1. サイエンマニア
  2. 海洋微生物の「ソーラーパネル..

熊谷さんの博士課程時代の研究内容について語っていただきました。

微生物の生存戦略、とにかく面白い!


【ゲスト】熊谷洋平さん

株式会社tayo代表取締役

海洋微生物学の環境学博士

Twitter: https://twitter.com/kmoooooog

株式会社tayo: https://tayo.jp/recruitments/student


▶熊谷さんの研究内容 プレスリリースはこちら

光を利用するか、それとも避けるか?~海洋細菌の二種類の光適応戦略の解明~

https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/news/2018/20180206.html

▶ロドプシン:脊椎動物の光受容器細胞に存在する色素

▶早稲田大学 園池公毅 先生

http://www.photosynthesis.jp/lab.html

▶フラボバクテリウム属: グラム陰性の非運動性または運動性の桿菌。現在まで200種以上が確認されている。

▶ピリミジンダイマー:2つのピリミジン塩基間に架橋結合が生じた二量体の呼称。DNA(またはRNA)に紫外線照射すると、同一鎖に隣接するピリミジン残基の5位および6位間に共有結合が形成される反応が進行して二量体となる。紫外線による細胞致死の主因であるされる。

▶ジェネラリストとスペシャリスト

▶カイメン:海綿動物ともいわれる海綿動物門に属する動物の総称。熱帯の海を中心に世界中のあらゆる海に生息する。細かい網目状の海綿質繊維からなる骨格はスポンジとしても用いられる。

▶テトロドトキシン:フグ毒として知られる毒素。ビブリオ属やシュードモナス属などの一部の真正細菌によって生産されるアルカロイド。

▶DOM:粒径0.45μm以下の溶存態有機物Dissolved Organic Matter)

▶POM:粒径0.45μm以上の粒状態有機物(Particulate Organic Matter)

▶コンベアベルト理論とワンピース

▶アナフィラキシーショックとハンターハンター

▶SAR11:ペラジバクター目は、海洋表層中の自由生活性細菌の実に約3分の1を構成する、αプロテオバクテリア綱に含まれる目。この目に属する系統は海洋中の全原核生物細胞の25-50%を占めると推定されている。この分類群は当初メタゲノムデータによってのみ存在が知られており、SAR11グレードと名前が付けられた。

▶ビブリオ属:グラム陰性桿菌に分類される通性嫌気性菌の一属。自然界では海水などの水中に多く存在する環境中の常在細菌であり、コレラ菌や腸炎ビブリオなどの病原体もこのグループに含まれる。

▶TCA回路:Kreb's回路またはクエン酸回路とも呼ばれ,ミトコンドリアのマトリックスで行われる9段階からなる環状の代謝経路。解糖作用で生じたピルビン酸が,炭酸ガスと水とに分解するときの生体内反応回路。


