本日のテーマは、「君のプロダクトはビタミン剤か、鎮痛剤か、治療薬か?」ということで、アイデアの種類について話していこうと思います。
サービスデザインというフィールドがありまして、デザインの中に。新しい商品やサービスを作るときに、それをデザインの視点から考えていくというものなんですけれども。
企業の商品やサービスと、スタートアップなどで新規にアクセレレーターでやっているときにアイデアを出していくじゃないですか。そのアイデアを判断するときに一つの基準になっている。
英語でスラング的に使っているバイタミンやペンキュラみたいな言い方を日本語にして説明した内容なんですけれども。
ありがとうございます。では早速、そもそもそれぞれのカテゴリー、ビタミン剤とかあると思うんですけれども、どういうプロダクトがあるのかお願いします。
そもそもビタミン剤とか鎮痛剤とか治療薬ってなんやねんというところから簡単に話すと、人間がサプリとかビタミン剤を飲むときって、特に病気していたりとか怪我していたりとか、つらい思いして飲むものじゃないじゃないですか。
日々健康であるために習慣として飲み続けるみたいな感じになっていくと思うんですね。
その一方で鎮痛剤って痛いときに柔らげるための頭痛薬とか腹痛とかを柔らげるための薬で、症状が治ってないにせよ少しずつ痛みを減らせるという薬じゃないですか。
治療薬というのは元々あった病気であるとか怪我であるとかを治療してなくしてくれるという考え方の薬だと思うんですね。
それぞれの感じの世の中にある商品サービスというのがありますよという説明の仕方をしています。
まず鎮痛剤から話そうかなと思っていて、新規でサービスを考えるときに皆さんも何か新しいサービスを作ろうと思ったときに、世の中で何がみんな困っているかなとか、自分が普段日常生活で何が不便かなというところから始まると思うんですよ。
それを解決するためにこういうのがあったらより楽になるなとか、ものっていうのは作られてきたと思うんですよね。
例えば昔は冷蔵庫というのがなくて冷やすのに氷とかを入れていたのかよくわからないですけど、冷蔵庫というのができるとそこがよくなったりとか、あとは洗濯機、手で洗うより洗濯機という課題の解決みたいな感じになるじゃないですか。
しかしながら課題解決のサービスを考えると、世の中にどういうのがあるのかというと、
例えばアメリカだったら一番有名なのがウーバーというタクシーに乗るときのペインって結構あったんですね。日本にいるとあまり感じないんですけど、アメリカでタクシーに乗るというのは非常にしんどかったんですね。
なかなか見つからないというのが一つですね。あまり走ってない流しが。ニューヨークとか走ってますけど。
次に支払いがめんどくさいっていう。チップとかがあったりとか、カード使える使えないとか色々めんどくさい。
あとは下手するとぼったくられるというか、運転手がちゃんと正しい最短ルートをとっているのかわからないという不安もあったので、それをライドシェアアプリのウーバーとかでやると一気に痛みが解決されて、そのままタクシーに乗る体験が改善されるという形。
日本だと、これUber Eatsが馴染みがあると思うんですけど、出前をするときに多分それまでは電話でして説明してみたいな。ちょっと煩わしかったから。
それがアプリとかでサクッとできて、いつ届くか、今どの辺にいるのかもわかるからいいじゃないですか。
というのが課題解決。これは順当に多くの業務改善アプリとかはそのやり方をしていて、例えばオンラインコミュニケーションツール、今いくつかあると思うんですけど、スラックとかチャットワークとかマイクロソフトチームズとかいくつかあるんですけど、
あれはメールでのやりとりが煩わしかったりCCが煩雑になったりしたので、チャンネル型にしていって必要な人を入れていってグループでコミュニケーションする。グループチャットですね。あれとかも結構課題の解決だったり。
Zoomとかオンラインミーティングも、電話よりも顔を見ながらやったほうがいいよねとか。もろもろあるんですけど、主にビジネスで使われるようなものとかが課題解決多い。
その一方で実は世の中でヒットしているサービスって、課題解決じゃなくても結構大ヒットしているものがあって、これが非常に盲点になりやすいんですね。
みんな課題解決しようと思って、課題解決型頭を絞っていくんですけど、結構皆さん普段何を使っているかなって、どんなアプリを使っているかなって考えたときに、主にソーシャルメディアとかを中心に全く課題の解決になっていなさそうだけどなぜかめちゃくちゃ人気があって、かなり儲かっているとかバリエーションが高くなっているようなサービスってあるんですね。
例えば、YouTubeっていうのがありますよね。YouTubeが普及する前ってテレビっていうのがあったと思うんですけど、そこまで不便と世の中の人は思ってなかった気がします。テレビを見ている間は。
ただ、YouTubeっていうのが出てきて、課題の解決をしたというよりは新しい体験を提供してきたので、そっちの方がいいじゃんっていう、面白いじゃんみたいな。なっていって新しいニーズを起こしたので、課題解決じゃないけど人気出たのでビタミン剤型っていう呼び方をしてますね。
同様に、FacebookとかInstagramとか、最近人気が爆発しているTikTokなんかも、課題の解決というよりは楽しいとか、使ってて面白いとかってなるので、ビタミン剤的なことなんですね。
興味深いのが、ネットフリックスっていうサービスが非常に興味深いと思ってまして、日本で知られているネットフリックスって、ネット経由で映画を見る作品を見るじゃないですか。
それってかなりYouTubeに近いような映像閲覧ストリーミングサービス。これってもともとビタミン剤的な存在じゃなくて、ペインキラーからスタートしてるんですよね。
なぜかというと、まだインターネットで映像を見るっていうのが一般的じゃなかった時代に、ネットフリックスは最初、DVDレンタルのより課題解決版として生まれました。
その当時、映画を見るときに、TSUTAYAみたいなお店でDVDを借りて、見てから返却するっていうのが一般的だったんですけど、ネットフリックスのファウンダーが自分でDVD借りて返すのを忘れてて、
ベラボーな延滞料を取られて、それでブチ切れて、この体験を改善して、この課題をどうにか改善しようって言って、延滞料なしのDVDレンタルを始めたんですね。
パソコン上でオーダーすると、DVDが郵送されてくるんですよ。プラによって一遍に借りられる枚数が決まってるんですね。一遍に2枚までとか3枚までとか4枚まで。借りっぱなしで返却しなくても延滞料全然かかんないんですよ。
しかしながら、なんでそんなことが成り立つかというと、その枚数返さないと次が来ないんですね。借りたDVDをそのまま返却せずに持ち続ける、所有するように。
ただ、毎月のサブスク払って持ち続けるから、どっかのタイミングで買った方が安いってなるので、すごい盲点だと思うんですけど、それを返して次の作品が届くっていう、そういう仕組みを作ったのが初期のNetflix。
だから、今度はDVDっていう物理的なメディアすらいらない、ストリームでいいじゃんってなってから、ペインがなかったのにより楽しい、使いやすい、UXの良いものができたっていうのが、鎮痛剤からビタミン剤に変換したっていうケース。
で、最後の治療薬っていうのもあるんですけど、これって作るのが非常に難しいタイプのもので、痛みの根本を全部なくすっていう考え方なんですけど、世の中そんなに多くないですね。
ちょっと考えたのは、レイシック手術で禁がんを治すとか、一回やったらクリアで終わるっていう。結婚した人が結婚したら、それで辛いが解決されるみたいな。
あと、どこでもドアとか。どこでもドアはないですから、まだ。どこでもドアができると移動するっていうペイン、飛行機に長時間乗るっていうのはいらなくなるんで、ペインキラーどころか治療薬に、完全にソリューションになってるっていう。
これは働かなくてよくなるとか、学校行かなくてよくなるとか、そこまで痛みを和らげることはできても、完全に取り去るっていうのはまだまだそういうサービスを作るのは難しいんですけれども、そういう概念があって、サービス内容を考えるときに必ずしも課題スタート。
多くの投資家とかスタートアップに詳しい人が、まず課題から考えろっていう。間違いないんですけど、課題スタートじゃないものでもバカにならないよっていうか、それも最初から否定しない方がいいよってことを考えてますね、サービスデザインにおいては。
ありがとうございます。僕の印象なんですけれども、課題解決じゃなくて、課題じゃないところから、円溜め系とか特にそうかもしれないし、さっきのソーシャルの部分もそうですけど、やっぱりUSは結構いろんな事例が多くあるなと思いつつ、日本とかだとゲームはもちろんあると思うんですけど、特にソーシャルとかだとあんまり世界で思いっきりヒットするみたいなのがあんまりないと思っていて。
これは国としての特色が、ビタミン剤はUSの方が生まれやすいっていうのがあるのか、そこら辺は仮説とか。
僕の仮説は、さっきちょっと言った通り、課題スタートじゃないものに対して価値を企画段階から感じて、そこに予算とか投資をする文化があんまりないんだと思うんですよね。
いわゆる、何を解決してるの?いくら儲かるの?っていうロジックを立てる時に、ロジックは立たないんですよ。
シリコンバレーとかって、一回投資家の友達に話したことがあったんですけど、今ツイッターって普通にユーザーいるじゃないですか。
それに対して投資家が、あれを予想するのは無理だったわって言ってて。
ツイッターって別に課題を解決してるものじゃなかったんで最初。面白ツールとして出てきたやつだったんですけど。
投資家がツイッターに投資するかしないかって考えた時期があったんだって。
だけど、こんなものは何の課題の解決にもなってないから、人気にならんだろうって思い込んで投資を見送ったんだけど、その後蓋を開けてみたらめっちゃヒットして、それ難しいわってなったんですね。
ただ、逆もいるから、面白そうであれば投資するよって人がいたから今のツイッターができたし、他のサービスもあるんで。
僕が仮説として思ってるのは、日本でそれを企業で予算つけるとか、投資家としてスタートアップに投資する人が、
頭が固いっていうか、真面目すぎちゃって、課題解決、そしてマネタイズっていうセオリーが立たないと、そこにお金を張るっていう文化があんまないのかなと思ってて。
暇だったらゲームみたいな。そっち側に入れたからこそ生まれてきたタイプのサービスなんじゃないかなと思っていて、
そこのコントラストが非常に興味深いんじゃないかなと思ってますけどね。
ありがとうございました。
あとは、それぞれアイディアの種類を考えてきましたけど、
BitRockサービスデザインみたいなのもやってるかなと思うんですが、
それぞれのアイディアごとにどういう風にユーザーインタビューするかとか、
ヒアリングの仕方とか変わってきたりするのとか。
素晴らしい質問ですね。それすごい鋭い。
というのは、課題解決方ってユーザーインタビューしやすいんですよ。
今何に困ってますか?って聞いて、なるほど。
これに対してこれがこういう風に改善したらどう思いますか?
