サンフランシスコ・デザイントーク。この番組は、サンフランシスコと東京に拠点を置くデザイン会社、BTRAXのCEO、Brandonと、
デザイナーの彩香が、日本で働くデザイナーや、デザインをビジネスに取り入れたい方向けに、様々なトピックについて深く話します。
はい、本日もよろしくお願いします。サンフランシスコ・デザイントークです。
よろしくお願いします。
今回のテーマは、「バナナは最高のUX!? 自然から学ぶデザインとは?」ということで、結構キャッチーな名前で、
バイオミミクリというテーマについてお話をしていきたいなと思っているんですけど、意外と私たちが気づかないところで、
自然が既に最適なデザインを持っていたりするっていうことですか?
そう、今のはブログ記事のタイトルなんですけど、いきなりバナナが出てきて、何の話だっていう話。
キャッチーなんで入れたいな。
僕がデザインを学校で、大学で学んでいるときに先生がよく言っていたんですけど、
物の造形であるとか、仕組みみたいなものとか、体験みたいなものっていうのは、
自然界が一番最適化されているんじゃないかっていう話をしていて、
自然って人間よりももちろん長く存在して、地球が存在している歴史と同時に存在していて、
それに合わせて、生物であるとか植物であるとか、我々人間であるっていうのが、
進化しながら巡回していって淘汰されるみたいなのを繰り返すじゃないですか。
そうなると、一番環境に最適化したものだけが生き残るって当たり前の話なんですけど、
それってよく考えると、物事をデザインするときにやるプロセスと一緒で、
求められるゴールがあって、それに一番最適な形とかプロセスを設計していくっていうのがデザインだとすれば、
自然、先にやってくれてるんで、そこから学ぼうよ、バイオミミクリっていう専門用語で、
バイオミミクリっていうのは、バイオっていうのは自然、自然のバイオロジーのバイオで、
ミミクリはミミック、真似するっていうのを合わせた自然を真似るっていう意味の概念ですね。
確かに何十億年かけて改良されてきたものを、私たちが真似する方が手っ取り早いっていうような、このバイオミミクリの概念。
そんな簡単に隠れないんですけど、深いから。でもそこを研究していくとヒントがたくさん隠されているし、
実際世の中に出てるプロダクトとかが自然をミミックしたものとかもあったりするので、今日紹介できればなと思うんですが、
冒頭のバナナの話をしてみようかなと思うんですけど、僕がバナナを食べてて、もしかしたらユーザーエクスペリエンスがかなり良い食べ物なんじゃないかと思ったポイントが6個ある。
そんなにあるんですか?
6個ある。説明していきます。
はい、お願いします。
まず、フルーツには珍しく食べる前に洗わなくていいですね。
確かに。
洗う手間っていうのが、イチゴとかリンゴとか葡萄とかって基本洗うじゃないですか。
そうですね。
それはそれでいいんですけど、洗わなくていいっていうユーザビリティの高さがありますよね。
次に、洗わないと同時に切らなくていいんですよね。
皮を剥く時とかに手で剥けるから、リンゴとかナイフで剥くみたいなのがあるじゃないですか。
それナイフ使うんでしょ。
次に造形的に言うと、皮を剥くガイドラインみたいなのが入ってて、線が入ってカクッとしてるじゃないですか。
確かに、ここを持って、引っ張れば剥けそうっていうのがわかるってことですね。
直感的に。
あとは、これユーザビリティにも近いんですけど、食べる時に手が汚れないんですね。
あー、そうですね。
持った時に、皮を。
で、保存する時も基本バナナって常温なんですよね。
冷蔵庫に入れないんですよ。
冷蔵庫に入れない方がいいって言われてるので、そこもかなり体験値が高く設計されてて、
最後に、これが一番優れものだなと思うんですけど、皮の色が変化することで食べごろがわかる。
確かに。茶色くなったらもう売れすぎちゃってるとか。
逆に緑だとまだ若いとかあって、それも教えてくれるので、デザイン性めちゃくちゃ高いんですよ。
確かに。最初の切らなくていいぐらいまでは、みかんとかも一緒かなって思ったんですけど、
意外と手が汚れたりとか。
そうですよね。
食べごろがわかったとしても、バナナほどいいUXではないなって思いました。
そうなんです。なので、こういう自然界のUXがいいなって思うものを探索するとヒントになるなと思ってて。
ちなみに今の例は、ふとした瞬間に思いついたんですか?
いや、フルーツを食べるときに、それぞれの種類によって必要とされる作業があるじゃないですか。
みかんは手で剥けるけど、りんごはナイフで切ってるなとか、グレープフルーツがどうかとか、レモンは絞るなとか、いろいろ考えてたときに、
一番道具を必要とせずに、手間がかからずに、手が汚れずにって考えると、バナナが一番最強かなと思って。
いやーまさにですね、なんかどっかちょっと遠く行くときとか、ゆっくり一個バナナ入れとこうみたいなふうに思ってますけど、
結局それってそのUXが裏側にあるから、本能的に選んでたってことですね。
選ばれるプロダクトってデザインがされている。
ちなみにそのバナナをバイオミミックした製品とかって、なんか思いついたりするじゃないですか。
今思いついたのが、よくシリアルバーとかあるじゃないですか。
あーはいはいはい。
ちょっと食べ頃まではわかんないですけど、消費期限とかで見ればいいかなと思ったんですけど、
あれって結構手軽で、食べたいときに、手汚れずに食べれるなとかって思いました。
確かにね、確かにね、確かにね。
えー、そうねー、バイオミミックしてるかどうかわからないけど、
ほらあの、原宿とかで食べるクレープとか。
確かに、あれちょっとこう、髪を切りながら食べますよね。
確かに、あれがビニール製とかだったら、切れないですもんね。
なので、例えばクレープってもともとヨーロッパとかってフォークとナイフで食べてて、
フランスとか、あれを原宿の街を歩きながら食べれるようにしようって考えるときに、
それってパッケージデザインになってくると思うんですけど、
バナナを参考にしたらああいうパッケージになるだろうなって想像がつくわけですよ。
なので、クレープのパッケージをデザインするような仕事の場合は、
バナナ参考になるかなと思った。
確かになんかその直接的じゃなくても、インスパイアされてそうですよね、そういった身近なものに。
そうですね。
他に何か代表的なものとかってありますか?
自然界関係者のね。
意外に確かになぁみたいなものとかでもいいんですか?
有名なものが一つある。
これはもう、デザイン業界とか鉄形業界だとよく知られてるんですけど、
新幹線の造形。
新幹線って、鉄道のことはそこまで詳しくないんですけど、
N何形とかそういう番名があって、
聞いたことあります。
鉄道オタクの人が、あれN3だからと、今適当に言っちゃいますよね。
ドラえもんで言ってるようなモデル名ってあるじゃないですか。
新幹線ってその、バージョンが上がるたびに尖ってきてる気がしてて、
昔々の新幹線って顔が丸い感じなんですよ。
それが少しずつ尖っていって、
ここ数十年とかでどんどんどんどん尖ってきて、
なおかつ、すごい動物的な流線形にものすごいぎゅーっと鼻が伸びてる感じ。
鴨の端っぽい形してるじゃないですか。
これ調べてみると、
まさに、この新幹線の造形が、
鳥のくちばしを参考にしてるらしいんですね。
川蝉っていう鳥なんですけど、
どういうことかというと、
新幹線ってものすごいスピードで、300キロとかで走るもんだから、
風の抵抗がすごいんですよ。
あともう一つ、その風との影響で、
トンネルをついたあたりに出た時とかにものすごい騒音を発生するらしいんですね。
空気の抵抗が強いと。
なるべく空気の抵抗を下げるために試行錯誤してるときに、
川蝉って鳥で魚を捕るときに、
湖とかにいきなり入るときに、
そのときに水の抵抗が一番少ない方が、
深く潜れて魚を捕まえやすいんですね。
現在の川蝉のくちばしの造形っていうのが、
