法人成り(個人事業主からの法人化)について、そのメリットと検討のタイミングを解説しました。収入増加に伴う税負担の変化や、社会保険料の最適化、消費税対策など、スタートアップや個人事業主が知っておくべき法人化のポイントをお話します。
▼トピック
・法人化を検討すべき収入の目安
・税率の違いを活用した節税効果
・法人と個人事業の組み合わせで社会保険料を最適化
・課税事業者化の時期を見極めて消費税を対策する
・所得の分散による資産形成
▼番組概要
税理士・公認会計士であり、『NFTの会計税務』著者であるスタートアップ会計の畠山謙人が、起業家からの税務会計ファイナンスに関する素朴な疑問に答えることで、スタートアップ経営の土台づくりを支援する番組です。
▼番組へのお便り
ご感想やトークテーマのリクエストなどお待ちしております!https://forms.gle/tsJdnqJTcZcUYFUe8
▼パーソナリティ
・畠山謙人(税理士・公認会計士)
・稲荷田和也(StartPods)
サマリー
このエピソードでは、スタートアップにおける「法人成り」の利点やタイミングについて詳しく議論しています。法人化による税率の違いや社会保険料の圧縮、消費税の課税事業者への移行の影響に加え、法人成りのメリットや所得の分散についても話し合われています。さらに、法人を通じた資産形成の重要性が強調され、税率や社会保険の側面から税戦略を考える必要性についても触れられています。
法人なりの意義
スタートアップ税務AtoZ、スタートアップフレンドリーな税理士、公認会計士の畠山さんへ、
税務会計に関する素朴な疑問、企業家目線で今気になる話題を投げかけることで、企業前後のファイナンスの土台作りを支援する番組です。
こんにちは、スタートポッツの稲荷田です。畠山さん、よろしくお願いいたします。
こんにちは、会計士、税理士の畠山です。よろしくお願いします。
前回扱わせていただいたテーマが、インターン生を雇用する際の注意点というところで、
103万円の壁、106万円の壁、130万円の壁と、それぞれ社会保険がつくかつかないかだったり、業務委託の方がいいのか、雇用した方がいいのか、みたいな、そういったポイントを整理させていただきました。
ちょっとこのあたりは非常に大事なものだなというふうに思いつつも、やっぱりちょっと難しいところがあって、確認しないままちょっとうやむやになりがちな方が多いのかなと、
自分自身も実は少しそういうとこがありましたので、今回お伺いしてできてよかったなと思うのと同時に、とはいえやっぱりこれ一人で抱えるの難しそうなので、ちょっとご問税理士さんだったりにも相談したいなというふうに思ったポイントでもございました。
そうですね、このテーマはやっぱり季節テーマってよく質問相談とか受けますし、自分自身も特に社保の分野はシャローシー資格を持ってないので、
あまり勉強せずに回答してたりするんですけれども、発信を機会に勉強しなということもできたので、お互い勉強していければいいなということも思うテーマですね。
そうですね、確かにこれ本当に事業者さんに対して何を相談するかってすごく難しくて、このテーマって税理士の方でいいんだっけみたいな、けど実は税理士さんからするといやそれは自分のテリトリーじゃなくて、
よくある推し問答になっちゃうみたいな、ある気がするので、そうやって影響してカバーしていただけるっていうのはありがたいなというふうにも思いました。
税制の観点
そして本日はですね、法人なりについて教えていただきたいなというふうに思っております。
スタートアップ界隈だと結構業務委託で働いている方も多いかなというふうに思いますし、実際にそういう方に発注しているという方も多いんじゃないかなというふうにも思っておりますと。
そして業務委託の方って個人事業者として会議をして確定申告を個人でしたりもしますけれども、どうやら一定の収入を超えるタイミングで法人なりした方が税制的にお得という話を噂レベルでは聞いたりするものの、
実際にそれってどうなんだろうというのはちょっとわからない部分があるなと思ったので、このあたり教えてほしいなというふうに思っております。
ありがとうございます。早速内容に入っていこうかと思うんですけど、ちなみに大稲荷さんは法人なりっていう言い方なじみありますか?
