後発サービスの成功戦略
サンフランシスコ・デザイントーク。この番組は、サンフランシスコと東京に拠点を置くデザイン会社、BTRAXのCEO、Brandonと、デザイナーの彩香が、日本で働くデザイナーや、デザインをビジネスに取り入れたい方向けに、様々なトピックについて深く話します。
はい、本日も始まりました、サンフランシスコ・デザイントークです。Brandonさん、本日もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今回は、後発サービスでも成功させるポイントということなんですけれども、アイデアが革新的だったり斬新でなくても成功している企業といったところにも、今日はフォーカスを当てて、なぜそのような成功ができるのかといったところのポイントも、ぜひ深掘りできたらなと思っております。
はい、世の中のイノベーションって、早くやった者勝ちなイメージが結構あるじゃないですか。インターネットが出てきたりとか、スマホが出てきたりとか、最近だとAIが出てきて、みんなが競い合うように、我先に新しいサービスを作って、取った者勝ちみたいなイメージがあるから、スタートアップを中心に、ファーストムーバーズアドバンテージという表現があるんですけど、
日本語で言うと先行優位性ってことだと思うんですけど、先に取った者が独り勝ちするみたいなイメージがある中で、実はそんな中でも、現在一番人気があったりとか、その業界でトップとされている商品とかサービスとか企業で、結構後から出てきたものもあるんだよ。
じゃあ後から出てきたのになぜ成功できたのかっていう話をしてみようかなと思ってますね。
じゃあどんなのがあるかっていうと、いくつか例を紹介すると、まず一番皆さんに馴染みがあるのがGoogle検索だと思うんですけど、
Google検索は検索エンジンが世の中に出てきた中でも相当後に出てきたものだと理解していますね。
1990年代中盤から世の中にインターネットが一気に普及して、各種検索エンジンが登場したんですね。
一番初期の頃はヤフー、日本でもまだあるんですけど、ヤフーとかは初期に出てきたものの一つで、それ以外にも山ほどインフォシークとかアルタビスタとかあったはずなんですよ。
Googleって出てきたのが1997年だから、2,3年遅いんですね。なおかつ世の中に普及が広がったのも2000年過ぎてくらいかも。2000年前後くらいになってるかも。
ラグがあったんですね。
もちろん最初のバージョンとか出てきたばっかりだとまだまだユーザーがつかないので、徐々にユーザーが集まって2000年手前くらいに倒壁を表して、そこから一気にユーザーを勝ち取っていったっていうことだったりとか。
あとはその流れでいうと、Gメールもそうですね。GoogleのGメールもインターネットが出てきたのと同時にメールっていうのは普及してたはずで、いわゆるフリーメールって無料で誰でもメールが持てるサービスっていうのは、
Gメールが出てくる前はポットメールとかヤフーメールとかアメリカとかだとAOLとかなんですけど、Gメールの歴史を調べてみると最初にリリースされたのは2004年の4月なんだって。
なので世の中でメールアドレスっていう概念が広がって10年近く経ってる時に出てきたのがGメールだったりとか、あとは最近記憶に新しいものだとZoomですね。
コロナで一気に普及したZoomもほらSkypeとかがあったから、Skypeからすると何を今さらという感じがしてたかもしれないですね。
確かに結構そこは時間差ありそうですね。
Zoomは今調べたらリリースしたのが2012年の9月。ちょっとSkypeはよく分かってないですけど、Skypeは2000年初頭ぐらいにもうあったんじゃないかな。
Zoomができる10年以上前から普及してたはずなので、えって感じじゃないですか。
あとは実はFacebookも世界初のソーシャルメディアみたいなイメージあるけど、Facebookがリリースされる2004年2月より前に実はアメリカを中心にフレンドスターっていうSNSがあったりとか、
あとは知ってる方もいるかも、マイスペースってSNSがあって比較的広発なんですよね。SNSの中では。
あとはスラック、ビジネス用のコミュニケーションツールのスラックも、日本だとチャットワークっていうのがあって、チャットワークの方が早いですからね、スラックより全然。
