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  2. 神はサイコロを振る【第101号..

2022年のノーベル物理学賞は,量子力学を大きく発展させ,量子情報科学という新しい学問分野を切り開いた3人の物理学者に贈られました.今週はこの3人の前に立ちはだかったアルベルト・アインシュタインの疑問と,3人の成果の意義についてお話しします.

ニュースレター「STEAM NEWS」

金谷一朗(いち)

TEDxDejimaStudioファウンダー・パイナップルコンピューター代表・長崎大学情報データ科学部教授

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市ですおはようございますこのポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースレター
スティームニュースの音声版ですスティームニュースでは科学技術工学アート数学に関する話題をお届けしています
スティームニュースはスティームボート乗組員のご協力でお送りしています
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改めまして市ですこのエピソードは2022年10月28日に収録しています
このエピソードではスティームニュース第101号から神はサイコロを振るという内容でお届けします
2022年のノーベル物理学賞はフランスのパリサクレー大学のアラン・アスペ博士
アメリカのジョン・クラウザ博士オーストリアウィーン大学のアントン・サイリンガー博士の3人に贈られました
3人は物理学の一分野である量子力学の発展に大きく貢献しまた量子情報科学という新しい学問分野を開拓しました
このエピソードでは2022年ノーベル物理学賞が贈られた量子物理現象の理論についてそのエッセンスをお届けしたいと思います
実は今ちょっと見栄を張ってみたんですね量子物理現象の理論について僕の理解できた範囲でなおかつ説明できそうな範囲でエッセンスをお届けしたいと思います
アルベルト・アインシュタインは1905年に光の粒子説を発表します
当時光は波だと考えられていたのですが アルベルトによると光は波であると同時に粒でもあるというんですね
この発見によって物理学は新しい時代を迎えます 量子力学が誕生したんです
量子力学はやがてアルベルトの創造とは違う方向へ急速に発展していきます 例えばこんなことがあります
03:08
ラジウム226という放射性元素があります ラジウム226の半減期は1600年ということは
200個のラジウム226があったとすると 1600年目にはおよそ100個に減っていて
3200年目にはおよそ50個に減っているということです これ正確に言うと1600年おきに半分のラジウム半量のラジウムが
ラドンという機体とヘリウムという機体に崩壊するというふうに言います 最初の200個のラジウム226のうちの一つに
目印をつけておいたとします この目印付きのラジウム226は
何年目に消えてなくなるでしょうか 答えは確率的にしかわからないんです
1600年経った時にラジウムがまだそこにあるか 機体になってしまっているかという確率が1/2ということなんですね
いやそんなことってあるでしょうか まあという疑問
アルベルトアインシュタインも思ったようです 太陽と地球の位置関係は1600年後のことまで計算できます
もっと複雑なこと例えば1600年後の長崎に雨が降るかどうか これは我々は計算できないのですがもし大気中の地球の
上空にある大気の分子一個一個の状態が全部わかっていて 計算機もすごくパワーがあって天気予報めちゃくちゃ正確にできますっていう風な
時代がくればひょっとしたら1600年後の天気も予測できるかもしれないです まあそれはわかんないですけどね
でその目印をつけられたラジウム226にも ひょっとしたら我々の知らない内部メカニズムがあって
いついつに消えてなくなると決まっているのかもしれないとアルベルトアインシュタインは 疑ったんですね
量子力学がもたらす発見は 我々の直感に反するものがいくつもありました
ラジウム226はその一連のですが他にも例えば 電子
エレクトロンですね電子の通り道は 確率的にしかわからないといったこともあります
06:01
まあこれ電子を運動機なスケールで考えてみると まあ電子さんがですね大阪から東京へ行くのに名古屋を通るのか
金沢を通るのか これも確率的にしかわからないんですそれどころか
ある電子が一つの電子が東京からごめんなさい大阪から東京に行ったとして
その経路 名古屋経由であると同時に金沢経由であるということが起こっているんですね
半分名古屋経由で半分金沢経由これ電子が2つに分かれたわけではなくて一つの電子が
1/2名古屋1/2金沢っていう状態が起こるんです 電子だって物質なんだから見りゃわかるでしょって思いがちなのですがなんとですね
この電子を見るつまり観測するとその瞬間に電子はどちらかにいたことが確定するんです 例えば電子今どこかなと思ってみてあー金沢にいたっていうのがわかる
不思議ですね観測すると場所がわかるだけど観測しないとどちらも通ってる
なんてことが起こるんですこれ絶対内部メカニズムあるよねと我々には見えないだけだよねと アルベルトアインシュタインたちは考えました
アルベルトは先ほどのラジウムのことを念頭に置いていたと思うのですが 神はサイコロを振らないというふうに1926年に
物理学者マックスボルンへ手紙を書いています
