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今回はミチフ語という言語を取り上げます。このミチフ語というのは混合言語です。 混合言語。言語接触の結果、二つだと思うんですけどね、二つの言語が混ざり合ったような言語ですが、
よく似たものとしてピジンやクレオールと言われるものもあります。 このピジンやクレオールというのも、二つの言語が接触した結果生じたような言語で、
先にピジンやクレオールの話からしておくと、ピジンというのはお互い通じない、母語を共有しない者同士が接触したときに、何とかコミュニケーションを成立させるために使われるような言語です。
かなりその場限り的な言語ですし、 さらに言うと母語話者というのがピジンには存在しません。
そのピジンを母語とするものが現れると、クレオールという言い方をします。 このクレオールの方はもうちょっとちゃんとした劣気とした言語で、
ピジンとは文法にしろ語彙にしろ複雑さというのはレベルが違うというふうに言われています。
それに対して混合言語というのは、 ピジンやクレオールに見られるような単純化みたいな現象は見られません。
複雑さを保った接触言語みたいに言うことができるんではないかと思います。 BGMです。
始まりました4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。 リーチョンウェイです。
今回取り上げるのはミチフ語という接触言語です。 このミチフ語というのは何の言語と何の言語の掛け合わせかというと、
一つはフランス語です。 フランス語とクリー語という言語の
組み合わせというかね、 フランス語とクリー語の混合言語でございます。
クリー語というのは、 北米のアルゴンキン語族と言われる言語のグループに属す言語です。
要はネイティブアメリカンの先住民の言語ということができます。 Wikipediaをちょっと見たら話者数が725人って書いてましたね。
これは相当危機的な状況と言えるんではないかと思います。
繰り返しになりますが、ミチフ語というのは混合言語ですので、 ピジンやクレオールとは異なって単純化っていうのは起こってないんですね。
フランス語の特徴も残しているし、 クリー語の特徴も残しているというような、
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そんな言語でございます。 その中でも面白いのが、
文法性に関わるところで、
文法性というのはあるいは名詞の性と言われるものですけど、性別の性ですね。 これはヨーロッパの言語でよく見られるシステムで、
男性名詞とか女性名詞とか中性名詞とかね、 言われる名詞のグループ分けっていうのがあるんですよね。
フランス語の場合は男性名詞と女性名詞っていうのがあります。 名詞っていうのは必ず男性名詞か女性名詞に振り分けられなくちゃいけないんですよね。
これって結構めんどくさいと言えばめんどくさくって、 母語話者にとってはおそらく男性名詞は男性名詞だし、女性名詞は女性名詞なので、
それでいいじゃんっていう感じだと思うんですよね。 学習者はそれぞれの名詞がどっちかっていうのを覚えなきゃいけませんが、
母語話者は そういうもんだと思えばそういうもんだと思うんですが、
ただ、 一つ問題となるのは新しい語が増えたとき、
例えば釈養とかで 外国語がフランス語に入った場合、
男性名詞か女性名詞か決めなきゃいけないんですよね。
なんでそのいちいち男性か女性か名詞を決めなきゃいけないかっていうと、 それによって形容詞の形がいちいち変わるんですよね。
男性名詞を修飾するんだったら、形容詞もそれに合わせた形にしなきゃいけないし、
女性名詞の場合も同様で、女性名詞を修飾するときはそれに合わせた形に形容詞が変化する必要があります。
この文法性のシステムっていうのは、 フランス語の親であるラテン語から引き継がれているもので、
ラテン語の場合はさらに中性名詞っていうのもあったので、文法性が3つあったわけですけど、
ラテン語も形容詞とか名詞を修飾するときに形をいちいち、 名詞の性によって形容詞が変えなきゃいけなかったので、
それがフランス語にも引き継がれています。 あとは漢詞とかもですね。
形容詞の場合と同様に、その名詞が男性名詞か女性名詞かで異なる形の漢詞を使うというか、 漢詞を変化させる必要があるんですね。