ありましたね。
スタートアップ界隈でも通じる言い方ですかね。やっぱり企業って言っちゃったりするところもあるかなと思うんで。
そうですね。なんか自分も元々個人事業主として活動しているタイミングがあったので。
ちなみにこれ、法人なりっていうのは私のイメージですけど、個人事業主の方が法人を作っても蔵替えするときに法人なり、個人事業はストップ、廃業するようなイメージですかね、法人なりって言い方すると。
そうですね。
あと話す話でも触れられればと思うんですけど、法人を作った後でも廃業せずに個人事業と法人と二刀流でやることもできるんですよね。
らしいですね。なんかそのあたり難しいなと思って。でもなんかほぼ同じ内容やっちゃってたらダメとかそういうのもあるっていうふうに聞きました。
そういう場合は法人なりっていうよりかは、ミニマム法人を運用するとかうまく使うみたいなミニマム法人って言ったりしますね。
マイクロ法人とか聞いたことある。
そうそう。マイクロとかミニマムとかいう感じですかね。
ちょっと冒頭、このスタートアップだと企業イコール法人設立になってると思うので聞いてみたいなと思って聞きました。
今回早速内容に入るんですけれども、法人を設立して法人の名義で活動すべきか、個人事業主のままで活動すべきかっていうことを、
今年のこの年間の所得が見えてくるスタートアップで業務委託としてフリーランスで活躍されてる方であったりだとか、
私自身も自分の所得を計算していて結構税率が上がってきたなとか思うわけですよ。自分自身も。
ちょうど家計簿とか見ながら法人のことがよぎったりしたんで、これやっぱり季節性のあるテーマだなと思ってポートキャスト撮ろうと思ったんですけれども。
確かに収入が見えてきてやっと強く意識するみたいなところはありますよね。
そうですよね。上期6月が終わったぐらいだとまだちょっとそれを考えるのは早いイメージがあるんですけど、
10月、11月過ぎてくると本当に着地が分かるんで検討した方がいいみたいな。ちょうど時期かなと思います。
この狙いの一番大きいところは税率の違いを活用するというのがあるかなと思います。
2つ目は社会保険料の圧縮を考えるような観点。
3つ目は消費税を言い方悪いけど逃れるようなことで上で考えるようなケース。
4つ目は資産形成という感じですね、まとめると。
いろんな観点がありますね。
1つ目は税率の観点なんですけれども、法人に課せられる法人税はざっくり地方税込みで23%から33%ぐらいなんですね、負担の税率って。
一方で所得税で負担する、個人の方が負担する税金は所得税と法人と同じように地方税もあるんですけれども、所得税だけで考えてもある程度稼いでくると23%とか33%とかなってくるんですよ、所得税だけで。
で別に地方税がまず住民税で10%、事業税で5%ってあるんで、所得税が23%になり始めると、もう有に4割近くなるんですね、地方税たちもかき集めると負担税。
そうか、それも加算するとかなり大きくなってくるわけですね。
そうすると法人名義に切り替えて33%ぐらいの負担にできるだけでも、例えば40%と対比すると7割ぐらい節税効果があるみたいなところなんですね。
これを検討するような段階っていうのは、所得税率が23%とか33%の辺りになってくる方で、所得がざっくり600万円後半とか1000万円所得になってくる方は考えた方がいいタイミングになりますね。
個人事業主になる方って、いろんななり方は今ありますけど、とはいえやっぱり一定生者員よりも自分で稼ぐことができる目処が立っている方だったり、実際にサラミマンの時よりも報酬はもらっているケースっていうのはある気がしていて、
分かりますよね、どっちかっていうと。
この600万円ぐらいから対象になってくるのであれば、結構多くの方がなる可能性もありそうですね。
そうですね。で、所得が600万円っていうと経費を差し引いた後の所得なんで、利益率にもよるんですけど、例えば売上が1000万円あって経費400万円作って入れて600万円残るかなみたいな、例えば。
そんなイメージですかね、個人だと。個人の方だと自分への給与はないんで、給与関係の経費は自分に対しては出てこないので、400万円は何だというと、食事関係ですね。
交際費と、あとタクシー移動とか新幹線移動の旅費交通費と、あと仕事するために諸々購入したりする消耗品とか、あと何かしらの払う手数料ですね。コンサルトを受けるとか、さらに発注して助けてもらうような外注費とか手数料系ですね。
これらを足すと意外に400万円で、今挙げた項目を100万円ずつ足すと結構すぐいっちゃうみたいな、なんだかんだ。
売上が1000万円とか1200万円ぐらいあって、サラリーマン時代、年収が800万円ぐらいもらっているような方が、いや独立したら1000万円いけるみたいな感じで独立して1000万円、1200万円となって、
経費足し合わせたら4、500万円ってなると、所得も600万円とか700万円になって、そうすると所得税率が20%、23%あたりなってくると。
これに住民税10%と事業税5%乗せると、あっという間に30%後半にいくぞみたいな。そうすると法人の方が安くねみたいな、税だけの観点でもこうなってくる感じですね。
社会保険料と消費税
これが税の観点ですね。
次は社会保険料の観点なんですけれども、個人事業主の方は自分の稼いだ所得に応じて自分で入る国民健康保険とか国民年金の額が決まる感じだと思うんですけれども、
その場合なので収入と比例していく経費みたいなものですよね。圧縮するのは難しいと、所得も減らす、収入も減らすしかないのでみたいな。
それを法人を作り、その法人から自分が役員報酬を得ているというようなお金の流れにして、法人の役員報酬を軸として法人の社会保険に入ることができれば、そっちの方が社会保険料を抑えられるんじゃないかっていうアプローチですね。
これが例えば前回でも壁の話をしたんですけれども、106万円の壁とか130万円の壁といったんですけれども、130万円ぐらいの役員報酬、130万円ぐらいの収入があれば社保に入っていくような義務が出てくるイメージですね、ざっくり。
または役員をするような方はそもそもフルフルでコミットしているので、社保に入らないといけないというような話もそもそもあります。
なので自分で新しく作る法人で130万円ぐらいを役員報酬で出して、それで余裕で社保にも入りなさいという要件を満たし社保に入ると。
一方で自分で個人事業主もやり続けていて、そっちの所得で発生してくる国民健康保険と年金はもう保険加入済みなんでという感じで入らないみたいな保険料を圧縮していくようなアプローチで、この場合は個人と法人二刀流を動かしていくようなイメージになるんですけれども、やり方としてあると。
なぜ二刀流になるかと言いますと、法人100%でやる法人なりをした場合は、法人で儲けた所得を自分の手元に持っていきたいじゃないですか。
欲しいですね。
一人会社と言ったりもするんですけれども、個人の利貸と同じように残った利益は全部俺のものっていう風に考えるじゃないですか、一人会社だったら。
そうすると役員報酬でそれを抜き取っていくしか、配当というやり方もあるんですけど、それを置いておくと役員報酬で抜き取るしかないんですよね、方法が。
そうすると稼げば稼ぐほど役員報酬を大きくしないと手元に残せないと。
それに比例して社保が大きくなってきますと。
そうですよね。
なので二刀流にして、めっちゃしょぼい役員報酬をもらい、それで社保に入るみたいな、そんなアプローチですね、これは。
いいですね。生活費は基本個人事業所の方で5つってことですね。
そうですね、所得を分散していき社保をうまくやるみたいな。
ただこのやり方も封じられるというか、この社保を至極抑えるようなやり方がやりにくくなる国のルールが変わってですね、防がれていくんじゃないかっていう話を聞いたことがありますね。
そうなんですね。
やっぱり不公平だというような話ですかね。これが社保を圧縮するような観点ですね。
はい。
次は消費税なんですけど、消費税は2期前の売上が1000万円超えてくると課税事業者になって消費税を納めないといけなくなってきますと。
このやり方も社保の圧縮と同じように戸足なんですけど、2年前の売上が1000万円超えてきていよいよ自分も個人事業主で消費税の納税の事業者になると。
これは嫌だから法人なりしちゃってまたゼロからスタートするぞっていう戸足なことやり方も合法で認められてますね。
そのうち法人で稼ぎが同じ事業を続けると稼げちゃうんで、将来的には課税事業者になるんですけれども、課税事業者に切り替わるタイミングを時間稼ぐというか繰り述べてるみたいな、消費税観点で法人なりを検討される方もいらっしゃいますね。
そんなパターンもありますね。
法人成りのメリット
ちなみにこの場合二刀流で両方やると、個人事業での廃業せず個人事業を続ける場合は、その残す個人事業の方では消費税の納税があると。
100%法人でやるということにして、個人を廃業したらちょっと時間稼ぎができますと。
そんなイメージですね。
4つ目は所得の分散というような観点なんですけど、先ほども社保の話で触れたんですけれども、法人なりして100%法人でやるとお金を持って帰るやり方が少ないと。
あんまないですよね。
役員報酬として払うか、配当で払うしかなくて、それをすることで法人の口座から個人の口座に移すわけなんですけれども、その口座移動をするきっかけに課税されちゃうんですよね、また。
役員報酬だと所得税とか社保がかかるし、配当も所得税はかかるんですよね、配当所得として。
直接個人の財布にどうやって入れたらいいのかというと、やっぱりある程度個人でも収入が減ってくるようにしておくと、法人で法人税課されて、さらにその残りの所得を移動させてるだけなのにまた課税されるみたいなのを和らげることができると。
なので、今やってらっしゃるような事業の中で個人で活動する部分と法人でやる部分と切り分けて所得を分散してお金を残しやすくするような、そういう所得を分散するような資産形成の考え方もありますし、または家族の方に所得を分散するにも法人を使う方がやりやすくてですね。
例えば個人事業主の場合だと手元に持っている資産、その預金とか持っている不動産とか個人名義だと全部俺の資産ってことですよね。
奥さんとか子供に渡そうと思うと売却するか増与するか、死んでから相続するかみたいなやり方しかなくて課税されるんですよね。
だけど、もしこれらの資産が全部法人名義だったとして、既にその法人の株主さんだとしたら家族が、その株式の持ち株割合が全部みんなのものじゃないですか、分散されて。
そんなイメージですね。みんなが持っている資産は株式という資産に集約されるんですけれども、株式を通じていろんな資産をうまく家族間で分けられるみたいな、渡すみたいなことをしなくてもほぼニアリーイコール持っている状態にできるのが法人かなって思うんですよね。
なので事業で稼ぐお金も、もしそのままなくなってしまったら相続税の対象としてかかるんですけれども、既に株式を通じて渡し始めることができれば、最後なくなる場合は持っている株式の相続税って話もあるんですけど、既に持っている株式分はもう渡し済みっていう感じになるので、
そういうご家族全体の資産形成をしやすいという側面もあるんですよね、法人だと。
いいですね。経営者1人だとなかなか、
そうそう、独身だと難しいですけどね。
たくさんお得な仕組みはないけど、家族とかを混ぜたりすると、その辺りはうまくやるようもあるってことですね。
そんな感じですね。
大きい買い物をする時とか、不動産投資とか、大きい金融投資をする時は、法人名義でできるかもしれないみたいなことも考えると面白いですね。
なるほど。それは個人だとしづらいというか、法人の方がお得なんですかね。
税戦略の考慮
例えば個人でそういう資産を持っていると渡せないですね。
ああ、そっかそっか。
ただどっちの方が税率安いかっていう話また出てきちゃうんですよね。
例えば企業家特例の話をした時は、個人の株式上等益に対しては2割かかるって言ったんですけど、
もし法人がスタートアップの株式を持っていて売却した場合は、その売却益には23%から33%がかかったりするんで、
結構かかりますよね。
なので株に関しては個人の方が安いとかあるんですよ、いろいろ。
なので資産の分散とか資産形成とかそれに対する税率なども考えながらどうするかみたいなのを、
税率さんと相談しながら検討するみたいな分野ですね。
ですね。せっかくA to Zなんで、自分で判断できるレベルで解説できたらなって思ったものも結構難しそうだなっていうふうなことも感じて、
これは間違いなく頼った方がいい話だなっていうのも同時に感じました。
そうですね。法人を検討、比較するときの得られる効果、税率の差を作るとか、社法を圧縮するとかいろいろ言ったんですけど、
そういう観点を頭の片隅に置いていただいて、自分ももしこういうことをしたらこうできるんじゃないかみたいなことに思いついていただいて、
それを税率さんにぶつけて議論を広げていくみたいな感じでいいと思うんですよね。
自分だけでは難しいと思いますね。
そう、ゆえの私業なわけですもんね。
ただそれを全く知らないままで、分かんないけどどうなんだろうって思うよりかは、
ちょっとこういう話を聞いてて、もしかしたらこれは自分も当てはまるかもなってみたいなその思考のヒントがお届けできれば嬉しいですね。
そうですね。税率さんから提案をしていただければ早めに考える機会が早いんですけど、
もし税率さんもなかなか気づかなくてってなると、自分から片隅にあるもので何か気づけて投げかけると、また議論を先に始められたりすると思うんで、
やっぱり自分でも知識があった方が税戦略は良くなるかなと思うんですよね。
ちょうどそんなことを自分でも思ってたんで。
雰囲気に高いなと思ってたんで、取りたいなと思いました。
以上になります。
畑山さんと一緒に見直しましょうというところで、ありがとうございます。
この番組はスタートアップ会計の畑山さんとスタートポッツの稲荷田がお送りいたしました。
特定マンのリクエストや畑山さんのご相談はお便りフォームか畑山さんのXメッセンジャーまでお気軽にお寄せください。
素朴な疑問とか質問でもいいかなと思いますので、ぜひお待ちしております。
そして番組のフォロー、評価、SNSでの拡散にご協力いただけますと幸いです。
それではまた次のお配信で会いましょう。ありがとうございました。
ありがとうございました。
20:09
コメント
スクロール