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00:00
僕の博士時代の研究をご紹介しますと、
もともと、2000年初頭ぐらいの発見で、
海洋表層でも半分ぐらいの生き物は、
ロドプシンという光利用をするタンパク質を持っているということが分かっていたわけです。
そこで思ったのが、残りの半分はなんで持っていないんだと。
確かにそうですね。
ということを考えたわけですね。
ロドプシンって光合成と大きく違うのが、コストがかからないんですよ。
光合成系って、いろんな関連タンパク質を発現させなきゃいけませんし、
ルビスコは地球上で最も多い酵素と呼ばれているぐらい、
とにかく光合成って反応の効率が悪いので、
大量に光合成関連の装置を作らなきゃいけないんですね。
だから光合成するのってすごく大変なんですよ。
SFとかで人間が光合成できればみたいな話もありますけど。
確かにそんな簡単じゃないっていう。
多分結構大変なんですよ。
光合成だけだと地質とか取れないとかいろいろあって、
ううんとか思ったりするんですけど、
多分光合成研究者はみんな思うやつ。
そうなんですね。
人間にやろうとしたら全然エネルギー足りなくて動けないみたいな。
多分そうなりますね。
あとなんか用面積がとんでもなく必要なので。
なるほど。
あの光合成学会かな。
光合成の森という僕のガセダンの恩師の園池先生のホームページで、
確か人一人動かすのに光合成はどれぐらいの用面積が必要かっていう試算が
え、面白い。
されていたはずで、どれぐらいだったっけ。
まあ結構な畑1個ぐらいの面積だった気がしますね。
全然無理ですね。
これは余談で。
それに比べてロドプシン型の光合成って、
もうほんとマクタンパク1種類発現させればそれで動いちゃうんですよ。
すごいめちゃくちゃ効率がいい。
でもめっちゃシンプルで、
なんかそれぐらいシンプルなんで、
ロドプシン持ってなかったやつが他のバクテリアからロドプシン遺伝子受け取って、
ロドプシン型の光合成始めるっていう、
これ遺伝子の水平電波と呼ばれる現象なんですけど、
そういう事例もめちゃくちゃ観測されてたわけです。
それを聞くと、
ロドプシン持ち得だし持ってなくてもすぐ持てるんだったら、
みんな持ってていいじゃんみたいなのが研究のスタートですね。
確かにもっと半分とは言わず、
全体的に持っててもおかしくないような機能ですよね。
そうですね。
それが気になったんで、
僕のやったことはフラボバクテリアっていう、
ちょっとマイナーな微生物のグループなんですが、
それを使ってロドプシンを持っている海のフラボバクテリアと、
ロドプシンを持ってない海のフラボバクテリアのゲノムをすごいいっぱい読みまして、
03:05
それの遺伝子の内容を比較したみたいなのが研究ですね。
面白いな。
新しく20株ぐらい微生物の全ゲノムを読みまして、
ロドプシン持ってるやつ35株、持ってないやつ41株で、
どんな遺伝子持ってるんですかっていうのを全部データベース化して、
比較解析することで、
ロドプシン持ってるやつの戦略と持ってないやつの戦略を明らかにしようっていう。
なるほど。めちゃめちゃ面白いですね。
そんなのが研究のモチベーションとやったことですね。
結果としては結構すごい、めっちゃ面白いことが分かりまして、
まずロドプシンって、微生物ってまずバクテリア、脂質20膜といって、
内膜、外膜、2つの膜があるわけですよね、バクテリアって。
細胞膜が2つあって、
ロドプシンってまずその内膜に発現するわけです。
なるほど。内側なんですね。
内側の膜に発現するんですよね。
僕が見つけたのは、ロドプシン持ってないバクテリアって、
相当高い割合で、外膜にUVを遮断するような色素を持ってたんですよ。
これがどういうことかというと、
僕はこの仮説をソーラーパネルと日傘仮説と名付けて、
論文もそのタイトルで出したんですけど、
結局その内膜まで光を届かせないといけないんですね。
ロドプシン持ってるやつは。