それに一番合った、最適化された流線型になってるらしいんですよ。
ダイブしたときに水みたいに。衝撃が少ない。
水と空気って抵抗でいうと似たような概念だから、
空気って普段生活してると何も抵抗ないんですけど、
スピードの出た乗り物に乗ると、ものすごい飛行機とかまさに空気抵抗っていうのがあるので、
それをどれだけ減らせるかっていうのが勝負になってくるわけです。
それで川蝉の造形を採用したところ、
抵抗が少なくなったことで速度が10%上がって、消費電力が15%下がって、
騒音が70dB以下に抑えれることになって、
新幹線が低い、高いエネルギー効率で速いスピードで走れるようになったらしいという。
なるほど。面白いですね、この動物から持ってくるっていうのは。
そうなんですよ。人間が頑張って設計するのもいいんですけど、
自然界から学んでやると最適な形っていうのが見つかるんですよ。
確かに土台があると、あとは応用したりとか、チューニングするっていう方に私たちが能力を使うっていうのが、
もしかしたら一番効率がいいのかもしれないですね。
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あれとかもそうですよね。
鉢の巣のハニカム構造という六角形でコネクトさせていくと、
一番スペース効率が良くて強固にできるっていう。
あれも鉢の巣が実践して、鉢居さんたちが試行錯誤してたどり着いた造形だと思うんで、
それを拝借するっていうのは。
自然界に著作権ないですから。
確かに間違いないですね。
自然界のものをパクるっていうのは何の問題もないですからね。
あとは皆さんの身近なところで言うと、
これは別にバイオミミクリかわからないけど、
パソコンのマウスっていうのは文字通りニズミ。
でもそれってどういう繋がりがあるんだろうっていつも思ってたんですけど。
マウスは昔は線が出てたんですよね、パソコンに繋がる。
あれがネズミの尻尾っぽいし、形がネズミっぽいかなと思います。
ただパソコンを作った人がネズミを掴んで、
これ掴み心地いいってやったわけじゃないと思うし、
ネズミも別に人間に掴まれるためにあの造形になったわけじゃないんで、
これはバイオミミクリではないんだけど、
自然っぽい動物のモチーフにしてるなって今ちょっと思っただけっていうのですね。
でももしかしたら何かしらインスパイアされたのかもしれないですよね。
パソコンの隣にたまたまネズミがいて、
それで操作できたら楽なのになとかっていうのからもしかしたら来てるかもしれないです。
それで実は初期の頃のマウスは四角かったんですよね。
へーそうなんですか。
僕も実物多分見たことないんですけど、
ゼロックスがグラフィカルユーザーインターフェースを最初デザインしていて、
それを拝借したのがスティーブ・ジョブスのAppleで、
マッキン・トッシュというコンピューターを作ったときに、
マウスっていうのを操作デバイスとして、ユーザーインターフェースとして採用した、
ポインティングデバイスと言われるように採用したんですけど、
それの造形は四角っぽいんですよね。
結構箱っぽいんですよ。
そこから少しずつ丸みを見始めて、
今の楕円形が主流になって、マウスなんだろうなってイメージがありますよね。
なるほど。
あとはね、これは実際にバイオミミクリでモチーフにしてたのはですね、
コカ・コーラの瓶です。
有名なコカ・コーラの瓶って、
これちょっと話が逸れるんですけど、
コカ・コーラの瓶のデザインって非常に、
デザインの研究材料としては優秀だなと思ってて。
なんですか?
