犬と人間の関係
今回は犬は人間の親切さを見抜くのかという話をしたいと思います。
サイエンスポットは最新の科学技術にスポットライトを当てるポッドキャストです。
ホストはサイエントークのレンです。
ということで、今回は犬のお話をしたいと思っています。
これ結構僕が今まで気になっていた犬って、
親切な人には好意的な印象を持って、
逆に意地悪な人には嫌な印象を持つのかっていう、
本当にそういうことってあるのかなっていうのはずっと気になっていて、
それをちゃんと研究しましたよっていうのが出てきたので、
ちょっと紹介したいと思います。これ京都大学の研究ですね。
まず、動物って、特に群れで生活する動物とかは、
その動物同士の社会評価とか、その評判っていうのがものすごく大事です。
当然、例えば狼。犬の祖先である狼とかだと、
大きいものを狩るために協力してチームプレイすることで
生き残るチャンスを増やしているわけなんですけど、
そういった、もし他の仲間が何か情報を見つけたりとか、
敵を見つけたとか、そういう自分にとって恩恵になるようなこと、
そうしたことがしっかり相互に利益共受ができていると、
集団としてうまくいくと。逆にそういうことをしない
ただ乗りみたいなやつがいると、協力関係がうまく働かないっていうことがあるんですよね。
ここで言う評判っていうのは、動物って直接的に、
例えば餌をもらったっていうので、
じゃあそのくれた人は評判上がりますよねっていうのもありますし、
例えば第三者視点で、いわゆる盗み劇みたいな感じで言うんですけど、
他の狼が他の狼に親切しているのを見ると、
あの狼はいいやつだっていうので、その餌をあげるやつの評価が上がるみたいな、
そういうことが実際あったりする。
ただ集団で生活する動物にとっては、
そういうのを見てよりいい仲間、パートナーとかを選ぶっていうのを可能にするので、
めちゃくちゃ集団にとっては重要ですと。
犬っていう動物は人間にとって、
最初に家畜化された動物でもあって、
もう2万3千年前ぐらいからずっと犬と人は一緒に生きてきてるんですけど、
犬が何で人間と一緒にいるかっていうと、
協力行動をするということですね。
犬にとって人間っていうのは食料をくれたりとか住居を与えられたりとか、
いろんな資源を与えてくれる存在だから一緒にいるっていうことでもあって、
犬にとって人の評判ってめちゃくちゃ重要なんですよ。
実験の方法と結果
これまでの研究だと、犬が人間の評判をどう見てるかっていうものが結構賛否両論あって、
例えば人間同士でやりとりしているのを犬に見せて、
例えば片方の人が片方の人に意地悪してるとか、
そういうのを見せた後に犬がどっちの人間を好むかとかそういうのをやったりするんですけど、
いまいち犬が単に注意を引かれた場所に引き寄せられてるだけですよねとか、
人間の行動をちゃんと評価できてるんですかっていう論文が多かったらしいです。
そこで今日紹介する研究では、
より厳密な方法でペットの犬が人間について評判を形成できるか、
あとは年齢がそれに関係あるかとかを調べてます。
具体的な内容としては40匹の犬を集めて、
1歳から3歳、4歳から7歳、8歳から12歳のざっくり若年と正犬と老犬の3つのグループにまず分けました。
ここで実験をやるんですけど、
一つが盗み引きの条件で、
他の犬が餌を与えられるかどうかっていうのをまた別の犬に見せるっていう実験をします。
なのでAっていう犬は実験対象だとしたら、
別のBっていう犬にある人間は餌をあげて優しくすると。
また別の人間はBの犬に対して食べ物も与えずにそっぽを向いていたっていうのを、
この最初のAの犬に見せてあげて、
じゃあAはこの2人の良い人間、悪い人間をどう判断するのかっていう実験ですね。
もう一つは直接経験条件といって、
このAの犬自身がこの餌をくれる人間、くれない人間と直接交流して、
どう判断するかっていうのをやります。
その後にどっちの人間に対してより神話的な行動、
例えば近づいて触ったりとか、
より親密度が高いかっていうのを測定してあげるっていうことをやってみたそうですよね。
今までと違うのは人間と犬との間の相互作用を別の犬に見せてるっていうことが結構新しいらしいです。
だから犬にとってはそのAの犬にとってBの犬がこう餌もらったりもらえなかったりしてるのに対して、
より親近感が湧きやすいというか関連性が高くて、
よりこういう評判形成に有効なんじゃないかということで実験したらしいです。
結果なんですけど、犬が人間に対する評判は形成できなかったっていう結論になってます。
具体的にはさっき言った別な犬のやりとりを見せる、
もしくは直接その人間と交流する、
どっちも、
しかもどの年齢層の犬でも別に優しいパートナーをいい人だって選んだり、