ロドプシンを動かすために。
そうですよね。遮断しちゃいけないってことですね、光を。
そう。なので、光ダメージを総合に受けるんですよ。
なるほど。強すぎ。光が強いと。
そうです。光ダメージ修復のために、
例えばファイトリアーゼっていう、
DNAのUVダメージを修復するコースをすごいいっぱい持ってたりとか、
その光ダメージに対するコストっていうのを
総合にかけてるってことが分かったんですよ、ロドプシン持ってるやつは。
なるほど。モロハの剣みたいな、そういうことですね。
それに対して僕が日傘タイプと名付けた、
ロドプシン持ってないやつは、結構その外膜にUVとか
遮断するような色素をかなり蓄積することが分かりまして、
要するに日傘さすと快適だけど、
ソーラー対応電池では充電できないよねみたいな、
そういう話ですね。ソーラーパネルでスマホ充電とかしたいんだったら、
日焼けは覚悟しなきゃいけないよみたいな、
そういうトレードオフ関係があるという。
面白いですね。それがどっかでそのパターンに分かれてるみたいな、
そういう感じですかね。
そうですね。どちらの、それぞれたぶんニッチが違っていて、
戦略が違うっていうことかと思うんですけど、
あともう1個面白いのが、ロドプシン持ってる側ですね。
06:02
ロドプシン持ってるバクテリアって、ゲノムサイズがめちゃくちゃちっちゃいんですよね。
これも海洋微生物学の進化の謎としてあって、
海の微生物でメジャーなやつってだいたいロドプシン持ってて、
ゲノムサイズがめっちゃちっちゃいっていう特徴があったんですよ。
よりシンプルみたいな感じですかね。
その理由ってあんま分かってなかったんですけど、
これは僕の完全なる仮説なんですが、
ロドプシン持ってるやつって、DNAの修復コストが高いはずなんですよ。
UVって基本的にDNAをアタックするんで、
UVが当たるとピリミジン大麻が起きてしまって、それの修復にコストがかかるということで、
なのでゲノムをでかくすること自体にコストがかかるんですよね、きっと。
UVにさらされている生き物。
大きくできないっていうことなんですかね。
DNAの維持コストが高いという言い方が正しいと思っておりまして、
でかいDNAを持つとUVがめっちゃ当たると。
そうするとめっちゃ修復しなきゃいけないから大変。
確かに確かに、修復いろんな箇所でやらなきゃいけなくなっちゃうから追いつかなくなるみたいな、そういうイメージですか。
だから日傘みたいなものを刺して、ある程度UVを避けてる。
避けれるやつじゃないと、ゲノムをでっかくしていろんな環境に適応するみたいな戦略が取れないんじゃないかと。
なるほどなるほど、めちゃめちゃ面白いな。
というので、やっぱりこれで面白いのがゲノムサイズっていうすごい生物進化の上で、
すごい特徴的なパラメータというか重要な生き物の最大の特徴の一つだと思うんですけど、
どれくらいでかい遺伝子、何個の遺伝子持っているかみたいな。
それが光への適応みたいなところで1個説明がつくっていうのはかなり美しい話だと思うし、これまで全然言われてなかった話なので。
すごいな、なんかそれで言うと、要は進化してより複雑な構造を持っていくためには、ゲノムのサイズとしては大きくならなきゃいけないって考えると、
なんとなくその日傘タイプというか、光を遮断しているタイプの方がなんかより進化しやすいみたいな、そういうイメージになるんですか。
それは多分あって、一方、海って特殊環境で、めちゃくちゃ均一な環境がとんでもなく広がってるわけですよ。
なのでその均一な環境にめちゃくちゃ特化した、それ以外の環境では全く生きられないけど、
その環境でだけは一番優先できるみたいなやつがとにかく多いんですね。
はいはい、確かに一番歴史も長いですもんね、そこがおそらく。
そうですね、進化的にもかなり長い期間あると思うので、かなり最適化されていて、
なので光のエネルギーも使えて、DNAもすごいちっちゃくてミニマムなコストで複製できるけど、
