ちなみに、そもそもなぜそういう考えを持っている企業家の方が多いと思いますか?
いくつかファクターあると思っていて、一つは、日本で生まれ育った日本人の方が会社をやるので、ナチュラルに考えると身の回りの人たちのニーズをかなえることをビジネスモデルとしがちなので、
当然のことながら、それは日本にいる人たちであり、日本国内の市場という、無理に海外とかを考えない限りは、目の前にある課題を解決したりとか、ビジネスオポチュニティをつかむということになると、日常生活の中で日本が見えているから。
おそらく日本に限らず、それは他の国の方も身近な課題を。
ただ一方で、これは非常に興味深いなと僕は思っているのは、ある一定以下の市場規模の国でビジネスをやる人というのは、最初から国外向けにやることが多いですね。
なるほど、日本はある程度、すごく大きいわけではないですけど、ある程度の市場規模にはなってしまうからっていう。
そうですね。もうちょっと具体的に言うと、特にスタートアップとかだと、一番最初、一つの大きなゴールが株式上場なんですね。IPOとかも言われるという言い方もしますけど、IPOを目指す。
それは日本の特許証券取引所の、今だとグロース市場というところなんですけど、そこを目指して実際に先輩の人たちが上場に成功しているのを見ると、それなりのお金が集まるし、それなりの成功を達成できるわけよ。
なので、そこがゴールとしてまず目にきれいに見えている。そこを狙うから、そこを狙って上場すれば成功モデルとして確立しているので、他の市場が小さい国は株式上場というものがそもそもないかしても大した規模にならないから、
最初から海外シェアでやらないとビジネスとして成り立たないという国も、例えばヨーロッパの小さい国とか東南アジアのどこかの国とかっていうのは、そこの国でヒットするだけじゃ物足りないという言い方は変だけど、ビジネスとして全然成功になっていないケースがあるということなんですね。
ここでひとつとあるエピソードを紹介したいんですけど、最初から海外でやったほうがいい理由、10個くらいあるんですけど、そのうちのひとつがあるとき、もうどのくらいかな、10年くらい前だと思うんですけど、
友人とサンフランシスコ海外のとあるレストランで夜食事してたんですね。
そこで、その彼は起業家で、2社目かな、1社目は日本でやって売却して、2社目なんですけど、2社目やるときにもう最初から日本とアメリカ同時にやるって決めてて、
それでお金も集めて、自分もサンフランシスコに住んで、日本と行き来をする生活にして、日本でもアメリカでもチームを作って人を採用して、プロダクト作りをして展開し始めてた。
僕そのときに、アメリカって結構チャレンジだから、東南アジアとかって比較的アメリカよりも低コストで攻めやすいっていう雰囲気だったから、アメリカの前に東南アジアやらないのって素朴な疑問で聞いたわけ。
それの方がやりやすいかもだけど、あえてアメリカは抑えておきたいんだよねっていう程度の。
なんでって聞いたら、例えば日本国内だけでやってるとか、アジア圏とかでやってたとしても、人間のニーズってそんな大きく変わらないので、彼がやってるサービスと似たようなサービスって必ずアメリカでも出てくるはずだと。
日本で成功したとしても、時間が経てば経つほどアメリカで類似サービスみたいなのが出てきて、その会社がアメリカで成功するとイコール世界で成功しやすくなってる状態だから、追いつけなくなるどころか日本に来るだろうって言ってるのね。
そうなんです。だからGoogleって検索エンジンとして、まやかさん使って僕も使ってるじゃん。日本の多くの人使ってますけど、Googleがヒットする前まで日本製の検索エンジンっていくつかあったんですよ。
今でもGoogleとかあるんですけど、Googleみたいなのが出てきて世界的にヒットしちゃうと最終的に日本人もそれ使うじゃないですか。
そうですね。そっちの方がいっぱい情報がありますしね。
ものにもよるんだけど、そういうネットワーク効果のあるものっていうのは、Winner Takes Allっていうモデルで、勝ったものが全ユーザーを独占しちゃうようなモデルになりがちなので、最初からアメリカもサイトを来たいって言ってやり始めてたんだよね。
確かにそうだなと思ってて、メルカリっていう会社なんですけど、全然言ってもいい話。
一つはそういうファクトがありますよね。他の国、特にアメリカとかでできたサービスは最終的に世界に飛んできがちなので、黒船になって最終的に日本にやってくる前に押さえておくっていうのが一つあるんですよね。
あと、日本で成功するってことは、日本の市場で受け入れられるってことじゃないですか。
今と全く逆のケースの場合、日本に特化してフォーカスしてやると、場合によっては日本のユーザーに最適なUXになってるけど、海外ユーザーからすると使いにくいUXになるときあるんだよね。
スマホの前にガラケーっていうのがあって、ガラケーってガラパゴスって言われてる。ガラパゴスってどういう意味かっていうと、そこの地域でしか生まれて育たなかった生物っていう意味なんですけど。
あれってガラパゴス諸島から来てるってことですか?
