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2026-01-11 08:45

#143 思想の武器化 思想を説得や交渉に応用する方法

サマリー

このエピソードでは、説得や交渉における思想の武器化について議論されています。特に、効率的、規範的、情緒的な説得手法と、自由主義や人権思想などの現代的な思想が交渉にどのように応用されるかに焦点が当てられています。

説得手法の種類
ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。
あけましておめでとうございます。
今回は、説得、交渉、ネゴシエーションといったものについてしゃべります。
僕、実は結構ビジネスショーなんかも好きなんだけど、最近は割とネゴシエーションに興味があって、それで面白い本があったんですよ。
草野幸一さんの説得の技法って本なんだけど、結構古い本なんですけど、非常にロジカルかつアリストテレスやロールズの正義論なんかも参照しながら書かれていましたので、この本を補助線として用いてみます。
いきなり余談ではありますが、哲学が好きな人ってビジネスショーをけぎらいしがちじゃないですか。
僕の周りだけかな。
ビジネスショーって結構面白いのもあります。
もしビジネスショーを食わず嫌いしている方に勧めるんだったら、影響力の武器って本だけでも読んでみてほしいなぁと個人的には思います。
めっちゃ面白いから。
話を戻して、この本、説得の技法は人を説得するに際しての原理原則について書いています。
原理原則は3つ。
説得の技法は大きく3つに分けられるんだそうです。
以下、引用しながら話します。
第一は、効率的説得。
効率は、攻撃の効に利得の利、上出は後見るなんかの効率主義の効率です。
効率的説得は相手の利己心に訴えるものであり、求める行為が相手の利益となることが説得の決め手となります。
例えば説得するにあたって交換条件を出すとか、何かしらの利得をちらつかせるとか、そういうのですね。
第二は、規律的説得。
相手の義務感ないしは規範意識に訴えるものであり、求める行為をすることが相手の広い意味での義務であることが説得の決め手となります。
これは例えば、輪を乱すべきじゃないとか、会社員たる者、会社の利益を追求するべきであるとか、そういう反論しづらい系の規範を用いた戦術です。
なお、人が義務として受け入れる行為規範は様々であり、時代や個人の価値観によっても異なるので、そこだけ注意が必要です。
第三は、情緒的説得。
人間は感情の動物であり、欲望、憎悪、愛情、その他様々な感情を動機として一定の行動を起こし、
同時に、羞恥心、嫌悪感、その他様々な感情を反対動機として一定の行動を差し控えるという挙動をするから、
そこで、相手の感情に訴えることによって、一定の行為を実施させること、または実施しないことを説得しようとするものです。
これは簡単ですね。
嫌なんだったらやらなくていいんじゃないの?とか、どうしても欲しいなら買えば?とか、
逆に我慢できないのは恥ずかしいことだって言って、相手の羞恥心に訴えかけるとか、
そういう感情を用いて相手を説得するプリミティブな戦術です。
で、順番としては、まず効率的説得を試みて、ダメなら規範的説得を試みる、
それでもダメなら最後に情緒的説得を試みるという順番になります。
難しい話抜きにして一般的な常識から考えても、
まず利得をちらつかせてコントロールするっていうのは、それができるなら一番早いですよね。
でも毎回何らかの利得とか交換条件を用意できるわけではないし、
そもそも人間は利得とか権益だけで動くわけでもありません。
すると、規範的説得をいかにして行うかがすごく重要ということになりそうです。
だって、権益の分配で説得が済むんだったら、比較的簡単な話だから分配率とかの数字の話になってくるし、
その後の情緒的説得は単なる感情論だから説得力があまりないし、あくまで最後の手段だからです。
思想の武器化
したがって、規範的説得が我々にとって一番重要になりそうなんだけど、
問題は、人によって内面化している規律は少しずつ異なるという点です。
だから、現代社会において実際に受け入れられており、相手が受け入れる規範は何かという観点から、
何か良さそうな規律を見つけて、それを採用するというのが大事ということになります。
実際、規律、規範、道徳といったものは星の数ほどあります。
ポピュラーなところだと、会社員たるもの、会社の利益を第一に考えなければいけないとか、
あるいはワークライフバランスの観点から、これはやるべきじゃないとか、そういうのがありますね。
ただ、そういう一般論がいまいち適さないとか、刺さらなそうな場合、思想が武器になってきます。
この思想というのは、非常に進のが長いバラエティがあります。
共産主義とか再職主義みたいなザ思想って感じのガチガチの思想から、
各時代の各民族の文化を特色付けている文化レベルまで溶け込んだ緩やかな思想まであるよね。
そういう緩やかな思想っていうのは、ミシェル風光の言葉を借りればエピステーメイと言ってもいいかもしれないですが、
空気のように我々の周りに当たり前に漂っているものです。
したがって、その文化の構成員が誰でもその思想の内容を知っていて言語化しているわけではないものの、
様々な緩やかな思想は空気のように広がっていて、それを呼吸して暮らしている我々は知らないうちに影響されています。
本から引用すると、18世紀のフランス人のうち、実際にモンテスキュやボルテールを読んだ人間は少数であったに違いない。
しかし啓蒙主義の思想は、フランスの知識人に浸透し、ついにはフランス革命の指導精神となった。
現代社会にもいくつかの有力な思想が存在する。
だからこれを言語化して、明晰に理解することができれば、誰かと、あるいは社会全体と交渉する際に武器として用いることができるわけ。
ネゴシエーションという文脈において、思想っていうのは武器化することができる。
例えば、自由主義、人権思想、平等主義、適正法手続き、いわゆるデュープロセスが、本の中では代表的な思想として引き合いに出されています。
最近だと、男女平等とか格差是正とか高齢者福祉なんかが、政治を通して社会全体を説得する際に強力な武器として用いられています。
その他、これまで僕たちがポッドキャストを通して見てきたように、ものすごくたくさんの思想が存在します。
だから、相手に刺さりそうな思想、道徳、規範をチョイスすることができれば、その相手を説得する難易度は非常に下がる。
ゲームっぽく言うと、相手の弱点属性の武器を使って交渉した方が勝率は上がる。
そして様々な属性の武器を懐に忍ばせておけば、戦う時に勝ちやすい。
こういう構造がネゴシエーションにはあるよね、という話でした。
というわけで、今回はここまでです。
次回もよろしくお願いします。
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