1. 起業のデットファイナンス
  2. #68 金融機関の基幹システム..
2025-11-13 16:37

#68 金融機関の基幹システムに挑み続けたFinatextの歴史と、冬の時代を乗り越える資金繰りの具体策【後編】

今回は「金融機関の基幹システムに挑み続けたFinatextの歴史と、冬の時代を乗り越える資金繰りの具体策【後編】 」についてお話しました。

本エピソードは、ガゼル・キャピタルが運営するYouTubeチャンネル「⁠スタートアップ融資TV⁠」の公開収録をポッドキャストにてお届けします。

⁠Finatextホールディングス⁠CFOの伊藤 祐一郎さんをゲストに迎え、「冬の時代をどう乗り越えるか」をテーマに収録した前編です。


✅️創業者がロンドンのモバイルシフトから得た着想

✅️良いアプリは良い基盤から。巨人が独占する金融機関の基幹システム市場への参入戦略。

✅️実体験から生まれた新たなファイナンスの形:証券会社経営で直面した運転資金の壁。

✅️ビズグロースの活用事例:「攻め」に必要な費用を分割後払いするオルタナティブレンディング。


-----

「起業のデットファイナンス」は、累計1,300件・96億円超の融資をサポートしてきたINQの代表で、スタートアップ大好き若林哲平が、ファイナンスお役立ちTipはもちろん、起業家・スタートアップ・ステークホルダーとの対話を通じてファイナンス起点のストーリー・理論と実践を、ぼちぼちお届けする番組です。


■番組ハッシュタグ#起業のデットファイナンス


■無料ご相談・お問い合わせファイナンスのご相談、番組への感想やリクエストは⁠⁠コチラ⁠⁠からお気軽にお問合せください。


■パーソナリティー

⁠⁠若林哲平⁠⁠(⁠株式会社INQ⁠ ⁠代表取締役)デットファイナンスのハンズオン支援を中心に、様々な領域のスタートアップのシード期の資金調達を支援。累計1,300件96億円超の資金調達を支援するチームを統括。


⁠⁠遠藤朱美⁠⁠(株式会社INQ)

PR・マーケティング・共創担当として、スタートアップエコシステム実現への貢献を目指す。地域での相互扶助の関係づくりを通じた、公益経営の実現も推進中。


■編集・制作

サマリー

FinatextのCFOである伊藤氏は、金融機関向けの基幹システムを提供するビジネスの成り立ちや、エクイティ冬の時代を乗り越えるための戦略について語ります。特に、ビズグロースなどのオルタナティブレンディングサービスの活用事例に触れ、資金繰りの具体策を示します。Finatextの基幹システムとビズグロースの機能を通じて、企業が直面する資金繰りの課題に対する具体的な解決策が紹介されています。また、今後の展望として、柔軟な金融サービスの提供を目指し、パートナーシップを強化していく考えが示されています。

