スタートアップ税務AtoZ、スタートアップフレンドリーな税理士、公認会計士の畠山さんへ、
税務会計に関する素朴な疑問、企業が目線で今気になる話題を投げかけることで、
企業前後のファイナンスの土台作りを支援する番組です。
MCは、スタートポッツ稲荷田が務めます。畠山さん、よろしくお願いします。
会計士、税理士の畠山です。よろしくお願いします。
畠山さん、今日は資産管理会社について教えていただきたいなと思っております。
この前、タイミーさんの上場のキノープの分析とかも一緒にやらせていただきましたけれども、
その時にも小川さん個人の持ち分の持ち株と、資産管理会社がどうやらあるというのもお見受けしましたね。
この辺りがこれまでもいくつかの企業家さん、よく上場するタイミングで資産管理会社の存在を見つけることもあれば、
あるいはまだ上場はしていなくて、シリーズAとかなんですけれども、実は資産管理会社持っててみたいなことを言っている企業家さん、
すごくリテラシー高い方だったんですけど、その方は。
というのを聞いていて、何かそういうものがあるんだなというものは知ってたんですが、詳しくは全然知らなくて、
ただタイミンさんのああいう事例とかも見ていると、相当大事な役割を果たすんじゃないかなというのが思いまして、
ただ全く分からないので教えてほしいなというふうに思っております。
それではじゃあ、そもそも資産管理会社って何ぞやみたいなところから聞いてもいいですか。
まずそこからなんですけど、単なる法人ですね。
それはスタートアップとか中小企業とか同じように法人、株式会社ですね基本。
単なる法人で、事業の目的はここで資産を管理することを目的としているから、資産管理会社といったようなイメージですね。
資産管理会社の財産のイメージでいくと、
預金とスタートアップの企業化でいくと上場したスタートアップの株式ですね。
借り方にはそのスタートアップの上場株式をオーナーさんから買い取るために借り入れをするケースが多いと思うので、銀行借り入れが計上されていて、
残りはオーナーさん個人とかオーナーさんの奥さん子供たちが株主になっていたりするところの資本金が純賛とあって、
残り利益が残っていたら繰り越し利益常用金があるみたいな、それだけのBSですね。
BSとか数字面はそういうふうな形にあたるんですね。
これはそもそも会社のいわゆる定管とか出したりしますけど、それはそれっぽい別の事業内容とか書いたりするもんなんですかね。
それとも本当にパタから見ても資産管理会社っていうのは認められているものなのかみたいな、そういうのってどうですか。
定管はそうですね、株式を保有するようなことの定管を入れると思うんですよね。
ストレートにそういうふうに書いてしまって大丈夫なもんなんですね。
他には資産管理会社が保有して持っているキャッシュを別の投資商品に投資することもあると思うんですよね。
一つは不動産だったりだとか。
そういうのもあるんですね。
なので不動産へ投資したりだとか、不動産業ですね、不動産を貸す、大屋さんをやるようなことの定管を書いたりするケースがあるんじゃないかなと思います。
分かりました。資産管理会社というものが実態といいますか概要が今少しやっとわかったところなんですが、
そもそも何のために作られるものなのかっていうのは改めて教えていただいてもいいですか。狙いみたいなものですかね。
そうですね。狙いは税制的に3つあって、一つは配当金にかかる税金がお得になるっていう狙いですね。
2つ目は相続対策が2つ目ですね。
3つは所得の分散と言われるようなところの狙いになります。
それぞれ教えていただいてもいいですか、詳しく。
一つ目は配当金なんですけれども、上場するまでは配当が出せるような状態になることはほぼほぼないんですけれども、
上場して以降は株主さんに利益が出て、その一部を配当に回せるような余裕が出たタイミングから株式配当が始まるわけですね。
法人の3割近く企業家さんが株式を持っているようなケースが多いと思うので、
個人で株式を持っていると株式配当の合計額の3割の金額が創業者個人に入ってくるわけですよ。
その時に配当でかけられる所得税が、配当の場合は総合課税となって、
所得の大きさで税率が変わる累進課税というやつで、
最大だと所得税45%、住民税10%込みだと55%がかけられる枠組みの所得になるんですね、個人で持っていると。
かなり取られますね、半分ですね。
その株式をもし法人が持っていたとしたら、
法人の場合は、まず株式配当の収入があった場合は、
受取配当金などでまず収入で認識するんですけれども、
法人税法の計算の過程で、益金不算入というようなルールがあって、
最低でも20%ぐらいまず控除できるんですね。
20%もいいですね。
さらにその法人がいろいろな事業をしていると、合算するんですよ。
法人としてただ単に株の配当を受け取り続けるだけじゃなくて、他のことをやっていても大丈夫?
