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2024-01-21 17:58

都市伝説のような本当の話【第164号音声版】

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コンピューター業界で実際にあった「都市伝説のような本当の話」を3本ご紹介します.いずれも種明かしされると「なーんだ」となるのですが,当事者にとっては大変なミステリーだったことが見受けられます.

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サマリー

都市伝説のような本当の話についてお届けいたします。一つ目の話は、500マイル以上離れた場所にメールを送ることができなくなってしまったというものです。二つ目の話は、バニラ味のアイスクリームを買った時だけ車のエンジンがかからなくなってしまうというものです。三つ目の話は、中国人のAさんがお茶を入れると会社のネットがつながらなくなるというものです。

00:06
一です。おはようございます。
今回のエピソードでは、都市伝説のような 本当の話についてお届けします。
このポッドキャストは、僕が毎週 お送りしているニュースレター
スティームニュースの音声版です。
スティームニュースでは、科学、技術、工学、 アート、数学に関する話題をお届けしています。
スティームニュースは、スティームボート 乗り組みのご協力でお送りしています。
改めまして一です。このエピソードは 2024年1月20日に収録しています。
このエピソードでは、スティームニュース 第164号から
都市伝説のような本当の話について お届けをします。
こちらですね。コンピューター業界で 実際にあった3本のストーリーなんですが、
いずれも種明かしをされると、 なーんだというふうになるんですよね。
だけれども、当事者にとっては 大変なミステリーだったお話なんです。
メール送信できない500マイル
一つ目にご紹介するのは、 500マイル以上離れた場所にメールを送れなくなった話。
二つ目にご紹介するのは、 バニラ味のアイスクリームを買った時だけ、
車のエンジンがかからなくなってしまった話。 そして三つ目、最後のお話は、
中国人のAさんがお茶を入れると、 会社のネットがつながらなくなったお話です。
数年前、私は大学キャンパスのメールシステムを 保守する仕事をしていて、
統計学部の学部長から電話を受けた。 大学の外にメールを送るのに不具合が発生しているのだが、
どんな問題でしょうと私は尋ねた。 500マイル以上メールを送れないのだよ、
と学部長は説明した。 私はラテを吹き出した。
なんだって!?
こんな風に始まるストーリーが、 マッサチューセッツ工科大学MITの個人ウェブページに掲載されています。
メールはもちろん距離に応じて届いたり、 届かなかったりするものではありません。
宛先を間違えていたり、添付ファイルが大きすぎたり、 メールサーバーが落ちていたりすればメールは届かないのですが、
遠すぎて届かないということにはなりません。 しかし、普段の学部長はどうしても500マイル以上先へメールを送ることができませんでした。
500マイルというと日本では東京から山口へはメールを送れるが、 長崎へはメールを送れないという距離感です。
そんなことって起こり得るのでしょうか? このストーリーを投稿したエンジニアは自分自身でもあちこちへメールを出して確認してみていました。
その結果は学部長の思い込みではなく、 本当に500マイル以上はメールを送信できないというものでした。
そしてエンジニアはついに原因を見つけます。 ある偶然からメール送信システムが
メール送信を3ミリ秒、 1,000分の3秒しか待たない設定になっていたんです。
3ミリ秒というのはコンピューターにとってはほぼ永遠の時間です。 1GHzで動くコンピューターは
3ミリ秒の間に300万命令を処理します。 なので3ミリ秒待つというのは普通に考えれば悪くない数字なんです。
しかし光は1ミリ秒あたり300kmしか進みません。
3ミリ秒では900km、すなわち約560マイルまでです。
これがメールが500マイルと少ししか届かない理由でした。
カナダのウォータールーナー医学のスティーブン・マン教授は こんな不思議なエピソードを紹介しています。
バニラアイスクリームに関する問題
自動車メーカーのゼネラルモーターズ GMに次のようなメールが寄せられたというのです。
私がGMに苦情を書いたのはこれで2回目です。 私にもおかしな話に思えるので
返事がなくても責めるつもりはありません。 私たちの家族はいつも夕食後のデザートにアイスクリームを食べています。
毎晩食事後に家族全員がどの種類のアイスクリームを食べるべきかを投票し、 私が車に乗って店まで買いに行きます。
しかし最近新しいポンティアックを購入してから問題が起こっています。 バニラアイスを買った時だけ
店の駐車場に戻って キーを回しても車が動かないのです。
他の味だと車は問題なく動きます。 ポンティアックが
バニラアイスを買った時だけ動かないというのはどういうことですか。 愛車GMポンティアックに乗ってアイスクリームを買いに行ったポンティアックユーザーさん。
