動物の進化と脊髄の研究
今回は、動物の進化の謎に迫る神経の太さについての研究を紹介したいと思います。
サイエンスポットは、最新の科学技術にスポットライトを当てるポッドキャストです。
ホストはサイエントークのレンです。
ということで、今回ご紹介するのは、名古屋大学大学院生命農学研究科の山本教授らのグループが
発表したもので、
サカナの脊髄に関する研究についての話です。
僕たち手足がある、獅子を持つ動物というのは
犬や猫などの動物です。
陸上で暮らす獅子を持っている脊髄動物はたくさんいますが、
脊髄の中で、明らかに
神経の部分が太くなっている場所が2箇所あるというのが古くから知られていました。
この太くなっている場所ってどういうところかというと、
前足、僕らで言う腕を支配している部分が膀大している。これ、軽膀大って言うんですけど、
脊髄の軽ですかね、が膀大しているというのと、
後ろ足、僕たち人間で言うと普通に足ですね、を支配している
腰膀大、腰が膀大しているという名前がついている、この2箇所の脊髄
対応している部分が明らかに太くなっているというのが知られていました。
で、じゃあなんでこの部分だけが太いんだろうって考えると、手とか足とかって
それ以外の部分に比べて筋肉の種類が非常に多くて複雑で、
あとは皮膚の間隔とかもものすごく鋭敏であると。
なので、特に重要な神経が通っているという意味で、おそらく
脊髄の太くなっている部分があるんじゃないかっていう仮説が今まであったそうなんですよね。
で、一方でじゃあ手足がない動物、魚とか
あとはヘビとか、そういったものがどうなっているかというと、
脊髄には肉眼で見たところ、太くなっているような部分っていうのは見当たらないそうなんですよね。
なので、これまではこの脊髄の膨大している部分があるっていうのは
脂肪があるから、それに対応しているから太くなっているんだっていうふうに一般的に考えられていました。
で、ただこの名古屋大学の研究グループは、魚の胸びれとか腹びれとかって
実は僕たちの手足と相同、つまり進化の期限が同じですっていう構造なんですよね。
僕らの手とか足とかってもともとヒレだったと。
で、そのヒレっていうのも結構魚は複雑な動きをしていて、
感覚が発達しているっていうのは知られているので、
じゃあこのヒレを支配している脊髄の部分って、
人間とかと一緒で太くなっている可能性ってあるんじゃないのっていうのが、この研究のスタート地点みたいですね。
なんかこれ結構まだ知られてなかったんだっていう意外性もあるかなと思いますね。
で、調べた対象っていうのは魚のゼブラフィッシュっていう魚ですね。
よく実験とかで使われる魚です。
実際どうやるかっていうと、まず脊髄のどの場所がどのヒレを支配しているのかっていうのを特定しないといけません。
なのでそこでやった方法は、ゼブラフィッシュっていうのは、
この見た目を透明化するっていうのがもうすでに可能な技術がありまして、
透明なゼブラフィッシュに色をつけてあげると神経に。
これ免疫組織化学染色って言うんですけど、この特定の神経にくっつくような色素っていうのを
体の中に入れてあげて、
そうするとどういう神経のルートがあるのかなっていうのが可視化できるっていう状態になります。
魚って胸ビレ、腹ビレ、背ビレ、尻ビレ、尾ビレっていう尾ヒレかな。
5種類のヒレ全てについて、それぞれ脊髄のどういう場所に繋がっているかとかそういうのを調べてあげると、
例えば腹ビレだったら第7から第10の脊髄の神経が支配してますとか、
そういう対応関係が分かるようになりましたと。
で、じゃあ実際に脊髄の太さ、面積っていうのを計算してあげるとどういう感じになっているかっていうと、
これは魚の脊髄のこの切片、薄くスライスして、
その実際の脊髄の面積っていうのを実験的に測ってみるっていうことをやるんですけど、
実はこれ複数の場所で面積が大きくなる、他の部分より大きくなっている場所っていうのが存在しているってことが分かったんですよね。
つまり脊髄の膨大部って言われる場所が今までないと思われてたんだけどあったと。
で、この膨大になっている太くなっている場所っていうのが、さっき調べたヒレの支配している領域とピッタリ一致していたっていうのが結構面白いところですね。
僕らで言う手足っていうのは魚の胸びれとか、むらびれと腹びれに相当しているらしいんですけども、
それ以外の背びれとか、あとは尾びれとかも実際太くなっているということが分かったんですよね。
新たな進化の考察
だからこれが面白くて、意外と人間とか手足あるやつしかないって言われてたんだけど、
実はむしろ魚の方が太くなっている場所多かったよっていうのが分かりました。
で、つまりここから何が言えるかっていうと、
もともと僕たち陸上で暮らしている脊髄動物とかって、もともと海の魚みたいな形をしてたわけですよね。
だから神経が太い場所が胸びれとか腹びれ以外のところも本当は太かったと、もともと。
で、この中から手足に対応する2箇所に関しては、この神経が太いまま残って進化していって残ってるっていうことなんですけど、
それ以外の左右対称じゃないやつですね。
人間だったら例えばもう尻尾はないですし、背びれとかもないですけど、
そういう左右対称じゃないひれっていうのはどんどん陸上進出してなくなっていったのと合わせて、
おそらく神経の脊髄の肥大っていうものもなくなっていってると。
で、最終的に今前足と後ろ足を支配している頸房大、腰房大っていうこの2箇所だけが残された状態なんじゃないかっていう、これ仮説ですね。
これめっちゃ面白いなーと思って。
なんか確かにストレートに考えると手足めっちゃ使ってそこだけどんどん発達していったんじゃないかって見えるんですけど、
むしろ削ぎ落とされた結果だったっていう、僕たちのこの手足の対応する脊髄が太いっていうところは。
これすごいなんか大きい発見なんじゃないかなと思うし、
なんか魚って偉大だなぁと思いましたね、これ見て。
やっぱり僕たちの祖先なんで、僕らよりも体の機能が、まあ確かにヒレみたいなものってコントロールするのすごい大変そうというかちょっと魚の気持ちはわからないんですけど、
僕らはもう持ってない機能なんで、そういうもともとの方が機能多いっていうのはめっちゃ面白いですよね。
ほんと魚の悪口言えないなっていうふうにマジで思いますね。
はい、これ結構だから今までの手足があるからっていう、それある意味すごいステレオタイプになってたっていうことみたいで、
進化の道筋とかにかなり新しい考え方っていうのを提供しているかなと。
ヒレと僕たちの手足の関係性とかもここから見えてきますし、面白いですよね。
はい、っていうのが今回紹介したかった研究になっております。
まあちょっと音だけだとちょっとイメージしにくいかもしれないですけど、改めてちょっと魚のヒレの動きとかに着目してみたら面白いかもしれないし、
なんか意外とこういう解剖学っぽいところもまだ分かってないこといっぱいあるんだなっていうふうにの勉強になりました。
以上です。ということでこの番組サイエンスポットは日本語と英語で発信をしております。
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それではまた。