ヒアリングの失敗談:娘の前髪カット騒動
こんにちは、ソロマーケFMの寺尾です。 先日、クライアントの話で気づいたんですけど、僕らマーケッターって、ヒアリングが大事と口では散々言うくせに、いざ目の前で要望を言われると、つい手が動いちゃうんですよね。
あ、それならこうですねってすぐソリューションに飛びついちゃう。 で、このことを一番痛感したのが、実はクライアントの前じゃなくて、自分の4歳の娘の前だったんです。
うちの娘がお化粧遊びをしていたときのことです。 突然、「パパ、前髪切って、眉毛が見えるようにして。」と言ってきました。
僕はハサミを持ってきて少しずつ切り始めたんです。 でも切るたびに、「まだ眉毛見えない。」って言われる。 「もうちょっと切る。」、「まだ。」って怒られる。
正直ですね、これ以上言ったらオカッパになるぞと焦りました。 で、ふと聞いてみたんです。
なんでそんなに眉毛見せたいの?って。 そしたら娘がこう答えたんです。
お化粧するときに眉毛に塗るやつを使うとき、 前髪がいちいち降りてきて邪魔だから。と。
つまりですね、娘が本当に求めていたのは、 眉毛が見える長さの前髪じゃなかったんです。
お化粧遊びのとき、前髪が邪魔にならないことだったんです。 で、そこに妻が登場してヘアバンドを持ってきました。
娘はそれをつけた瞬間も大喜びでお化粧遊びに戻りました。 前髪を切り必要なんて最初からなかったんです。
これ整理するとこうなります。 僕が理解していたのは、眉毛が見えるように前髪を切ってほしいという要望。
だから少しずつカットしていた。 あんまり切りすぎるとちょっと可愛くないっていうのもちょっと自分のこだわりとしてあったので、
ちょっとだけ眉毛が見えるぐらいの長さにしようとしていたんですね。
でも娘の本当のニーズは、お化粧遊びのとき前髪が邪魔にならないようにしたいです。
解決策は前髪カットじゃなくてヘアバンドだったんです。
しかも立ちが悪いのは、僕自身が1週間前から娘の前髪が気になっていたんです。 だから切りたいというバイアスがかかっていた。
要望を聞いた瞬間に、よし切ろうと飛びついてしまった。
表面的な要望と本当のニーズの乖離
マーケティングマネージャー時代にも同じようなことをやらかした記憶があります。
クライアントにLPを作り直してほしいと言われて、すぐにワイヤークレームに取り掛かったんです。
でもよくよく聞いてみたら、本当の課題はLPじゃなくて、広告のターゲッティングがずれていたことでした。
LP自体は問題なかったんです。
マーケティングで有名な話がありますよね。
お客はドリルが欲しいんじゃない。穴を開けたいんだと。
僕も何回も引用してきました。
でもこの前髪事件で気づいたんです。
穴を開けたいで止まっちゃっちゃダメだなと。
なぜ穴を開けたいんですかまで聞けば、
壁にフックを付けて棚を作りたいという本当の目的が見えてくる。
そこまでわかれば、
あ、穴を開けなくても粘着質のフックがありますよという全く別の提案ができるかもしれません。
今回の話に戻すと、
ヘアバンドなら僕のこの可愛い髪型を維持したいという思いと、
娘のお化粧の時邪魔にならないようにしたいというニーズ両方を満たせるんです。
本当のニーズがわかればお互いにとって最適な着地点が見つかる。
これはビジネスで全く同じです。
ニーズの構造と潜在ニーズの掘り下げ方
そもそもなぜ要望をそのまま受けると失敗するのか。
これは構造的な問題なんです。
お客さんは自分のニーズを自分が知っている解決策で表現します。
前髪切ってもドリルが欲しいも本人なりの解決策です。
でもそれは手段であって目的じゃない。
しかも厄介なのは、お客さん自身が本当のニーズに気づいていないことも多いんです。
マーケティングでは健在ニーズと潜在ニーズという言い方をしますが、
最初に言葉になるのはほぼ健在ニーズです。
潜在ニーズは聞く側が意識的におらないと出てきません。
娘だってお化粧の時前髪が邪魔という本当の理由を最初から言語ができていたわけじゃないんです。
僕がなんでなんでと聞いて初めて出てきました。
これはお客さんとのヒアリングでも全く同じことが起きています。
じゃあ具体的にどうするかというと、なぜももう一段だけ深く聞くだけです。
お客さんがこうしてほしいと言った時すぐ動くんじゃなくて、
なぜそうしたいんですかと聞く。
その答えにもう一回それはなぜと聞く。
たった2回です。
これだけで見える景色がガラッと変わることがあります。
ヒアリングの本質と実践の難しさ
ただし聞き方には気をつけてください。
なぜを連発すると質問になります。
もう少し教えてもらっていいですかとか、
それって具体的にどういう場面で困っていますかのように興味を持って聞く姿勢が大事です。
信頼関係ができていない段階で深掘りしすぎると、
相手が警戒して本心を話してくれなくなりますから。
ユーザーインタビューでも営業でも広告のコピーを考える時でも同じです。
表面的なニーズに合わせた言葉を使っても人は動きません。
本当に解決したいことにたどり着いて初めて、
あ、これ自分のことだと感じてもらえます。
正直僕はヒアリングが大事だと何百回も言ってきました。
クライアントにも伝えてきました。
でも自分の4歳の娘相手にすらそれができていなかった。
知識として知っていることと実際にできることって全然違うんだなぁと感じました。
でもですね、その一瞬を我慢してなぜを聞くだけで
提案の精度も相手との信頼関係も全く違うものになります。
娘は浮気しながらヘアバンドをつけてお化粧遊びをしていました。
前髪はちょっとルドロになりましたが、それはご愛嬌です。
今日は娘の前髪を切りながら痛感したヒアリングの本質についてお話ししました。
何がしたいかだけじゃなくて、なぜそうしたいのかまで踏み込む。
たったこれだけのことなんですが、本当に難しいです。
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それではまた次回、そのまま経営組でお会いしましょう。
ありがとうございます。