なので広発だったりとか、あとはインスタとかも厳密に言うと、もともとあった他のFoursquareっていうサービスの最初パクリサービスで始めたりとかしてたので、これも広発だったり、実は結構ある。
今メインで使ってるものって実は広発というか、そういったものが多いんですね。
そうなんです。意外とね。なので、なんでって感じがするじゃないですか。
市場ニーズとタイミング
何を抑えたらそこを爆発的に人気にできるのかとかはすごく興味がありますね。
興味あるよね。これさっき言ったような広発サービスの成功事例を研究してみると非常に興味深いんですけど、まず一つの結論としては、それぞれのケースで結構違うんですよ。
そうなんですね。
例えば、Gmail。皆さん使ってるかと僕も思ってますけど、Gmailがヒットしたのは完全にユーザーエクスペリエンスを改善したからなんですね。
Gmailのキャッチコピーって、Email that doesn't suckっていうキャッチコピーなんですね。日本語にすると、なんとかな、イケてるメールサービスっていうか、ダメじゃないメールサービスみたいな。
どういうことかというと、Gmailが出てくるまで、フリーメールってスパムの温床だったんですね。スパムがすごい来る、来ちゃうものだっていう存在だったんだけど、
Gmailが考えたのは、スパムフィルター、迷惑メールフィルターの精度を上げて、より広告とかスパムが仕分けられるようにして、ユーザーの体験価値を上げた。
それによって、先行でやってたHotmailとかYahooメールとかよりも使いやすいとユーザーが思った。それ以外にもユーザーインターフェースをより分かりやすくしたとかもあるんですが、最初はスパムをどれだけ排除するかにフォーカスされた体験設計だったりしますね。
それとまた違う例としては、Zoomは複合的だなと思ったのが、製品のクオリティとかエクスペリエンスはそれまでの会社とはそこまで大幅には変わってないと思ってるんですけど、まず一つはSkypeが自滅したっていうことなんですよね。
Skypeの歴史を調べてみると興味深いのが、何度も何度もいろんな会社に売られてるんですよ。最終的にマイクロソフトを買ってたりするんですけど、マイクロソフトがTeamsの中に入れるみたいな形で一旦は落ち着いてる。
まだSkypeってサービスあるんだけど、会社ってオーナーとかがコロコロ変わっちゃうと、製品も悪くなっていくんですよね。一貫したビジョンが続かなくなるんで。
それもあるのと、リモートワークとかコロナ禍みたいなものがニーズが広がったときに一気にZoomがZoomミーティング、Zoomするみたいな動詞とか、あとZoom飲み会みたいなもので、上手にブランドを作っていったっていうのがイメージっていうかその響きっていうか。
皮肉なもんで、Skypeって基本無料なんですけど、Zoomって無料もあるけど基本有料プランを使うビジネスユーザーがすごく多くなってるんですね。うちも有料プランあるんですけど。
それがビジネス向けのオンラインビデオツールみたいなイメージに安心して使えるみたいな逆転の発想だったりとかしますよね。
という感じでケースバイケースだし、Facebookもあえてその実名実プロフィール、実写真か、リアルユーザー、カレッジスティデントから広がったのもあって、それまで匿名性が高かったSNSに対して実名性を入れたことによってより安心して使えるみたいな、そういうケースだったりとかするんで。
ヒットのきっかけはいろいろあるという。
共通点でもありそうですね。しっかりプロダクトに対してビジョンを持って進めるだとか、ユーザーニーズは確実にそこは拾っているとか。
共通点は先行で先にやっている商品やサービスのユーザーが持っている不満点であるとか、改善点をしっかり理解して抑えて、よりそこをクリアしたものを出すっていうことですね。
これは何やっているかよりもどうやっているかにフォーカスをちゃんと当てて、WhatじゃなくてHowをきっちりとクリアしていくっていう考え方。
同じものでもUXが良かったりとか精度が上がってたりとか、何かしらのクオリティーが上がっているとユーザーはそっちを使い始めてくれるっていう。
歴史的に見るとこれって日本企業が非常に得意なんですよね。
日本企業のビジネスって昔から言われてたらしいんですけど、01で作るの苦手だけど既存のものを研究して、それのものすごいクオリティー高いバージョンを出すのが上手いと言われてますよね。
