サンフランシスコ・デザイントーク、この番組は、サンフランシスコと東京に拠点を置くデザイン会社のCEOが、日本で働くデザイナーや、デザインをビジネスに取り入れたい方向けに、様々なトピックについて、深く話します。
ということで、今日もお願いします。
よろしくお願いします。
早速ですが、今日のテーマは、優秀なデザイナーでも悪いデザインを生み出してしまう理由、です。
これはどういうことでしょうか?
完全に今までの経験上の話なんですけど、世の中でめっちゃいいデザインだなと思うものってあるじゃないですか。
はい。
その一方で、なんでこんなデザインにしたかなっていう、何でもいいんですけど、パッケージのデザインとか、グラフィックとか、プロダクトのデザインとか、多くがあるんですけど、
はい。
それって、ついつい、もっと優秀なデザイナー雇えよとか、
ちゃんとデザイナー仕事しろよみたいに思いがちなんですけど、
実際のプロのデザインの現場で仕事をしてみると、ものすごい優秀なデザイナーなはずなのに、最終的に出来上がったデザインが微妙っていうことって結構あって、
なんでそうなるのかっていう話。
はい。
そしたら、本当にいいデザインっていうのが、最後まで生み出されるところまで辿り着けるのかっていう話をちょっとしようかなと思ってますね。
深いですね。
そう。
実際にデザイナーとして働いたことある方とかは、多分あるあるだなと思うんですけど、外側の人から見るとそれ分からないので、企業のプロダクトのデザインとかが、会社によっていい感じのものもあれば微妙なものっていうのがあって、
はい。
それは実は、誰がデザインしたいよりもどういう風にデザインプロセスが行われたかによって変わるんですよっていう話をしようかなと思います。
はい。
で、まず、以前にちょっと話した内容にも関係あるんですけど、デザイナーってコートフォリオって作るじゃないですか。
はい。
WebサイトだったりとかPDFとかで。
はい。
で、だいたいみんなすごいデザインがいいんですよ。
うん。
でも実際仕事してみると、その人の実力が発揮できてないんじゃないかっていうぐらいの最終アウトプットのデザインが微妙なことってあるんですよね。
はいはいはい。
で、そこでも分かる通り、その人のデザイン力からすればもともといい仕事ができるのに、実際できてないっていうことがあって。
うん。
で、まず一つは、制約がどれだけあるかが一つありますね。
すごい単純なもので言うと、スケジュールと予算。
予算。
時間と予算が限られているケースはもちろん、その中でやらなければいけないので。
うん。
予算と無限の期間があればいいものを作れるんですけど、なかなかそうじゃないですよっていうのがまず一つありますね。
確かに。
それは確かに大学から出て最初に身をもって感じた現実って感じでした。
そうだよね。
なんか大学の頃の10倍ぐらいのスピードで、はい、やって終わらせてみたいな。
そう。自由度はだいぶ減った気がします。
そうだよね。
うん。
あとは、クライアントさん的な制約みたいなものは、
うんうんうん。
やっていいことやっちゃいけないこととか、この範囲の中でお願いしますとかっていうのがあるじゃないですか。
はい。
ブランドガイドラインがあったりとか、うちのプロジェクトとかでもNG項目とかがあるんで、それをクリアしようと思うと、なかなか自由にはデザインできないっていうのが一つありますね。
うん。
あともう一つが、これは本当にあるあるなんですけど、デザイナーの強みが生かしきれてない案件とか、プロダクトだったりするときがあって、デザイナー一人一人ちょっと、得意なスタイルとか、得意な媒体、メディア、商品のタイプとかっていうのがあって、
はいはいはい。
パッケージデザインする人とやっぱりウェブデザインする人って、同じデザイナーで優秀だったとしても、
うん。
媒体が違うと、得意範囲じゃないから、
そうですね。
結構うまくできないじゃないですか。
うん。
なんか僕的にはカラオケのキーが合ってないみたいな感じがするわけよね。
はい。
わかりやすいことだ。
はい。なのでウェブデザイナー、優秀なウェブデザイナーが周りの方がわかんなくて、
うん。
デザイナーなんで、他のこともできるだろうと思って。
うん。
紙媒体のデザインとかもお願いしたときに、あれって思うときがあるんですけど、
はい。
それはもう、そもそものスキルセットがミスパンチだっていうことがあって。
うん。
なんかデザイナーってなんでもできるって思われがちじゃないですか。
そうですね。
デザイナーってタイトルがあれなんで。
目で見たものを作り出すのはなんでもできるでしょって思うから。
そう。
2Dも3Dも一緒だろうとか、まあ細かい話するとウェブアプリとモバイルアプリも一緒だろうとか。
うん。
まあ絶対違うんですけど。
はい。
とか、まあモーショングラフィックとか、もろもろあって、そこが合ってないと。
うん。
まああれですね、例で言うと、なんだっけ、コンビニのコーヒーマシーンっていう例がありますけど。
ツイッターでバズってました。
あ、そうなんだ。
Xか。
はい。
なんか定期的になんか話題になる、世界的にも有名、および日本ではトップレベルの。
はい。
クリエイティブディレクターの佐藤柏さんっていう方が、僕もちょっと仕事させていただいたことありますけど。
佐藤柏さんが手がけたっていうことで話題になったんですけど、なぜかちょっと使いにくいっていう話があって、なんか紙にここはコーヒー代、コーヒー賞とかって貼っちゃって。
あれってなんで使いづらかったんですか、英語だったんですか。
えっとボタンとかの表記とかが、英語で自分で書いてあったんですけど。
見た目のかっこよさを優先してるがゆえに、一般的な消費者で高齢者とかが迷っちゃう。
これってユーザビリティ的課題なんですけど、佐藤柏さんって結構そのブランディング的なプロジェクトとか、ビジュアルデザインとかやられてると思うんですけど。
あとインダストリアルデザイン、プロダクトのユーザビリティとかの話になってくると。
ちょっと守備範囲も異なるだろうし、求められる結果として、ブランドイメージとかかっこよさは一流だと思うんですけど。
どんな人でもベタに使えるものってなるとまたちょっと違う範囲なのかなと思ったので。
確かに。
かっこよくデザインすれば使いやすいわけではないっていう結果だったかなと。
コンビニに置くものだとやっぱりターゲットも変わってきますから。
まあ、老若男女になりますから。
100万。
そう。なので、結構ベタな、誰でも使えそうな、見た目のかっこよさよりも使いやすさ優先にしなきゃいけない。
うんうんうん。
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次に、これがね、ここから先ちょっとね、意思決定プロセスの話になってくるんですけど。
何プロセスですか?
意思決定、ディシジョンメイキングプロセスの話なんですけど。
あのね、一番デザイナーをやっててしんどい状態っていうのが、
クライアントさんとの信頼関係がうまく構築できてないままプロジェクトを始めると、
どっかのタイミングでクライアントさんが、そうじゃなくてこうやってっていうのを言い出すんですよね。
デザイナーが一番いいと思ってデザインしたものに対してクライアントさんが、
いやいいんだけど、
我々的にもうちょっとこうしてほしいんだけど、ああしてほしいんだけどっていう。
気づいたらクライアントさんが言うものに対して、そうじゃない方がいいですよって説明をまずするんですけど、
それも途中でもうしんどくなってきて、
あ、はい、わかりました。言われた通りやりますってやって、
なんか全部乗せとか、ダサダサなデザインなんだけど、
クライアントさんがそうしないとアクセプトしてくれないので、やらざるを得なくなって、
途中からクライアントさんの言いながら、そういうのをやらないといけない。
だからクライアントさんの言いなり作業になって、出来上がったものがろくでもないっていうのがよくあるんですよね。
で、これはほんと最悪のケースで、なぜかっていうと、最終的に出来上がったものがろくでもないと、デザイナーの責任にされるんですよね。
はい、はい、確かに。
で、実は、それを回避するためにうちの会社で、数年前から、
うん。
数年前から、すごい良いことを見つけたっていうか、やり方を手に入れたんですよ。
知ってるけど。
知ってるけど、ほうほう。
そう。そう。
それは何ですか?
