1. 【10分言語学】志賀十五の壺
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2025-12-23 11:33

#819 形態的類型論 from Radiotalk

主要参考文献
Aikhenvald, A. Y. (2007). Typological distinctions in word-formation. In T. Shopen (Ed.), Language Typology and Syntactic Description (pp. 1–65). chapter, Cambridge: Cambridge University Press.

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サマリー

言語類型論の歴史では、言語の分類基準として孤立語、交着語、屈折語の3つのタイプが伝統的に用いられています。日本語は交着語として、その構成要素の透明度が高いとされています。また、屈折語は多層的な構成を持つ古典語に相当します。

言語類型論の伝統的な分類
最近のエピソード、シャープ816で、言語類型論史、言語類型論の歴史についてお話ししました。
シャープ816です。そちらまだ聞いていらっしゃらない方は、この後でいいので聞いていただきたいんですが、
そこでお話ししたのは、言語をタイプ分けする、グループ分けする基準として、語の構成の仕方というのが伝統的に、あるいは古典的に使われてきた、
そういったお話をしました。伝統的には孤立語、交着語、そして屈折語という3つのタイプに言語が分類されてきて、
今でもこの3分類は使われることがあるんですよね。 この言語類型論がまだ始まったばかりの頃は、
屈折語と言われるタイプの言語がある意味言語の完成形で、 交着語やあるいは孤立語と言われるタイプの言語はそれより劣っているみたいな、
そのような思想があったんですよね。 で、散々今お話ししている孤立、交着、屈折、
そもそもこれらのタイプの言語は一体どういったタイプの言語なのかというのをお話しして、 後年になって提案された別のタイプ分けの基準についてお話ししていこうと思います。
BGMです。 始まりました4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
トネガワユキオです。お便りラジオトーク宛てにいただいております。 粉緑茶さんから3回分のギフトいただきました。
勉強になりますと拝聴しましたのギフトいただきました。ありがとうございます。 冒頭からお話ししている古典的ないし伝統的な言語の分類である
孤立語、交着語、屈折語というのは これは簡言すれば単語の中の透明度の高さの度合いということができます。
おそらく皆さんの母語であろう日本語について考えてみると、 日本語は交着語と言われるタイプの言語です。
この交着語というのは、一つの単語の中身がどのような構成になっているかわかりやすい、 はっきり分割することができる、そんなタイプの言語です。
例えば、食べさせられたといった場合、 これは一つの単語、一単語であるということができます。
日本語において何が一単語であるかっていうのは、これはまた大きな問題ではあるんですが、 ひとまず、食べさせられたは一単語です。
で、この食べさせられたは一単語ではあるんですが、 分解しようと思えば割ときれいに分解することができます。
食べ プラス詞彙のさせ、プラス受け身のられ、そして過去のた。
食べさせられた。 こういうふうに一つの単語をきれいに分割していくことができる、
そんなタイプの言語が交着語です。 それに対して屈折語と言われるタイプの言語は、
日本語みたいな交着語と同じように、一つの単語が複数のパーツから構成されてはいるんですが、 そのパーツっていうのが
意味ごとにうまく分割できない、そんなタイプの言語です。 ラテン語とかギリシャ語といった古典語がこの屈折語に該当して、
昔の言語学では、そういうギリシャラテンみたいな古典語が 言語の頂点にあるゆえに屈折語が
言語としては完成形だっていう風潮があったんですよね。 現代語であっても、例えばロシア語なんかはよく屈折語に分類されます。
例えばロシア語で、猫たちににあたる単語は 公子官って言うんですね。
これは公宿っていうのが語根で、つまり変化しない部分で、 語尾のあむっていうのと二つに分けることができるんですが、
そのあむっていうのをさらに細かく分けることはできないんですね。 猫たちになので、
専門的な言い方すれば複数の意味と、あとは予格的な意味があるわけですけど、
