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2025-10-28 08:39

61. 息で病気がわかる?鉄の匂いが教えてくれる肝臓の異変

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サマリー

京都大学の松岡特定助教を含む研究チームは、呼吸を分析することで肝臓の病気を早期に発見する可能性を示唆しています。この研究では、呼気中の気発性有機化合物が肝臓の健康状態と関連していることが確認されています。

研究の紹介
今回は、息を調べるだけで肝臓などの病気がわかるかもしれないという研究について紹介したいと思います。
サイエンスポットは最新の科学技術にスポットライトを当てるポッドキャストです。 ホストはサイエントークのレンです。今回紹介する研究は京都大学大学院医学研究科の松岡特定助教
杉浦特定準教授らのグループが慶応義塾大学などと共同で発表している内容になります。その内容は息を調べるだけでこれまで体に大きな負担をかけてきた
肝臓の病気の進行を知るとかそういったところが可能になるんじゃないかという研究になっています。
僕たちって当たり前のように呼吸していると思うんですけども実はこの呼吸している呼気って呼ばれる空気ですねが体の代謝の情報がすごい詰まっているということなんですよね。
この吐いて出てくる息の中には気発性有機化合物 VOC って言われるやつなんですけどこれあの1000種類以上の小さい分子が入っているということですよね。
それが気発性有機化合物っていう総称で呼ばれていてこれを分析することでよくある血液検査とか
あとは尿検査とかそういったものと同じようにそこから病気の診断が可能なんじゃないかという研究になっています。
この今言った VOC っていう1000種類以上の小さい分子っていうものが生み出されてくるところに関わっているのが細胞が壊れるプロセスの一つである脂質の酸化という現象になっています。
脂質は油ですよね油は細胞の表面の膜に含まれているものなんですけどもこれが活性酸素とか鉄とかの作用で酸化されることでこの VOC の中の VOL っていう
VOL っていうんですけど気発性の酸化脂質っていうものが出てきます。
これは最終的に血液を通って息の中に含まれて排出されているということなんですよね。
この脂質の酸化っていうのを加速させて細胞膜がどんどん壊れてしまうっていうのはフェロトーシスと呼ばれている細胞の死に方になっています。
これはフェロトーシスのフェロっていうのは鉄という意味で鉄依存的に細胞が死んじゃうっていう新しいタイプの細胞死っていう風に言われてるんですけども
ガンだったりあとは肝臓とか心臓腎臓の病気の原因にもなると言われております。
このフェロトーシスつまり細胞の表面の脂質がどれだけ酸化されているかっていうのを調べるためには今までは肝臓の一部を採取するっていう
肝性圏とも呼ばれるんですけども結構体に大きい負担がかかるような検査が必要だったということですね。
なのでこのフェロトーシスに関連する研究だったりとか治療薬の開発っていうのはすごく限られた状態になっていたそうです。
ただ実際この分子っていうものの正体っていうのがいまいち完全にはつかめていなかったというところで今回の研究になってますけども
何をしたかというとまずこの細胞から放出される揮発する成分っていうのを徹底的に質量分析系というものを使って調べます。
オキシデイティブボラトロミクスっていう最新の分析技術を使っているそうなんですけどもこれを使って
さっき言ったフェロトーシスが進行した細胞から放出される分子っていうのを見ていってあげると。
そうすると鉄による脂質の酸化で生じてくる分子。
具体名一応言っておくと1オクテン酸オールってやつと2ペンチルフランっていう有機化合物ですね。
臨床への応用
これらが実際出ているということが分かりました。
実はこれらって僕たち血が出た時とか独特の鉄っぽい匂いするの分かりますかね。
金属とかの匂いにすごく近いっていう感覚を持ったことあるんじゃないかなと思っていてその原因の物質の一つと言われてますね。
これらの分子っていうのはさっき言ったように細胞の表面が酸化されて出てくる。
フェロトーシスが進むと出てくるっていうのが確認されました。
次にこの細胞で起きていることが実際マウスを使っても確認できるのかっていうのでマウスを使って急性の肝不全肝臓の病気とか慢性肝臓病とかのそういったモデルのマウスっていうのがいるんですけども
そのマウスを調べてみるとこのさっき言った同じ分子が肝臓だけじゃなくて呼気からも増えているということが分かりました。
マウスの息を調べたってことですね。
そうするとこの酸化された脂質っていうのが増えていると。
最後にこの人の患者さんで実際に相関関係があるのかなっていうのを応用していて
健常な人とそれから今患者がかなり増えている代謝異常関連死亡性間疾患っていう病気があるんですけども
そこのかなり病気が進行して肝口炎まで進行してしまっている患者さんの呼気を調べてみました。
そうすると患者さんの息の中にはさっき言った1オクテン酸オールとか2ペンチルフランっていう分子っていうのが普通の人よりも多く含まれていたと。
特に重要だったのが2ペンチルフランという物質で
この物質がこの呼吸の息の中に入っている量が肝臓の機能を示す血液検査っていうのと強く関連していることが分かりました。
なのでさらにこの体に負担をかけて行っていた肝性偏実際肝臓をちょっと一部取って検査するっていう方法で調べてみるとその量ともよく一致していたということですね。
でこれ非常に画期的な発見だなぁと思っていて
病気の検査ってやっぱりあの伸縮性非伸縮性とか言いますけど伸縮性要は体のをちょっと一部切ってとか
あの内臓の一部をちょっとやっぱり傷つけて取って検査するっていうのがすごく確実な方法ではあるんですけどやっぱりハードルが高いっていうのはありますよね。
でそういうことをやらなくても呼吸を調べてなるべくいろいろ情報をつかんでくるっていうのは病気の発見率の向上にもつながりますしあのすごい
いい研究だなというふうに思いました。でこの実際注目しているのがフェロ糖質っていう細胞が死ぬそしてその死んだ細胞から
脂質が酸化されたその分子っていうものを検出するっていう非常にロジカルな方法でモニタリングができるというふうな技術が確立されているということですね。
で何でもかんでも検査できるわけではないと思うんですけども血液検査とかでもしかしたらできなかったようなものも呼吸を調べるとわかるかもしれないですし
より大規模な検査とか病気の進行度チェックとかそういったふうにこの技術が応用されていくことが今後期待されているということですね。
まだ臨床応用を完全にできるわけではないんですけども今後それを検証していくということみたいです。非常に面白い研究ですね。
僕たち呼吸している息とかって匂い分子とかがやっぱり注目されがちなんですよね。
当然息臭くしたくないっていう重要めちゃくちゃあるわけで僕たちの人間社会においては。
だけどなんかこういう体の中側からの危険信号みたいなやつがもっともっとこれ調べたら出てきそうだなって思いますし。
地道に分子を特定していくっていうことがこのジャンルだとものすごく重要になっているのでこういう基礎研究から結構いい世界でも使えるような技術が生まれてきそうだなっていう感じがしますよね。
ということでちょっと今回紹介してみました。
ということで今回のサイエンスポットは以上になります。また次回楽しみにしていただけると嬉しいなと思います。
あとは過去回も60回ぐらいまで溜まってきておりますのでぜひ色々と気になるタイトルありましたら聞いてみてほしいなというふうに思います。
以上です。ありがとうございました。
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