なぜかバニラアイスクリームを注文した時だけ 車に戻ってもエンジンがかからないのだそうです。
ストロベリーアイスクリームの時はもちろんエンジンがかかるとのこと。 ポンティアックがアイスクリームの風味を認識しているのでしょうか。
もちろん原因は他にありました。 この店ではバニラアイスクリームが人気商品だったため
顧客に素早く提供できるように 店頭のショーケースから提供していました。
一方、他の風味は店の奥のケースから取り出していました。 そのためにバニラアイスクリームを注文された時だけ
提供時間が短かったんです。 そしてこのストーリーに登場するポンティアックは
一度エンジンを止めた後、再度エンジンをかけるまでに ある程度の冷却期間が必要だったんです。
謎は解けました。 原因はバニラアイスクリームの提供が他の風味よりも素早かったこと。
ポンティアックのエンジン再始動にはある程度の冷却期間が必要だったことでした。
常識とはかけ離れているように見える問題であっても、 時には真実を映し出していることがありますと
マン教授は結んでいます。 最後は日本での出来事です。
ネットワークハブの熱暴走
ツイッター、まあ現Xですね。 当時はツイッターです。ツイッターにこんな投稿がありました。
Aさん、中国人が来るとネットが使えない。
投稿者さんの職場で同僚のAさんがお茶を入れると ネットが不調になる現象があるようです。
このAさんは中国出身の方だったそうです。 別の同僚が
Aさんに紅茶を入れてあげた時は ネットにも問題はなかったそうです。
謎が深まります。 水分のせいなのか
給湯室の電源のせいなのか Aさんが身につけていたアクセサリーのせいなのか
あれやこれやと調査した結果、 投稿者さんは最終的に原因を見つけます。
理由はこうです。 Aさんは自分の机になぜかほんのり暖かくなっているスポットを見つけていました。
お茶を暖かく保ちたい彼女はお茶を入れた水筒を そのホットスポットにいつも置いていました。
机にホットスポットができた原因は机の裏に貼り付けられた ネットワークハブが熱を持っているからでした。
ネットワークハブというのは有線LANケーブル、有線ネットワークケーブルを分岐させている タコ足配線の元みたいなものですね。
電源のタコ足配線とは違ってネットワークは、 有線ネットワークはこのハブを使えばいくらでも分岐を安全にさせることが本来はできるんですが、
Aさんの机に貼り付けられたネットワークハブは どうやら定格ギリギリで動作していたようなんですね。
つまりAさんの机を温めるほどに熱を出していたんです。 そんなネットワークハブにAさんは知らずに熱を供給していました。
お茶で逆にネットワークハブを熱していたんです。 その結果Aさんの机に貼り付けられたネットワークハブは熱暴走をしました。
コンピューター機器というものは熱に弱いんです。 投稿者さんは中国やベトナムでは水は必ず沸かしてから飲むので、
文化の違いがネットワーク不調の原因だったと締めくくっています。 またネットワークハブの位置をずらすことで解決したとのことでした。
なお、エンジニアが集まる掲示板では、 熱に強いネットワークハブに変えた方が将来的にはいいのではという意見も出されていました。
もっともだと思います。 予算が許せばぜひ機器を交換してもらいたいと思います。
少しマニアックな話をすると、なぜコンピューター機器が熱に弱いのかというと、
コンピューター機器はエレクトロニクス、つまり電子で動いていますから、エレクトロンで動いていますから、電子が正常に、
意図した通りに流れないといけないんですね。 ところが機器そのものが熱せられると、機器を構成する原子が熱によって揺さぶられて、
その原子が、熱で揺さぶられた原子が電子を弾き飛ばしてしまうんですね。 なので熱暴走という現象が起こります。
コンピューター機器は必ず冷やしてお使いください。
というわけでこのエピソードでは、スティームニュース第164号から都市伝説のような本当の話をお届けしました。
ちょうどですね、スティームニュース第164号をお送りしたタイミングで、第170回芥川賞の発表がありました。
受賞者の九段理恵さんは受賞会見で、受賞作東京都道場等はチャットGPTなど生成AIを駆使して書いたというふうに言われています。
このニュースに、テクノロジーとアート、コンピューター技術と文学の境目がなくなってくる歴史の転換点のような印象を僕は受けました。
手前みそですが、科学、技術、工学、アート、数学、つまりスティームの融合はこれからますます進んでいくのかもしれません。
僕もね、これから受賞作東京都道場等を読んでみたいと思います。
また感想もね、ポッドキャストでご報告しますね。
今週も最後まで聞いてくださってありがとうございました。
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また大変厚かましいお願いで恐縮なのですが、このポッドキャスト、スティームFMもコーヒーの差し入れを受け付けております。
こちらもご検討いただければ幸いです。
改めて最後まで聞いてくださってありがとうございました。
スティームFMのいちでした。
ご視聴ありがとうございました。
次の動画でお会いしましょう。
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