英語でいうとこの前置詞toにあたるような意味ですね。 この複数と予格に語尾のあむを
分割することはできません。この語尾のあむっていうのは、 複数兼予格であるということです。
先ほどの日本語が、させられたっていうのが、しえきうけみ、 過去っていう風にそれぞれに分割できたのとは対照的に、
一つの形態その上に複数の意味や機能が乗っかっている、 そういったタイプの言語が屈折語です。
形態層の多さによる分類
最近は屈折語と言わず、融合語、フュージョナルということも多いです。 で最後の伝統的な分類である
孤立語ですが、これはある意味、 単語内の透明度っていうのは考えなくていいです。
というのが、一つの単語に一つの形態属しかない、 つまり複数のパーツに分けることができないタイプの言語だからです。
先ほどの日本語だったら、食べさせられただったら、 しえきやうけみや過去っていうのが一つの単語の中にギュッと詰まっているわけですけど、
孤立型の言語であれば、しえきもうけみも一つの単語で表すことになります。 こういった孤立語と言われるタイプの言語は
中国語とかベトナム語っていうのがよく例として挙げられます。 英語もある面では孤立語的な側面があります。
さて、古典的な言語の分類、孤立語、孔雀語、屈折語は、
一つの単語の中の透明度の度合いによって決められる、分類されるというお話をしました。 言語を単語の構成の仕方によって分類する別の尺度として、
一つの単語の中の形体層の多さに基づくというものがあります。
これはさっきの分類と似ているようで違います。 先ほど例に挙げた孤立語というのは、
単語の内部の透明性というのは非常に高いです。 というのが一つの単語の中に一つの形体層しかないからです。
こういうのは孤立語とも言いますが、今お話ししている形体層の多さという尺度の観点から言うと、
分析的な言語と言われます。アナリティックという言い方をするのですが、
だから孤立語と分析語というのは、ほぼイコールで考えてもいいのではないかと思います。
例としてはさっき言った中国語とかベトナム語とか、そういった言語が含まれます。 一方先ほど例に挙げた日本語、
交着語である日本語と屈折語であるロシア語っていうのは、どちらも一つの単語が複数のパーツから成り立っていました。
食べさせられただったら、語根含めて4つの形体層。 ロシア語の猫たちにの公使館っていうのも2つの形体層から成り立っていました。
こういうふうに複数の形体層から成り立つ言語のことを、総合的あるいは統合的言語と言います。
英語だとシンセティックという言い方をします。 ですので、一単語内の形体層の数という観点に基づけば、
日本語もロシア語も統合的な言語、シンセティックな言語ということができます。 ただ、語の透明度というところで違いがあるので、日本語は
統合的で硬着的な言語。 ロシア語は統合的で屈折的な言語ということになるんですね。
一つの単語が一つの形体層っていうのが分析的言語。 複数の形体層からなっているものが統合的シンセティックな言語。
さらに多くの形体層から成り立っている言語のことを、 複統合的な言語あるいは多層合的ということもありますが、
ポリシンセティックな言語というのが認められています。 日本語もロシア語も一つの単語が複数の形体層、パーツから成り立っているわけですが、
ポリシンセティックな、 複統合的な言語は文字通り桁が違うこともあり得るぐらい多くの形体層から一つの単語が構成されます。
この複統合的な言語は少数言語が多くて、 例えばアイヌ語であるとかエスキモ語であるとか、あるいは北米のネイティブアメリカンの言語とか、
そういった言語で多く観察されます。 そういった複統合的な言語は他の言語では一つの文で表すようなことであっても、
一つの単語で表したりするんですね。 私は小さいボートを作りたいっていうのを一つの単語でズバッと言ったりします。
まあそれだけ一つの単語内の情報量が多い、 形体層が多いということなんですね。
以上の話をまとめると、言語を分類するのに、 孤立、交着、屈折の3分類×分析、統合、複統合の3分類ということで、
論理的?理論的? 論理的には9通り言語のパターンが考えられるわけですけど、
さっきもちょっと言ったように、孤立語イコール分析語みたいなところもあるので、
現実的には考えられない組み合わせっていうのも存在します。
というわけで今回のエピソードはここまでということで、 また次回のエピソードでお会いいたしましょう。
お会いしては4月15日でした。 またねー。
11:33

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