それの遺伝子の内容を比較したみたいなのが研究ですね。
面白いな。
新しく20株ぐらい微生物の全ゲノムを読みまして、
ロドプシン持ってるやつ35株、持ってないやつ41株で、
どんな遺伝子持ってるんですかっていうのを全部データベース化して、
比較解析することで、
ロドプシン持ってるやつの戦略と持ってないやつの戦略を明らかにしようっていう。
なるほど。めちゃめちゃ面白いですね。
そんなのが研究のモチベーションとやったことですね。
結果としては結構すごい、めっちゃ面白いことが分かりまして、
まずロドプシンって、微生物ってまずバクテリア、脂質20膜といって、
内膜、外膜、2つの膜があるわけですよね、バクテリアって。
細胞膜が2つあって、
ロドプシンってまずその内膜に発現するわけです。
なるほど。内側なんですね。
内側の膜に発現するんですよね。
僕が見つけたのは、ロドプシン持ってないバクテリアって、
相当高い割合で、外膜にUVを遮断するような色素を持ってたんですよ。
これがどういうことかというと、
僕はこの仮説をソーラーパネルと日傘仮説と名付けて、
論文もそのタイトルで出したんですけど、
結局その内膜まで光を届かせないといけないんですね。
ロドプシン持ってるやつは。
ロドプシンを動かすために。
そうですよね。遮断しちゃいけないってことですね、光を。
そう。なので、光ダメージを総合に受けるんですよ。
なるほど。強すぎ。光が強いと。
そうです。光ダメージ修復のために、
例えばファイトリアーゼっていう、
DNAのUVダメージを修復するコースをすごいいっぱい持ってたりとか、
その光ダメージに対するコストっていうのを
総合にかけてるってことが分かったんですよ、ロドプシン持ってるやつは。
なるほど。モロハの剣みたいな、そういうことですね。
それに対して僕が日傘タイプと名付けた、
ロドプシン持ってないやつは、結構その外膜にUVとか
遮断するような色素をかなり蓄積することが分かりまして、
要するに日傘さすと快適だけど、
ソーラー対応電池では充電できないよねみたいな、
そういう話ですね。ソーラーパネルでスマホ充電とかしたいんだったら、
日焼けは覚悟しなきゃいけないよみたいな、
そういうトレードオフ関係があるという。
面白いですね。それがどっかでそのパターンに分かれてるみたいな、
そういう感じですかね。
そうですね。どちらの、それぞれたぶんニッチが違っていて、
戦略が違うっていうことかと思うんですけど、
あともう1個面白いのが、ロドプシン持ってる側ですね。
ロドプシン持ってるバクテリアって、ゲノムサイズがめちゃくちゃちっちゃいんですよね。
これも海洋微生物学の進化の謎としてあって、
海の微生物でメジャーなやつってだいたいロドプシン持ってて、
ゲノムサイズがめっちゃちっちゃいっていう特徴があったんですよ。
よりシンプルみたいな感じですかね。
その理由ってあんま分かってなかったんですけど、
これは僕の完全なる仮説なんですが、
ロドプシン持ってるやつって、DNAの修復コストが高いはずなんですよ。
UVって基本的にDNAをアタックするんで、
UVが当たるとピリミジン大麻が起きてしまって、それの修復にコストがかかるということで、
なのでゲノムをでかくすること自体にコストがかかるんですよね、きっと。
UVにさらされている生き物。
大きくできないっていうことなんですかね。
DNAの維持コストが高いという言い方が正しいと思っておりまして、
でかいDNAを持つとUVがめっちゃ当たると。
そうするとめっちゃ修復しなきゃいけないから大変。
確かに確かに、修復いろんな箇所でやらなきゃいけなくなっちゃうから追いつかなくなるみたいな、そういうイメージですか。
だから日傘みたいなものを刺して、ある程度UVを避けてる。
避けれるやつじゃないと、ゲノムをでっかくしていろんな環境に適応するみたいな戦略が取れないんじゃないかと。
なるほどなるほど、めちゃめちゃ面白いな。
というので、やっぱりこれで面白いのがゲノムサイズっていうすごい生物進化の上で、