で、ミチフ語というのは、このフランス語の文法性の体系をそのまま引き継いでいます。
つまりミチフ語にも男性名詞と女性名詞の区別があるんですね。
で、これがピジンクレオールとおそらく違うところで、 ピジンやクレオールだったらこういう文法性みたいな面倒くさいものは真っ先に捨てると思いますね。
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ピジンやクレオールっていうのは単純化が起こるので、 文法性もそうですけど、あとは単数形と複数形の違いとか、
あとは動詞の時制とかもどんどん消し去っていくというか、そういうのがなくなっていくので、
そこがミチフ語みたいな混合言語と異なるところでございます。
ミチフ語の面白いところは、 クリー語の文法性のシステムも引き継いでいるというところです。
クリー語にも文法性があるんですね。 ただ男性名詞、女性名詞ではなくて、生物名詞、無生物名詞という2つの区別なんですね。
この生物無生物っていう分け方の方が、我々日本語母語話者のような文法性を持たないものとしてはわかるというか感覚として、
日本語でも人がいるとか犬がいるみたいに生物名詞はいるを使って、
本があるとかペットボトルがあるみたいに無生物の時はあるを使うので、
生物と無生物ってなんか違うなっていうのが感覚としてわかるんですよね。
フランス語の文法性の男性名詞、女性名詞っていうのは、その生物学上の性に従って分類されているわけではないので、
無生物で男性も女性もヘッタクでもないっていうかね、生物がないようなものでも男性名詞か女性名詞に割り振る必要があるので、
そっちはね、あんまり感覚としてよくわかんないですよね。
ネーミングが良くないといえば良くないかもしれませんが、
いずれにせよ、クリー語には生物名詞と無生物名詞の区別があって、それがミチフ語にも引き継がれています。
なのでミチフ語の文法性っていうのは2つの軸があって、
フランス語由来の男性女性の区別、クリー語由来の生物無生物の区別があるということになります。
で、これらの基準は別個に働いているというのが面白いところなんですね。
つまり、例えば男性名詞だったら必ず生物名詞とか、女性名詞だったら必ず無生物名詞だみたいに、
そういう1対1の対応があるわけではなくて、別個に機能していって、
例えばさっきのフランス語の話と同様に、名詞区の中は男性女性の区別がすごく効いてるんですね。
ですので、形容詞が名詞を修飾するときは、男性名詞だったら形容詞も男性形、女性名詞だったら形容詞も女性形にするというシステムが働きます。
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じゃあ生物無生物はどこで効いてるかというと、それは動詞の一致の方で効いてるらしいんですね。
なので、さっきの日本語の例をイメージすると、つまりいるとあるの区別みたいなのをイメージするとわかりやすいですが、
主語が生物名詞か無生物名詞かで動詞が違う形を取ることになります。
まさにいるとあるの区別と平行的に考えられますけど、
動詞がどういう形を取るかということについては、男性と女性の区別は効いてないんですね。
こういうふうに文法性、ジェンダー、グラマティカルジェンダーというのが2つ軸があるっていうのもかなり面白いですが、
それが全然違う機能の仕方をしてるっていうか、違うところで効いてるっていうのも非常に面白いですね。
このミチフ語という言語はフランス語とクリー語の混合言語だというお話をしましたが、話されているのはカナダとかの北米なんですよね。
ご存知の方も多いかと思いますが、カナダにはフランス語を母語とする人もそれなりにいるんですよね。ケベックとか。
このミチフ語の話者はフランスからカナダにやってきた毛皮商人の末裔で、その人たちがクリー語を話者と接触する中でミチフ語というのができたそうです。
そういった人々、北米に入職したヨーロッパ人と北米の先住民との婚結の人のことをメティスっていう言い方をするんですよね。
そういった意味でミチフ語っていうのは社会言語学的にも面白いし、文法的にも二つの文法性が自立して独立して作用しているっていうのも非常に面白いところでございます。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。番組フォローも忘れずよろしくお願いいたします。
お相手はシガ15でした。
またねー。