逆に意地悪な方の人は避けたりとかそういったことはなかったらしいんですね。
完全に偶然のレベルと変わらない結果だったそうです。
40匹のうち統計的に優位に人を選んだっていうのは3匹だけいて、
そのうち2匹は餌をくれる優しいパートナーの方に行ったんですけど、
もう1匹はむしろ意地悪してきたパートナーの方を選んでいたと。
だから全体的なこういう傾向ですよねっていうのは言えない結果になりました。
評価の限界と今後の展望
40匹中1匹2匹の話なんで、
なんか別な要因があったのかなという感じですね。
なので犬が人間を社会的に評価する能力を持ってますよっていう仮説、
あとはその絵が年齢に関係してるっていう仮説とか、
それは全然支持されなかったということですね。
これ証明できないっていうのも立派な実験結果なので面白いなと思ったんですけど、
じゃあなんでこういう結果になったのかっていうのをいくつか今回の研究者たちは指摘していて、
一つは方法論的な課題ですね。
人間同士の性別が一緒だったっていうことで、
そこより良い人悪い人の区別がもっとちゃんとできたらよかったんじゃないっていうのが一つ。
もしくは人間を区別積極的にするほど犬たちが餌を欲しがってなかったっていう可能性もありますと。
もしくは今回これかなり短い時間の実験になるので、
ペットの犬っていうのは普段から人間と安定した関係を築いている。
その飼い主に対しては飼い主当然餌をもらえたりとかそういう行為的なことをたくさんしてるので、
そういった継続的なものを見て人間を判断している。
だからそういうパッと人と犬のやり取りを見て、
この人良い人、この人悪い人っていう判断はしてないんじゃないっていうのがこの実験から言えることらしいですね。
だから何度も何度も接する中で信頼環境を築いていくっていうことを繰り返してあげると、
もしかするとそういった良い人悪い人っていう評価を人間に対していいねもするんじゃないっていうことも言われてました。
なのでこの研究は犬の認知能力とか社会評価能力がどんだけ複雑かっていうのをかなり浮き彫りにしている研究になっていて、
もっと大規模な犬の集団とか環境用意とかもいろいろコントロールした実験とか、
そういったものが今後さらにやられる可能性はあるんですけど、
そんなに簡単に犬の感情を読み取ることができなかったっていうのが今回の研究になってました。
これなんか実験としては仮説が評価できなかったっていうちょっとネガティブ寄りに見えるんですけど、
個人的にはこの1回だけで判断するっていうのは人間だと多分一発で判断すると思うんですよね。
他の人が誰かに意地悪なことをしているか、いいことをしているかっていうのをパッと見て、
その人がいいか悪いかって結構判断できるじゃないですか、僕たち人間は。
だけど犬はそれは結構難しい、できないっていうのが今回の結果なんで、
なんかその学習のプロセスというかやっぱり人間の学習能力ってすごいんだなっていう気もすごいしますよね。
こういう話を見ていると犬はそこまで人間を評価するっていう能力がないんだっていう気はしました。
いずれもうちょっと詳細に分かるかもしれないですけど。
っていうちょっとこれ一風変わった研究を紹介してみました。
これ単純に僕の興味があるなっていうのがあったんで、
割と犬とか人のこと覚えてる覚えてるなと思うんですよね。
一緒に住んでたら長い時間一緒にいるし、それで覚えてってるんだと思いますけど、
僕が実家に結構1年以上帰れなくて、
久々に帰った時に忘れてるかなと思いきや、
最初ちょっと違和感ある動きはしてたんですけど、
途中からもう完全に覚えてるわっていうリアクションをしてて、
結構ちゃんと記憶力いいなっていう経験もしてましたし、
やっぱ家族の中でも明らかに序列をつけてる感じがするんですよね。
例えばこの人の方、僕の母親が一番餌をあげてるから、
母親のところにはホイホイ行くみたいな、
そういうので人を評価してるなと思ってたんですけど、
結構そのパッと見では評価やっぱ難しいんだなっていうのは勉強になったなっていう感じですね。
今回かなりポップな研究でしたけど、犬のお話でした。
実はこれ再演投稿で犬猫議論をずっとやりたいよねって、
今年の頭ぐらいから言ってるってまだできてないんですけど、
犬と猫のそれぞれ勉強する時間が取れてなくて、
今年中にはやりたいなと思ってるんですけどね。
ショーレースとか向きのいいエピソードができる予感がしてるので、
犬と猫の言い合いに関しては。
それでも全力で戦いたいなっていう気持ちはすごくあるんで、
科学的な話もしつつ、
それはちょっといずれ出てきたらまた紹介したいなというふうに思ってます。
今日のサイエンスポットはここまでです。
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それではまた。