アルベルトが決定的に疑ったのは量子もつれという現象に対してです ラジウムよりもうんと小さい粒子
ある種の素粒子がパカッと2つに割れて電子エレクトロンと溶電子ポジトロンになったとします こういう物理現象あるんですねでこの2人
電子と溶電子はお互いにもつれた状態にあって どれだけ遠くに引き離しても極端な話銀河の果てまで引き離してもその関係が
変わらないんです なんかちょっとややこしい関係のようですね
そしてもし電子の方を観測して状態を確定させると自動的に銀河の果てにある 溶電子の方も状態が決まるんです
これ状態を表すのにまあ上向き下向きっていうのを物理学ではよく使うので今ここでも 上向き下向き
09:06
まあ気分が上向いているか気分が下向いているかそんなことでもあの全然結構です まあその例でいきましょう
電子が上向き状態だとすると溶電子の方は下向き状態であるというふうにこのペアで決まっている状態があるんですねこれをまあも連れている状態と呼びます
で気をつけないといけないのは観測する前は電子も溶電子も状態が決まっていなかったということです
電子の方は半分は向き半分下向き まあひょっとしたら上向き80%下向き20%とかまあきっちり1/2とは限らないんですが
まあ半分は向き半分下向きみたいな状態そうすると溶電子の方も半分は向き半分下向き みたいな状態になっているんですね
どっちも両方あり得る 名古屋と金沢の両方を同時に通過したっていうのと同じことがこの電子溶電子の
状態にも言えているんです 半分は向き半分下向き
で片方 例えば電子の方を観測してあー電子君は上向きだねっていうとその銀河の果てに連れて
行かれた溶電子の方はじゃあ溶電子の方は下向きだったんだねっていうことがわかる わけですね
でこれってじゃあ元から内部の状態決まっていて 引き離した時には内部の状態を持って行ったんだよねそうでないと一瞬で銀河の果てに
情報が伝わったことになるからやばくないっていう風にアルベルトアインシュタインは疑ったんです つまり
電子や溶電子の中に中の人がいるんじゃないかと思ったわけです アルベルトは
ポリス・ホドルスキー ネイサン・ローゼンと共同で1935年にこういったことを論文に書いています
3人の頭文字をとってEPRのパラドックスという風にも呼びます
1964年北アイルランド出身の物理学者ジョン・スチュアート・ベルは もしそのような中の人がいるとしたら満たすべき
ベルの不等式を提唱しました
1972年にアメリカのジョン・クラウザーとスチュアート・フリードマンによってベルの不等式が成り立っていないことを示す実験がなされました
1982年にはフランスのアラン・アスペによってより精緻な実験が行われ ベルの不等式は成り立たないことがほぼ決定づけられました
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中の人はいなかったんです
ベルもフリードマンも残念ながら後人となっておりノーベル賞の受賞には至らなかったのですが
クラウザーとアスペはノーベル物理学賞を受賞しました
最後にアントン・サイリンガーのノーベル賞受賞理由となった 量子テレポーテーションについてご紹介します
まずアルベルトが疑ったことつまり量子物理の中の人がいないとすると情報がワープしちゃうんじゃないのということについて疑問を解決しておきたいと思います
情報を伝えるということは突き詰めていえばコインの表が出ますというメッセージに他なりません
コインの表か裏のどちらかが出ますというメッセージは情報量0なんですね
犯人は内部もしくは外部のものの犯行なんていう犯人のプロファイリングがありましたけれどもこれも情報量0ですね
で銀河の果てまでもつれた粒子を持っていってその粒子を観測しても地球に残してきた粒子の観測結果に何かの影響を与えるわけではありません
だから情報が一瞬で伝わったわけではないんですね
地球で粒子を観測した時の確率というものは銀河の果てで観測した結果の影響を受けるわけではないので情報が伝わったわけではないんです
なので量子もつれがあったとしても認めたとしても実際あるんですけれども
情報がワープする光の速さを超えて伝わるということはないんです
では量子もつれは何の役にも立たないかというとそうでもないんです
これめちゃくちゃ役に立つんです
量子もつれを利用するとこの半分上向き半分下向きという直感には反した量子状態
どっちつかずの粒子これをコピーすることができるんです
観測せずにコピーすることができるんです
この技術を量子テレポーテーションと呼びます
で量子コンピューターというコンピューターの新しいメカニズムがあるのですが
これはこの半分上向き半分下向きというどっちつかずの粒子を使って計算を行うんですね
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上向きを例えばデジタルコンピューターの1下向きを0だとすると
1であり0であるという状態これ重ね合わせの状態と呼ぶのですが
この状態を使ってそのまま計算を進めていくことができるんです
詳しくはですねあのメールで送りしているニュースレターにご紹介している
テッドトークこちら10分間で見られるテッドトーク
そして量子コンピューター超並列計算のからくりという書籍もご紹介していますので
量子コンピューターについてはこの2点ご参考にいただいてしていただければと思うのですが
まあとにかくこの半分1半分ゼロみたいな状態を使って並列に
まあたくさんの計算並行して行うわけですね