多分、環境攪乱とかにはものすごい弱いみたいな。それはゲノムのDNAレパートリーが少ないので。
09:04
なるほどなるほど、たまにありますよね、そういう海の中で、そのバクティアとかがものすごい死滅しているというか。
なんかアカシオとかですかね、植物プラストンとかとよくありますね。
そうですね、そういうのも言ってしまえば、そこの多様性が少なくて、かなりそういう死んでしまうエリアがバーッとできてしまうみたいな。
まあ、ああいった環境攪乱の時は、例えば、ある程度ゲノムサイズが大きくて、環境攪乱を起きて、例えば植物プランクトンがワッと死ぬと有機物がワッと放出されるんで、
そういうなんか不栄養な時にも、ちゃんと栄養を使って増えれるようなやつらが多分、そういう時は増えるんですよね。
なるほどなるほど。
でもやっぱ、大多数の時間ってそういうわけじゃなくて、もうただただ大海原が広がってるだけなんで、何も起きず。
そういう均一環境にめっちゃ適応するってなると、逆に、これ生態学の用語だとジェネラリスト、スペシャリストみたいな言い方するんですけど、
ジェネラリストはもう本当、どんな環境でも存在できて、ゲノムサイズは結構大きいけど、スペシャリストほど一個の環境における適応度はかなわないみたいな。
うーん、なんか人間もそんな感じですよね。
そうですね、器用貧乏なやつと多分一点特化型の人が。
ビジネスとかで。
ジェネラリスト型の人とスペシャリスト型の人はいますね。
いますよね。同じ言い方しますよね。
同じ言い方しますか、ビジネス界でも。
なんかジェネラリストとスペシャリストって聞きますけど、よく。
そうか、生態学から来てるのかな。
人材、確かにな。そこから来てるのかもしれないですけどね、もしかしたら。
そうですね。
えー、それ面白いな。なんだろうな、ロドプシンがどれくらい出てるかっていうのと、結局光合成をやってるやつに分かれていくときに、
より光を遮断するやつはロドプシンを持っていないから別な機能でエネルギーを作らなきゃいけないみたいな話になってくることですよ。
なので、そいつらは普通にヘテロトロフィックに捕食ですね。
捕食。
基本的にロドプシン持ってるやつって捕食もするんですよ。
エネルギーしか作れずに炭素固定ができないんで、ロドプシンそれ自体では。
あー、なるほど。
ATPが作れるだけなので。
じゃあ、結果的には生存戦略としてどっちがすごい良いとか悪いとか、そういう話ではないっていうことですかね。
まあ、それは生態学一般に生存戦略どっちが良いみたいなことではなくて、ただそこには戦略と多様性があるだけという。
あー、なるほどな。
なんかよくその天然物を、僕、有機化学をずっとやっていたんですけど、その海洋の天然物の構造みたいなのもよく論文とかでは、今まで見てきて。
はいはいはい。
めちゃくちゃやっぱ、海とかの微生物から出てくるものってすごい複雑なんですよね、形として。
12:01
あー。
構造はすごい複雑で、それって結局ものすごい長い進化の歴史の中で、ちょっとずつ。
いや、陸でもそうなんじゃないですか。
陸でももちろんあるんですけど、海の深海の、例えば海面とかに入ってるような、その中に入ってる微生物が産生してるようなものって、ものすごい複雑な構造をしてたり、
それが結構面白いなと思って見ていて、もうなんか人間じゃ想像もつかないような形をしてるんですよね、超巨大な分子みたいな。
へー。
それが実際になぜか、その生き物の、例えばどっかの需要体にバチッとはまるような形をしているとか、そういう話もあって。
うーん。
だからすごいそういう、培養状というか、天然の、なんかそんなイメージはあって、なんかそれを一番行ってるのは微生物なんだろうなっていうのはありました。
そうですね、あの有名な話は、テトロドトキシンは微生物が作るので。
あーそうですね、テトロドトキシンとかは、あれもすごいですよね。
バクテリアが作ったやつがフグの中に生体濃縮されるんですよね、あれは。
うーん、だからそれがすごい面白いなと思って、どうなんすかね、陸と一緒ではないような気はするんですけど、海の中のそういう特殊な進化する過程とか。