金融機関向けの基幹システム
起業のデットファイナンス、今回は前回に引き続き、既存産業領域のDXを推進するベンチャーキャピタル、
ガゼルキャピタルが運営していますYouTubeチャンネル、スタートアップ都市TV融資相談室の公表会をポッドキャストでもお届けいたします。
Finatext Holdings CFOの伊藤さんをゲストにお迎えしまして、ガゼルキャピタル近藤さんと共にお話ししました。
エクイティ冬の時代をどう乗り越えるかをテーマにした2回目の今回は、オルタナティブレンディングサービス、ビズグロースの仕組みやビズグロースの活用事例についてお話をしております。
資金繰り改善の具体策の一つとしてぜひお聞きください。
そもそも、なぜこの後払いサービスビズグロースを始めておられるんでしたっけ?
Finatextは今、B2Bのフィンティック企業という形で、メインのビジネスは金融機関向けに機関システムの提供というのをやっています。
ただ大元は全然違うビジネスからスタートしていまして、一番最初は金融の勉強ができるアプリを作ったりとか、金融機関の方々向けにアプリを開発するようなビジネスっていうのをやっていました。
なぜこのビジネスをやっていたかというと、創業者の林がもともと新卒がドイツ銀行のロンドン支店から新卒をスタートしていて、海外で働いているんですよね。
当時2010年の頃ってリーマンショックがあって、ロンドンはちょうど金融機関が総崩れになり、すごくいろんな金融系のスタートアップが出てきていた時期でした。
その時のテーマって本当にシンプルでモバイルシフトだったんですよね。
昔はPCでやっていたり対面でやっていたものを、サービスをしっかり絞ってモバイルの中でめちゃくちゃ使いやすく提供しましょうというのがテーマになっていて、すごい使いやすい斬新なサービスがたくさん出ていたのが当時のロンドンだった。
そういうのに親しんでいた林が日本に帰ってきて、いざ日本で金融サービス見たら、そもそもまだモバイルアプリもないじゃんみたいなところに気づいて、これは日本を良くするチャンスあるなってことに気づいて、
一番最初に創業した時は本当に金融のサービスっていうもの自体を、体験をいかに良いものにしていくかということをやりましょうということで、そういうのをミッションにして創業しました。
なので最初は本当にストレートに金融系のモバイルのアプリを作ったりとか、そういうものがちょっと簡単に学べるような教育アプリを作ったりとかってことからスタートしていたっていう感じですね。
実際に取り組まれてみてどうだったんですか。
やっぱり最初にスタートしたのは教育系のアプリ、なんかデモトレができたりとか勉強できたりするアプリっていうのをやっていたんですけど、実は結構ユーザーさんが集まって、当時でいうと株って検索すると我々のアプリ、一番最初に出したアプリってアス株ってアプリなんですけど、すぐに何十万、百万とかってユーザーさんが集まるようなサービスになったので、
それは最初はすごく成功して、まさに金融機関の方々がこういうアプリ作りたかったんだよねって言われて、代わりに企画開発してくれないかって言われて、そこから三菱さんとかのアプリを代わりに開発させていただくみたいなことがスタートして、ビジネスとしてより大きくなってきたんですけれども、
いざアプリとか本格的に金融機関の方々向けの本当に本物のアプリを作りにいこうとすると、めちゃくちゃ難しくて、全然思い通りのいいサービスが正直作れなかったんですよ。
なんでなんですか?
これなんでかっていうと、結局金融サービスって皆さんが例えば株のサービスだと、何の株持ってるかとか、今いくらかとか、いくら儲かってるかとかって全部見えるじゃないですか。
ああいうデータって、やっぱりアプリの裏側にある機関システムと言われるものから全部データが発信されてるんですけど、機関システムがめちゃくちゃレガシーで古いので、
やっぱり何か新しいことやりたいとか、こういうデータをこういうふうに見せたいとか、こういうふうなスピーディーにやりたいとかっていうのをやろうとすると、今のシステムではできませんというのがものすごいあって、
結局アプリを作ること自体は半年とかでできるんですけど、裏側にあるAPIを作るのに1年、2年待ってくださいみたいなことってざらにあって、
一般的に金融アプリって使いづらくて、それって銀行員の人たちがお金持ちで、上から目線で、あまりお客さんのこと考えてなくないってかってちょっと言われがちなんですけど、
証券会社設立の挑戦
全然そうじゃなくて、皆さんめっちゃ考えてるんですけど、裏側にあるシステムがかなり古くて硬直化してるので、できることがかなり限られて、その中で無理矢理できるようにするんで、何かちょっと変なサービスになるみたいなことがあって、
やっぱりそういう苦労っていうのがすごく中に入って見えて、これいいサービス作るっていいアプリ作るじゃなくて、いい基盤を作ることなんだってことに気づいて、そこから一気にビジネスを機関システムを作ると。
そもそもの機関システムを作り始められたんですか?
そうですね。
スタートアップとして基盤の方に取り組むって、それはそれでめちゃめちゃ大変じゃないですか?
そうですね、無理ですね。やってる会社って基本的に親友系のエサ屋さんなんですよ。
今僕らってやっと売り上げがちょうど今年100億くらい乗っかってくるんですけど、これでだいたい競合の売り上げ規模の100分の1くらいですね。
100分の1ですか?
はい、なので基本的にむっちゃくちゃ大きい会社さんがやるビジネスなんですよ。
