1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #183 「食べさせられてしまっ..
2020-09-28 10:57

#183 「食べさせられてしまっていたようですね」の言語学 from Radiotalk

音飛んでるとこあるみたい、すみません
しかも冒頭、「お答えしますかねー」って…「お答えになりますかねー」ですね

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
みなさん、日本語はどういう言語だって尋ねられたら、どういうふうにお答えしますかね。
これはね、非常に難しいっていうかね、まあいろんな答え方がある問題だと思うんですけど、
まあ僕だったらどう答えるかなとか時々思うんですよね。
まあ一つは、初期体系は日本語って変わってると思うんですよね。漢字、ひらがな、カタカナっていう、
少なくともこの3つの文字を使い分けていて、でこの文字の使い分けっていうのが文法的な側面に関わってたり、
あるいはその語の出自、漢語なのか和語なのか外来語なのかに関わってたりっていうふうなことで、
まあそういう面でかなり面白いと思うんですよね。 あるいはもっと、
なんていうんだろうな、社会的な政治的な側面でも日本語って結構変わっていて、
日本語が話されているのは、もうほとんど日本国内に限られていて、
でかなりその民族的にも均一的であるっていうかね、もちろん例外はいっぱいありますけど、
他の言語と比べるとかなり、 その地理的あるいは民族的に均一性が高いっていう点でも変わっていると思います。
まあ他にももちろん日本語っていうのを特徴付ける方法があるんですけど、その方法の一つに、
日本語は口着語だっていうふうにね、言うことができます。 口着語、多分この言葉は聞いたことがないって方が多いんじゃないかと思いますね。
この口着っていうのは口着状態の口着です。 でこの口着の口っていう字はね、
どうなんだろう、多分常用漢字じゃないのかな、時々ひらがなで書かれることもありますね。
訓読みだとニカワってことで、ニカワっていうのはその動物の皮とか骨から抽出されるっていうかね、それを原料に作った糊のことをニカワというわけですけど、
ゼラチンですね。 口着状態っていうとこからわかるように、その口着っていうのは
くっついて動かないみたいなことなんですよね。 で日本語は口着語だっていうのはどういうことかというと、
くっつけてくっつけて単語を作っていくような言語だということです。 これ日本語のみに当てはまるわけではないんですけど、
日本語は口着語の一つであります。 つまりいろんなものをくっつけて単語を作っていくと、そういうことなんですね。
でここで今回のトークのタイトルですね。 食べさせられてしまっていたようですね。
これは、まあいろんな見方があるけど、一応2語かな、ちょっと難しいので、
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日本語でその単語っていうのをね、定義するのが非常に難しいので、一塊って言っておきますね、ここでは。
つまり食べさせられてしまっていたようですね。これは日本語母語話者であったら、まあ普通は一息に発音して、どこかで息継ぎがはるようなことはないし、
この食べさせられてしまっていたようですね、っていう発話を聞いて瞬時に理解することができます。
どこに区切りを入れるかってちょっと難しいですね、これはね。 まあひとまず何語かっていうのは置いておいて、一塊であると。
でまさにこの食べさせられてしまっていたようですね、みたいな、こういった一塊というか表現が口着語の特徴です。
口着語に対して孤立語っていうのがまたその対極にあるんですよね。 孤立語っていうのは英語もかなり孤立語的な特徴もあるし、
よく例に挙がるのはベトナム語とか中国語ですね。 そういった孤立語では部品を組み合わせて大きな一単語にするというよりは、
もう単語一つで一つの意味みたいな感じなんですよね。
で、そういった孤立語に対して日本語は口着語に普通は分類されますね。 日本語以外だと、
例えばお隣の韓国朝鮮語、あるいはトルコ語とかモンゴル語もそうですね。
あとフィンランド語、ハンガリー語とかいうヨーロッパのウラル語族と言われるものとか。 こういったものが
通常口着語に分類されます。 ではこの食べさせられてしまっていたようですねって、確かにね分解していくと、
細かいのが結びついているのが 分かるんですよね。
まず動詞というか 核となる 中心となるのは 食べる という動詞ですよね。
この食べるに 使役 何々させるというのは 使役と言いますけど、この使役のさせる というのがついて 食べさせる。
それにさらに 受け身がついて 食べさせられる になると。
その後、これもどう言えばいいかな。 完了ってちょっと言っておきますからね。
何々してしまうっていうのが ここで入って 食べさせられてしまう。
次の何々しているっていうのも ちょっと難しいですけど、ここでは結果状態とか言っておきますかね。
結果状態のいるっていうのがついて 食べさせられてしまっている。
それの過去で食べさせられてしまっていた。
その後 推測を表すようなもの ようだっていうのがついて 食べさせられてしまっていたようだ。
それの定名形で 食べさせられてしまっていたようです。
その後に 確認の終助詞みたいなものがついて 食べさせられてしまっていたようですね。
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こうなっているんですよね。
細かくいけば こういうふうに動詞があって、
詞役、受け身、完了、結果状態、過去、推測、定名、確認みたいに こういういろんな意味が
一つの塊の中に 収まっているってことなんですよね。
おそらく 孤立語みたいな言語だと特に こういう食べさせられてしまっていたようですね みたいなのは
一単語というか 一つの塊では とても言えないんじゃないかと思います。
例えば 英訳してみようとすると 分かると思うんですよね。
とてもこれを一つの塊で 言うことはないと思いますね。
何語も何語も使って こういった事態は表すと思いますが、
日本語母語話者の場合 これは一つの塊であって しかもそれを瞬時に理解している。
これ すごいいいですよね。
食べさせられてしまっていたようですね って聞いて なんとなく情景が浮かぶってことですよね。
おそらく 日本語を習いたての人とかは いちいち
食べる、食べさせる、試験、試験、受け身、
てしまうがついて その後結果状態がついて
ようだだから推測で みたいなことを いちいち順番に変換しないと なかなか難しいってことですよね。
それがまた言語というか 母語の面白いところですよね。
母語話者だったら そんなことを考えなくても 分かるということです。
こういうふうにぺたぺたぺたぺた ここだと食べるっていうものにくっついていってですね、
一つの塊を作るっていうのが 口着語ということになっているんですが、
このくっつくものがね、
これも難しいんですけど 例えば させるとか られるみたいな
試験とか受け身っていうのは 普通 接尾字と言われますね。
こういう口着語では 接尾字っていうのを よく使うっていうふうに言われています。
この接尾字っていうのは この接する尻尾の尾っていうので 接尾ってことなんですけど、
これは食べるっていうものの後にくっつくから 尻尾っていう字が使われていて、
逆に食べるの前についてたら これは接頭字っていうふうに言うんですよね。
頭っていう字を使います。
食べるにつくのはせいぜい お食べになるぐらいですかね。
お食べになるの尾っていうのは これ接頭字で尊敬を表しているっていうことになりますね。
日本語は非常に接尾字が多くて 接頭字は貧弱と言っていいですかね。
もっと言うと世界の言語を見回すと 接頭字よりも接尾字を使う方が多いんですよね。
よく観察されます。
この接尾字とか接頭字を合わせて 接字っていうふうに言うんですよね。
口着語は接字をよく使う言語と 言われていますけど、
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もちろん英語みたいな言語でも 接頭字とか接尾字もありますよね。
皆さん探せばわかると思いますけど、
例えば物を書くっていう write っていうのは read っていうね。
再びみたいなのをつけたら rewrite っていうふうに 書き直すみたいなことになるので、
英語みたいなものでも当然接頭字って使うし、
キャラクターっていうものに eyes っていう接尾字をつけたら
characterize って特徴をつけるとかね。
なので英語みたいなちょっと孤立語っぽいものにも 当然接頭字接尾字ありますけど、
程度の問題ですね。
かなり口着語は接尾字接頭字が豊富、 接字が豊富な言語です。
で、まさに差別させられてしまっていたようですね、 みたいなのは、
接尾字とか接尾字的なものを多く使って、
一つの発話というかね、 塊を作っているということになります。
というわけで、今日は日本語は 口着語だっていうお話だったんですけど、
なかなかね、日本語ってどういう言語だって聞かれてね、
答えるのに一般の方っていうか、 言語学知らない方だと口着語だとか言わないと思うんですけど、
これね、逆に言語学やっている人だったら 普通のことなんですよね。
日本語っていうのは口着語だっていうふうに、 まっ先に言う人も多いんじゃないかと思います。
もし皆さんこれから新しい言語を学ぶときは、 こういう口着語で日本語っぽいのか、
あるいは孤立語で中国語っぽいのかっていうのにね、 注目してみても面白いんじゃないかと思います。
もちろんこれは程度の問題ですけどね。
というわけで、今回のお話はここまでということで、 よろしかったら番組フォローをお願いいたします。
ではまた次回お会いしましょう。ごきげんよう。
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