そんな技術がありますでこの計算の途中の状態を取り出すことがこれ観測すると
中の状態が確定してしまうので普通のコンピューターになってしまうわけですね
だから中の状態確定しないまま取り出すことができるこれが量子テレポーテーションの応用なんですね
量子テレポーテーションこれうまく言えてなかったですね量子テレポーテーションを応用すると
コンピューターの中身を量子コンピューターの中身を乱すことなくコピーを作れる中身を取り出せるので
取り出す時の情報を取り出す時のエラーというものが劇的に減るというふうに考えられています
量子コンピューターっていうのは先ほどのラジウムの例のように確率的に動いているので
最後情報を取り出す時にどうしても揺らぎが生じるんですね
その揺らぎをとても小さくすることができるというふうに期待されているわけです
というわけで2022年のノーベル物理学賞の大賞となった量子力学とりわけ
量子モツレという現象についてエッセンスをお届けしてみました
こちらですねあの youtube になるのですが
ご存知ですかね予備校のノリで学ぶ大学の数学物理通称予備ノリですね
こちらに速報ノーベル物理学賞2022を解説ベル不当式の破れというね動画が上がっていて
予備ノリ匠さんがものすごく上手に説明をされています
18:04
これすごいですよね速報なので本当にあのノーベル物理学賞決まった直後ぐらいに
この解説動画を上げられていてしかもすごくわかりやすくてさすがだなぁと思って
僕も見させていただきましたあのスティーブニュースのメールでお送りしている方ですねこちらにはリンクも貼ってありますのでまだ見てないよとか
一度見たけどもう内容忘れちゃったという方はですね改めて見ていただくとすごく勉強になると思います
僕もあの2回か3回あの繰り返しで見ました
また個人的なことなのですがこのノーベル物理学賞発表直前に
ロンドンに出張していてそこでオクスフォード大学の量子コンピューティングの教授にお会いして
個人的に色々僕は素人質問しかできなかったんですけども
素人なので学会でね素人ですがって言ってマウントドル先生もいらっしゃいますけども僕リアル素人で
結構低レベルな質問をしたとは思ってるんですけれどもそのオクスフォード大学の先生はですね非常に丁寧に
わかりやすく教えてくださいましたででまぁ僕もまああの
なんて言うんですかね真っ白な状態さすがに失礼だなと思ってあの事前に勉強はして質問はさせていただいたんですが
ただまぁこれね理論上はこう言われているけども実際はこうだよみたいなこともその場で教えていただいてすごく勉強になりました
でその翌日だったかにあのノーベル物理学省がまあその量子コンピューティングするかまあ量子物理に関してね
関する研究者に与えられたということでお互いびっくりしていたんですけれども
そんなことがねついまあここ3週間前2週間前とかに
ありました でまぁなんだかんだ言ってアルベルトアインシュタインの直感というものがこの
量子力学に関しては外れたということになるんですが神はサイコロ振らないというふうにもあるベルトは主張したんだけれども
実際にはまあ神はサイコロを振ってるんじゃないかということになるんでしょうがただ アルベルトが量子力学に多大な貢献をしたことは間違い
ないんですねこれはあの他の物理学者たちもあるベルトの 試行実験いろんなね試行実験を考えてこれだったらこうどうなのとかこれとこれも
21:03
順次ないとかいうふうに言ったことで量子力学が大いに発展したという 面がありますなおかつですねアルベルト自身がもうそもそも量子力学を
始めたと言えるので 彼がいなければ量子力学の誕生っていうのはもう
100年200年遅かったかもしれないですしそれに 僕すごく関心するのがアルベルトアインシュタイン1905年に光の粒子説光量子仮説というのを発表するんですが
全く同じ年に 特殊相対性理論を発表しているんですねで特殊相対性理論というのは光は
波だというふうに扱っているんです 同じ年に光は波だと言ったり光は粒子だと言ったり
でしかもですねアルベルトアインシュタインはその特殊相対性理論の中であの表だって は言ってないんですけれどもいずれこの理論は何か別の理論によって置き換えられる
ということを予測していた節があるんです 彼は
あの理論的な規決として光は波だというふうに言えるんだけれども最初から光は波 であるとは言ってないんですね
波であると同時に粒々であるという余地も残していたんです 1905年の時点でアルベルトは将来量子力学
当時まだ何もなかった量子力学がいずれ 物理学の中心的な概念になるであろうことをおそらくは予見していたんだと思います
ひょっとしたら聞かれたことがあるかもしれません高速度不変の原理 これ特殊相対性理論のコアになる考え方なんですが
彼は光の速さが 宇宙のどこでも変わらないというふうにことを言いました
光の速さ速さというのは波であろうと粒だろうと成り立つ考え方なんですね だから彼は光の速さ
速さが絶対に変化しないんだということを言ったんですね もし特殊相対性理論だけであれば
光はこれこれの速さの波であるといえばそのところを彼はあえて波とは言わなかった これ
アルベルトには見えてたんじゃないかなと僕には思うわけです
というわけで 今回のエピソードも最後まで聞いてくださってありがとうございました
次回はですね発明をテーマにしたエピソードをお届けしようと思っています では素敵な週末をお過ごしください
いちでした
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