ワークショップ型で一緒にやるっていう。
うんうんうん。
あのね、人間心理的にお願いして出てきたものに対して、結構ダメ出ししたがるんですけど、一緒に作ってるって感じられれば、なんかそのオーナーシップが高まって、いや俺たちいいもの作ってるよねみたいな、同じチームでやってるっていう。
そういう思いで判断、正しい判断してもらいやすいし、目の前でフィードバックもらえながら、スケッチとかホワイトボードとか、モックアップとかプロタイプっていうのを作っていければ、なんだろうな、速いスピードで正しい判断がしやすいっていうか。
うん。
うん。
,で、誰が責任を取るかぼやけちゃうので、なあなあなあプロジェクトになって、残念な結果とかになったりしますよね。
うんうんうん。それも回避できると、ワークショップで。
いやそれはね、それはまあ、でもワークショップで、その、なんていうのかな、ディスジョンメーカーみたいな人を決めて、最後もうあなた決めてくださいみたいな。
あ、それは、ワークショップの中ではそうなの?
それもやったりする。
ああ。
なんか、スーパーディスジョンメーカーみたいな。
うん。
みんなで紙を、丸い点を貼っていったりするんですけど。
はい。
だから一人だけ赤丸を与えて、一番偉い人とか。
うんうん。
その人にもオンで、アイディアを選んでもらったりとかもします。
なるほど。
実は。はい。
ワークショップは、重要性を知りました。
うん。
なんだろう、最初にプロジェクトのキックオフのタイミングで、そのエデュケーションみたいなそういうワークショップで、
うん。
なんだろうな、ディレクションをアラインする。
はい。
の、の大事さを知りました。
なんか、プロジェクトの最後の方に、こう、入ってった時に、
うん。
あれ、ディレクションなんか、クライアントが持ってるディレクションと、私たちのやってるディレクションなんか違うぞって、ちょっとズレが生まれてて。
うん。
で、結局そこでまた、なんだろう、アラインし直したんですけど。
うん。
それ、最初にやるべきだなっていうのは、ちょっと知りました。経験から。
なるべく早くやるに越したことはないんですよね。
うん。
早くないと後から苦労するの。
後から。うちでも以前に、途中からワークショップやりましょうって言って断られたことあって、いや、今更面倒くさいとか言われて、いや、そうっすよねみたいな。最初からやっておけばよかったみたいな。
そう。最初にやっておけばよかったっていうのはよくあります。
いや、これ本当にね、ワークショップやってない時代のプロセスを経験してみるとね、どれだけそれが、ワークショップがありがたいかっていうのが身にしみて分かりますね。
なんかローカライズゼーションのプロジェクトとかで結構需要がある気がします。
そうね。理解できないからね、クライアントさんが。肌で分かんないから。こういうものなんですよっていうのをエデュケートしていかなきゃいけないので。
うんうん。
さっきちょっとちらっと出た、クライアントさんのディジョンが正しくないとか、デザイン的な理解がない場合のエデュケーションにも使えるので、正しいデザインとはっていうのを説明することによって、
うん。
正しい判断を促せるっていうメリットもあるので、ワークショップやるのは超おすすめですね。
うんうんうん。
で、それで新しい役割としてファシリテーターっていうのが出てくるんですけど、ものすごい重要ですね。
ファシリテーターがクライアントさんとうまく噛み合わないとワークショップが破綻するので。
ファシリテーターをデザイナーじゃなくてもいい?
