企業のデットファイナンス。年間500名以上の企業家から相談を受けるデットファイナンス支援の INQ 代表の若林が、スタートアップ企業家のリアルなお金の悩みを解決していく番組です。
みなさんこんにちは。INQの若林です。今回も前回に引き続きですね、この春にINQに新たに加入してくれました矢畑さんをゲストにお招きしてお話を伺いたいと思っています。
矢畑さんよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
簡単に矢畑さんの他個紹介をさせていただければと思いますが、1992年、和歌山県を出身、慶応大学を経て水戸銀行に入社されて、約10年間法人の融資の営業に携わってこられたという方で、
今年の春にINQに入社して、まさにスタートアップの融資による資金譲渡のご支援を担当いただいているというところでございます。
それですね、矢畑さんには前回、銀行の審査とはというところで、一般的な銀行の審査の流れについて教えていただいたんですけれども、
おさらいするとですね、まずは受付、そして格付というのがあり、倫義融資契約実行という流れで進みますよというお話を伺ったんですけれども、
今回はですね、その中でもかなり重要なんではないかなという格付について掘り下げてお話を伺いたいと思います。
矢畑さんよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
早速なんですけれども、受付がなされた後に格付というプロセスがあるわけなんですけど、格付って何ですか?
そうですね、財務状況を把握した上で財務区分を決定するために、決算書をベースに銀行が企業をスコアリングする過程だと思います。
ありがとうございます。財務区分っていうのは、これは一体どういうことなんですかね?
これはアルファベットで決定はされるんですが、A、B、C、D、E、Fぐらいまでありまして、
企業様がどこに位置するのかっていうのを決めるものになります。
よく銀行関係のドラマとかに出てくる幼虫うさぎとか、そういうやつですね。
そうですね。
決算書をベースに財務状況を把握して財務区分っていうのを決めて、銀行が企業をスコアリングしてということなんですけれども、まずその格付って何のためになぜやるんですかね?
まず一つは審査のスタートラインを決めるために、財務区分っていうのを決定させていただくっていうのがあると思います。
ありがとうございます。まず審査のスタートライン決まって、当然その格付が高い方がその後のプロセスとかも軽くなるというか、決めやすいっていうことですね。
やりやすいですね。
なるほどですね。他に理由ってあるんですか?
あとは銀行にとってっていうことなんですが、貸したお金の何パーセントを貸し倒れ引当金に積むかっていうのを、この格付、財務区分で決定させていただいています。
なるほど。貸し倒れ引当金っていうのを積むということは、これは銀行の財務諸表に乗っかってくるってことなんですね。
そうですね。
その域に思いっきりヒットしてくると。
この引当金っていうのが、生むであろう収益よりもちゃんと小さいものであるかっていう風にならないと、これはやれないよねってなっちゃうってことです。
そうですね。その後の倫理っていうところで、そこを見させていただいています。
この審査のスタートラインが低くて、貸し倒れ引当金を積むことになりそうだって、もしなった場合、それでもなおその後の倫理とかのプロセスでひっくり返していくっていうのは結構大変なんですか?
大変ですし、アルファベットによっては全く検討不可という結果にすぐなってしまう可能性もあると思います。
なるほど、なるほど。わかりました。それぐらい格付けっていうプロセスは大事だよってことですね。
はい。
この格付けっていう作業というかプロセスは誰が担うものなんですか?
基本的には受け付けた担当者がやれることになると思います。
はい。まずこの担当の方が受け付けました、格付けしますってなった時って、その時点で決算書をお預かりしている。
これを何ですか?カタカタ入れていくんですか?
そうですね。数字だけもう決まったところにバーっと入れていったり、読み込んで勝手に反映させたりっていうのは色々あるかと思うんですが。
なるほど。OCRでいったりとか。
そうですね。
なるほどですね。これでもう入れただけで決まっちゃうものなんですか?
一旦は表面的にはアルファベットは出てきます。
なるほど。これ表面的な評価と言いますか、出てきただけでもうABCD出てきて、これで決まっちゃうものなんですか?他にやりようあるんですか?
例えば上位のアルファベットだともうそれで終了ってなるんですが、
より低いアルファベットの場合だと何とか上げられないかということで、深い判断をしていく過程になると思います。
そのままいける、店内の倫理とかで決められるっていう表面的な評価っていうところで言うと、どういった条件だと割とスルッといけるものなんですか?
まず最終利益の黒字着地ですとか、財務超過じゃないよ、資産超過だよっていうことだったりとか、
あとはちょっとすごい細かいんですが、国内拠点のみで海外に視点持ってないよっていうことですとか、
あとは上場企業の子会社ではないよみたいなところを加味しています。
なるほど。財務的なところと非財務的な、訂正的なところ、いくつか項目があるけれども、
いってみたすとこれは表面的な評価のみで店内の倫理がかけられて決められるということですね。
じゃあ実際そうでない場合っていうのは、どこを見ていくかっていうところを伺っていきたいんですけど、
その前に、じゃあその表面的な評価以外の評価っていうのは、これは何評価?何か言い方あるんですか?
これは実体評価と言いますね。
実体評価になると、これは店内とかで簡単なプロセスでは決められなくなっちゃうんですか?
そうですね。本部にまず赤字着地ですよっていうような報告も必要になりますし、
その上でその実体評価を最後本部まで提出するということになると思います。
なるほど。これ試店の方々にとって本部決済っていうんですか、本店倫理っていうんですかね。
これって結構重たいものなんですか?
そうですね。できれば表面で終わらせたいっていうのが正直なところですね。
これ試店とかにもよると思うんですけど、本部決済になるケースって年間たくさんあるものなんですか?
格付けに関してはそれなりにある気がします。
なるほど。すごい珍しいってことでもないけども。
そうですね。はい。
一旦ここで実体評価っていうのをすることになりましたって言ったら、
じゃあその実体評価ってどうやってやるんですかってちょっと伺いたいんですけど、
これはどういったところを見ることが多いんですか?
そうですね。やっぱり資産の回収ができるか最終的にっていうのを見させていただくことになるので、
感情科目明細、あとバランスシートの左側の資産の部を一つずつ見ていくことになりますね。
なるほど。例えば左側で言うと売りかけ金とかですね。
そうですね。
未収入金とか、在庫回転期間とか、あと不動産とか有価証券とかそういったものを見るってことですね。
そうですね。一つずつ金額の大きなものから、売りかけ金だと売りかけ先のお会社名までちゃんと入れて、
そのお会社様の格付けが銀行にあれば、それも加味されて何%回収できそうだよね、みたいなのを
10社ぐらい、上位10社ぐらい入れていくっていうような感じですね。
なるほど。これもし格付けがなかった場合って、なんか帝国データバンクとか証拠リサーチのとか見たりするんですか?
おっしゃる通りですね。帝国データバンクの評点、何点以上だと100%回収で見てもいいよとか。
なるほど。
決まってます。
逆に言うと何%回収、100%じゃない場合っていうのは、そこをさっぴいで考えるってことなんですか?
そうです。完全に帝国データとかにもないようなお会社さんだと、片目に見て回収0%で再計算することもよくあります。
なるほど。そうするとBSの左側だから、それが減ってっちゃったりすると、未収入金とかもそうかもしれないですけど、減ってっちゃうと。
そうすると、場合によっては表面上は資産超過だけど、債務超過になっちゃったりするケースとかも出てくる。
おっしゃる通りですね。結構大きいのは、やっぱり海外に法人がありますっていうお会社様に
やっぱり出資されている親会社様の実体評価をしたときは、結構マイナスになったりします。
わざと海外の方はマイナス決算でされている、税務除されているみたいなお会社さんも多いんですが、
それを加味すると、実は債務超過になっちゃうみたいな、親会社までなっちゃうみたいなパターンも多々ありましたね。
なるほどね。
あと未収入金とかね、さっき言いましたけど、不動産とか有価証券とかも、これも評価し直すみたいな感じなんですね。
そうですね。直に直したり。
なるほど。直に直したら、結構、この長保に載っているのより全然低かったみたいなこともあったりして。
そうですね。投資物件をいくつか持っているお会社さんとかだと、ちょっと時間かかりますね。
一件一件、東京商工リサーチ、不動産の周辺の価値とかも調べ直してっていうのが必要なので、結構大変ですね。
なるほど。そういった形で、環状科目明細をベースに、金額の大きいところから実態を見ていきますと。
表面で出てきた数字を修正していくってことなんですね。
そうですね。
なるほど。もしこれで修正してって、実質的には債務超過ですとか、なっちゃった場合、これってどうなっちゃうんですか?
あとは、代表者様の資産を組み込めないかっていうのを仮で入力してみたりとか。
我々もなんとか、アルファベットを高くするためにできることはないかっていうのは考えます。
確かに高校の創業期の有志とかでも、代表者の方の個人資産とかが割としっかりしてる場合はポジティブに働いたりしますけど、それに近いものがあったりするんですかね。
そうですね。
なるほど。ありがとうございます。
そういった形で、表面評価、ないしは実体評価というような形で格付けが一旦出てきましたということになって、
スタートラインが決まって倫理っていうふうになるわけなんですけれども、もう少し格付けのポイントといいますかね、
どこが決め手になるのかみたいなところをぜひ伺っていきたいんですけど、
例えば格付けってスタートアップだとよくあるのが、期中すごく伸びてきていて、資産表情めっちゃ良くなってきましたみたいなことって起こり得るかなと思うんですけど、
格付けって資産表見てくれるんですか?
基本的には見てくれないので、決算書を占めたものの数字のみで判断をされます。
なるほどね。
従ってやっぱりどうしても銀行融資っていうのは決算書が大事になってくるから、
故に期中で伸びているスタートアップですと、期中のデータで審査してくれるベンチャーデッドとかで借りたりするケースも結構あるかなと思うんですけども、
銀行融資ではあくまでも決算書の数字をベースにということですね。
先ほどから疑っていると、割とBS中心だなという印象を持ったんですけど、合ってますかね?
そうですね。格付けはバランスシートの資産を見るっていうのが一番の目的かなと思いますね。
あんまりスタートアップとかだと固定資産とか、特に創業フェーズからミドルにかけていると、あんまりアセットを持たないっていう印象があるかなと思うんですけど、
そうすると結構なかなか見るものがないっていうことになりますよね。
そうですね。やっぱり創業期の会社さんだと赤字決算ももちろん多いので、
登録した瞬間に融資できないアルファベットが出ることがやっぱり多いので、
そこはちゃんと視点ではなくて、そういう創業期のベンチャー企業を扱う視点っていうのがあるので、そこにつないでもらう方がいいかなと思います。
日本制作金庫庫さんとかは創業期に支援するための融資制度とかがあるので、そういったところを使うのももちろんだし、
銀行さんでも最近ではスタートアップで特化して見る、審査する部署とかもあったりするので、
そういうところでちょっと違う目線というか、格付けそのものはあるのかもしれないけど、
そこから何とかする術をいろいろノウハウとして持っている部署に相談いかないと、
逆に言うと全然低い評価になってしまうみたいなことが起こり得るということですね。
ありがとうございます。
具体的に格付けにヒットしやすい指標って言うんですかね。
これが高いと格付けが良くなりがちみたいなものって何かあったりするんですか。
そうですね。黒字っていうのはプラスに働くので、
っていう意味でもEBITDAと言われるもの、営業利益に近いんですが、
計上利益プラス現価消却費プラス特別損益プラス支払い利息で計算されるものっていうのが、
良いとヒットしやすいのかなと思います。
なるほどですね。他に何かありますか。
あとは自己資本比率ですね。
やっぱり企業様それぞれに見合った借り入れの額、
ちゃんと負債は管理されているかっていうのを見るためにもこの指標も大事かなと思います。
なるほどですね。
この自己資本比率は結構重要な指標かなと思うので、少し細かく伺いたいんですけど、
これは総資産に対する自己資本の比率みたいなことであってますかね。
あってます。
それが高ければ高いほど自己資本でやれている、
つまり他人資本でいうところの借り入れとかの割合が小さいってことになるから、
安定してるよねっていう、安全だよねっていうことであってますかね。
そうですね。
30%とかあれば安全というか安心ができるかなと思います。
そうですね。
自己資本比率って結構重要な指標かなと思うので、もう少し掘り下げて伺いたいんですけど、
これ大体何%とかだったらいいよねってなるんですかね。
そうですね。大体30%くらいあれば安心していられるかなと思います。
これは計算式としては、総資産vsの左側の縦の長さに対して、
右下のこの自己資本の割合が何%かみたいなことかなと思うんですけど、
この自己資本、反対の言葉で言うと他人資本に対しての自己資本の割合が大きい方が、
安定的だよねっていう理解であってますよね。
はい、そうですね。
こうこさんの融資とかでもやっぱり自己資金が多い方がいいですよねと。
自己資金の大体2、3倍の融資とかだとしやすいですよねとかってよくあるかなと思うんですけど、
これまさに先ほどおっしゃった30%っていうのが逆算すると、
ちょうど自己資金の2、3倍借り入れもしした場合だと、
自己資本比率として30%前後になるから、いいよねっていうような収まりとしていいよねっていう感じなんですかね。
はい。
なるほど。ありがとうございます。
他に重要な指標ってありますか。
そうですね。格付けの中で計算するものでもあるんですが、
債務償還年数ということで、負債を何年で返せるかっていうのも、
一応、何年以上だとダメとかはないんですが、確認はしてます。
そういうことですね。いわゆる有利子負債と言われるようなものを、
利益とか減価消却費、先ほどお話しあったEBITDA、EBITDAで割ってあげる感じですかね。
そうすると、何年間で今の利益水準だと今の借りで返済できるよねというところがわかってくると。
それがもう10年とか超えてくると、ちょっと借りで大きいんじゃないかみたいなそんな感じになるイメージですかね。
そうですね。
よく10年とかって言いますけど、だいたいそこが一つ分岐点になるんですかね。
でも、結構アルファベットが低いお会社さんだと、もっとですね、2、30年とかのレベル。
赤字なので、とりあえず利益がそうなんです。
なので、計算上2、30年みたいになっちゃうことの方が多いので、
逆に10年ぐらいだと、まあまあなんとかできるかもねっていう気持ちで見たりもします。