なんで大きい会社さんしかできないかっていうと、理由はたった一つで、金融サービスってやっぱり金融庁の管轄で既成業種なので、絶対にミスれない、絶対に落とせないサービスなんですよね。
つまりシステムは確実に動くものを使わなきゃいけないんです。なので基本的に新規参入はないんですよ。
めっちゃインフラですね。
インフラビジネスなんですよね。それはそうですよね、金融サービスで落ちちゃって動かなくなりましたら大問題なので、基本的には動くサービスでやってくださいってことになるので、システムっていうのはどの金融のビジネスにおいても基本的に機関システムになるとほとんど独占か過占のビジネスになるというところなので、
これをどうやって切り崩して参入していくかっていうことを考えるときに思いついたのが、自社で証券会社作って、証券ビジネス作って、自分たちが作った機関システムのファーストユーザーに自分たちがなっちゃえば実績作れるじゃんってことを思って、
はじめに自社サービスとして証券会社のライセンスも取ってシステムを作ってスタートしたのが2018年頃で、そこから一気に金融業みたいなところもやるようになり始めたっていう感じです。
理由が安っしですけど。
さらっと教えましたけど、実際どう?
そうですね、もう何が何だか全く分からないので、当時は全然人がいなかったので、今だから言いますけど、私とインターンの子2人で金融庁行って、カントリー・タイム協会行ってライセンス取りたいんですけどどうすればいいんですかって聞きに行ってスタートしたっていう感じですね。
そもそもスタートアップ業界でそういう戦い方をされてる方っておられないじゃないですか、なかなか。
ってなった時にVCの方々への接触というかコミュニケーションもめちゃめちゃ大変だったんだろうなと思うんですけど、調達ってでもVCから集めておられましたよね。
そうですね、調達自体は2回していて、1回目が14億円かな、2回目が60億円くらいしてるんですけども、やっぱり元々はかなりアセットライトな、本当にアプリ作ってるだけの開発だったので、
実はもう創業当初からかなり利益が出ていたんですよ。そこから一気にとてつもなく掘りますということになるので、急にお金すごい必要になったので、めちゃくちゃ大型の調達をしなきゃいけないということが出てきました。
それが2017年ぐらいで、10億以上の調達しようとするとほとんど出し手が当時だといなかったので、1社ずつ死ぬ気でアプローチして、なんとか1社から調達するみたいな感じだったので。
そこの中でJACCOさんが元々ずっとお話もしてたのもあって、資金提供をしてもらえて、なんとか証券会社自体は立ち上げることができたという、そんな感じでしたね。
個人的に立ち上げる難易度は非常に高そうなイメージなんですけど、調達ができた後は軌道に乗り始めたんですかね。
資金繰りの具体策
結構調達できたので、これで一段落だろうと思ったら、結構その後苦労しまして。
何かというと、証券会社というビジネスをやってしまったので、投資したいとなるとユーザーさんがまず証券会社の口座にお金を入れますよね。
お金を入れてから株を買うと、その入れたお金で株を買ったりとか、儲かったり損したりすると後で出すというような形になると思うんですけれども、
そういうお客様から一旦入れていただくお金を我々の銀行に入ってくるんですけど、そのお金を勝手に使っちゃうとまずいじゃないですか。
なので規制で必ずそのお金はすぐに新宅銀行というところに全部プールして補正しなさいという形で、結構資金をちゃんと分別して管理しなさいという義務がものすごいあるんですよ。
でも全部預かったお金を新宅銀行に預けちゃってると、急に株買いたいですってお金出てたりとか、急にお金出勤してほしいですとかって言われると、
一回その新宅銀行にあるお金を銀行に戻してきてお返しするとか、戻してきてお支払いするとかってあると結構時間かかっちゃうので、そうならないように一定銀行にお金をプールしておかなきゃいけないんですよね。
なのでユーザーさんから集まったお金は全額新宅銀行に置いておくんですけど、それとは別でちょっとお金を銀行に置いておくということは手元に資金を置いておく必要があって、
急に1億円ぐらいドーンって入ってきたりするとか、1億円出したりとかっていうのがあったりすると急に対応しなきゃいけないので、こういうものにいついくら必要になるかみたいなことを予測しながらいくらぐらいお金を置いておこうみたいなことをやらなきゃいけないんですけど、そんな予測できないんで。
できないじゃないですか。
なので最初バタバタで急にお金ないんでどうしようってなって銀行に行って、どうにかして貸してくださいみたいな、もうあさってにはお金出さなきゃいけないんでどうにかならないんですかみたいなのをやったりとかっていうのを結構していて、
かなり運転資金みたいなところは、実は調達は良かったんですけど運転資金のところは結構苦労しました。
つまりFinatext自体がまさに様々なファイナンスの手法っていうのを潜在的に求めてた状態だったんですか。
資金繰りの課題と解決策
そうですね。なんか調達ドーンとしたのでいいと思いきや、やっぱりビジネスをやるのに合わせて必要な運転資金っていうのはあって、そういったものをどういうふうに手当てしていくかみたいなのはやっぱりすごくすごく悩みました。
Finatextグループとして基盤のところに注力されてきたがゆえに柔軟にいろいろ対応できるってことなんですけども、そもそもこのVizgrossが対応できる秘目ってどういったものがあるんですか。