デザイナーじゃない方が良かったりしますね。
へー。
あれなんで、裏方に近いというか、その場を回す役割であって、あんまりその人が自己主張しすぎちゃうと。
サポート役みたいな。
そう、サポート役なので、MCみたいなものなので、その人が自分の意見とかあんまり言っちゃうとバイアスかかるとか。
あー、たしかに。
クライアントさんの意見を吸い上げられなかったりするので。
うん。
より聞き手っていうか。
その場の雰囲気とか、進行、司会進行をやる人。
うんうんうん。
で、うちの会社はなるべく多くの人にファシリテーションをやってくださいって、スタッフに。
あの、特に入ったばかりの時とかにやってもらったりしてるんですけど。
絶賛やってますね。
やってますよね。
絶賛やってる最中です。
で、僕がファシリテーション一番苦手なんですよね。
あ、そうなんですか。
知らなかった。
自分がちょっと決意が出て自分がやんなきゃいけない時があって。
すごいダメダメで。
スタッフもすごい不安そうにしてて。
え、なんですか。
ていうのは、自己主張しちゃうから。
なんていうかな。答えを僕がもう自分が言いたくてしょうがない。
でも、ジレンマですよね。ファシリテーターの。
そう。
私もなんかどこまでいっていいのかのラインで聞くのはちょっとわかんないんですけど。
私も基本言いたいタイプなんで。
そうなんだよね。
答え言っちゃうと、クライアントさんのいきなり演技。
エンゲージがものすごい下がるんだよ。
だったら君たちやんないよ、みたいな。
俺たちいらなくないですか、みたいな。
確かに。ワークショップのポイントがなくなっちゃいました。
そうなんですよ。
なので、知っててもあえて知らないふりをして、どう思いますかって言って、
正しいこと言ったらさすがですね、っていう。
接待に近い。
なんか闇深い。
闇深くない。闇深くないよ。
いやいや、別に闇深くないから。
闇深いわけじゃない。
そういう、そういうあれなんですよ。テクニックが必要なんですよ。
テクニックですね。メソッドです。
コラボレーションが、デザイナーさんが自分のスキルを活かしやすい重要なポイントなんですか?
活かしやすいんですけど、デザイナーによっては、一人でこもってデザインしたいっていう人もいるんだよね。
職人的な。そういう人にとっては結構やりにくい。
そうなんですね。
まあ、あるんですけど、やっていったほうがいいですよ。
最終的なアウトプットのクオリティは絶対上がるので。
コロナのときとかリモートのときはきつかったんですよね。
なんかうちは。オンラインワークショップでやってましたけど。
ちょっと限界ありそうな。
ワークショップのやっぱり重要なのって、セッションの前後だったりするじゃないですか。
始まる前の雑談とか、アイスブレーカーとか。
終わった後のちょっとハッピーアワー的なリングルとかが重要。
それで信頼関係っていうのはできている。
それなしでやると、本当にちょっとドライになる。
業務連絡だけみたいな感じになりがちですよね。
そうなんですよね。固くなるんですよね、みんなね。
打ち解けられないんで、信頼関係が限界があって。
確かに。
そのときは2、3年結構つらかったですけど。
オンライン、私まだコロナ中は学生だったんですけど。
うん。
学校とかも誰も知らなかったです、オンラインで。
全然直接会わないから、知りようがない人の性格とか。
つらい。
だから、結構つらかったです。
カレッジライフないじゃないですか。
なかったんですよ、最初の2年間、3年間。
つらい。
全部なかったです。
なんならコミカレの卒業式もなかった。
行かなかったし、絶対人知らないから。
カレッジで、キャンパスでいろんな人と知り合うのが楽しいんですけどね。
すごい。
それのためにお金払ってますから。
本当ですよ。
じゃなければ何のための学費かって感じですけど。
オンラインのつらさですね。
なので、リアルでデザインはやってた方がいいです。
そういう感じで、世の中にあんまりデザインが微妙だなって思うものを見つけたら、
これデザイナーが悪いんじゃなくて、プロセスが悪かったなって思った方が正しいと。
正しいと思いますね。
確かに。
っていう教訓でした。
最終のプロダクトだけ見てもわかんないですかね。
わかんないですよ。
ダサいですよねみたいなことを、例えば作った人たちに言うと、いや違うんですよ。
これには深い訳が。
この人とこの人とこの人の意見を全部取り入れようとすると、ぐちゃぐちゃになったんですよ。
あるあるですよね。
全部コンバインみたいな。
民主主義でやるから。
民主主義ダメなんですよ。
デザインの現場で民主主義も客がいあって一理なしですから。
本当に。
はい。
という感じで。
はい。
こんな感じでいいですか。
はい。
なので、皆さんデザイン会社とかデザイナーと仕事するときには、
ぜひワークショップ型でやっていただけると我々としてもありがたいですし、
ワークショップに興味がある方はお問い合わせください。
やってます。
一緒にいい感じのものを作りたいので、我こそだと思う方はお問い合わせいただければ。
ぜひご連絡ください。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
サンフランシスコデザイントークは、番組に対する質問や取り扱ってほしいテーマを募集しています。
番組概要欄にあるGoogleフォームからお送りいただけますので、お便りお待ちしております。
最後までお聞きいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに。