玉川太福の浪曲の魅力
はい、シェアする落語の四家です。
10月3日金曜日、木馬亭におきまして、玉川太福独演会第92回行ってまいりました。
開口一番というのかな?
浪曲にそんな詳しくない。
お弟子さんの玉川き太さんですね。
浪曲士は玉川さとさん。
『阿漕ヶ浦』という、入門から間もない、まだキャリアがそれほどない浪曲士がよくやるネタらしいんですけど、こんな難しいの最初からやらされるんですね。
自分の節を作ろうとしている姿勢がすごくよく見えて、非常に良かったですね。好感の持てる感じの方だと思います。
太福先生のお弟子さん、わ太さんは落語しか聴いたことないんですけど、落語がめちゃくちゃ上手いんですよね。
なかなか才能のあるお弟子さんが集まってきているなという風に感じております。
いよいよ太福先生でございますが、先生なのか師匠なのかわからないけど先生でお教えいただきますよ。
最初の方は身辺雑記を唸るというところなんですが、これが懐かしくて、僕は月刊大福マガジンという、
渋谷らくご、シブラクの企画で初めて大福さんを聴いてめちゃめちゃ好きになったという経緯がありますので、
エッセイ風爆笑浪曲っていうのは大好きで、
『帯広浪曲学校』帯広の浪曲学校がすごい伝統で続いているという話がすごく面白かったですね。
あとたい平師匠の話もね、帯広でそういう会があったという、たい平円楽太福かな、そういう会があったという話で、
そこからですね、古典に入るんですけども、国定忠治でしたね。国定忠治、僕次郎長は結構聴いてるんですけど国定忠治は聴いたことがあんまりなくて、
ここで忠治の中でも有名な『山形屋乗り込み』という噺が面白かったですね。
面白かったというか、まず聴けたことが嬉しかった。やっぱりね、この筋がいいですよね。
任侠者がなぜか大好きなんですけど、やっぱり美学があるんですよね。この頃の江戸時代の任侠者っていうのは、正確には三尺物ですか。
忠治はやっぱりこの、なんすかね、孤独感がいいですよね。孤独感がすごく良くてね、これがまたね、太福先生より太い艶のある声がバキッとはまるんでね、とにかくかっこいい。
強請のシーンのトリッキーな面白さもありますし、この時代ってこういうアウトローな人たちがなんと十手持ち、つまり治安の方を任されてるっていう時代なんですよ。
またそれを逆手に取った展開があったりするんで非常に面白かったです。
まず筋がいい話、ネタとしていいネタだなっていうところと、太福先生のこの声の魅力がもうかっこよさをもうバンバンに演出してましたね。これはもう一回聴きたいね。
そして仲入りを挟んで、新作と言いますか、伝記ものですね。よく太福先生は真打昇進の時にその新真打のですね、物語を浪曲化して大好評をね、神田伯山先生とかあったわけでございますけども、
僕があの直接聴いたのは朝橘師匠、三遊亭朝橘師匠の一代記を浪曲でね、やってすごい良かったのは覚えてますけども、瀧川鯉八師匠が本田劇場で、すごいですよね、本田劇場で独演家をやるときにゲストで書けた私の鯉八物語というのを本人不在でやるということで、
これもね聞かせていただいたんですけどね、もう何回、もう僕はもうね、二つ目になったばっかりの頃から、NHK新人演芸大賞に、いきなり出た時から鯉八師匠大好きだったので、いろいろ聴いてて思い出すんですよね。
いろんな思い出があって、もちろん僕の知らない鯉八師匠の幼少期の話とか、大学時代の話とかが織り込まれて、それはそれで爆笑を巻き起こすわけですけども、やっぱね、二ツ目になって真打になって、ハイライトはコロナの真っ只中の1月下席、誰もトリを取りたがらない中で、
鳥を開けて鳥取った、そんで客をバーッと集めた、ここですよ。ここはね、僕ブログ書いていろんな芸人さんに褒められて、すごく覚えてるんですよね。コロナが開けたらもっと落語界は面白くなるぞっていうことをね、まざまざとね、アピールしてくれた。
で、太福先生もまた1月下席夜の鳥を、浪曲ではもう何年ぶりだか分かんないぶりぐらいの鳥を取られるときに、その小八師匠をなるべく深いところに入れてくださいと、それだけお願いをしたというようなですね、エピソードがついて本当に素敵でした。
新作と古典のコントラスト
まあなんていうのかな、僕は玉川太福っていう人は浪曲界に革命を起こした方だと思うんですけども、本当に二刀流ですよね。かっこいい浪曲らしいかっこいいヒーロー、ダーティーヒーローも含む、アンチヒーローも含む、アンチヒーローっていうかダーティーヒーローも含む、美学の世界を描くことができる。
そういうことにも長けながら、一方で本当に自分の身の回りのところから、小さな小さな物語を掘り起こしていく、今まで浪曲、それまで浪曲がやってなかったことをやる、ここのね、その強力な二刀流、もうね、演劇界の大谷翔平です。
いや本当にね、言ってよかった。ということで、またね、小八物語と中辞聴きたいなぁ。楽しかったです。シェアする落語の四家でした。ではまた。