1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #502 膠着語・孤立語・屈折語 ..
2022-12-10 10:30

#502 膠着語・孤立語・屈折語 from Radiotalk

アルタイ諸語のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/839213
膠着語のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/377630

主要参考文献
『言語の興亡』 (R. M. W. ディクソン、岩波新書)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:04
始まりました、志賀十五の壺。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
ハラペコアオムシです。
言語っていうのは、似ていることがあります。
まあ、いろんな原因がありますけど、
一つは、血縁関係にあるからっていうもので、
例えば、英語とドイツ語っていうのは似ていると言えるんですね。
で、これはどちらもインドヨーロッパ語族のゲルマン語と言われる言語で、
もともとゲルマンソ語と言われる一つの言語から、
まあ、それが枝分かれして、
まあ、方言差となり、今では別個の言語となっているわけです。
まあ、こういうことが原因で、言語が似ているっていうこともあれば、
地理的に近いから、だんだん似てくるっていうパターンもあるんですね。
いわば、似たもの夫婦タイプというか、
まあ、夫婦ってだんだん似てくるとか言いますけど、
まあ、そういった理由で言語が似てくるというパターンもあります。
まあ、こういうのをよく言語連合とか言って、
まあ、バルカン半島の言語とか、
あるいはインドア大陸の言語なんかは、
系統は全く関係ない言語が、
だんだんだんだん似たような特徴を持ってくるっていうことがあるんですよね。
今回お話しするのは、そのどちらのパターンも関係なくて、
まあ、構造的に似ているっていうか、
まあ、いわば、なんだろうな、
まあ、類型論的に似ているとか専門的には言うんですけど、
血縁関係にあるわけでもないし、
まあ、地理的にその近いわけでもないけど、
似ているというパターンですね。
例えば、日本語とトルコ語っていうのは、
当然地理的には全然近くないし、
系統的にも、まあ、今んとこは関係がないということになっています。
けど、似ていると言われるんですね。
日本語やトルコ語っていうのは、
硬着語と言われることがあります。
まあ、硬着状態の硬着ですね。
硬っていう字は、ちょっと掛けって言われたら掛けませんけど、
訓読みだと、ニカワという字です。
まあ、乗り付けしていくような言語という感じで、
これは単語の作り方が似ているっていうことなんですね。
例えば、特に動詞で顕著だと思うんですけど、
特に日本語の場合は、
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食べさせられなかったみたいに、
食べるっていう語彙的な、
まあ、意味の中心的なものがまず出てきて、
させるとか、られるとか、ないとか、過去のたとか、
こういう文法的なものが後からペタペタペタペタくっついて、
一つの単語ができています。
こういった言語を硬着語と言うんですね。
日本語やトルコ語の他にも、
お隣の韓国朝鮮語、モンゴル語、
ロシアの東の方で話されている少数言語のツングース諸語などが、
硬着語と言われる言語に属します。
どの言語も単語の作り方が、
こういうふうにペタペタペタペタ、
節字と言われる小さいパーツをくっつけることで、
単語、一つの単語を作っているという、
そういうタイプの言語です。
今言ったような言語をひっくるめて、
ある対諸語ということがあります。
この辺の話は関連エピソードを聞いていただけたらと思います。
東語の都語。
硬着語の他に伝統的に孤立語と屈折語というのもあるんですね。
孤立語っていうのは、孤立っていう、
英語だとアイソレイティングって言うんですけど、
そういうことからわかるように、
一つの形態素が一つの単語であり、
日本語やトルコ語みたいにくっついてはいかないんですね。
例えば、さっきの食べさせられなかっただと、
させるもられるも、ないも、過去の他も、
いわば独立性がなくって、
なんかくっついていかないとダメなんですよね。
一方、孤立語と言われる言語では、
こういう死役とか受け身とか否定とか過去っていうのも独立した単語です。
代表的なものは中国語とかベトナム語とか、
英語も孤立語だ、あるいは孤立語的だっていう風に言われることが多いです。
言い方を変えれば、単語の変化っていうのがかなり乏しいという風に言えるかもしれません。
もう一つのタイプは屈折語と言われるもので、
これは逆に単語の変化が激しいような言語で、
古典的な言語のラテン語とかギリシャ語っていうのがこの屈折語に含まれます。
伝統的には屈折語って言われるんですけど、
最近は融合語とかフュージョナルみたいな言い方をすることの方が多いかもしれません。
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で、これは単語の変化がまあ結構豊富にあるっていうことなんですけど、
日本語みたいな口着語と違って、文法的な役割を果たしている形体層、パーツを
単語から切り離すことができないような言語なんですね。
またまたさっきの例ですけど、「食べさせられなかった」だと
食べるっていうのが元にあって、
使役、受け身、否定、過去っていうのがそれぞれ
かなり分かりやすい形でね、切り離すことができるんですけど、
屈折語はそういうことができなくて、
英語の不規則動詞っていうのを考えてみるとちょっと分かりやすくて、
例えば歌うっていうのはsingで、
歌ったっていうのはsongっていう風に母音が変わってるわけですよね。
このsongの何が過去形かっていうと、
今言ったように母音の変化なんですけど、
その過去の成分だけ取り出すことはできません。
これは規則的な動詞だと取り出すことはできるんですよね。
つづりの上ではedで書くようなものが過去を表してるっていうことなんですけど、
songの場合はそれができないということになっています。
以上、伝統的に言語っていうのは単語の作り方っていうのを基準にしてというか、
交着語、孤立語、屈折語っていう風に分類されることがよくあるんですね。
ただ、この交着語、孤立語、屈折語っていう風にきっちり分けられるものでもないんですよね。
例えば英語っていうのは孤立語的でもあるし、
sing、sangみたいなのを見ると屈折語的でもあるんですよね。
さらに言語っていうのは交着語から屈折語、屈折語から孤立語、孤立語から交着語っていう風に、
ぐるぐるサイクルを描くように変化するっていう風に言われることもあります。
例えば日本語の食べたっていうのは、もともと食べたり、もっと言うと食べてありっていう風に2単語だったものが、
つまり孤立語的な表現だったものが、食べてありから食べたっていう1単語になって、つまり交着的な特徴に変わっています。
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この交着的なものが時間が経って切り離せなくなると屈折語になります。
屈折語的な特徴から孤立語的になるのは英語がまさにそうで、英語っていうのは動詞の変化がもっと激しかったんですよね。
豊富だったっていうか、特に認証変化で、1認証、2認証、3認証っていう風にいちいち違う節字が動詞にくっついてたんですけど、
英語の場合は発音のアクセントというか強制が第一音節に置かれて、その語尾の方の発音がおざなりになっちゃって、
語尾がだんだん消えていって、今では3単元のsっていうのしか残ってませんっていう風に、屈折語っぽい特徴から孤立語っぽい特徴に変わっていってるんですね。
こういう風に言語の変化がぐるぐる回っているっていうのも面白いとこではないかなと思います。
というわけで、今日は言語類型論ですかね、かなり古典的な考え方なんですけど、それについてお話ししました。
それではまた次回お会いいたしましょう。お会いしては4月15日でした。
またねー。
10:30

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