古着にまつわる落語会
はい、シェアする落語の四家です。6月15日日曜日、亀戸梅屋敷、独演会.comさんの『古着ブギウギ』という落語会に行ってまいりました。
これは瀧川鯉白さんと春風亭昇輔さんが出演ということなんですが、これはどういうことかというと、鯉白さんが古着が大好きで、
昇輔さんも好きで、鯉白さんが古着を買うのに並ぶのに付き合ってくれと言って、結構早くからお店に並ぶという体験をして、
その体験について昇輔さんがまくらで語ったら、それをテーマに落語会やりましょうという独演会.comさんの提案で始まったという、面白い企画ですよね。
オープニングトークが、なんと40分ずっと古着の話。古着の話でしたけど経済の話でもあり、カルチャーの話でもあり、面白いですね。
鯉白さんが躊躇いながらマニアックな話をして、マニアックである自分の気持ち悪さに対しても批評的。批評性の強い人ですよね。
自分に対しての批評性を入れながら、それでもですね、全体は面白い話で収まる。昇輔さんも、面白いネタいっぱい持ってて、この2人のトーク、大変盛り上がって楽しかったです。
40分。そこから前座。前座はですね、春風亭昇ちくさん。聴くのは2回目かな。新作をやる2人の会なので、君も新作やっていいよというところでですね。
『ワンダー』という噺ですね。ラジオのスタジオ舞台にしたドタバタコメディですけど、非常によくできてました。もうちょっと尺短めにする、どっか刈り込んでいくと、よりシャープな出来になるかなと思います。
あと『ワンダー』っていう演目になってるんですけど、やっぱ『ワンダーモーニング』の方がいいんじゃないかな。『ワンダー』だとね、ちょっとね、イメージ拡散しちゃうと思う。新作ってね、演目は割と大事ですからね。
でも前座でここまで書けるのはすごいですね。いいと思います。そして、春風亭昇輔さんですね。7月13日シェアする落語にご登場いただきます。いろんな新作掛けられていて、今回も初めて聞く新作だったんですけども、ジャンルとしては変態モノといった方がいいんでしょうかね。
「昼間からやる噺じゃないが、これが鯉朝一門だ」という高らかな宣言。題材としては、これはご存知の方はすぐピンとくる春風亭桃栄師匠の『露出さん』ですね。
あれと同じタイプというか、同じことをやっている変態が出てきます。ですが落語なので、すっかりそのコメディにバーンと巻き込まれていく、その仕掛け・コンセプトがすごく面白いんですよね。
確かに、警察に通報できない状態、ダブルバインドっていうのかな、作っていくのって面白くて、その後さらにもう1人入って2人が3人になってさらに話が面白くなるっていうところがすごく整っててですね、非常に感心しました。
演目は『ふくきたる』、ひらがなで ふくきたる です。続いて出てきたのが瀧川鯉白さんです。鯉白さん生で聞くのは初めてかな、テレビで見たことはありましたけども、こちらの方もいい感じの変態ですね。
2席やって2席ともかなりヤバい感じがあったよって言うんですが、即席で作ったみたいな感じだったんですけど、やっぱり構成が妙ににしっかりしているんですよね。最後は夢落ちで落とすっていうあたりはスタンダードなところではありましたけども、
いろんな落語家がいて、いろんなところを特に新作の落語家ってどこを攻めるかってそのポイントがあるんですけど、あのポイントにはもうギリギリ落語になるかならないかのところなので、誰も攻めないなっていうところをがっつり攻めてるという、ただその攻めてるところ、自分に酔ってないあたりがちょっと面白いかなというふうに思いますね。
『金を掘る人』という演目でした。そしてですね、仲入り入りまして今度も鯉白さん。もう下ネタやらないと言いつつまくらに下ネタ。下ネタっていうかね、僕の言い方と下ネタというよりね、お下品ネタ。
お下品ネタをね、ここに「お」がついてるところが落語だなっていう下品になりきらないところが落語だなと。お下品ネタなんですけど、これがねボクシングの話で、なんだろうな、あの本編の方はね、全然そのお下品ではないです。
ちょっとあるかな、でもないです。ボクシングの噺なんですけど、そのボクシングを殴るのを「ストレートか?クロスカウンター!」みたいな感じで、そんなこと言ってる暇はないボクシングではね、瞬間的にパンチ出るんで。
昔の『リングにかけろ』を思い出しました。車田正美ですね。でも狙いはすげえ面白いなというふうに思いました。やっぱりね、なかなか人が攻めないあたりを攻めていて、好き嫌いが出ちゃうあたりを攻めているわけですけど、そのとんがり具合はね、一つ落語界の中では貴重なんじゃないかなと。
で、ここまでがずっと新作で結構あっちこっちに行った中で、最後に春風亭昇輔さん、なんと『幾代餅』ですよ。これがね、江戸前でさっぱりしていてね、いい感じの幾代餅ですね。
すごいいい出来で、今のこの年齢でやる幾代餅としてはもうかなりいいベストじゃないかなっていうふうに思うんですけど、ここまでの落語全部忘れちゃうというですね。それはどうなんだろうという気もしたんですが。
なんかね、それもいいのかなと思って、光りものとか油っこいものいっぱい食べた後、最後のデザートでサッとこの油を消していくっていう、そういうようなことをなんとなく感じました。やっぱり力のある人たちが一生懸命やっているというのはすごく思いましたし、やっぱり冒頭のトークがすごい面白くて、こういうテーマを絞った落語会っていうのもまたね、非常にいいんじゃないかなと思いました。
独演会.comさんナイズプロデュースですね。はい、というわけでですね、繰り返し申し上げてますが、7月13日シェアする落語春風亭少介。おかげさまですね予約が、結構好評でございまして、まだまだお席ございますけどもですね、ご興味ある方はぜひご予約いただきたいなというふうに思います。シェアする落語の四家でした。ではまた。