まあなんか、海の中のバイオケミカルってほとんどわかってないのが実情で、まあたぶん一般に有機、天然物、有機化学、どれだけわかってるかっていうと、たぶん全然わかってないと思うんですけど、海にかかわらず。
なんか人とかじゃない、よくわからん生き物が作ってるよくわからん化合物ってどれだけ研究されてるかっていうと、たぶん、なかなか難しいとこだと思うんですが。
はい、たぶんキリがないですよね、おそらく。
キリがないんですよね、キリがないっていうのは当然ある上で、例えば海だと、なんか最初のほうに話した炭素を深海でリザーブしてるっていう話はあったんですけど、おそらく炭素っていうのはDOMっていうんですけど、ディゾルブドオーガニックマター、海に溶けてる有機物の形で溶けていると言われていて、
それらの特に多くが、その難分解性のRDOMと呼ばれる、もうほとんど微生物にもあらゆる生物に利用されないような有機化合物の形で海にめちゃくちゃ貯蔵されているっていう。
そういうことになってるんですけど、そのRDOMの形とか、実際の化合物の特性とかってもうほぼほぼわかってないですね。
なんか不思議ですよね、それだけ聞いたら何のためにというか、なんか理由は気になりますよね、そういうものができてくる。
たぶん生き物が、一番使いやすいのは植物が固定して、植物プランクトンの死骸みたいなやつは一番生き物が使いやすい有機物の形ですね。
で、そっからとにかくいろんな原核生物、新核生物問わずいろんな捕食者が食べては退社して食べては退社してを繰り返すうちに、どんどん使いにくい形の有機物になっていって、最終的にはもうほぼ誰も使えないような形の有機物になって、もう海に溜まると。
15:19
沈んでいくっていう感じの。
それ、例えばなんか海の深さとかによって、その多様性みたいなのも結構変わってくるんですかね。
深さによっても当然違いまして、すごいシンプルな海の炭素循環の理解は、それこそ氷層で植物プランクトンが炭素固定をして、その固定した有機物が生物ポンプと呼ばれるような作用で、氷層から深海に沈降する。
マリンスノーみたいなやつですね。わかりやすいのが。
なんていうんだろう、ふわっと待ってるような。
そうですね、アグリゲートって言うんですけど、凝集物みたいなやつですね。植物プランクトンの死骸とか魚の糞とか、ああいうデトリタス的なものが集まって落ちるみたいな。
それで海の氷層から深層に有機物が輸送されると。
で、それが一番わかりやすい理解で、その過程でどんどん凝集物はパーティクルなわけで、要するに溶けてないですよね。
で、それをバクテリアが分解して、代謝産物が海に溶けることで、POM、Particulate Organic MatterからDOM、Resolved Organic Matterに、懸濁体から溶存体に変わっていくみたいな。
ゴミとかを分解して溶かして、もう一回海に戻してるようなイメージですかね。
まあまあまあ、ざっくり。
ざっくりそうです。
なるほど、それで循環していると。
で、まあそうですね。あともっと大きい話をすると、海の海流というものが当然ありますので、海洋コンベルト理論というものがあって、
海洋大循環といって、だいたいその風と水温と塩分濃度の影響で海の水って全球的にぐるぐる回ってるので、
まあそういう影響も受けながら、海の中の有機物ってぐるぐる回ってるっていう感じですね。
なるほどな。だから、まあそういう流れもあるからこそ、まあ系として均一になっているっていう面もありますよね。
そうですね、流れがあって系として均一になっているのは当然あるんですけど、あとまあタイムスケールとか当然いろいろ違って、
例えば南極で沈み込んだ水が北極の方でまた氷層で上がってくるんですけど、地球ずっと北上していって、
で、南極で沈み込んだ水が北極の方まで、北半球まで行くのにだいたい千年とかかかると言われていて。
18:00
千年。はいはい、それかかるね。
で、だからまあ、それがなんでわかるかというと、酸素濃度が違うんですね。
南極の水って酸素濃度が濃いんですよ。
ああ、なるほど。
でも北極の水ってもう千年前の水なんで、もう呼吸がめちゃくちゃされてるので。
もう生物とかが使い果たしたみたいな。
酸素使ってるんで、酸素の出がらしみたいな水が。
えー、あ、そうなんだ。
酸素濃度が違ったりとか。
えー、北極そうなんですね。酸素濃度薄いんだ。
はい、えーと、この辺ちょっと僕専門ではないけど、結構適当なこと言ってるんで。
あとで。
あとでちょっと調べて。
難しい人が聞いたら怒られるかもしれないから。
いやー、でもすごいな。
はい。
まあでもコンベアベルト理論は実はワンピースとかにも出てきますね。
あー、あのカームベルトとかでしたっけ。
いや、あの新世界編の魚人島行くときに、なんかバッチリその熱縁循環の話をナミがしてて感動したんですけど。
公開紙がちゃんと説明してる。
そうですそうです、なんか意外とちゃんと、意外とちゃんと海の話をする気あるんだな、オダッチと思って。
確かにな、海の循環してますもんね、グランドラインそういうことですもんね。
そうなんですよ、結構。
なるほど。面白いな、その目線はなかったですね、ワンピース。
やっぱみんなサイエンスコミュニケーションというかドクターストーンばっかり言うけど、やっぱ海洋学者としてはワンピースでコンベアベルト理論が出てきてることをもうちょっと紹介したい。
確かにな、いろんな漫画で意外とありそうですけどね、そういう科学っぽいポイント。
科学っぽい何かとか、やっぱ僕アナフィラキシーショックを最初に知ったのはハンター×ハンターなので。
あ、そうだ、ハンター×ハンターにアナフィラキシーショック出てきましたっけ?
いや出てきますよ、あのハンター試験の蜂使いの女。
あ、いたな、蜂使い。いましたね、そういえば。
何だっけな、ボンズ、ボンズだっけな。
そこで知ったんですね。
そうです。
ハンター×ハンター、確かにハンター×ハンター、たまに何というかちょっと学術チックな難しい説明みたいな中に、お、これはアツいみたいなやつありますよね。
そうですね、ちょいちょいありますよね。
しびれヤリバチのアナフィラキシーショック。
しびれヤリバチ。
ありますね。
懐かしいな、はい。
これたぶんちゃんと、ちゃんとしたところからソース取ってきて書いてるんでしょうね、きっと。
いやそうでしょうね、やっぱり、なんか。
ちゃんとアナフィラキシーショックの説明文まで書いてるんですね、ハンター×ハンター。
ありますよ、ちゃんとありますし。
最近あのなんか呪術回線のジャンプギガっていう増刊号で呪術回線の編集者と、あと理研の研究者と統計数理研究所の研究者が対談みたいな。
すごい企画ですね、それ。
なんかその呪術回線に出てくる概念の数学的説明をみんなで考えようみたいな。
それでなんか、そういう科学系に興味持つ人とか。
21:01
増えるといいなと思います。
出てきそうですけどね。
一個だけ気になった点あるんですけど、実際にゲノムの情報からそういうのがわかってきて、実際それを発言しなくするみたいな。
よくやられるとは思うんですけど、例えば。
ノックアウト的なことですね。
ノックアウトとか、あとは逆にロドプシン持ってないやつに発言させてみるとか。
ありますね、ジェネティックマニュピレーション的なことは。
それはね、いい質問です。
そうですか。
非常にいい質問でして。
まずこれは僕の研究ターゲットを選んだ理由がそこにありまして。
そうなんですね。
とも結構関わってまして。
まずプロテオロドプシン、僕のやってたロドプシンを持っているバクテリアって、一番注目されているのがサルイレブンというバクテリアなんですね。
サルイレブン。
サルイレブンは何かというと海で一番多いバクテリアです。
その次に注目されているのがサル86っていうグループで、これはざっくり海で2番目ぐらいに多いグループですね。
ロドプシンを持つ細菌だとこの辺がやっぱり注目をされているんですけど、