そうなんですよ。ガラパゴス諸島ってガラパゴス諸島にしかいない動物がいるらしいんだよね。他の世界の地域には存在してない。
そこから来てるんですね。
その島にしか殉納できない動物がいる。今から考えるとすごい皮肉なネーミングつけたなと思って。
なんかもっとかっこいい理由なのかなとか勝手に思ってましたけど。
日本特有のっていう意味。
なるほど。
イコール日本の国の外に出れないっていうことで。
あれって絶対海外からつけられた。
由来僕は全然わからないけど、別にネガティブな意味合いで使ってなかったと思うんだよね。ガラ系っていう言い方は。
そうですよね。そういう感じでは思ってなかったんですけど。
なんですけど、ああいう感じで日本のユーザーは問題なく使えるけど、海外ユーザーが使えないものが。単純に考えてユーザーインターフェースが日本語だと使えないじゃないですか。
そうですね。
ユーザーインターフェースが英語のものを日本人が使うのはなんとかできるけど、ユーザーインターフェースが日本語のものをアメリカ人が使えるかって言うとほぼ無理じゃないですか。
っていう感じで、互換性がないので、日本特有のものができてからそれを海外向けに作り変えるとなると、手遅れもしくは根本からやり直さなきゃいけない時があるんですよね。
UXだけじゃなくて市場ニーズにも合ってないとか。
なるほど。
あるので、そこが難しいっていうこと?
逆に英語の言語のところ抜いて、UX、UI異なることって日本と海外、アメリカってあると思うんですけど、アメリカ市場を狙ったものを日本に輸入してくるっていうのは、それもローカライズが必要だったりするんじゃないかな。
それがまさにさっきのメリカリの話に戻ると、その時山田慎太郎が面白いこと言ってて、僕本当そうだなと思ったんですけど、アメリカでユーザーが問題なく使えるものは日本人も使えるっていう。
確かにUberとか例えばUber Eatsとか普通に使ってますもんね。
アメリカって識字率がそんなに高くないっていうか、文字を読めない方とか英語が読めない移民の方とかもいらっしゃるんですね。
なおかつ日本ほど教育が行き渡ってないので、
個人差がある。
個人差があって、何を使えるか使えないかの基準値がアメリカの方がシビアなんですよ。
なので、ユーザビリティとかユーザーエクスペリエンスのクオリティをある程度高めとかないと、使えないユーザーが出てきてしまうんですね。
なので、アメリカでUXデザイナーとかの重要性が高いのは、そこの品質を上げないと取れないユーザーが結構いるという。
誰でも直感的にわかるようになっているかというか、なるべく文字が使われていない。
例えばイラストとか画像とかそういうもので助けるとかっていうのがされているという。
その通りです。
それがアメリカ国内で達成できると、逆に日本に持ってきたときにユーザビリティとかにおいてのローカライゼーションは最小限でもいいし。
言語ぐらいかなっていう感じですか、メインは。
そうでしょうね。最初のうちはそれもやらないんですよね。
スラックとかって、サンフランシスコの会社でまだ全く日本市場とか検討してない時期から知ってますけど、日本で結構使われてるんだよねってログ見ると。
ユーザーのEメールとか見ると結構な大企業さんが使ってるっぽいんだよねって話をしてて。
英語のままなのにね。でも使いやすいから英語のままで問題なく使えてしまっている状態。
確かにもう簡単な単語しかタブとか置いてないんで、だいたい推測できますよね。
そうですよね。アリアダプターだしね、使う人が最初のうちは。
ってことができるっていうのと、あといくつかあるんだけど、これ言っちゃっていいのかどうかわかんないんですけど、言いますね。
外部の株主からそこに待ったかかるというか、好きにやらせてもらいにくくなるプレッシャーが受けるので、やりにくくなるわけ。
その一方で、ちょっと余談ですけど、アメリカの株式市場って興味深くて、じゃあアメリカの会社どうなってるんだって話になると、