テレビとか自動車とかハードウェアを中心に、その辺がもともと発明したのは違う国なのに、いつの間にか日本が最も高いクオリティーのものを製造する。
ここでポッドキャストをお聞きの皆様へお知らせです。
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それでは引き続き内容をお楽しみください。
切り口が違うとはいえ、それぞれ先に出ている製品サービスのペインポイントをしっかり抑えて、そこをユーザーにアピールして獲得していくというのがメインストリームという感じ。
もう一個あるんですよ。
これはちょっと変則的というか、今やったものとは概念がちょっと違うファクターなんですけど、
市場ニーズに合うタイミングがあった場合と合っていない場合というのがあって、
先行サービスがあったというよりは、一回ことごとく失敗しているようなものをもう一回10年後とかにやり直してみたらヒットする例とかあるんですね。
これはiPhoneとかもそうみたいで、iPhoneってAppleのiPhoneね。
発表された時にAppleに詳しい先輩の方とかが、これあれだよねみたいな、
十何年か前にやってたニュートンとかっていうのがあるんだって。
ごめんちょっと勉強不足なんですけど。
いわゆるスマートタブレットみたいなのを。
Appleで出してた?
Appleでも出してて、それ以外もPalmとかそういう液晶画面みたいなものでタップしてデータ入力とかできるやつがあったんだって。
市場ニーズの変化
Appleも一回それで失敗したんだけど、似たようなもののインターネットにつながったバージョンを何十年後かにもう一回出したくらいの勢いなんだって。
市場のタイミングっていうか、世の中のインフラとかユーザーニーズのタイミングが変わったタイミングでもう一回出した。
もう一回同じもんじゃないけど、コンセプトが近いものを出したとか。
あとはアメリカで日常生活でよく使われているインスタカートっていうのがあって、サービス。
これはグローサリーをデリバーしてくれるサービス。
グローサリーっていうのは食品とかか、スーパーとかで売ってるものをUber Eatsみたいな感じでオーダーすると買って届けてくれるっていうインスタカート。
これ1990年後半に同じコンセプトで生鮮食品をデリバーするっていうウェブ版っていうサービスがあったんですよ。
トラックに野菜の絵が描いてあってデリバーしてくれる。
このスタートアップって上場までしてるんですけど、上場の数年後に倒産してるんですね。
期待値は上がったんですけど、その当時インターネットユーザーの数がそこまで多くないので、ビジネスとしての黒字化ができなかったらしいんですね。
ただ、今の現代においてはユーザーの数も増えたし、スマホユーザーも多いので、同じコンセプトのことをやってもちゃんと商売が成り立つ時代になった。
なので、こういうケースを考えると、過去のケーススタディとか失敗したケースも研究して掘り起こして、
現代だったらもしかしたら受けるかもっていうサービスアイデアを考えるやり方もあるのかなと思ってます。
確かに。そう言われると、確かに最初に言ってた課題とかペインポイントとはまた違う切り口で。
そうなんですよ。結局、そのサービスがヒットするかどうかって、市場のニーズに合ってるかどうかになってくるんですけど、市場のニーズって時代の変化とともに少しずつ変わっていくじゃないですか。
そこにぶつかれる、その軌道としてぶつかるタイミングがどこにあるかなんですよね。
実際にテッドトークの中で、僕見たことあるんですけど、スタートアップが成功するのに一番重要な要素みたいなトークがあるんですよ。
そこでそれを研究した方が話してたのが、いろんなファクターの中で一番重要なのは、タイミングが合ってることだって言うんですね。市場ニーズと。
ということは、続けてればいいって言ってるんです、その人。
例えば、今から5年後にそのニーズがあって人気になるようなサービスを、4年半でやめたらそこにはたどり着かないじゃないですか。
だけど5年、6年続けてたら、そこにぶつかるタイミングに当たるじゃないですか。そしたら日の目を見るかもしれない。
難しいですけどね。
簡単そうに聞こえますけど、続けることが一番難しいですよね。お金的にも、いろいろ精神的にも。
そうなんですよ。以前にもピボットの話をしたんだけど、ピボットするとかややめるっていう判断もあるし、
あと2年経てば、絶対これは必要とされるんだと信じて続ける。未来予測になってくるんですけど。それができるかどうか。
後発サービスの成功事例
他に主軸のサービスとかがあったらいいですけど、それ1本だとなかなかしんどかったりも。
スタートアップはそれ1本なので、多くは。それをやるときに、何かしらヒントがあったらいいんだよね。
2年後にこういう法律ができるとか、こういう技術が世の中に広がる予定だからとか、そういう情報収集をしておくと、
例えば一番露骨な例で言うと、友人の投資会社の人がオンラインカジノのスタートアップに投資してるって言ってたから、
それ違法じゃないんですかって言ったら、今はね。ただ3年後に法律が改正される見込みが今あって、
今の政府の状況だとどうやら合法になるっぽいから、今のうちに仕込んでるんだよね、とか。
あとカルフォルニア州だと、マリファナが合法になるタイミングで、マリファナデリバリーのスタートアップに投資するとか、
そういう法規制とかが変わるタイミングって、大きなビジネスチャンスなので、それに合わせて事前に仕込むとか、
あと日本だとオリンピックに合わせてホテル建てるみたいなのあるじゃないですか。
ありますね。
イレギュラーもあるけど。
確かにそういう何年か先のある程度確実に近い未来が見えてれば続けるべきですね。
闇雲にこういうトレンドが来そうっていうのはちょっとわからないですけど、
おっしゃる通り法規制とか、大きいイベントとか。
環境変化、大きなイベントとか、あとは人口とか、
あとテクノロジーの進化か、例えばAIが進化するとか、
あと携帯のスマホの回線スピードが5Gだったら今度は6Gになって、今できないことができる時代になるから。
もうちょっと重い通信できるねとか。
そう、あれだよね。YouTubeで動画見るとか、TikTokとかも回線が速くなったから。
昔だったら一個一個のローディング時間。
それに合わせてサービス作るとか。
こういうのはうちの会社で新規事業を作るワークショップでよく説明してるんですけど、
うちの仕事においてクライアントさんと一緒に新しい事業を生み出すためのワークショップとか、
イノベーション変革のサービスをデザイン支店で提供してるんですけど、
一緒に伴奏しながらやっていく中で一番多い勘違いが、今存在してないサービスを作らなきゃいけないって思いがち。
そうじゃないですよっていう教訓だったりとか、
今現在の時間軸で受けるものを作ろうとしがちっていうのがあるんですよね。
この2つが結構新規事業を作る際の落とし穴なので、
そこはタイムラインをシフトさせる、未来にシフトさせることを、
既存サービスもしくは過去に失敗したサービスを研究してみるっていうのもヒントになるかなと。
確かにそれならクリエイティブでアイデアが出すのが大変な方でも、
それはリサーチとかなので取り組みやすそうですね。
いや、そもそもあれですからね。
有名な話ですけど、イノベーションを生み出すっていうのは、
基本組み合わせとか既存のものを変化させることで生み出すので、
全くないものから発想すること自体が効率が悪い上に、
あまり良い結果が得られないと思っています。
なるほど。分かりました。ありがとうございます。
今日はですね、後発サービスで成功したブランドの例であったりだとか、
あとはポイントについてお話をさせていただきました。
ビトラックスでは先ほどお話しした通り、
新規事業づくりのサポートをさせていただいておりますので、
興味のある方はぜひお問い合わせいただければと思います。
本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
このエピソードを楽しんでいただけた方は、ぜひ高評価、チャンネルフォローよろしくお願いします。
また、サンフランシスコデザイントークは、
番組に対する質問や取り扱ってほしいことや、
テーマを募集しています。
番組概要欄にあるGoogleフォーム、
Spotifyでお聞きの方は、
各エピソードのQ&A欄からお送りいただけますので、
お便りお待ちしております。
最後までお聞きいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに。