歯の再生研究
今回は、歯を再生することができるのかという話について紹介したいと思います。
サイエンスポットは最新の科学技術にスポットライトを当てるポッドキャストです。
ホストはサイエントークのレンです。
はい、ということで今回の話は歯ですね。
虫歯とか刺繍病とかに悩んでいる人がもしかしたらいるかもしれないですし、
僕も今イギリスに住んでて、歯医者に行ったら莫大なお金がかかってしまうので、
ちょっと虫歯には気をつけようと思って歯磨きを頑張っているんですけど、
歯を丸ごと再生させるっていう治療法の研究っていうのが今結構世界中で進められていて、
まあ本当に試験管の中で歯を作って、それを口の中に移植しようみたいな研究ですね。
そういうのがあるんですけど、課題もあって、
試験管の中で再生した歯っていうのは歯の根っこの部分ですね。
これ歯根って呼ぶんですけど、歯の本当に根っこの根で。
この歯根の長さとか構造を制御する技術っていうのがまだ確立できてなくて、
まだちょっと実現難しいという状況らしいです。
で、この歯根っていうのは歯を顎の骨にちゃんと固定して、
土台がちゃんとしてないと食べ物を噛んだりした時、もうその土台になっている部分が非常に重要なので、
なかなか難しいっていうのと、あとは神経とか血管が通るっていうちっちゃい穴みたいのがあるらしいんですよね。
これ根線孔っていう穴があるらしくて、それがまあ要は歯の生命線みたいなものですよね。
そういうのがちゃんと通らないと再生された歯を口の中に戻したとしても安定せずに、
ちゃんと定着しないということらしいです。
これまでの研究でも人工的に枠みたいなものを作って、
歯根の形を整えるとか、あとはこの歯を作る細胞を実際に遺伝子を操作してコントロールするっていうのをやろうとしてたみたいなんですけど、
なかなかそこが精密にコントロールできないそうなんですよね。
今回ちょっと紹介したい研究が東北大学の私学研究科のニーベ・コーシっていう方と、
HDACの役割
あとはジェニファー・J・ウェッセンドルフっていう、これが米国のマヨクリニックの方ですね。
その研究でDNAの延期配列を変えずに遺伝子の働きを操作するっていうエピジェネティクスっていうものがあって、
それによって歯根の形成が制御できるんじゃないかっていうのを突き止めたっていう話です。
一応すごくベーシックなところからエピジェネティクスっていうところからお話するんですけど、
これもサイエンスフォトでは出てきてたかな。ちょっと出てきたかもしれないですけど、
サイエンマニアとかでエピジェネティクスの回とかがあったりとかするんですけど、
何回か多分Podcastでも話したことあるんですけど、一応もう一回説明すると、
エピジェネティクスっていうのはDNAの延期配列、要は遺伝子の設計図っていうものがあったとして、
その設計図をそのまんま丸々全部読んだら、
全く1個のDNAから出てくる情報って同じだと思うんですけど、
その設計図をどう読むかっていうのを変えるっていうのが必要になってきます。
例えばこのDNAっていう1冊の本があったとして、
その1冊の本の中に付箋みたいなものを付けますと、ここは重要みたいな。
そういう付箋を使って、今はこの付箋の場所をオンにしようオフにしようとか、
そういう目印を付けて調整するっていう機能があるんですよね。
これが要はエピジェネティクスのものすごい簡単にした説明で、
なので体の中のDNAっていうのはトータル同じようなものが分裂してできてるわけですけど、
ある時は目の細胞の一部になったりとか、
爪の細胞の一部になったりとかっていうのが体のその場所によってエピジェネティクスっていう仕組みで制御されて、
同じDNAからいろんな細胞ができてるってことですね。
これをコントロールするというか、この中で結構キーポイントになってるのは、
ヒストンダツアセチューカ酵素っていうものになります。
これHDACとも呼ばれるんですけど、HDACですね。
これめちゃくちゃ有名な酵素です。
このHDACっていうやつは何をしてるかっていうと、
今言ったDNAの原子オンオフっていうのをもう少し詳しく説明すると、
DNAって紐みたいになっていて、紐のまま存在してるとクシャクシャになっちゃうわけですよ。
イヤホンとかカバンに入れてたらクシャクシャになって解くの大変みたいな感じになっちゃうので、
ヒストンっていう丸いタンパク質みたいなものに巻きついてるみたいなイメージなんですよね。
そのヒストンっていうものに巻きついて、きつく巻きついてる状態はDNAはスイッチがオフになってるような状態になります。
ここにさっき言った付箋みたいな、これアセチューカとかダツアセチューカとかなんですけど、
目印をつけることによって、このぐるぐる巻きになってるヒストンからDNAが緩んで、
この緩んだ部分のDNAはオンですよみたいな感じで調整をしています。
この目印をつけたり外したり、今回は外す方ですね。
ダツアセチューカ酵素っていう、それがHDACなんですけど、それを担っている酵素っていうことになります。
めちゃくちゃ重要な酵素で、このHDACに対するいろんな薬とかそういった開発とかもされてたりするものですね。
今回HDAC3っていう特典のやつが注目されてるんですけど、ちょっとそこは割愛しますけど、
この酵素が重要ですっていうことがまずあって、じゃあこの歯を再生させるっていう実験なんですけど、
これいきなり人間でやるわけじゃなくて、まずマウスでやっています。
マウスの歯も人間と同じような感じなんですけど、
この歯の固くするセメント質とかですけど、その固くするっていうのに重要な遺伝子っていうのは分かってて、
