春風亭昇輔の独演会の魅力
はい、シェアする落語の四家です。8月23日土曜日 春風亭昇輔独演会『情熱と書いてパッション』へ行ってまいりました。
独演会ドットコムさんの主催でございますね。前座が開口一番、笑福亭羽太郎さん
なんかねこの人は、 多分もっと面白くなるね。
センスがいいっていうかそのフラストレーションをパンと笑いに変える力がすごくあるな と思いますネタは『転失気』でしたね
くすぐりをちょこちょこっと入れて、そこは面白かったんですけど、まあ前に聴いた新作の方がしっくりきたかな。前座ですからねもう本当にいろんな
ことやってほしいなっていうふうに思います。今回一番面白かったのは、まくらの中で立前座のことを「バイトリーダー」って言ったところ。
まあそんな感じで、 昇輔さん登場でございます。もう、まくらからまあもっと感動感を受けるを表せる
いやーもう素晴らしいですよね。とにかくね、話題、どんな話したかってあんま覚えてないんですけど、
とにかく印象深いのは口調なんですよ。とにかくスムースにポンポンポンポン次から次へと面白い話を繰り出していく。
このあたりが、やっぱすごいなと思いますね。そこからつなぎは若干微妙ところもありましたけども、入ったネタ面白いんです
よね『蛇含草』なんですよな 『蛇含草』は何日か前に
圓楽一門会の寄席で楽大師匠がやってらっしゃって、これはすごい良かったんです。やっぱり
型も違うし演出の仕方も違う。やっぱりこの 昇輔さんの場合は、今はもう疾走感で押してますから、
お餅を食うこの疾走感がねパパパーンと行くと感じがたまんないです。ねっちょり餅を食うという、
演出よりは全体の疾走感で、ぐわーっとを表せておくっていうね。
オカルト風味でもあるそのサゲはも疾走感と爽やかさによって
凄みみたいなものは前には出てこないんですけど、よく考えたらこれめちゃくちゃ怖いよなっていう、
サゲになっているというあたりが すごくいいですよね。昇輔さんの持ち味だと思います。
新作と古典の調和
そこから2席目、まあこの辺から新作来るだろうなぁと思ったら新作ですよ。
これがねなんて言うんだろうなぁ一言とすげー面白いんですけど やっぱなんかこのクリエイティブをやる人の
悲哀みたいなもの
クリエイティブで食っていくことの辛さ
みたいなものが多分根底にはあるんですよね。でも、そこはね昇輔さん出さないんですよ。
とにかく目の前にいるお客さんを喜ばせるってことを考えた時に、ここは笑いだってスイッチが入って、
まあ笑っちゃった。これはロックバンドの中での作詞の噺。これ珍しいですよね。作詞の話っていうのがね、
演目は『アルコールリリック』もう一だん縮め
たらさらに面白くなる気がしますね。まだちょっと繰り返しに頼っているところが あったりするので。そこをうまく編集しちゃうとこれは面白い。
うん 非常に良いと思います。仲入り挟みまして、もう一本新作です。
これはねもうまさに、今この時代に
この時代を貫く作品ですね。演目は『天誅』。天誅を下すの天誅ですね。
要は転売屋 によって何が壊れていくかっていう話ですよ。
転売屋の問題って、
ずいぶんこういろんなことが言われていて、他の国にお金が回ってるとか、そういう話も含めて
どうしたもんすかね困ったもんですよね。っていう話が出てるんですけど、 結局
自由主義経済の中で、仕入れたものを高く売るってことは、全然悪でも何でもなくて。ただ、その転売屋って言われる人が、気嫌われるっていうのは
作った人、あるいは最初に売った人の意思を、大きく超えるような高い値段で捌かれるっていう
で結果として例えば任天堂がゲーム作って、子供に買ってほしいのに、子供に全然手が 届かないとか、そういうことになるわけじゃないですか。
そういう資本主義の矛盾みたいなもんですよね。そこをまともに考えて研究するの学者の仕事で、まともに考えて政策に落とす
のは役人とか政治家の仕事です。じゃあ落語家の仕事は何かというと、この転売屋に対して天誅を下すことなんですよ。
天誅を下すことによって笑いをドカーンと取っていく。で、この中でお年寄り夫婦、だいたいこういう時は婆さんの方が活躍するんです。
あと神主が出てくるんですけど、このいい加減な神主キャラがまたいいですよね。
神に仕える立場とはとても思えない。『蒟蒻問答』の偽坊主 ぐらいの感じですよ。
そういう流れの中で、最終的にその転売屋が罰せられるような形になるわけなんです
けども、結局、落語家は政治家でも役人でもないので、ひたすら目の前の
お客さんを喜ばせる素材として、転売屋ってものを捉えて、天誅食らわせることが一番面白いと
ジーズみんながれがら笑ってるっていうところに行ってるんだと思います。で、4席目ですよ。もう4席目たっぷりですよね、よく疲れないなと思います。4席目が
ですね 古典です
しかも僕はもうこれ初めて聴きました。上方にこういうネタがあるって話は聞いてましたけども、初めて聴きました。
『次の御用日』 笑福亭たま師匠から習ったという噺でございます。
いやー面白いですね。ベースになってるのは『寿限無』です。これはもう聴けばすぐにわかると思いますけどそこに政談もの
政談ものらしいその裁判風景を入れて で
かつ、ちょっとこれネタバレしたくないような感じなんですけど、非常に奇妙な声でこれをうまくコントロールすることによって、
笑いが重なっていくと、同じパターンを繰り返して、ずらしながら同じパターンを繰り返して笑いを取るって、
それこそ『寿限無』なんですけど、古典落語としてすげーよくできてるっていうのと、たま師匠に習ったことを
しっかり昇輔さんのスタイル、 昇輔さんの思うところの中にしっかり落とし込んで
昇輔さんの落語として出していっているあたりがすごい素敵だなというふうに思いました。相変わらず熱い、汗をかくこともあります。
今後の展望
だけど昇輔さんが流す汗っていうのは全然不快じゃない。むしろ爽やか。
むしろこんだけ頑張って目の前のお客さんを喜ばせたいと思っている、という気持ちが 伝わってくる汗です。
そこがやっぱり、すごいなっていうふうに思いますね。
昇輔さん今後ですね。月曜日にも会あるし、
この会の次は独演会ドットコムさんでの独演会11月22日かな。神田桜子さんとの会もありますし、
もうねバンバン、いろんなところに出てます。これも寄席もよく呼ばれるようになるし、寄席で見た人が
独演会に来てるみたいなことが、ちょっとずつ出てきているんで、今後の展開 は非常に楽しみです。
ということでシェアする落語の四家でした。ではまた。