことです。 第二科学ではどちらかというと自然現象よりも
理論的な美しさにおもきを置く風潮さえ見られるわけなのですが、 これは必ずしも現実を軽視するものではありません。
というのも理論が先に現実を予測することがしばしばあるからです。 例えばブラックホールの発見は理論が先行した一例です。
僕個人はこの第一科学、第二科学の分類には必ずしも同意するものではないんですね。 だいたいガリレオガリレー以前には科学はなかったとさえ思ってはいるんですが、
それでもこの第一科学、第二科学の分類は一つのものの見方として成り立っていることは認めます。
第三科学は計算科学です。 こちらはsteam.fmのエピソード2.25。
これはまだ投資番号をつける前の時代のエピソードなのですが、 エピソード2.25
2021年ノーベル物理学賞 複雑さの中の質除というタイトルでお送りした内容と関わってきます。 こちらは一言で言うとコンピューターシミュレーションを使った科学のことです。
コンピューターシミュレーションとは物理法則がわかっている自然現象に関して、 近代的なコンピューターの暴力的ともいえる計算能力を使って現実を先回りしてしまえということだと思ってください。
天気予報は非常に良い具体例になると思います。 コンピューターを使って現実の天気を先回りして予測するということですね。
そして第4科学、こちらはデータ科学のことです。
トニーラが示したデータ科学とは観測済みのデータから新たな実験を得ようというものです。
詳しくはですね steam.fm のエピソード59 サザエさんじゃんけんに勝つ方法を聞いていただければと思うんですが、
こちらに紹介されている 統計を駆使した科学のことですね。
すでに蓄積されている、あるいは蓄積されつつある膨大なデータを掘り起こして、新しい発見を目指すんです。
いや正直言うとエピソード59っていう割と古めのポッドキャスト番組をご紹介するのちょっと恥ずかしいんですが、
頑張って収録したので聞いてもらえたら嬉しいです。
第4の科学
ここで一つ具体例をあげましょう。19世紀のロンドンでジョン・スノーという外科医が当時猛威を振るっていたコレラに対して、
コレラの原因はわからなかったものの、 患者と患者が使っていた水道会社に強い関連があることを突き止め、
コレラの広がりを止めることに成功しました。 19世紀のコレラというと日本にも伝わっていまして、
コロッと人が亡くなってしまうので、日本語ではコロリという風にもね、呼ばれたぐらい恐ろしい病気だったわけです。
ジョン・スノーがこのコレラを食い止めることに成功した30年後にようやくコレラ菌が発見されています。
つまりジョン・スノーはコレラの原因を知ることなく、 この病気の広がりを止めることに成功したわけです。
強引な説明をもしするとすれば、コレラ菌を観察するのが第一科学、 コレラ菌の広がりを理論化するのが第二科学、
コンピューターシミュレーションによってコレラの感染状況を予測し可視化するのが第三科学となるでしょう。
ジョン・スノーは19世紀すでに第4の科学、データ科学の先駆けを描いていたわけです。
実際19世紀のジョン・スノーは因果関係が未解明の状態でも病気の広がりを食い止める
疫学という学問の創設者になりました。 そしてこの疫学の考え方を膨大なデータを処理できるコンピューターの力を借りて
科学全般へと推し進めたのがデータ科学になります。 さて第7芸術の先、第8芸術以降はあるんでしょうか。
まだ一般的な同意は得られていないもののこんな言い方がフランスではされていました。 第8芸術はテレビドラマ、
第9芸術から第11芸術
第9芸術はバンドデシネ、このバンドデシネというのはまあ日本で言う漫画のことですね。
第10芸術はビデオゲーム、 そして第11芸術はメディア芸術。
後ろへ行けば行くほどあやふやになってはいくのですが、それでも芸術は新しいメディウム、つまり媒体を求めていることがお分かりいただけるかなと思います。
では科学の方はどうでしょうか。 第4科学の時代に我々は入ったばかりではあるのですが、
既に第5科学を提唱しているグループもいます。 キーワードは人工知能AIですね。
時期早々なきは、まあ僕個人はするのですが、ひょっとしたらこの人工知能AIが第5の科学の扉を開くかもしれません。
steam.fm のリスナーの皆様はぜひ、このポドキャストを通してでも結構ですので、リアルタイムにその目撃者になっていただければと思います。
我々の未来にどんな芸術、どんな科学が待っているのか楽しみですね。 リスナーの皆様にはいち早くお届けします。
というわけで第7の芸術、第4の科学についてお届けしました。
第4の科学というのはデータ科学、データサイエンスのことでした。 番組後半ではお知らせを2つお届けしたいと思います。
一つ目のお知らせは、 こちらはですね、埼玉県になります
門川武蔵のミュージアムで開催中の展示。 2023年7月1日から11月20日まで開催しています。
大観型古代エジプト展 スタンカーメンの青春という展示なんですが、
これ本当に素晴らしい展示です。 監修はですね、僕たちエジプト調査隊のリーダーの河合ゆきのり先生、僕はゆきさんというふうにお呼びしてるんですが、
そして、展示の中でコンピュータグラフィックス、そして
プロジェクションマッピングを実施しているのが、 アーティストの市川康雅君と、こちらはですね、僕が理大で教えていた頃の教え子になります。
これ何を展示しているかというと、スタンカーメン、 エジプトの少年王ですね。スタンカーメンの黄金のマスクであるとか、
棺であるとか、一緒に埋葬されたお宝、 服装品ですね。こういったものの非常に正確なレプリカを展示しているんですね。
これ世界に3点しかないというふうに伺っています。 特にですね、スタンカーメンの黄金のマスクなんかは、おそらく素材も同じように金と銀の合金、これエレクトラムといいますが、このエレクトラム、そして青い部分はラピスラズリを使っているんじゃないかなというぐらい、
本当に本物そっくりで、しかも本物は、 まあそもそもまずエジプトから外れることはない上に、エジプトへ行ってみてもガラスケースの中に収められているんですが、
写真も撮ることができないのですが、こちらは本当にケースもなし、 写真も撮れるという状態で展示されています。非常に迫力があります。
そしてその背後に非常に大きなスクリーンにコンピュータグラフィックスで再現された スタンカーメンのマスクが展示されているんですが、これがですね本当に
アーティストが想像で描いたのではなくて、本物のマスクを非常に精密に 3次元計測して再現したCGなんですね。
非常に細かな凸凹まで再現されている本物と寸分違わぬCGが描かれています。 これ本物では見ることのできない細かい凸凹であるとか、
表面の模様なんかを観察することができる、 またとない機械です。マニアックな視点で見ても十分見応えがある展示になっています。
こちらは11月20日までですので、ぜひお運びいただいてご覧いただければと思います。
埼玉はちょっと遠いよという方もリスナーの中にはいらっしゃるかとは思うのですが、 エジプト好きな方はですね、行く価値あるんじゃないかなと思います。
本当にお勧めです。 もう一点お知らせです。今度はですね、僕自身が主催するイベント
TEDxデジマEDというイベントを2023年8月13日に こちらはですね、長崎、日本の西の橋、長崎で実施いたします。
こちらのイベントはアメリカのTED Conferenceのライセンスのもと開かれる 地域版のTEDイベントTEDxなんですが、
内容はですね、今こそ平和についてもう一度考えようということで、 ウクライナの英字新聞社キーワインディペンデントの編集者さん、記者さんと
リアルタイムにインタビューをさせていただくほか、 平和活動家ジャーナリストのアリビーザの録画講演、そして
ライブスピーカーによるTEDxトークをですね、 実施したいと思っています。こちらは参加無料なのですが、招待制になりますので、
問い合わせのメールアドレスから参加希望というふうに ご連絡をいただければと思います。
今週も最後まで聴いてくださってありがとうございました。 このエピソードは2023年7月の科学系ポッドキャストの日、
合同イベントの一環としても送らせていただきました。 steam.fm のイチでした。
24:58

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