アメリカって株式市場のスケールが日本よりもずいぶん大きいんだけど、それこそNVIDIAとか大きいんだけど、
Amazon、GAFAの一つの世界実家総額ランキングのトップ5には必ず入ってるAmazonとかって、よくニュースに出るんだけど、
今期の利益ゼロでしたとかって多いんですね。Amazonって利益を出さない会社で有名で、少しでも利益が出そうだったら再投資するんですね。
新しい事業とか新しいマーケットとかにお金を使いまくるわけ。そうすると利益が圧縮されて株主に配当も出ないんだよね。
なんだけど株価がずっと上がるんだよね。それは未来に投資してるから、未来に希望があるので株価を上がるってそこの株を買う人が多いんだけど、
日本の株式市場とかスタートアップがIPをした後って、もっともっと短いスパンで結果を見てるわけみんな。
なので10年後にものすごい会社になりますっていうことよりも、1年以内に黒字になりますの方が株価が上がりやすいわけ。
そういう構造的さがあって、日本で上場しちゃうと短期の結果求められるもんだから、長期的に10年後にアメリカでビジネス成功させますっていうのが、あまり株価の上昇にポジティブな影響を与えにくいというしんどい状況があるんですよね。
あと、これはすごい盲点だなと思うんだけど、日本の企業で日本の市場だけに商売をしている会社って、従業員何人だと思います?
日本人ですね。日本人だけのチームじゃん。日本人だけのチームでずっとやってくると、それで海外やるっていうのが、チームとしての構造があまり向いてないんだよね。
言語が日本語で、ユーザーと言語が違うじゃないですか。すごく優秀だったとしても、日本人の感覚で日本語だけで成り立っているチームが、いざ海外に展開していこうと思うと、文字通りの別世界なんで、チューニングし直さなきゃいけない。
言語とカルチャーが違いすぎて、じゃあ海外で展開するんで海外で人を雇いますって言っても、マネージメントから何から日本人で日本語でやっている会社に海外の人のチームを作っても、なかなか噛み合わないんだよね。
すぐ辞めちゃったりするわけ。非日本人の人たちが。そこで苦労するケースもありますね。
なるほど。すごい山ほど壁みたいなものを聞いていて思ったんですけど、実際にアメリカから起業する方がお勧めである、同時なのかっていうところがあると思うんですけど、アメリカに起業する一番大変なことって何だと思いますか。
言語を除くと、チームを作ってマネージしてリーダーシップを発揮するっていうのは一番難しいかなと。僕は難易度高いなと自分でやってて思うんですね。
人を採用して、そこでパフォーマンスを発揮してもらって、なおかつ会社にある程度居続けてもらうっていうのは、日本と比べても格段に難しいんですよね、特にアメリカは。
会社へのロイヤリティが低いっていうか、もともと就寝雇用がない国だから、いわゆる最近言ってるジョブ型みたいな形なので、数年でいろんな会社に転職するっていう人が多い国なので、そういった中でどうやって仕組みを作って、転職されても大丈夫なチームとか、もしくは転職しない人が多いチームとか作らなきゃいけないわけ。
日本ほど人に頼れないっていうか、仕組み化していかなきゃいけないし、それをロジカルにやっていかなきゃいけないし、あとは、これは文化的なもので、日本だとある程度地位があると人ついてくるんですけど、社長だとか、アメリカだとそこはあんまり関係なくて、地位よりもリーダーシップスキルとか人間性とか、それが伴ってないとすぐいなくなっちゃうので、
企業家とかマネージャーが身につけなければいけないリーダーシップスキル、マネージメントスキルはものすごい高いですね。
うーん、なるほど。
実際にじゃあ、もし今これから起業したいって思われてる方がいらっしゃって、日本とアメリカ両方でチャレンジしてみようみたいな方がいらっしゃったとしたら、どういうアクションを取ることをお勧めしますか?