今までちょっとご説明してたようなところで言うと、工場さんへのお支払いする業務委託費とかっていうところが一つになりますし、ただそれだけに限っていなくて、例えば広告費とかっていうのも対応させていただいていますし、極論言うと請求書があってお支払いできるものであれば、秘目自体は問わないで対応すること自体はできます。
今多いのはやっぱり工場さんへのお支払いと広告費とか、あと先ほどもちらっと出ましたけど、例えば採用の時のフィーの分割払いですとか、そういったものっていうのが割と中心になっているかなというふうには思います。
例えばエンジニアさんの人件費とかそういったのも請求書で来ている場合には。
そうですね、エンジニアさんの人件費とかも、例えば業務委託費とかもお支払いを分割払いすること自体はできます。
ただ結構工場的にエンジニアさんの支払いとかって毎月かかるようなものを分割払いするのは、ただ積み上がっていくだけなので、あんまりお勧めはしていないので、対応はできるんですけれども、そこは分割払いにしない方がいいですよみたいなことっていうのは普通にお伝えすることは多かったりします。
でも一方でエンジニアさんの費用もワンショットで半年分ぐらい一気にドンって請求が来たりするケースもあるじゃないですか。
ああいうケースのものはご対応可能だし、対応した方が多分ビジネスとしてもいいと思うので、対応させていただいたりしているという形です。
BizGrossというサービス名になるかどうかわからないんですけれども、Finatext Groupとしては他にもいろんな金融サービスを仕込んでいこうということですよね。
そうですね。今ここはいわゆるオルタナティブレンディングと言われるファイナンスという形の分割後払いというところでやっていますけれども、
ここでやっているエンティティ自体は貸し金業も持っているので、実際に今貸し金業のサービスとして融資をするようなことというのもできる形になっています。
なのでお客様のごニーズに合わせて実際には融資をさせていただくようなことも実際やっていますし、
ファクタリングという形で対応していただいていることもあるので、そこは金融サービスとしてはニーズに合わせて対応していければと思っていて、
今後の展望
結構後払いだけに限らず幅広く展開を今しているところですし、ここはどんどん伸ばしていきたいなと思っています。
イナテキストグループ全体としての今後の展開、展望みたいなものを教えてください。
そうですね、ベースとしてはお金を貸すじゃないんですけれども、
ファイナンスサービス自体を提供して付加価値を作っていくというところも大事なんですけれども、
僕らはベースとしてあくまでもテクノロジーの会社だと思っているので、
そのサービスを支える基盤システムがいかに柔軟で低コストに運営できるかというところが本当に大事だなというふうに思っています。
それをシステム自体を直接パートナーさんに提供するということでビジネスを作っていくというのも一つですし、
このVizGrossみたいに我々がそのシステムを使ってニッチなユニークな商品をどんどん作っていくというところもやりたいなと思っていて、
この後者のところでいうとやっぱり自分たちだけでユニークな商品を作っていくというのはなかなか難しいので、
パートナーシップを組みながらサービス提供していくというのが次、会社としては取り組んでいきたいなと思っているところですね。
例えば足元ですとスーパースタジオさんというECのカートを提供している会社さんがありますけれども、
スーパースタジオさんと提携していて、スーパースタジオさんのお客様向けにこのVizGrossをご利用いただけるような仕組みをやっていたりですとか、
あとは場合によってはスタートアップの会社さんが次に移転するときの移転費用の分割払いができる。
例えば内装費とかって結構コストがかかるじゃないですか。
今日このスタジオすごく豪華だったので、内装費高そうだなと思って見てるんですけど。
そういう内装費とかっていうのもまさにお金かかるので、そこを分割払いできるようなサービスとかっていうのを、
そういうことを提供している会社さんとかと提携をして、それ用にサービスを設計していく。
そのときに必要なのが後払いなのか、貸し金なのか、ファクタリングなのかっていうのはちょっと状況によるので、
合わせてそこに尖らせて商品を作っていくということを引き続きやっていきたいなというふうに考えています。
ありがとうございます。
ぜひ最後にこの動画の最後に視聴者の皆さんに一言メッセージをいただけると嬉しいのですが、お願いしてもよろしいでしょうか。
ディズグロースはそういう意味では分割後払いっていうシンプルなサービスではあるんですけれども、
業界ごとにユーザーさんのニーズを捉えて、いわゆる一般的なファイナンスサービスじゃなくて、
攻めのツールとして使っていただけるような形にしているので、
ぜひここから成長していきたいと思っている会社さんは、そこの一つのサポートするツールとして使っていただけたら嬉しいなというふうに思っています。
企業のデッドファイナンス、最後までお聞きいただきましてありがとうございました。
この番組は毎週火曜木曜日の17時30分に配信しています。
ぜひ番組フォローをお願いいたします。
番組へのお便り、ご質問、リクエストは匿名でも送れます。
ぜひお気軽に概要欄のフォームよりお送りください。
私若林への融資に関するご相談、資金調達に関する壁打ちも通信で受けたまっています。
ぜひ概要欄の無料相談フォームよりご予約くださいませ。
企業のデッドファイナンス、最後までお聞きいただきましてありがとうございました。
次回もどうぞよろしくお願いします。
16:37

コメント

スクロール