これ、これをデザインする際にゴールがあって、
2つぐらいゴールがあったのかな、3つかな、3つゴールがあって、
まず普通に持ちやすいってこと、持ちやすさと、
あと造形をユニークにして、
シルエットだけでもコカ・コーラだってわかる形にして、
ほどユニークにしてほしいと。
これはなぜかっていうと、
コカ・コーラって当時、
もともとは普通の筒状の縦長の瓶に入ってたって売ってたんですね。
薬屋さんとかで売ってたみたいなんですけど、
美味しいからめちゃくちゃ売れるんですけど、
模倣品が横行したらしいんですよ。
コカ・コーラじゃないのにコカ・コーラっぽい感じで売ってる。
それを回避するために、瓶をユニークにして、
それで、この瓶に入ってるのが本物ですよっていうのを示すための造形、ユニークな造形。
あと、このゴールも非常に興味深いなと思ったのが、
瓶が割れて破片になってても、それがコーラの瓶だって分かるくらいのユニークさが欲しいって言われたんですよ。
道端にコーラの瓶が割れてる破片を見ると、コーラだってなんとなく分かるんですよね。
色の感じとか、ちょっと青っぽい、緑っぽい。
あと、縦線が入ってたりとか、曲線があったりとかして、
あとはもちろんロゴの一部が表記されてたりとかしてて。
今出た3つのゴールのうちの最初の持ちやすさっていうのを実現するためにモチーフにしたのが、カカオの実らしいんですね。
カカオの実って丸く、縦長の丸になってて、コカ・コーラの瓶みたいに線が外側に入っていて、放射状に。
それによって、掴みやすいんですね、人間の手が。
そういう造形をしている。
これにインスパイアを受けて、コカ・コーラの瓶も縦に線が放射状に入っていて、掴みやすい。
滑りにくい、落としづらいようになっている、みたいなものとかもあります。
話は冒頭の自然で優秀なデザインがされているという話でいうと、
動物ももちろんそうで、キリンとかも首が長い理由って高い木の餌を獲るためだったりとか、
全ての造形に自然界で自分たちがサバイブするために設計されているじゃないですか。
僕だから、何だろうな、個人的なフィロソフィーっていうか、
何て言うんだっけ、日本語で言うと持論?持論があるんですけど、
田舎育ちの人って結構その辺のセンス身についているのかなと勝手に思っていて、
僕は田舎育ちだからなんですけど、子供の頃から自然界で遊んでいると目に入ってくるじゃないですか、
葉っぱとか形とか、そういうのがインスピレーションになるんじゃないかなと思っています。
ちなみに日々、心がけていることとかって何かありますか?
デザインをする際に、デザインしているものが何か、
例えばウェブページをデザインするんだったら、ウェブサイトじゃないところからインスピレーションを得るようにしていますね。
設計、建築とか、自然も大きな一つだったりとかして、
違う世界からインスパイアを受けた方がユニークになるじゃないですか、個性的なデザインができるので、
あとはコンセプト的に魅力的になるように、このデザインの裏には実はこの世界のこういうのがコンセプトになっています。
それがまた、Appleとかが上手くて、
iMacっていうパソコンがあって、今でもありますけど、あれってどんどんバージョンが上がっていって、今5、6世代目ぐらい、何の世代も分かっているんですけど、
2世代目ぐらいかな、1世代目のマイナーチェンジしたとか、カラーバリエーションの中でメインの色が深い青だったから、
それの色を、ボンダイブルーって言ってたんですよね。
なるほど、ボンダイビーチから来てるんですか?
よく知ってますね、よく知ってますね。そうなんですよ、スティーブ・ジョブスが訪れたオーストラリアのビーチで、
すごい有名なビーチですね。
そう、ボンダイビーチの海の青さを表現した色っていう、それも自然からのインスパイアかつ、色のコンセプトとしても素敵じゃないですか。
確かに、ボンダイビーチを知っている方とかだったら、ボンダイビーチが浮かぶというか。
うん、そうなんです。
なるほど、結構日々関係ないかもしれないところでも、自分の中で感銘を受けたりとか、印象の濃ったものっていうのはどんどん蓄積できると、
今後のデザインとかにも活かしていけるんじゃないかっていうことなんですかね。
同じ業界のものばっかり見てると、それ以上にはならないので、それに近いものはできるけれども、
それこそ建築なんていうのは自然からのインスピレーションが大きいじゃないですか。
それこそアントニオ・ガウディとか、自然っぽい建築デザインをするとか、アサグラダ・ファミリーは森っぽくしているとか、
違う領域からの学びっていうのは大きいんじゃないかなと思う次第ですね。
ありがとうございます。今日はバイオミミクリというテーマで、バイオミミクリについてであったり、どんなUXとの関連性があるかとか、
あとは身近な例についてお話をさせていただきました。
では本日はこちらで、ありがとうございました。
このエピソードを楽しんでいただけた方は、ぜひ高評価、チャンネルフォローよろしくお願いします。
また、サンフランシスコデザイントークは番組に対する質問や取り扱ってほしいテーマを募集しています。
番組概要欄にあるGoogleフォーム、Spotifyでお聞きの方は、各エピソードのQ&A欄からお送りいただけますので、お便りお待ちしております。
最後までお聞きいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。