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2025-05-18 06:48

#122 オーバーツーリズムとジェントリフィケーション

昨今オーバーツーリズムの問題として、異常な混雑や外国人のマナー違反のような目につきやすい事象が取り沙汰されるようになりました。そのような物理的な問題はカメラで映せるため報道向きですが、絵的に地味なため報道されづらいジェントリフィケーションの問題もあるよという話をします。


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サマリー

このエピソードでは、オーバーツーリズムとジェントリフィケーションの問題が取り上げられています。特に、観光客の増加が地域経済や住民の生活に与える影響について詳しく解説されています。

オーバーツーリズムの影響
ストーリーとしての思想哲学、思想染色がお送りします。
今回は、オーバーツーリズムとジェントリフィケーションです。
オーバーツーリズムの問題は、日本でもよく報道されるようになりました。
スペインのバルセロナで、オーバーツーリズムに抗議するデモが何回も繰り返し行われていたり、
日本だと京都の混雑具合もひどいです。
道路がアホみたいに渋滞したり、バスが常に満員だから地元民がバスに乗れなかったり、かなりの迷惑をこむっているという報道が見られます。
そういう物理的な混雑に伴う迷惑って、目に見える形で現れるからわかりやすいし、
みんなそれが問題であるということが見ればわかるわけです。
でもオーバーツーリズムに伴う本当の問題っていうのは、もっと見えないところにあるという話をします。
ジェントリフィケーションという概念があります。
これはイギリスの社会学者であるルース・グラスが、1960年代に提出した概念です。
ジェントリフィケーションのジェントルっていうのは、ジェントルマンのジェントルのことですけど、
ジェントリっていう地主階級がいるんですよ。
イメージしづらいと思うので、なんかブルジョアな感じの地主だと思ってもらって構いません。
だからジェントリフィケーションは、街そのもののブルジョア的な地主家みたいな意味になります。
昔の具体例の話からすると、イギリスにはイーストエンドというクソほど治安の悪い、いわゆる貧民街があったんだけど、
今ではすっかりオシャレスポットになっています。
順序としては、まずイーストエンドは治安が悪いだけあって、家賃がめちゃめちゃ安かったんですね。
それで、家賃の安さに惹かれて、学生やアーティストが流入しました。
その当時の昔の学生とか、あとは若いアーティストって、お金は持ってないけど、なんだかかっこいいイメージがあるじゃないですか。
それで彼らはその貧民街で、自由に芸術活動、アートワークをしたりして、キラキラした活動をしていたから、徐々に話題になっていきました。
すると次に、彼らを目当てにカフェやギャラリーが開店します。
雰囲気がオシャレだと評判になり、住みたがる人たちが急増することによって、地代家賃が上昇します。
そこにさらに投資マネーも入ってきて、再開発されたりホテルが建ったりするから、ますます不動産価格が上昇する。
ついには上昇した家賃に耐えられず、元の住民が退去させられていく。
こういうじわじわと住宅や周辺の物価が上昇していくことによって、もともと住んでいた人たちが退去させられていく現象のことをジェントリフィケーションと言います。
このタイプのジェントリフィケーションは、アメリカだったらポートランドなんかで顕著ですね。
日本だとニセコもそんな感じに見えます。
2000年代以降は観光客のオーバーツーリズムに伴うジェントリフィケーションも起こるようになっています。
観光客が増えるということは、宿泊する部屋が必要になるということを意味します。
もちろん資本主義経済の下では、需要と供給の関係に基づいてホテルがガンガン新築されてくるわけだけど、オーバーツーリズムのような状況だとホテルだけだと足りないわけですよ。
それに儲けようとするのは、ホテルを建設することができるそれなりの規模の株式会社だけじゃなくて、住んでいる住民たちも当然のことながら儲けようとします。
土地を所有している個人は開発している会社に売却したり、住宅を所有している個人だったら、Airbnb のような民泊サービスを使って家を観光客向けに貸し出します。
マンションやアパートの部屋を所有している個人も同様に、民泊サービスを使って部屋を観光客向けに貸し出すことになります。
すると、居住可能な家屋が収入を得るために観光客に貸し出されてしまうわけだから、地元民が暮らす用の家屋は減少していくことになります。
駐車場で例えると、月決め駐車場が今までめちゃくちゃあったのが、それが減って、時間貸しのコインパーキングばかりに置き換わってしまったみたいな感じ。
すごい雑に計算すると、一泊一部屋1万円であっても、30日のうち半分宿泊があったら15万円だから、結構割が良いということで観光客に貸し出されてしまって、
そうすると需要と供給の関係から不動産価格はどんどん吊り上がっていくよね。
ジェントリフィケーションが特にひどいバルセロナでは、過去10年間で、家賃は68%上昇、住宅購入費は38%上昇したそうです。
あとは、家の近くにある飲食店が徐々に観光地価格になっちゃったり、冒頭で言ったような道路や公共交通機関の混雑で、どこに行くにしても時間がかかるようになっちゃったりで、もう住める場所じゃなくなっちゃうわけです。
ただ、だからといって、それで儲けてる人たちが不当に儲けてるわけではなくて、あくまで合法的にビジネスをやっているわけだから、
仮に行政当局が無理やり規制をするのは財産権の侵害っていうことで憲法違反なわけで、
どこまでもあちらを建てればこちらを建たずみたいなジレンマの関係が背後にあるわけですね。
テレビを見ると、外国人のマナー違反とかバスが混んでるとか、そういう目に見える部分の話ばかりがフューチャーされているけど、
それより見えづらい部分の問題の方が深刻であり、見えづらい部分はジェントリフィケーションという概念をレンズにして通してみると見えるようになるよという話でした。
ジェントリフィケーションの現象
今回はここまでです。次回もよろしくお願いします。
06:48

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