オステリックスっていう名前の遺伝子があって、
じゃあそれはどうやったらオンオフするのかなっていうのを見てみるということですね。
実際にいろいろちょっと研究しているところがあるんですけど、このHDAC3っていうさっき言った酵素の機能を結出させたマウスとかを作ってあげると、
この歯のさっき言った根っこの部分、歯根っていうのがめちゃくちゃ短縮するっていうことが分かりました。
なので不完全な歯になると。
なのでさっき言った付箋を張るっていう酵素はこの歯根の適切な成長っていうものにものすごく重要ですよねっていうのがこの実験から分かります。
そのあと細胞レベルとかの実験もいろいろやってるんですけど、
この歯の根っこの表面をちゃんと硬くするセメント質を形成するセメントガ細胞っていうやつがあるんですけど、
このセメントガ細胞っていう細胞にHDAC3の阻害剤をブロックするっていうのをやってあげると、
この歯がちゃんとセメント質になって切開化する硬くなるっていう遺伝子の発現が抑制されて、
実際にちゃんと硬くなるっていう仕組みができなくなってしまうと。
エピジェネティクスとHDAC3の役割
なのでやっぱり細胞のレベルで見てもHDAC3っていうものが直接セメント質が硬くなるっていうのに関わってるっていうのを示している。
しかもこのHDAC3は歯根の長さとか、あとはさっき言った血管とか神経が通る穴ですね。
そこの形成っていうのもこの酵素がないとちゃんと作られないよっていうのが分かったんですよね。
だから要はこの子宮の形態を決定するっていうすごい重要なプロセスを、
さっき言ったHDACの中の特にHDAC3っていうものが重要な役割を果たしている。
だからこれがエピジェネティックなメカニズムを持っていて、
それを通じて歯の形態を制御してるっていうことが分かったっていう話ですね。
これすごい複雑な話ではあるんですけど、
結構何を狙って子宮をちゃんと作らせるかっていう標的を見つけることがめちゃくちゃ重要で、
今回の場合だとそれがHDAC3っていうものでしたよっていうのが、
一個研究の発表の成果になりますね。
なので将来的に歯を実際試験管で再生させようってなったときは、
このHDAC3がちゃんと機能していないといけない。
その働きを外から何か薬みたいなものを入れて調整するっていうのをやれば、
例えば狙ったぐらいの歯の子宮の長さにできますよとか、
逆に伸びすぎないようにできますよとか、
あとは形をもしかしたら誘導できるようになるかもしれないとか。
なのでそこの歯の一番大事な土台の部分の調整を担っている構想っていうのが分かったっていうことですね。
こういった研究って結構いろいろあるんですけど、
歯の再生みたいな研究はちょっとあんまり見たことがなかったので結構面白いなっていうことと、
もしかしたら何年後かわかんないですけど、
本当にこういう遺伝子操作なりでちゃんと個々人に合った歯を作れるようになって、
それを口の中に戻せば歯を失っちゃった人が歯を取り戻すみたいな未来があるかもしれないなっていうふうには、
これを読んでて思いましたね。
ただまだマウスで実験したぐらいなんで、
人は全然先だなとは思うんですけど、
いつかできるかもしれないなっていう感じはしましたね。
ということで今回の話ちょっとややこしかったのでまとめると、
歯の再生っていう医療の研究が進んでますと、
その歯の再生をちゃんと試験管の中で歯を作ってそれを口の中に戻すとか、
あるいは将来的に口の中でも直接治療しちゃうとかあるかもしれないですけど、
まずはひとまず歯を人工的に作るためにはエピジェネティクスっていうものが重要で、
DNAをどう読むのかっていうのが重要で、
それを調節している構想をきちんと調整してあげることによって、
もしかしたら歯の人工的にうまく成長させるっていうのができるんじゃないかっていう研究ってことですね。
ただこれちょっとここまで論文の内容で、
個人的には結構このHDACみたいなものはいろんなところに影響してくるものなんで、
もしかしたら歯だけじゃないかもしれないです。
歯とか1個のヒストン脱アセシュガー酵素HDAC3っていうものを変えると、
別な場所に影響出てるんじゃないかとかそういう話はもしかしたらあるかもしれないですけど、
そういうのが人とかの細胞でもできるかどうかっていうところですかね今後は。
なのでそれが技術基盤になったら面白いなっていうお話でした。
ということで今回のサイエンスポットは以上になります。
ちょっとこれ配信もしかしたら遅れてるかもしれないですけど、
ちょっとこの間までギリシャのアテネとかサントリーに行ってて、
旅行シーズンなのでいろいろ行こうと思って、
今度多分これが出る頃にはスペインとかポルトガルに行ってるかもしれないです。
なのでちょっと配信がいつできるかわからないですけど、
すいません、めっちゃ旅行行ってるんですけど、
せっかくこっちに来てるんで、
こっちでしかできないことを楽しもうと思っていろいろ行ってます。
ちょっとまたその様子とかもSNSとかでシェアできたらいいなというふうに思ってますので、
そちらもぜひ見てみてください。
このPodcastは日本語と英語で配信をしております。
Podcastを聞いて皆さんの感想やメモなどありましたら、
ハッシュタグサイエンスポットで投稿してもらえると嬉しいです。
教えて研究者のコーナーにサイエンスポットを聞いてお便りしてくれた方も
もしかしたらいるかもしれないなと思ってます。
ありがとうございます。
またそういう質問募集とかもあると思いますので、
引き続きよろしくお願いします。
それではまた。