そうですね。なので他で赤字があれば相殺できるので、
損益通算の対象とすることができますと。
その後出てきた税前利益に対して、
法人税率も約30%なんですね。
なので配当としての収入を圧縮できるという狙いと、
税率の差がありますよね、個人の取得税として。
なので上場後に配当をどんどんもらえるようなことが通常考えられるので、
法人保有に変えておいた方がいいというのが一つの狙いですね。
今のが1個目、配当金の税率がお得になるという話ですね。
次が相続対策ですかね。
相続対策の観点だと、相続というのは起業家が亡くなる時なので相当先なんですよ。
30代で上場を達成したら、50年くらい先の話ですね、亡くなるのは。
相続が来た時は亡くなった方の資産を残った家族に渡す時に、
渡されるその財産をその時の時価で評価して、
課税されるような税制になるんですね。
個人の一般的な相続の税制ですね。
起業家が持っている株式ってめっちゃ安い時の株式じゃないですか。
そうですね、昔は安かった時。
一株1円で100万株入れて100万円出資するみたいな。
よくありますね。
その一株1円っていうのが上場すると1000円とかになるわけじゃないですか。
どんどん500円300円ぐらいで調整するかもしれないですけど、
何百倍になっているわけですね。
その何百倍っていうその含み益が、まだ市場で売却はしないんだけれども、
時価で渡すことになるので、
めちゃくちゃ高い時価で評価された株式を残った奥さん、子供に渡して、
それは多分また最高税率が上がるんですよ、相続税で。
これが個人が持ってた場合なんですけれども、
もしその株式を資産管理会社の持ち物ということになれば、
奥さんとか子供に渡す株式は上場したスタートアップの株式じゃなくて、
資産管理会社株式に置き換わるんですね。
そっか、持ってる株じゃなくてその会社の株になるんですね。
先ほど借入れがあるケースが考えられるって言ったんですけれども、
起業家がなくなったら資産管理会社を自家評価することになるんですけれども、
その借入れ金などがあるので、まずその分価値が減るんですね。
さっぴかれてるというか赤字だったり、そっちはマイナスだったりするわけですもんね。
そのBSに載っているスタートアップ株式は同じように今の自家で評価して何億となるんですけれども、
さっぴく借入れなどがあるので、まずそれだけで価値が落ちるということと、
あと相続税での自家評価の考え方で、
含み益分の37%相当の未払法人税を計上できるというところがあるので、
勝手に負債がまたさっぴけるんですよ。
なのでそういうふうな算定方法のところを活用した、
相続時の資産価値の圧縮スキームみたいなところの狙い、
これがメインになっているんじゃないかなと思いますね、資産管理会社の。
それはその資産管理会社の自家がおそらくさっぴかれて安くなれるからお得ですけれども、
ただその元々の起業して上場した株自体はそのまま受け取れるってことですよね。
そうですね。資産管理会社の持ち分が増えることを通じて、
受け取るもの自体は資産管理会社の株式なんだけれども、
間接的に保有するって感じですかね。
ということですね。それをダイレクトでその株をそのままポンって渡されるよりも、
資産管理会社を挟むことによって、そこが実質かなり浮くというか、
そういう仕組みになっているってことですね。
確かに受け取る株式の名義が変わることで可能になる価値の圧縮みたいな。
なるほど。今のが相続の対策ですね。
3つ目が所得の分散。これもすごく気になるワードだなと思ってまして、これも教えてください。
所得の分散は、その資産管理会社の株主なり役員なりで、
奥さんとか子どもたちを入れておくと、
その資産管理会社は毎年保有しているスタートアップ株式からの配当収入があるんですね。
その配当収入を原資として役員報酬という形で渡すことができますし、
また資産管理会社から配当も可能なんですよ。
さらにその会社からですね。
役員報酬だと給与所得になるし、
株式配当を受け取るときはまたそれぞれの総合所得なりの可能性もあるんですが、
結局税金がかかるんですけれども、
あと給与だと、役員報酬だと謝保もかかるんですけれども、場合によっては。
だけど企業家が個人で配当金を受け取ったとしたら、
それを奥さんとか子どもに直接渡しにくいんですよね、個人でも。
それを贈与で渡すやり方もあるんですけれども、
贈与税の非課税枠が110万円しかなくて、ちょっとしか渡せないので。
110万円超えちゃうと。
と贈与税ですね、毎年。
それが資産管理会社を通じて役員報酬とすれば、
やっぱり何百万円の役員報酬を出せたりするように、