こいつらってめちゃくちゃ培養が難しいんですよ。
いっぱいいるのにですか。
いっぱいいるのに、培養一発ネイチャーみたいなやつがですね。
サルイレブン培養成功はネイチャーで、サル86も長らく培養成功しなくて。
なんでですかね。
とにかくやばいぐらいスペシャリストなので、炭素条件とかめちゃくちゃシビアなんですよ。
なるほど。
めちゃくちゃ貧栄養な海域に適応しているやつらなので、当然海洋中でもそんな濃い濃度では存在しないので。
すごい薄くいろんなところにいるんですか。
薄く広くいるやつらなんで。
なるほどなるほど。
培養がめちゃくちゃむずくて、でも当然いわゆるシャーレに巻いて生えるような培養では絶対ダメで。
培養成功した例も限界希釈ってやつですね。海水をものすごい薄めて、理論上バクテリア1匹ぐらいだろうみたいな濃度まで薄めてそこから増やすみたいな。
すごいすごいな。
そういうやつらなんですよ。そんなやつら遺伝子操作できるわけないじゃないですか。
そうですよね。遺伝子入れても育たなかったら何もわからないですね。
できなくて、でその次にロドプシン持ってるやつよくやられてたのがビブリオっていうグループで。
ビブリオ。
これは腸炎ビブリオとか有名な病原菌がいたりして。
名前はよく聞けます。
あとはなんかお魚、海だとビブリオってお魚の病気を引き起こしたりするので、ビブリオハーベーってやつが影響病菌だったりして、ある程度遺伝子操作とかやられてたんですね。
でロドプシンのノックアウトとかもビブリオでロドプシン持ってるやつに関してはやられてたんですよ。
24:05
でもビブリオは基本的に魚の腸内細菌なので海に全然いないんですね。
なるほど。
存在量がめっちゃ少ないと。
でそんな背景で僕が扱ってたフラボバクテリアっていうグループは海ではざっくり4番目ぐらいに多いグループ。
そこそこいるかつ培養もそこそこ簡単っていう。
なるほど。
プレートにも入るし。
じゃあ結構研究はやりやすいタイプなんですね。
ただとはいえ大して誰も注目してないグループなので遺伝子操作はできないという。
遺伝子操作は確立してないという。
じゃあやるならそれを作らなきゃいけない。
そうですね、やるなら作らなきゃいけないんですけど、僕の場合ゲノムさえ呼べればよかったので。
とにかく培養さえできれば全ゲノムは読めるから。
培養ができる中でなるべく海洋へのインパクトが大きいグループということでフラボバクテリアを選んだっていう背景ですね。
でフラボバクテリアの遺伝子操作系を立ち上げるみたいのもちょっとやろうかと思ったんですけどちょっと力及びませんでしたね。
多分それは誰もやったことがないので、系の確立だけで一個論文になるような話で、白紙時代にはそこまではできなかったなという印象ですが、誰かやってくんないかなと思ってます。
そうですよね、なんかここまで結構とっかかりというか、だいぶ今情報としてもうほぼ推定してる域まで来てたら、なんかそういう後はいじる実験をやりたいですよね、遺伝子を。
そうですね、遺伝子いじる実験。遺伝子いじる実験、まあでも遺伝子いじったところで何がわかるかというとなんかまた渋いっちゃ渋いところもあって、やっぱある一個の株でなんか言うって結構難しいんですよね、結局。
なんかいろんなやつがいるので、なんか一個のこの株だってやってその株で遺伝子操作系確立してその株でめちゃくちゃ実験したとしても、その株は結構イレギュラーな生き物かもしれないみたいなのは当然いろいろあって。
なのでまあなかなか難しいところではある一方、当然もうちょっとカッチリしたことを言おうとするとジェネティックマニュピレーションは必須にはなってくるかなという、まあ当然そういうことをやりたくなるような仮説もいろいろ持ってはいたので。
そうですよね。でもなんか微生物とかってその辺のハードルは低いイメージは持ってたんですけど、なんかやっぱ海洋微生物特有の難しさみたいなのがやっぱりあるんですかね。
海洋微生物特有の難しさというか、まあやってる人がいないんですよ。
あ、シンプルにあまり目がつけられていない。