すごい特徴的なパラメータというか重要な生き物の最大の特徴の一つだと思うんですけど、
どれくらいでかい遺伝子、何個の遺伝子持っているかみたいな。
それが光への適応みたいなところで1個説明がつくっていうのはかなり美しい話だと思うし、これまで全然言われてなかった話なので。
すごいな、なんかそれで言うと、要は進化してより複雑な構造を持っていくためには、ゲノムのサイズとしては大きくならなきゃいけないって考えると、
なんとなくその日傘タイプというか、光を遮断しているタイプの方がなんかより進化しやすいみたいな、そういうイメージになるんですか。
それは多分あって、一方、海って特殊環境で、めちゃくちゃ均一な環境がとんでもなく広がってるわけですよ。
なのでその均一な環境にめちゃくちゃ特化した、それ以外の環境では全く生きられないけど、
その環境でだけは一番優先できるみたいなやつがとにかく多いんですね。
はいはい、確かに一番歴史も長いですもんね、そこがおそらく。
そうですね、進化的にもかなり長い期間あると思うので、かなり最適化されていて、
なので光のエネルギーも使えて、DNAもすごいちっちゃくてミニマムなコストで複製できるけど、
多分、環境攪乱とかにはものすごい弱いみたいな。それはゲノムのDNAレパートリーが少ないので。
なるほどなるほど、たまにありますよね、そういう海の中で、そのバクティアとかがものすごい死滅しているというか。
なんかアカシオとかですかね、植物プラストンとかとよくありますね。
そうですね、そういうのも言ってしまえば、そこの多様性が少なくて、かなりそういう死んでしまうエリアがバーッとできてしまうみたいな。
まあ、ああいった環境攪乱の時は、例えば、ある程度ゲノムサイズが大きくて、環境攪乱を起きて、例えば植物プランクトンがワッと死ぬと有機物がワッと放出されるんで、
そういうなんか不栄養な時にも、ちゃんと栄養を使って増えれるようなやつらが多分、そういう時は増えるんですよね。
なるほどなるほど。
でもやっぱ、大多数の時間ってそういうわけじゃなくて、もうただただ大海原が広がってるだけなんで、何も起きず。
そういう均一環境にめっちゃ適応するってなると、逆に、これ生態学の用語だとジェネラリスト、スペシャリストみたいな言い方するんですけど、
ジェネラリストはもう本当、どんな環境でも存在できて、ゲノムサイズは結構大きいけど、スペシャリストほど一個の環境における適応度はかなわないみたいな。
うーん、なんか人間もそんな感じですよね。
そうですね、器用貧乏なやつと多分一点特化型の人が。
ビジネスとかで。
ジェネラリスト型の人とスペシャリスト型の人はいますね。
いますよね。同じ言い方しますよね。
同じ言い方しますか、ビジネス界でも。
なんかジェネラリストとスペシャリストって聞きますけど、よく。
そうか、生態学から来てるのかな。
人材、確かにな。そこから来てるのかもしれないですけどね、もしかしたら。
そうですね。
えー、それ面白いな。なんだろうな、ロドプシンがどれくらい出てるかっていうのと、結局光合成をやってるやつに分かれていくときに、
より光を遮断するやつはロドプシンを持っていないから別な機能でエネルギーを作らなきゃいけないみたいな話になってくることですよ。
なので、そいつらは普通にヘテロトロフィックに捕食ですね。
捕食。
基本的にロドプシン持ってるやつって捕食もするんですよ。
エネルギーしか作れずに炭素固定ができないんで、ロドプシンそれ自体では。
あー、なるほど。
ATPが作れるだけなので。
じゃあ、結果的には生存戦略としてどっちがすごい良いとか悪いとか、そういう話ではないっていうことですかね。
まあ、それは生態学一般に生存戦略どっちが良いみたいなことではなくて、ただそこには戦略と多様性があるだけという。
あー、なるほどな。
なんかよくその天然物を、僕、有機化学をずっとやっていたんですけど、その海洋の天然物の構造みたいなのもよく論文とかでは、今まで見てきて。
はいはいはい。
めちゃくちゃやっぱ、海とかの微生物から出てくるものってすごい複雑なんですよね、形として。