1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #490 派生と屈折:言語学の基..
2022-10-29 10:57

#490 派生と屈折:言語学の基本概念 from Radiotalk

主要参考文献
『言語類型論入門:言語の普遍性と多様性』 (リンゼイ J. ウェイリー、岩波書店)

Twitter▶︎https://twitter.com/sigajugo
Instagram▶︎https://bit.ly/3oxGTiK
LINEオープンチャット▶︎https://bit.ly/3rzB6eJ
オリジナルグッズ▶︎https://suzuri.jp/sigajugo
note▶︎https://note.com/sigajugo
おたより▶︎https://bit.ly/33brsWk
BGM・効果音: MusMus▶︎http://musmus.main.jp/

#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:06
始まりました、志賀十五の壺、二倍二倍高見山醍醐です。
今回は、派生と屈折というものをテーマにお話ししていこうと思います。
派生っていう単語も屈折っていう単語も、
これ自体は、日常生活でもよく使われてますけど、言語学の中ではまた違った意味合いを帯びています。
劣機とした言語学の用語なんですね。
このテーマはね、どうやら過去に扱ったことがないっぽいですね。ないこともないのかな。
これは何の話かというと、
節字の話で、節字っていうのもまたこれ言語学の専門用語ですけど、
節頭字っていう単語の頭に出てくるものや節尾字っていう単語の後ろの方に出てくるものと、
主にこの二つがあって、
要は単語より小さいパーツですね。
これがね、学校教育の国語だと助動詞とか助詞と言われるものに当たるといえば当たるんですけど、
ちょっとそういう言い方しちゃうと、
いろいろ不都合があるので、
今回は節字という言い方をします。
節字を含まない単語っていうのもたくさんあります。
例えば犬っていう単語は、犬っていうのはそれ以上分解できません。
一方、食べるっていうのは、
食べっていう部分とるっていう部分に分けることができて、
るっていうのは、一応未来や現在、いわゆる非過去というのを表しているということができると思います。
食べの方は具体的な動詞の意味を表している。
こういうの語彙的意味と言ったりするんですけど、
だから食べの語彙的意味に対して、
るっていう非過去っていうのは文法的な要素ということになります。
このるっていうのが節字ということですね。
一人で単体で表れることができなくって、
必ず食べみたいな語根と一緒に出てくるということです。
この節字に2種類あるっていうのが、
言語学では定節っていうか、常識なんではないかなと思います。
それが発声と屈折と言われるもので、
03:03
このるっていうのは屈折の節字、屈折節字、節微字ということができます。
発声節字っていうのも当然というかね日本語にあって、
同じ例で考えると、食べさせるといった場合のさせっていうのが、これが発声節字です。
ただまあ節字は節字なんですよね。屈折節字、ると同じように、
一人立ちできない、必ず食べみたいな語根にくっつくし、
具体的な意味を表している、語彙的意味を担っているわけではなくて、
詩域という文法的な意味を担っているという点で節字なんですけど、
ではこの発声と屈折っていうのはどういうふうに言語学で区別されるのかっていうのをお話ししていこうと思います。
これ非常に難しいんですよね。
言語によっては発声と屈折っていうのをきっちり区別できるものもあるし、曖昧なものもあるし、
一つの言語の中でも、この節字は屈折、発声と言えるけど、こっちはちょっとどっちとも言えないなぁというものがあったりします。
さっきの日本語の例でまた考えていくと、食べさせる、させが発声、るが屈折と言いましたけど、
僕のイメージは発声っていうのは新しい単語を作る要素、一方屈折っていうのはその単語が完成する文の中で使うためには必須なものっていうようなイメージですね。
で、この2つの区別をウェイリーという言語学者がやっていて、今回参考にしているのは言語類型論入門っていう岩波書店から出てる本なんですけど、これねすごくいい本なんですけど紙媒体でちょっと手に入りづらいですね。
そのウェイリーによると発声と屈折の区別は、発声っていうのは意味的に大きな変化があって屈折は小さな変化であると、あるいは品詞を変える可能性があるのは発声で屈折は品詞を変えない。
あるいは発声の方は対立要素がないけど屈折要素はあって、で出てくる位置は発声の方はより内側に出てきて屈折要素は外側みたいにいろいろ上がってるんですけど、ちょっと具体的にお話ししていきますね。
06:10
意味上の変化ってちょっとわかりづらいので、品詞を変え得るっていうとこからちょっと話していきます。
食べるが食べさせるになるのはこれは動詞が動詞のまんまなので品詞は変わっていません。こういうタイプの発声もありますけど、品詞を変える発声設置としては、日本語だとさっていうものがあります。
新しいという形容詞から新しさという名詞が作られる。こういったものは発声というふうに考えられます。新しい単語を作ってるっていう感じですね。
食べさせるの場合も食べるっていう動詞から一応新しい動詞を作ってるということができると思います。
他に発声と屈折を区別するものとして、対立要素があるかどうかっていうことなんですけど、
食べるっていうこのるっていうのは食べたっていうのと対立してるんですよね。つまり、食べる食べたっていうふうに独立した要素となるためには、るかたかどっちか選ばないといけないということです。
同時に現れるとかそういうことはできません。一方、食べさせるのさせっていうのは対立した要素がなくって、食べられるっていうのがあるので、させとられっていうのがるーとたーみたいに対立してるように、
一瞬感じるんですけど、食べさせられるっていうふうに同時に出ることができるので、これは対立してるとはちょっと言えないんですね。
こういうのを専門的には反列関係とか言ったりするんですけど、屈折設字のるーとかたーっていうのは反列関係にあるので、これは屈折設字ということになります。
で、あとは、出てくる位置が、派生の方がより内側で屈折の方がより外側っていうのは、まさに日本語の食べさせるーが当てはまりますね。食べ、語根により近い方にさせっていうのが出てきて、で、その単語を閉じるところにるーっていうのが現れています。
これは日本語だけではなくて、他の言語にも当然当てはまると考えられていて、例えば英語でestablishmentsっていう確立とか設立っていう名詞はestablishっていう、ま、動詞からできてるっていうふうに考えられるんですね。
09:01
で、establishmentっていうふうに、mentっていう設備字、これは派生ですね。派生設備字をつけることで名詞になっています。つまり品詞が変わっているので、これは派生ということになるんですね。
で、その外側に複数のsというのがついてestablishmentsとなっているんですけど、この複数のsっていうのは屈折というふうに考えられるんですね。
ま、一つは現れる位置がより外側だっていうのもありますけど、これは複数の場合はsがついて、単数の場合は0がついているっていうふうに考えて、日本語のルーとタと同じようにどっちか選ばなきゃいけないんですよね。
特に加算名詞の場合ですけど、こういうふうに考えると、英語の設字にも派生と屈折の区別があるということになります。
ま、屈折の方がより必須の要素っていう感じですかね。
ただ冒頭ちょろっと言ったように、この派生と屈折の区別っていうのは、難しい場合もあって、さっきのWaleyの基準っていうのが必ずしも当てはまるわけではないんですよね。
その外側に出たからといって屈折とは必ずしも言えないし、いろいろちょっとグレーゾーンみたいなものもあったりします。
というわけで、今回は言語学の形態論と言われる分野で基本的な概念である、派生と屈折のお話でした。
それではまた次回お会いいたしましょう。
お相手はシガ15でした。
10:57

コメント

スクロール