やってる人がいないのと、あとやっぱり病原菌とかと違って、ある一種が重要なわけじゃなくて、等しくみんな重要なわけですよ、環境の細菌って。やっぱり環境を構成してる全体にみんな興味があるので。
27:11
なるほどなるほど。
特定の1個に興味があるわけがないんですよね、みんな。だからなんか、なかなか特定の1個の株の生理学をめちゃくちゃ突っ込んでいくみたいな、なんかそういう方向にはいかなかったりはします、一般的には。
あ、そうなんだ。じゃあ、まあでもゲノムを読んで、それからいろいろ仮説立てるみたいなところは結構やられてるんですか。
そうです。どちらかというとゲノムを読んで仮説を立てたりとか、実際その元素循環の話に持って行ったりとかですね、代謝圏の話とか。実際そういう実験的にやるとしたら、あれですね、一番主要なテーマとしては炭素固定だったりするので、
例えばロドプシンを持ってる微生物がロドプシンを作ったATPで無機炭素の固定してる説とかもあって。
えー、ATPで。
ATP使うとTCA回路のちょっと変な反応を持ってて、そこでTCA回路を空回りさせるみたいな感じで炭素固定ができたりするんですが。
空回り、えー。
あんまりイメージつかないですけど。
そこはちょっと口頭で説明は。
難しいというか。
えーっと、まあでもあの、まあなんかあるんですよ。
はいはいはい、まあちょっと独自のエネルギーを回すシステムがあるってことですね。
で、まあそれはやっぱり微生物解養学的にはすげー重要なことなんで。
そうですよね、そこエネルギーつくところが。
まあそれとか実験系でやられてたりとか、で、あとそれが実験系でやられると当然まあノックアウトしたらどれぐらい炭素固定が減るのかとかはやりたいですよね。
あの、ロドプシン持ってるやつではもう測られてるんで。
うーん。
本当にロドプシンの影響かっていうことをちゃんと理解するためには。
そうですよね。
やっぱノックアウトはしたりとか、まあそういうのはあります。
なるほど。
はい。
めちゃめちゃ面白いな。
まあじゃあちょっと研究内容的なところは結構ガッツリ話せたかなっていう。
そうですね、なんか久々に。
久々に話しました。
意外と話せた。
いやでもすごいわかりやすかったですね。
そしてなんかすごい今後もっといろいろ深掘りされていきそうな領域だなと思いましたね。
いや今後もっと深掘り誰かしてくんねえかなと思ってるんですけど、なんか大して論文が引用されてなくて。
そうなんですか。
これでもかなりインパクト大きいと思いますけどね。
克服なんだよな。
この戦略的なところ。
そうなんですよね。
なんか結構やっぱなんか引用されるってやっぱ候補法とかちゃんとしないといけないんだなみたいな。
国際学会で候補法とか全然白紙取った瞬間に僕出てっちゃったので。
はいはいはい。
論文自体の内容をなんか国際学会で発表みたいな全然やれなかったので。
あーなるほど。
30:00
やっぱ結構引用伸びなかったですね。
もっとされて。
あと確実に僕の論文を引くべきみたいな論文でも全然引用されてないのですごい悲しい気持ちになりました。
あーそれは悲しいですね。
ありますけどねなんかそういう。
じゃあもうそこから博士取った後はもう全然違うことをやったって感じですか?
そうですね博士取ってすぐ僕はもう民間のIT企業で六本木でITエンジニアをデータサイエンティストをやって。
サイエンマニアお聞きいただきありがとうございました。
この番組では幅広い専門知識を一つの番組に集め聞くだけで誰でも楽しく学べる番組を目指しています。
そのために皆さんからの質問や意見・感想を募集しています。
概要欄のお便りフォームやツイッターハッシュタグサイエンマニアでコメントいただけると嬉しいです。
またお手元のポッドキャストアプリでフォロー・レビューいただけますと大変励みになります。
次回のエピソードもお楽しみに。
31:19

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