いろいろ形式上も実質上も整えて払えるようにするので渡しやすいですよね。
これで家族全体の財布に分散していくような、
企業家個人の財布から家族への財布に分散していくようなことを
所得の分散といったりしますね。
なるほど、企業家さんが1人で持っていって、
それを最終的に家に入れるとか相続するみたいなよりも、
企業家本人が受け取るだけじゃなくて、
家族にもダイレクトに渡せるって、
結果的には家計的にはいい状態になってるってことですね。
そうですね。なので2番と3番でいうと、
ある程度もご家族があったりだとか、
家族へも渡していくっていうところを見据えている状態でのメリットですね。
1つ目のメリットとしては、
企業家さんご自身の税負担。
資産管理会社は自分100%株主でもいいと思うんで、
そういう感じですかね。
メリットの中でも分けられるようなイメージですかね。
今の聞いていると確かにメリットはたくさんあって、
急いで資産管理会社作らなくてもいいかもしれないですね。
ありがとうございます。
ということは大きく上場する前提で、
かつ家族がいるっていう感じだと、
ストレートであったほうがいいなって感覚はあったんですけど、
最後にもしお答えできそうだったら聞いてみたいのは、
この資産管理会社っていうのは、
どういうタイミングから作るべきなんですか。
いい質問ですね。
聞いてみたいです。
資産管理会社側からしたら、
株式買わないといけないので、
安いときがいいんですよ。
そうか、そうですよね。
株別に譲渡しちゃったら、
それはそれでまたいろいろかかってくるので、
ちゃんと買わなきゃいけない。
ゆえにさっきの借り入れしなきゃみたいな話も出てくるってことですね。
そうですそうです。
お金もなければ。
なので赤字を掘って債務超過で1円の段階で作ったほうがいいんですよ。
だからシリーズAとかで作られてる方は、
資産とか金融側のリテラーシーが高くて、
されてると思いますし、
定かではないんですけど、
タイミングの分析の時でも資産管理会社は、
ストックオプションを付与してたりもするんだけれども、
すでに株式を持っていると思われて、
それはSEEDの頃に持ってたんじゃないかみたいなコメントもしてるんですよね、私は。
はい、されてましたね。
なので早かったパターンですよね。
すごいですね。
なので極論というか過激めなことでいくと、
IPを意識されてるんであれば、
必ずその後株式にまつわる収入だとか、
株式にまつわって得られるお金をどういかに税をかかるところを少なくして、
自分の手元だとか、
ご家族に渡すかっていうような検討が出てくるので、
IPを達成した頃にはですね。
なので早めに資産管理会社を作ろうみたいな、
セールストークみたいなのもあるかなと思いますね、
税理士側にとっては。
確かにそうですね。
しかもこの話ってきっとVCの方は、
わざわざ資産管理会社作っておいた方がいいよとかまでは言わないと。
そこまで言えない、そうですね。
株式の分散しちゃうわけです。
ちょっとめんどくさそうだなとかも含めてある気がするので、
これは早いうちにこういう情報を仕入れておいて、
専門家に相談するっていうのは良さそうですね。
ありがとうございます。
そうしましたら本日ここまでとさせていただきまして、
今日のテーマが資産管理会社でありましたと。
もうシンプルな話、
相続だったり、
あとは配当金の観点で、
税制の観点でとても安くなる。
お得になるというところなので、
特に大きくIPをしようとする会社さんだったり、
あとは家族がいらっしゃるよって方だったら作るべきであると。
そして結果的に、
資産管理会社が株式を買わなきゃいけないということにはなりますので、
そういう意味では株式価値が安いタイミング、
なのでSEEDとかシリーズAのぐらいから作れると理想だよねっていう話がございました。
なのでそういったふうに会社を運営していこうと思われている企業家さんがいらっしゃいましたら、
ぜひ専門家の方にご相談されながら作られるのがいいのかなというふうにも思っていました。
畑山さん、本日のテーマ、ちなみに話されてみていかがでしたか。
いや、話したのは初めてだったんで、
こういう情報も出していかないといけなかったなと思いましたし、
企業家さんにとっては重要な教養の一つかなと思ったので、
今日話せてよかったなと思います。
いいですね。なかなかネットに出ない話題な気もしますので、
いろんな話題もいっぱい扱っていけたらと思いました。
この番組はスタートアップ会計の畑山さんとスタートポッツの稲荷田がお送りいたしました。
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