それめっちゃ嬉しいです。
それお金払いたいですか?
いや、払うと思う、俺だったら。
月20ドル払うとかっていう感じでロジック立てやすいんですけど、
このビタミン剤側のものを作るときは、
説明しにくいし、理解してもらいにくいし、
フィードバックもらいにくいんですよね。
例えば、TikTokがない時代に、
TikTokのようなものを作ろうとしてユーザーインタビューしたときに、
スマホで映像自撮りして、
自分の踊っている映像と音楽をソーシャルにSNSにアップしたら、
他の人が見てくれて盛り上がるってどう思います?って。
何言ってんの?
すいません、何言ってんの?ってなるから。
TikTokがない時代は、たぶんインスタとかもそういうのないからね、そもそも。
その時代の人にTikTokらしきものの言葉を言語で説明したところで、
見てみないとわかんないとか、触ってみないとわかんないとかになっちゃうから、
プロトタイプを作った方がいいってことですね。
ビタミン剤系のものは、ロジックとかプランとかよりも、
とりあえずプロトタイプ。
世の中にないものになっていることが多いので、
プロトを作って、触って、
結構これ面白いじゃん、いいかも、日常で使いたくなっちゃうかも、みたいなのを検証するには
プロとありきなので、
うちの会社もなるべくクライアントさんのサービス作りするときは、
そういう系のものはプロタイプを先に作っちゃおうっていう。
それをぶつけていかないとどうしようもないよねっていうことで、
結構日本の企業が考えたサービスをアメリカでユーザー検証するときは、
もうプロトタイプ作ってしまって、
デザインとかで作って、ユーザーに当てて触ってもらって、
触ってもらいながら感想を口で声に出してもらうとか、
そういうことをして、これはいけそうかどうかっていうのを検証するっていうのをやってますね。
そういういわゆるビタミン剤的なアイディアをやりたいっていう風に持ち込まれる場合っていうのは、
どういうケースが多いのかっていうのを聞きたくて、
日本企業のこっちでアイディア作って考えるっていうのは、
やっぱり課題解決、課題ありきのものが割れるのが多いのかなって思ってたんですけど、
そういうのもビタミン剤側のアイディアも結構多かったりするんですかね。
最近増えてて、例えば去年やったプロジェクトでいうと、
自動車の会社さんだったんですね。
日本で日本車の会社ってあるじゃないですか。
その中の一社が、自動車っていうのは、
ペインキラー、浸通剤としてはかなり優秀なプロダクトとしても世の中に広がってますよね。
安定した時間とスピードで移動ができるっていう馬車に変わったものです。
しかしながら、もっと自動車に乗っている時間を楽しいものにできないかっていう相談になってきたんですね。
ユーティリティ的な役割も果たしてると。
実用性も高い。
ただ、もっと次のステップとしては、楽しい体験を提供しないと自動車ブランドとして差別化ができないんで、
一緒に考えてもらえませんかって言われて、
考えついたのが、今まで行ったことのない道を走ってみようアプリみたいなのを自動車と連動させることによって、
アドベンチャーが好きな、アウトドアが好きな人とかが、普段人間って通勤とかで同じ道を行き来しちゃうから、
週末とかにでも今まで走ったことのない裏通りとか山道とか、アメリカなんでキャンプ場とかもあるんですけど、
そういうところを行って、それまでの人生では体験したことのないような体験とか景色を見たりとか、
そういうアドベンチャーをサポートするようなアプリを試してみたいって言われたので、
1年くらいかけて、アイディア出しからユーザー層を決めていって、ユーザーインタビューしながら実際プロトタイプを作って、
20人くらいかな、使ってもらったりとかフィードバックもらったりとか、
そういうのをやってたりして、それの有用性を測ったりとかして、
実際それを本当に使わないと良さがわからないので、なるべく早い段階でプロトタイプにしていったというのがありましたね。
ありがとうございます。
そんな感じですかね。
そうですね。
サンフランシスコデザイントークでは、番組に対する質問や取り扱ってほしいテーマを募集しています。
番組ガイドラーにあるGoogleフォームからぜひ送信してください。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ということで、本日の収録を終了します。ありがとうございました。
ありがとうございました。