一番、結論から言うと一番おすすめなのは、アメリカに来て起業することなんですよね。
僕の経験上、日本で初めて海外狙いますとか、どっかのタイミングでアメリカ来ますって言ってできてる人、一人もいないんですよ。
話を聞いた人が200人ぐらいいるんですけど、一人もいないんですよ、それができてる人が。
途中で、アメリカ来たんだけど、結局戻る人多いんですよね、短期間で。
なるほど。
上場をしなきゃいけないんだとか、日本で株主総会でとか、日本って結構オンラインじゃなくてリアルで会わなきゃいけない会議とかがあるみたいなんですね。
政府の融資とか銀行とか、政府関係の人とか。
なるほど。
なので、来週一回日本戻りますとかってやってるうちにアメリカに来なくなる。軸足がちにやっぱり戻るみたいな。
その一方で、社長自ら腹決めて、日本で成功した後にこっちに来て、こっちに住んで、家も買って、展開した会社とかもあって。
それはすごいなと思うんですよね。スタートアップじゃないんですけど。
その方、僕も面識あって。その方は日本でソフトウェアを売る会社をやって、上場されてて大成功してたんですけど、あえてアメリカにシルコンバレーに来て、新しい事業を作るって来て、自分のニーズを叶えるものでもあるポケトークっていうのを思いついて、
それで作って。
そうなんですね。シルコンバレー初なんですね、あれ。
松田さんっていう社長さんが、すごいエネルギーの塊のような素晴らしい方で、日本に留まりたくないっていうか、もっと大きな夢を追いかけるために、今からどうだろうな、十数年前だと思うんですけど、
シルコンバレーに来て、そこで現地の人とやりとりしながら、そこで同時翻訳のポケトークっていうのを思いついて作って、大ヒットしたじゃないですか。
そのバイタリティとか視野の広さっていうのは、自分が来て、そこに骨を埋める思いで来て。
もともと住んでた僕、サンフランシスコに住んでた僕なんかよりも、サンフランシスコの現地の人脈多いですから。
すごい。
すごいなと思って。
なるほど。
なので、片手間でやるのは無理なんですよね。
なので、世界で勝負したいんだったら、覚悟を決めて、自らここに住むぐらいの思いでやったほうがいいなと思ってますけど。
なるほど、ありがとうございます。
いろんな企業さんいらっしゃって、日本で頑張られてる方もいらっしゃるとは思いますけど、もしグローバル展開をしたいって思ってる方いらっしゃるのであれば、
アメリカに軸足を置いて、我が国ってアメリカに住むぐらいの気持ちを持ってやらないと、ちょっと成功は難しいんじゃないかなっていうか。
僕の今まで見てきた経験ですね。
ということで、今日はそのようなお話で、日本でヒットしてからグローバル展開をするという考えがダメな理由というところをお話しさせていただきました。
今日もありがとうございました。
このエピソードを楽しんでいただけた方は、ぜひ高評価、チャンネルフォローよろしくお願いします。
また、サンフランシスコデザイントークは番組に対する質問や取り扱ってほしいテーマを募集しています。
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最後までお聞きいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに。